『地球が静止する日』

これはCMで見るとSFエンターテイメントの様ですが、
実際にはエンターテイメント性は低いです。

CMにあるようなFSXを期待するとガッカリします。
アクションもほとんどありません。

ストーリーも皆さん想像できる通り、非常にシンプル。
そこには面白い仕掛けもなにもありません。

逆に骨太なメッセージ性の強いSFが好きな人にはたまらない作品。
余計な説明的な台詞もなく、一言一言に重い意味があります。

中でも私がお気に入りなのは、キアヌリーブス@クラトゥより
先に潜入していた中国系の老人がクラトゥに報告する台詞。

「人類は破壊的な連中だ」
そして帰還を促すクラトゥに対して断ったあと、
「人間として生きられて幸せだった」と。

このなぞなぞの様な矛盾する感情がこの映画のテーマでもあります。

バッハの音楽に聞き入るクラトゥ。
ノーベル賞受賞者の科学者とクラトゥとの数式だけでの交流。

ジェイデン・スミス@ジェイコブ(ジェニファー・コネリーの義理の子供)
の無条件に戦うことを是とする考え方も臆病さの裏返しです。

そして、それは作中のアメリカ合衆国の態度と相似でもあり、
イラク戦争への反省と批判だと読み取れました。

それをうまくオブラートに包んで、
親子の目線を通して描いているところも秀逸でした。


最後まで読んでくださったあなたに、全ての良き事が雪崩のごとく起きます。
『ハプニング』です。
一部で熱狂的名ファンのいるM・ナイト・シャラマン監督の映画。

Yahoo!映画とかのレビューでは評価が低いですが、私的にはアリ。
低い評価をしている人は、自分で考えることを放棄しているのかな?
映画にオチや解説を求めてどうするんだろうと思うのですが。。。

とにかく冒頭のシーンが怖いです。
ニューヨークのセントラルパークで突然人々が停止し、
自傷し始める。描写は控えめですがエグイです。

続いて近くの工事現場で落下事故。
手足がまるでデタラメは方向に向いている死体。
そして次々と人が飛び降り始めます。

そして、主人公が勤める学校にも避難勧告が出て、
同僚と共に同僚の両親が住む田舎に避難することに・・・。

当初は「テロか」と言う憶測が出たのですが、
なにしろ現象の発生地が公園ですから、
主人公の科学教師はその意見にはじめから疑問を感じていました。

徐々に原因らしきものは推測されていくのですが、
それを「へっ?」って思うか、「さもありなん」と思うか、
それによって映画への評価も変わるかもしれませんね。

しかし、原因がわかっても攻撃の手は緩みません。
徐々に主人公の周りに攻撃の輪が狭まってくるのですが、
その過程で、主人公の立てる仮説と、
観客(私)が立てる仮説にズレが出てきます。

最後は(たぶん)私の仮説の方が正しいのだろうと
思うような攻撃の終わり方でした。

つまり、最期のときは愛する人と共にいたいという感情。
危険を冒してでも愛する人の側にいたい。
その純粋な「愛」が彼らに伝わったのだと、
「愛」という感情を持つ人類に猶予を与えてくれたと感じました。

そしてこの現象を分析するテレビ番組のあと、
本当のラストにつながる流れは「やっぱりね」と言う感じ。

喉もと過ぎれば何とやらじゃないですが、
憎悪、疑念、エゴ、そういった「愛」とは対照的な感情こそが
種としての人間を滅ぼすというメッセージですね。

やはり彼らとの共生こそが今後も人類が生き残る鍵なんでしょう。

『ハプニング』はPG12ですが、
ある程度精神年齢の高い人でないと見ても面白くないかもね。


最期まで読んでくださったあなたに、全ての良き事が雪崩のごとく起きます。
『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ Vol.1 』
早速、借りて見ましたよ~。

テレビシリーズなんで、映画と比べてチープなのは仕方ないけど、
T2やT3の様な大型車による大量破壊がないだけで、
建物を壊すターミネーター同士の戦闘なんかはT2ばりにあります。

むしろ、泥臭いターミネーター同士の肉弾戦が楽しめる分だけ、
T3よりもオリジナル(シリーズ本来のクリエイターである
ジェームズ・キャメロンが監督した1と2)に忠実ですね。

それは出演者こそ違いますが(まぁ1は25年も前画、2も18年前ですから)
設定も世界観もT2のその後と忠実に再現していていることでも明か。

このドラマではT3はなかったことになって話が進んでます。

てか、次回公開されるT4はこのテレビ版が下敷きになっているようで、
T3は見事に抹殺されてしまいます。

まあ、T3はジョンの年齢を間違えてたり、回避したはずの戦争が起こってたりという
デタラメ満載でしたから、こっちの方が納得できますね。

まぁ、こっちも最終戦争は回避されていないのですが、
ちゃんとエクスキューズがあって、メインの開発者のダイソンが死んだおかげで、
30年後ろにずれたことになっています。

で、その謎を追うこともこのシリーズのテーマのようです。

また、キャラクターも魅力的で、サラ・コナー役のレナ・ヘディは美人だし、
ジョン・コナー役のトーマス・デッカーもわりとハンサムで、
1のエドワード・ファーロングの美少年ぶりには及ばないものの、
T3のニック・スタールの醜男よりよほど正統です。

まぁターミネーター、キャサリン役のサマー・グローは
容姿こそT3の敵役T-Xのクリスタナ・ローケンには遠く及ばないものの、
瞬きせずに戦う戦闘シーンといい、とても良いです。
ティーンエイジの可愛さもあり、ミニスカートも似合っているのでOKでしょう。

そして敵のターミネーターは3体くらい出てくるのかな。
それぞれ別人なので、逆にそれがリアルです。

シュワちゃんのいないターミネーターなんてと思われる方も多いでしょうが、
やはりターミネーターは俳優のものではなく、本来のクリエーター
キャメロン・ディアスのものだったと良くわかりますよ。

だって、彼へのリスペクトがこのテレビシリーズの原点ですから。
『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ Vol.1 』
騙されたと思って観て下さい。面白いですよ。

最後まで読んでくださったあなたに、全ての良き事が雪崩のごとく起きます