
原題は「The Blind Side」なのですが、どうしてこんな邦題にしたのでしょうか。
この映画の冒頭でも説明がありますが、アメフトの右投げのクォーターバック(QB)は、パスを投げる時に体を右に向けて振りかぶるので、QBにとって左側は完全に背中を向けた「死角」になります。この左側を「ブラインドサイド」といいます。
この映画の主人公マイケル・オアーのポジションは、その「ブラインドサイド」を守るオフェンスラインの一番左、レフトタックル(LT)です。
アメフトはボールゲームですが、ボールに触れると反則になってしまうプレイヤーがいる、ある意味不思議なスポーツです。QBの前に並んでディフェダーを防ぐ役割をするオフェンスラインのプレイヤーは原則ボールに触ることはできません。
ただ「守る」ためだけにいるのがオフェンスラインマンであり、QBの死角を守るLTは、その「守りの要」の重要なポジションです。
「保護本能」がずば抜けて人よりも高いマイケルにとって、仲間を守るためのこのポジションはまさに「天職」といえます。
そのことに気付かせてくれたのは、彼の後見人になってくれた白人のリー・アン一家。まともに教育も受けられず、ストリートチルドレン同然だった黒人少年のマイケルに、しあわせな暮らしと教育を与えてくれました。
もともと保護本能が強かったマイケルは、自分を盾にしてでも家族や仲間を守る勇気を得ることができたのです。
そんな自己犠牲の精神がなければ、ボールに触れられないボールゲームプレイヤーなんてできない、と私は思います。
アメフトのことがわからなくても、ホームドラマとしてもシンデレラストーリーとしても楽しめる作品になっていると思います。
オープニングのローレンス・テイラーのプレイシーンとか、エンディングに流れる本物のマイケル・オアーのドラフトのシーンやスチール写真など、NFLファンにとっても嬉しい作品でした。
マイケル・オアーというのは実名で、この映画は彼の半生を綴った「The Blind Side」というドキュメンタリー小説を映画化したものです。
NFLファンの私は、テレビでマイケル・オアーが出場するゲームを見るたびに、彼の自伝がベストセラーになっていること、映画化もされることを何度も聞いていたのですが、「いつ映画化されるんだろう?」と思っていました。
それから数年経ってしまいましたが、全然関係ない邦題がつけられていたので、この映画が「ブラインド・サイド」だということに最近やっと気づきました。
フットボールのことなんか全然知らない人が邦題を付けちゃったんでしょうね・・・
ちなみにマイケル・オアーはこの映画ができたぐらいのタイミングで、同じオフェンスラインでも「ブラインドサイド」を守るレフトタックルから、ライトタックルにコンバートされました。