
読書
なれのはて
加藤シゲアキ
第170回直木賞候補作です!
小説は読んでいる間が、
一種の夢をみているような時間。
私たちは小説を読むことで、
起きている間も
夢を見る事ができるのです。
齋藤孝
あらすじ
ある事件をきっかけに報道局から
イベント事業部に異動することになった
テレビ局員、守谷京斗(もりやきょうと)。
異動先で出会った吾妻李久美(あづまりくみ)が
祖母から譲り受けた、
作者不明の不思議な古い絵を使って
「たった一枚の展覧会」
を実施しようと試みる。
ところが、許可を得ようにも
作者も権利継承者もわからない。
手がかりは絵の裏に書かれた
「イサム・イノマタ」の署名だけ。
守谷は元記者としての知見を活かし、
謎の画家の正体を探り始める。
だがそれは、秋田のある一族が、
暗い水の中に沈めた秘密に繋がっていた…
文学作品です
今回、この作品が直木賞候補作だと聞き、
納得しました
芸術的で、素晴らしい文学作品だと思いました
歴史的背景もあり、
かなり読み応えのある作品です
さらっと読む感じではなく、
じわじわと読み進めていく感じです
話が複雑に絡み合っているので、
読み進めながら、
それを紐解いていく作業が面白い
ハードカバーの栞(スピン)が
真っ黒なのですが、
暗い水が垂れてくるような
「イサム・イノマタ」の筆で
黒い線を描いたような
あぁ、このスピンの色は青でも赤でもない
絶対黒じゃなきゃいけなかったな、と
本を開き、数ページ読んだところで思いました
最後の謎が解ける時は
ものすごい衝撃に襲われます
それはそれは強い衝撃で
読むのが辛くなるほど
でも、読み続けると
そこに、ぽっかりと答えが
浮かび上がってくるのです
読み終えた時は
暫し動けなくなってしまいました
読み切った………
読み切れた………
という充実感と、涙の出るような結末に
しばらく浸りたい
そんな気持ちにさせてくれる
素晴らしい本でした
こんな人に読んで欲しい
読み応えのある本が読みたい方
とにかく、おすすめです
お話の中には
秋田弁が出てくるのですが、
それもこのお話を引き立てています
それにしても、加藤シゲアキさんって
ほんとに言葉や表現力が素晴らしく
多才な方だなぁ……と
これを読んで改めて思いました
これからも素敵な作品を
ぜひ、作り続けて欲しいです!