派手やかに桜空木の咲く参道
(はでやかに さくらうつぎの さくさんどう)


童謡・唱歌に「夏は来ぬ」があるが、その冒頭に「卯(う)の花の匂う垣根に時鳥(ほととぎす)早も来鳴きて~」というフレーズがあるが、ここに登場する「卯の花」とは、「空木(うつぎ)」の花の別称である。



「空木」という名前は、枝の中が空洞になっているため「空(うつ)ろな木」という意味で付けられたそうだ。やっかいなのは、名前に「空木」が付いている植物が非常に多いことである。



それを分類整理したのが、以下の記事である。興味のある方は、ぜひ一読していただきたい。

 ■空木尽くし  ←クリック



本日の掲句は、その中でも最も美しいとされる「桜空木(さくらうつぎ)」を詠んだもの。先日行った植物園にも咲いていたが、近所の神社の参道でも満開になっていた。



「桜」と同じ五弁花だが、花の色は桜の代表格である「染井吉野」よりも濃く、派手やかな感じがした。「桜空木」は、「空木」の仲間でもあり夏の季語。



因みに、「桜空木」に関しては、過去に以下の一句のみ詠んでいる。


【関連句】
① 移ろいて空木の桜咲きにけり
② 優しさは今咲く桜空木かな




①は、通常の「桜」が満開だった1ヶ月半前のことを思い出させるせるように、「桜空木」が咲き誇っている様子を見て詠んだ句である。
②は、「桜空木」のピンク色に優しさを感じ詠んだ句。



「桜空木」は、アジサイ科ウツギ属の落葉低木で、日本原産の園芸品種。花期は5月~6月。既述の通り、花の色形が「桜」に似ており、「空木」の仲間であることから、この名が付けられた。



「空木」を詠んだ句はそれなりにあるが、「桜空木」で詠んだものはほとんどないので、参考句は割愛する。