スーパースパイク ナンバーワン | 紙業新報のブログ

紙業新報のブログ

紙パルプ業界紙。月3回発行。の公式タワゴト、ボヤきその他(笑

2017年11月19日、とどろきアリーナでのNECvs久光。第2セット17-13でNECリードの場面。サーブ久光の森谷が後衛の古賀を狙い撃ち。古賀は崩れることなくAパスをセッター山口に返し、山口はまずは島村に上げて鋭いセンター攻撃!

 

久光のリベロ戸江がレシーブしたが、山なりに上がったボールが直接NECコートに戻り、NECの方のリベロ岩﨑は難なくAパスを山口に送る。ここでNECは同時攻撃コンビネーションを発動。

 

さっき打ち込んだのとほぼ同じ態勢で島村が飛び、センター攻撃と見せかけてフェイク!

同時にライトから山内、レフトから柳田が走り込んで攻撃参加。さらに島村の影に隠れて後衛の古賀が助走を開始した。

 

対する久光の前衛はレフト側に石井、センターに森谷、ライトに新鍋が占位していた。島村のフェイクに森谷が反応してブロックに飛び、山内に備えていた石井も横からブロックに入ろうとするが横っ飛び状態。新鍋には前衛の柳田と後衛の古賀が走ってくるのが見え、打つのは古賀と判断したが間に合わず、わずかに2、3歩ステップしただけでなすすべもなかった。

 

中央で島村のフェイクに引っかかって飛んだ森谷が着地した瞬間、スピードに乗って走り込んできたサリナがバックアタック!

 

クリアヒット!ボールは後衛の戸江と野本の間に彗星のように突き刺さったが、二人とも有効な動きは何ひとつできなかった。

 

センターで一度飛んだ森谷は着地してすぐにもう一度飛んでいたが、それはもう古賀が打ち終えた後だった。

 

 

 

攻撃成功直後の古賀の表情が冒頭の写真です。普段あまり見かけないハイテンション状態のように見えますが、これはもしかしたら、年に一度か二度あるかないかの、例の100%スパイクだったのか?すべてがぴったり合い、目の前にブロッカーも誰もいない、そしてネットの向こう側に見える遥か彼方の相手コートには、守るものなど誰もいない無人の野が拡がっている……

 

ダゾーン解説の杉山祥子さんは「山口のトスワークが素晴らしい!」と言っていた。ブロック0枚で、タイミングもばっちり合って決まったのなら、古賀には何も言うことはない。

 

素人の私の想像に過ぎないが、この高速バックアタックのリズム取りの感覚は、もしかしたら、全日本でのハードな経験の中で体得したものではなかったか?

 

コンビネーションプレーの中での高速バックアタックは、世界相手に渡り合う全日本に必要不可欠な立体バレーの重要なアイテムだ。

 

代表セッター、佐藤美弥や冨永こよみと組んでの古賀の後衛からの攻撃には目を見張る鋭さがあった。とりわけ佐藤美弥とのコンビはいわゆるキレキレで、世界大会の数々の場面で決定打を打ち込むことに成功していた。世界との熾烈な闘争の中で、古賀のスパイクにはさらに磨きがかかったように見える。

 

 

わからないけど、高速バックアタックの源泉を辿れば、おそらくは、世界のバレー先進国、アメリカが発祥だったのではなかろうか?アメリカには、日本の多くの女子バレーボーラーたちが尊敬してやまないラーソンが住んでいる。

 

ネブラスカ大学には今は東レで頑張っているケイディもかよっていて、ケイディもラーソンを尊敬していると言っていたと思う。太平洋をはさんだ両サイドで、日米のバレー交流は盛んに行われている。

 

海の向こうから上がってきたトスを、いま、日本の若いプレーヤーたちがいろんな思いを込めて打っている。

 

 

この日のゲームは、結局、久光の連勝街道のちょっとした寄り道で、0-3でNECの完敗だったのだが、

 

古賀紗理那自身は好調で、38打数18得点、アタック決定率47・4%で、セットあたり6本という、エースの名にふさわしいものとなっていた。

 

 

だが、勝たなければ意味はない。この日の完全無欠のスーパースパイクは、これからは勝利のために打つことが望まれる。古賀自身が誰よりも、そのことを強く思っているに違いない!