支援者のための障害児・者 性教育セミナーを終えて | 障がい児・者の「性」を学ぶ会 《ゆいの会》

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障がいのある人たちの豊かな生活を支援していくために、「性」について学びましょう

 去る1月17日に福井発オンラインによる「支援者のための障害児・者性教育セミナー」が行われました。
 オンラインということで、北は北海道から南は沖縄までと、全国各地方から81名の方々が参加してくださいました。初めてのオンラインセミナーでドキドキと不安で一杯でしたが、大きなトラブルもなく、無事実施できたことにほっとしています。

「ゼロから学ぶ障害のある子ども・若者のセクシュアリティ」と題した伊藤先生の講演は、「性の権利宣言」の前文の紹介から始まりました。「セクシュアリティとは、人間ひとりひとりの人格に不可欠な要素である。セクシャアリティが充分に発達するためには、触れ合うことへの欲求、親密、情緒的表現、喜び、優しさ、愛など、人間にとって基本的なニーズが満たされる必要がある」このことを踏まえて、現在、特別支援学校で行っている「腕1本離れないさ」の短絡的な指導に関して、誤学習とその弊害を指摘し、「ふれあい文化」の教育的保障の大切さを語られました。その他「性の権利宣言」からの学びとして、性的自由への権利、性的平等への権利、科学的研究に基づく性情報への権利等を説明され、放デイでの実践報告がありました。2014年に日本でも批准された「障害者権利条約」にも国際社会で確認されてきた障害者のセクシュアリティの権利も反映されていることを具体的に示してくださり、その上で「まずはおとなのがタブー意識から脱却し、性と生をとことん学び直し、自らのセクシュアリティを確認し、子ども・若者たちのセクシュアリティを正面から受け止めることからはじまませんか?と結ばれました。
 その後、4つの年代別グループ討議を行い、参加者の悩みを出し合い、アドバイザーから助言等をうけ、短時間でしたが充実した話し合いが行われました。

事後の感想
「あまり取り上げられないテーマの講演を聴講することができ、有難いです。障害者の性というものが、すでに権利条約にうたわれていたこと、恥ずかしながら知りませんでした。 講演を聴きながら、子どもに必要な時に必要な教育を差し出せるよう、準備をしておかなければと思いました。 また、障害のあるなしに関わらず、性を認めていく、ということも大切なのかもしれないと、講演を聞いて考えさせられました。 貴重なご講演、ありがとうございました。」
「腕一本分、という間違った距離感の教え方が横行していることに危機感を感じています。 子どもの将来を大切に想うので、そういった伝え方はすべきでない。と強く思います。 ふれあいを保証することが、このコロナ禍で難しくなっておりますが そんな中でも工夫をして、関わっていきたいと感じました。」
「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」等普段あまりなじみのない文書での性教育の位置づけを分かりやすく教えていただき、ありがとうございました。今後、性教育を推進していく際に、根拠として伝えられる知識を増やすことができました。」

 参加者の方々が多くの学びを得たことを実感しています。今後、現場での指導に活かされることを願ってやみません。
 ゆいの会では障害のある方が「幸せに生きる」ための活動の一つとして、支援者セミナーを継続していくことの必要性を強く感じ、今後も機会をとらえて実施していきたいと思います。

 開催にあたり、各方面の方々にご尽力をいただきましたことを、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。