ICLは老眼に注意!?【ICL VS 多焦点眼内レンズ】 | 武蔵野タワーズゆかり眼科

武蔵野タワーズゆかり眼科

医療法人社団Luce三鷹 武蔵野タワーズゆかり眼科のブログです。
患者様からよく頂く質問や、眼に関する豆知識・最新情報などを記事にしていきます。

今回は眼内コンタクトレンズ(ICL)を検討する際の注意点を書いていきます。

 
ICLの良いところについてはこちらをご覧下さい。
ICL Visian EVO+の画像
 
ICLは屈折矯正としてお薦めですが、一番注意する点はズバリ
老眼です。
 
実際にICLを検討される年齢層として、金額的なところなのか圧倒的に40代が多い印象を受けます。
 
20代、30代で入れたほうが快適に過ごせる期間は長いのですが、両眼60万円前後となると、レーシックに比べ高く感じるという感想もあるようです。
 
もちろん40代の方でもICLには沢山のメリットがあります。
特に眼鏡やコンタクトに悩まされていた方は老眼の不便さよりICLによる便利さが勝ると思います。
 
40代後半になるに従って必ず誰しも起こるのが老眼なので、その時が来たら老眼鏡かければOK!と割り切れていれば大丈夫ですが、
 
よく見えて快適になった数年後、今度は近くが見えなくなった。
 
となるのは、金額に対して満足度が少ないと感じるかもしれません。
そこで、40代以上の方が選択肢に加えて検討して頂きたいのが
多焦点眼内レンズです。
 
ICL VS 多焦点眼内レンズ
多焦点眼内レンズレストア
 
以前、老眼については下の記事で詳しく書いたのですが、ピント合わせの機能の低下は必ず起こります。
 
老眼の矯正方法として、近年注目されているのが
老眼治療目的での白内障手術です。
 
今この話でなぜ突然"白内障"ってワードが出るの?と違和感を感じた方もいるかもしれません。
それは"多焦点眼内レンズ"というのが、そもそも白内障手術に使われるレンズだからです。
 
白内障は40代で20%、50代で50%、60代で80%の人にあると言われ、誰でも長生きをすれば100%白内障になります。
 
白内障の手術をする際に、濁った水晶体を取り除いて人口のレンズ(眼内レンズ)を挿入します。
その時に入れるレンズにより術後の見え方を選択することが出来ます。
 
レンズには種類があるのですが、1つは保険適用の"単焦点レンズ"
もう1つが自由診療又は選定療養により選べる"多焦点眼内レンズ"です。
 
多焦点眼内レンズは遠くも近くも見える事が最大のメリットで、もちろん40代で入れても一生使えます。
 
本題に戻りますが、
ICLを入れた眼は、40代後半で老眼が発生し始め、いずれ白内障で見づらくなった時に取り外して白内障手術をすることになります。
 
多焦点眼内レンズを使用した白内障手術は両眼40万円台からあります。
手術を行うと老眼も白内障もそれ以上進む心配はなくなります。
 
それだけ聞くと多焦点眼内レンズの方がだいぶ優勢な印象を受けますよね。
 
しかし、多焦点眼内レンズもあくまでレンズなので、万能ではありません
人間が元々持っている水晶体と人工の眼内レンズを比べるポイントとしては、
 
水晶体のピント合わせの力
 VS 
多焦点眼内レンズの手元のピントの合い方
 
多焦点眼内レンズは、手元を見る際に本が読めるぐらい(40cm)の近用度数が入っているものが多いです。
つまり40cmよりもピント合わせの出来る眼の人が多焦点眼内レンズにすると、近くが手術前より理論上見づらくなってしまいます。
 
では何歳ぐらいで手術を受けるとメリットになるのでしょうか。
 
ホフステッターの公式
検眼枠
そこで目安になるのが、ホフステッターの公式というものがあります。
この公式は年齢毎の平均調節力(ピント合わせの力)を求める事ができます。
 
18.5-年齢×0.3=年齢の平均調節力(D)
 
という式です。
この式に当てはめると、多焦点眼内レンズが持つ40cm(+2.50D)を下回るのは54歳ですね。
※あくまで平均値です
 
余談ですが、この式には年齢毎の最小調節力(ピント合わせが苦手な人の場合)を求められるバージョンがあります。
 
15-年齢×0.25=年齢の最小調節力(D)
 
この式で見ると、ピント合わせが苦手な人は50以上になると眼内レンズの方が優位ということになります。
 
つまりは
50代中盤ぐらいになると、白内障が酷くなくても早めに手術を受けることで老眼治療の恩恵を受けれることになります。
 
これを踏まえ、40代の方がICLを検討する際にICLか、時期は早めでも多焦点眼内レンズかを考えて選択する価値は十分ありそうです。
 
三鷹駅徒歩2分の眼科
武蔵野タワーズゆかり眼科