線は、僕を描く
夜寝ている間だけではなくて、私たちは小説を読むことで、
起きている間も夢を見る事ができるのです。 齋藤孝
2020年本屋大賞3位で
王様のブランチBOOK大賞も受賞しており、
2022年に
横浜流星さん主人公で映画にもなった作品
ずっと読みたかったのだけど
BOOKOFFで文庫を見つけ
ようやく読みました![]()
読んで良かったです
あらすじ
墨と水。そして筆だけで森羅万象を描き出そうという試み、水墨画。
深い喪失の中にあった大学生の青山霜介(そうすけ)は、巨匠・篠田湖山(しのだこざん)と出会い、水墨画の道を歩み始める。
著者の砥上裕將(とがみひろまさ)さんは、水墨画家なのだそうです。
だからなのか、水墨画の奥深さを感じ、こんな風に描かれるものなのかと驚かされます。
読むだけで、絵が目に浮かんでくるような言葉選びは圧巻です。
湖山先生の水墨画
巨匠の湖山先生の描く水墨画を
ぜひ、一緒に感じてみてください
一歩前に出た湖山先生は、無造作に手を上げると上から下に向かって柔らかに線を引いた。
柔らかに引かれた線は硬く、弾性を持ち、くねり、そして重力を感じさせた。
誰もが分かった。それが上から下に向かって下がっているものなのだ。そして、それは絵の中で小さな風に吹かれているのだ。
存在しないはずの風を感じ、存在しないはずの重力を感じ、そこに存在しないはずの生き生きとした質感を感じた。
それはただの線であり、ただ墨と筆がなす軌跡だった。だが、間違いなくその筆致には一瞬で命が宿っていた。
優しい文章を読みたい人に
とても優しい文章です。
きっと、青山くんという主人公が
素直で優しい子だからなのでしょう
決して、こちらの心をえぐって来たりはしません。
そこに、優しい空間が生まれるような
心地の良い本なので、
寝る前に読むのがおすすめです。
ふわふわしてきて、寝落ちします(笑)
でも、決して毎日読め!と強制もして来ない
読みたい時に読んで
いつの間にか終わってた、
そんな本です
これは、選ばれるべくして、選ばれた本だな、と思いました
映画化、納得![]()


