春の季語(植物) 関連:

初恋の甘き思い出チューリップ

 はつこいの あまきおもいで ちゅーりっぷ 

 

 

先週取り上げたのは全て花木だったが、春の草花の方も次々に開花している。今日取り上げる「チューリップ」もその一つだが、今は様々な種類のものがあり、これが「チューリップ」かと思われるものも多数出回っている。

 

 

掲句は、10年ほど前に詠んだ句だが、名前を分解すると「チュー」と「リップ(唇)」になることに気づき、それに「初恋」を関連づけて詠んだ。ただ、後で調べてみると、特別に新しい発見でなく、「チューリップ」は、古くからキスの隠語として使われているそうだ。

 

 

尚、「チューリップ」の語源は上記とは全く関係なく、トルコ語で頭巾(ターバン)を意味する「tulipan(tulbend)に由来するとのこと。

 

 

 

「チューリップ」の自作句

 

純色がやはりお似合いチューリップ

チューリップ並んで咲けば懐かしき

咲き並びマスゲームのごとチューリップ

幼子の歌口ずさみチューリップ
チューリップ響きも楽し花の苑

チューリップ赤に拘る茶店かな
恨めしき雨に悶えるチューリップ

 

[佐世保ハウステンボスにて]
オランダといえば風車やチューリップ

 

 

 

「チューリップ」の概説

 

「チューリップ」は、ユリ科チューリップ属の球根植物。原産地はトルコのアナトリア地方。16世紀にヨーロッパに伝わり、オランダを中心に異常な人気になり価格が高騰。1634年~1637年の期間は「チューリップ狂時代」と呼ばれ球根が投機の対象となったそうだ。

 

 

日本には江戸時代後期に渡来。以来品種改良が何度も行われ、現在、花弁の形、咲き方、色などが異なる多様な園芸品種が数百品種あるといわれている。花期は、概ね3月下旬~5月上旬。和名は「鬱金香(うこんこう、うっこんこう)」というがほとんど使用されていない。

 

 

生産地ではオランダが有名だが、日本では日本海側の気候に適合し、富山県や新潟県で大規模な栽培が行われている。両県を合わせた球根生産での国内シェアは98%(富山県53%、新潟県45%)だそうだ。

 

 

 

「チューリップ」の参考句

 

ベルギーは山なき国やチューリップ /高浜虚子
チューリップ花びら外れかけてをり /波多野爽波
チューリップ紅く愉しげに咲けり /日野草城

ぽかり真っ黄ぽかりと真っ赤チューリップ /松本たかし

チューリップ畑白一列赤一列 /星野立子
チューリップ喜びだけを持つてゐる /細見綾子

チューリップゆらゆらものを思ふ朝 /石原八束

チューリップ園児そろそろ通る頃 /高澤良一

一列にちゃんと並べりチューリップ /さざなみやつこ

チューリップ畑の中の一軒家 /三村純也