[シドニー 2日 ロイター] - オーストラリアのターンブル首相は2日、連邦議会での審議行き詰まりを解決するため、両院を解散し総選挙を前倒しで実施する意向を示した。政府高官が明らかにした。与党自由党の非公式会議での発言だという。

この場でターンブル首相は、任期は最後まで務めるとしたものの、「両院解散」と呼ばれる選挙の実施については否定しなかったもようだ。これまでこの制度が豪州で適用されることはまれだった。

政府高官によると、首相は「両院解散について、適用できる選択肢であり評価・判断するべきだと述べた」という。さらに「総選挙の時期については8―10月に行うのが普通だが、確定されたものではないとも述べた」ことも明らかにした。

首相の広報担当者は、選挙のタイミングに関する観測にはコメントしないと述べた。

上院では与野党の議席数がきっ抗しており、自由党のアボット元首相は給付金制度や高等教育、産業構造改革など分野で保守的な政策を推し進めようとしているが、無所属議員や中道左派の労働党議員からの反対に遭っている。

豪放送協会は、労使関係を所管する監督機関を復活させる法案が上院を通過しなければ、ターンブル首相には両院解散に踏み切る可能性があると報じた。
[ロンドン 2日 ロイター] - 英国のキャメロン首相は2日、欧州連合(EU)のトゥスク大統領がこの日に提示した一連のEU改革案を他の加盟国が支持すれば、2017年末までの実施を確約しているEU離脱の是非を問う国民投票を「数カ月以内に」実施する可能性があると述べた。

同首相は「合意が得られれば、数カ月以内に国民投票を実施する」と述べた。
 まるで海外逃亡だ。1200万円の賄賂疑惑でシドロモドロの甘利明・経済再生相が23日未明、スイスに飛び立った。同国東部のダボスで開かれる世界経済フォーラム年次総会に出席するためだ。

 疑惑発覚で官邸内も出席見送りを検討したようだが、「土日も記者に追い掛け回されると、心が折れかねない。本人不在なら騒ぎも多少は収まるとの判断」(官邸事情通)により、予定通り出席となったという。

「記憶があいまい」「秘書のことは報道で初めて知った」と弁解の言い回しは一昔前の金権政治家そのもの。分厚いツラの皮にみえる甘利も相当、精神的に追い詰められているのだろう。22日の記者会見での言い逃れも苦しかった。

 記者から大臣室や事務所で金銭を受け取った経験があるかと問われると、わざわざ「今回の件以外ですか?」と前置きし、「それはない」と答えた。あえて今回の疑惑については明言を避けたのである。

 キッパリと「受け取ったことは一切ない」と断言できない時点で、国民の心証は真っ黒。そのうえ、文春報道によると、甘利は桐の箱に入った「とらやの羊羹」と一緒に封筒入りの現金50万円を受け取ったとされる。

 さながら時代劇の悪代官のごとき時代錯誤の振る舞いに国民はウンザリで、こんな薄汚い大臣の続投は願い下げだ。甘利は一刻も早く辞任を決断すべきだが、アキれるのは安倍官邸の対応だ。

 毎日新聞がきのうの紙面で伝えた官邸幹部のひと言には驚いた。疑惑が浮上した20日、「甘利氏を守り抜く」と早々に自民党側に伝えたというのだ。本人が満足に疑惑を否定できないのに「守り抜く」とはムチャクチャな判断だが、その理由も私利私欲まみれだ。

■疑惑を抱えた大臣の国際会議出席は世界の恥

 甘利は「アベノミクスの司令塔」で、辞任する事態になれば「政権への打撃は計り知れない」とか、「これまでのTPPの秘密交渉を熟知しているのは甘利氏1人だけ」で、やはり辞任すれば「通常国会後半のTPP関連法案の論戦を乗りきれない」など、メディアが垂れ流す官邸の思惑はそんなところだ。

 官邸はあたかも甘利を「別格扱い」しているが、「そんな大したタマかよ」と思えてくる。

 TPP交渉だって甘利は担当大臣として、目ぼしい成果を挙げたのか。秘密交渉の内容をリークしてくれた恩義でもあるのだろうか。大マスコミは「タフネゴシエーター」などと、やたら甘利を持ち上げるが、合意過程はベタ降りの連続。「聖域」だった重要5品目を守り切れなかった。

 TPP参加国のGDPの8割を占める日米2国間交渉では、5項目のうち牛・豚肉は関税の大幅引き下げで決着。安い麦や乳製品の輸入も拡大し、コメも無関税で輸入できる特別枠(年7万トン)を設けた。その見返りに日本が手にするのは、現行たった2・5%の自動車部品の関税撤廃程度。自動車関連企業だけが、ホンの少しの恩恵を得られるに過ぎない。

 こんな人物のどこを評して「タフネゴシエーター」と言えるのか。政治評論家の森田実氏が言う。

「甘利大臣の進退に関する安倍官邸の鈍感と傲慢には絶句です。ダボス会議に飽き足らず、TPP調印式にも出席させる意向なのでしょう。本当に信じがたい感覚です。国際会議に疑惑大臣を国の代表として送るのは、世界に恥をまき散らすようなもの。政府・与党は疑惑大臣を『余人をもって替えがたい』として守り支える姿勢ですが、閣僚としての適格性を最終的に決めるのは主権者である国民です。疑惑大臣は即刻辞任という民意を無視する気なら、やはり安倍政権は権力の意味をはき違えています」

 世界に恥をさらす疑惑まみれ大臣が一日でも長く居座る理由はない。

「利権」と「裏切り」に彩られた政治人生

 甘利の賄賂疑惑は、永田町では「驚き」よりも「やっぱり」の声が大勢を占める。自民党幹部に「この3年間で最大」と言わしめたスキャンダルは、まさに身から出たサビ。甘利の政治スタイルは「カネのにおいに敏感」のひと言に尽きる。

 甘利は慶大法学部を卒業後、ソニーを2年半で退社。新自由クラブの衆院議員だった父・正の秘書に転じた。1983年、父の地盤を引き継ぎ、新自由クラブ公認として初当選。86年、新自由クラブの解党に伴って自民に入党し、中曽根派に入会した。

「98年、山崎拓氏の派閥結成に参加した頃から経団連の組織内候補だった元東電副社長の加納時男・参院議員(当時)と、自ら『ワンペア』と呼び合うほどズブズブの仲となり、党内きっての『原発族』の階段を上り始めました。今や東電が政治家の電力業界での重要度を査定しランク付けした上位10議員のひとりで、多額のパーティー券を購入してもらっています」(電力業界関係者)

 経産族議員としても名を馳せ、電力と同じ経産省所管の信販・クレジット業界からも長期にわたって多額の献金を受けている。

 パチンコ業界からの献金も多い。利権の嗅覚に鋭い政治家にも見えるのだ。

 98年に小渕内閣で労働相として初入閣を果たして以降、在任5年半の小泉政権では一度も要職に就けず“冷や飯″食い。悲哀と屈辱を味わった甘利が当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだった安倍に急接近したのは06年の自民党総裁選でのことだ。

「派閥領袖の山拓さんは当時、安倍のタカ派姿勢に一貫して批判的で、党内の反安倍勢力の結集に動いた。自らの立候補さえ模索していた山拓さんに甘利大臣は反旗を翻し、安倍支持を表明。あろうことか安倍選対の事務局長まで務めたのです」(ある自民党議員)

 安倍は総裁選をぶっちぎりで勝利し、第1次安倍内閣で甘利は経産相に任命され、久々の入閣を成し遂げたのである。

 以来、甘利は安倍が政権をブン投げた後も、菅・現官房長官や故・中川昭一元財務相、麻生・現財務相らと、それぞれの頭文字を取って「NASAの会」を結成。歩みを共にし、強固な“お友だち”関係を築き上げた。

 12年総裁選では山崎派から石原伸晃幹事長(当時)が出馬する中、安倍の選挙責任者を務めた。その後、山崎派の新会長に伸晃が就任したのを機に派閥を正式に退会。甘利のロコツな権力スリ寄りは“親分への2度の裏切り”という暗黒史を伴っている。

■還暦過ぎた政治家同士の10年愛の薄気味悪さ

「06年の総裁選で山拓氏を裏切った頃、甘利大臣は本気で自派閥の立ち上げを狙って人集めをしていた。自身の資金管理団体『甘山会』の会長にバンダイの2代目社長だった山科誠氏を迎え、“金主”にしていたのもこの頃。数年後には、100万円程度の価値しかない美術品3点を山科氏に1500万円で購入させたというセコい醜聞が、週刊誌に報じられました」(自民党関係者)

 第1次安倍政権の経産相時代には、楽天の三木谷浩社長からヤンキースの田中投手が楽天時代の初完封試合で着ていたサイン入りユニホームをプレゼントされている。

 経済担当大臣が民間企業のオーナーから貴重な品をホイホイ受け取る感覚もどうかしているが、甘利はナント、2年前に「開運!なんでも鑑定団」にゲスト出演。自慢げにこのユニホームを“お宝”として出品し、200万円の鑑定額に喜々としていた。

 一部週刊誌は「収賄疑惑」と書いたが、甘利には馬の耳にナントカなのだろう。この恥も外聞もない“ゴロツキ”としての素性が、大臣室で50万円授受疑惑に余計リアリティーを生み出すのだ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言った。

「安倍首相が甘利大臣を重宝し、切るに切れないのは詰まるところ、苦しい時代に自分の元から離れなかった“10年来のお友だち”だからでしょう。『情に厚い』と言えば聞こえはいいが、政治に私情を挟むのは権力の私物化につながる。昔の“オトナの政治家”なら疑惑浮上の大臣は自ら身を引くことで首相の友情に応え、首相も“泣いて馬謖を斬る”で断固、処分したはずです。安倍首相と甘利大臣の煮え切らない態度はあまりにも子供じみており、目を覆うばかりの政治家の劣化を象徴しています」

 互いに還暦を越えた政治家同士の“10年愛”なんて薄気味悪いだけ。安倍も甘利もその取り巻きたちも、己の非常識さに気づくべきである。

参考URL:http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/174011