全日本『伝説』第一幕 フィナーレへ | 紙業新報のブログ

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紙パルプ業界紙。月3回発行。の公式タワゴト、ボヤきその他(笑

 

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勝つということは素晴らしい。

 

 

中田久美監督率いる全日本女子。まずは第一目標「アジアでトップを取る」をクリア。これから始まるグラチャンが今までの全日本がどう成長してきたかを測るいわばチェックポイントのような位置づけになるのではないか。これまでは対戦相手国も全日本同様、調整や再構築の途上だった。アジア選手権優勝という目標も、中国の主力温存を想定した上でのものだったであろう。それだけに、逆のプレッシャーもあったかもしれない。タイは見て分かるとおり、もはや格下でもなんでもない全日本の好敵手。そのタイを相手に絶対勝利を要求され、しかし勝ち切った。内容も大事だが、いまの全日本女子に最も必要な経験は勝つことだったのだと、あらためて感じた。

 

まっさらの状態から、これからは伝説のチームの第一幕フィナーレ、あるいは第二幕への前奏曲がはじまる。高鳴る期待そのままに、勝利の凱歌を高らかに響かせてほしい。

 

 

 

これまでの私なりの感想を挙げますと、

 

①キャプテン岩坂

 

これはこれからも続けてもらって、その過程で岩坂選手自身もかつてないほどに大きく成長・飛躍を遂げてほしいと、ゲームを見ながら思った。いろいろと課題は多いと思うが、岩坂選手ひとりの抱える課題と全日本のチーム全体が抱えている課題は、どちらも途方もないという意味ではそんなに変わらない。

 

もっと言えば、他の選手たちに課せられた目標も、キャプテン岩坂のと同じくらい途方もないわけなので、キャプテンばかりをいろいろ言うのも変だと思う。

 

とにかく中田監督がラインでキャプテンやってと頼んだら岩坂から大量の汗マークの返信が返ってきたというエピソードが面白すぎるので、もう絶対キャプテン続けてくれないと困る感じだ。

 

あと個人的に岩坂好きなのでガンバってほしいと思います。

 

 

②ツイン・セッター体制

 

佐藤美弥・冨永こよみの2名で、ゲームごとあるいはセットごと、途中でも、流れの中で可変ピッチ的にセッターを変えることで、相手チームを幻惑させる。こっちはセッターが急に変わっても、いい流れを掴んだまますぐに違う戦闘フォーメーションを組める。

 

だからうまく行ってない時だけじゃなく、うまく行ってる時でも変えちゃうというのもいいのではないか。相手をさらにコンフューズさせて、勝利を確定させる、全日本の必勝パターン!

 

調子良すぎるかもしれませんが、ちょっとそんな夢を見てしまいますね。そしてこの双璧セッターを脅かす第三の女が、いったい誰なのか。宮下はもうジョブチェンジしてもいいと思います。なのでまだ試していない田中美咲はどうなのかと。ただ、大型セッターへのデザイアが日本の女子バレーには非常に強く、年齢のことや東京以後を考えたときにどうすべきなのか?という問題が残る。まさにセッター問題は全日本そのものの問題。

 

 

 

③ひとりの大エースよりも三、四人の中エース

 

これは思いつきなんですが、中くらいのエースたちでアタッカーを回して行って、誰が出ても流れが切れない、むしろいい流れを呼び込むかたちで選手交代をやっていく。全日本はこれまでフルセットゲームが多いですから、相手エースが疲弊してきたらチャンスかもしれない。こちらは一人が疲れても、代わりに入ってきたフレッシュなプレーヤーがしっかり点を取ってくれる。鍋谷選手が非常にこれに当てはまっており、野本選手もそういうところがある。他の選手でもしっかりコンディション作って入れば、きっと結果が出せる。

 

どんな中エース候補が?それは次のグラチャンでも黒後選手が入っているので、実際多分ゲームに出さすんじゃないかと私は思う。あとは井上愛里沙。学業を終えたらキリのいい時点で入ってくるだろう。

 

 

 

④千本ノック古賀紗理那

 

古賀の場合、従来は序盤の決まり具合が遅く感じられたが、最近はスロースタートをやってるとすぐに交替させられるから気合が入ってきていいと思う。だが終盤、打っても打っても決まらないのはまだ克服できてなく、解説の鳥居さんはダゾーンで「コースが同じ」と言っていた。決め球がインナーなんだけど同じところに打ってるので読まれて上げられてしまう、ということか。しかし古賀の打撃力はチームの頼みとするところであり、長岡の復帰のいつになるかが不確定な現状では、数を打って決めていくしかない。自然と千本ノック的な修行感が出てきて、もう本当に心配でしょうがない。て親かよ笑

 

しかし古賀が狭い隙間を低い態勢でブロックを抜いていくのはめちゃめちゃカッコよくて、ブロードを打つ選手を忍者とよく呼んでいるけれど、古賀紗理那が狭いインナーを抜いていく姿はくのいち殺法みたいなすごさがあって、なのでこっちも忍者と呼んでほしい。また、先日のNHKの番組のアスリートの魂でも特に写していたが、島村の影に一瞬隠れて前に出てきて時間差で打ってくる古賀のシーンがあったけど、あれはすごい好きなので何度でも見たい、古賀紗理那。

 

古賀はいちおうエース中のエースで、毎回体格がよくなって行くし、歯の矯正も始めているから、きっとよくなるに違いないと思うが、足首が細くて、そこが心配だった。Vリーグのシーズン中も足に太い包帯を巻いていたから、下半身やインナーマッスルを鍛えて、さらに鋭いアタックを見せてほしい!浅田真央ぐらいステップ力が上がれば、ウィングスパイカー忍者で世界を席捲できる。

 

 

⑤荒木絵里香耐久レース

 

もうここまでくれば、あと何年やれるか、できる限り続けてほしいと私は思う。大活躍して女性アスリートの上限年齢を上振れさせてほしい。だが厳しくなったらサパっと後進に開けてもらいたいし、そのためには後進がちゃんと育っていなければ…という、ミドル問題にも繋がるところだ。中田監督はそう簡単に選手を降ろさないところがいい。

 

私はさっきもちょと書いたけど宮下遥をジョブチェンジさせ、ミドルになるのもいいかもと思っている。あるいは、鍋谷的な、石井里沙的な役割になってもいいかなと思う。先日のWGP仙台ラウンドでは、最終セットにワンポイントサーバーで出てきてそのまま勝利に絡んだ。古賀が上げたのを宮下が二段トスして、それを内瀬戸が決めてゲームセット。

宮下の場合とにかくセッターの仕事以外ならかなりうまくやれるので、これは次に『ハルカ改、始動』(仮題)で書いてみたいと思う。笑

 

 

 

⑥じっくり選手を見る

 

私は中田監督の選手起用は今までにない新機軸だし大胆かつ自由で、しかも保守的でもあるというユニークなものだと感じている。以前も書いたけど全ての起用には意味があり、目的意識が明確にある。出場した選手にもそれに対する自覚が感じられる。やる気と。

 

要するにコーチ陣と選手との関係がうまく行っている、ということなのだけど、そのリレーションの作り方もいい。岩坂のラインの話もそうだし、それを会見で楽しく披露するのも含めて、他にもいっぱいあるに違いなく、今までの男の監督じゃぜったいできないやり方で選手をまさに率いていると思う。思い切りの良い選手交代かと思いきや、頑固に変えない面もある。ひとりひとりをじっくり試しているように見える。なぜかというと、全日本に選手を呼んだ責任を、監督自身が背負っているからだ。「私があなたたちを必要とした」という言葉の意味は深くて重い。

 

選手の主体性を重視しているだろうし、ゲームの主役が誰なのか、よくわかっているのではなかろうか。

 

最後に、フェルハトコーチが選手を送り出すときの「Go, go, go…」ていう言い方がめっちゃいいです&通訳のクリスチーナさんカッコイイ惚れますた、はい。