京極夏彦の京極堂シリーズの映画化第2弾。アマゾンのレビューをちょっと観たら、原作ファンにボロクソにこき下ろされていました。小説でもマンガでも、原作に根強いファンがいる作品を実写映画化すれば、どう撮っても不満を言う人は必ず出てきてしまうものですが、それを差し引いてもヒドイです。
私はとくに京極夏彦に思い入れはありませんが、京極堂シリーズの世界観はけっこう好きです。
京極堂シリーズの映画化1作目「姑獲鳥の夏」は、実相寺昭雄監督が得意の妖しく耽美的な映像でその世界観を表現してくれていたと思います。こちらも原作ファンの評価は低いですが、「魍魎の匣」よりはだいぶマシです。
実相寺監督が亡くなってしまい、「魍魎の匣」は原田眞人監督が撮っています。原田監督も良い監督だとは思いますが、私の印象では京極堂シリーズの世界観とはまったく合いません。
音楽も全然マッチしていませんでした。本編のBGMも合っていませんでしたし、エンドロールで流れる東京事変が作品を完全に破壊しています。きっと"大人の事情"があるのでしょうが、日本映画にはいまだに本編無視の「エンディングテーマ」を流す作品がありますよね。
戦後間もない頃のお話しですが、先日「酔いどれ天使」を観たばかりだったので余計に、戦後すぐにしては街並みがきれい過ぎるのが気になりました。クルマも建物もピカピカし過ぎで違和感を感じました。
後半のクライマックスの舞台となる研究所"匣館"のセットも、無機質で現代的で作品本来の世界観と合っていません。もし実相寺監督が撮っていたら、どんな匣館になったのか、観てみたかったです。
「少女の右腕だけが何本も匣に収められている」「<余計な>手足を取って胴体と首だけの美少女が匣に収まっている」様子は、文字では幻想的に美しく調和の取れた物として表現できますが、実写すればどうしてもグロテスクになってしまいます。そこにデカダンスな着色をして、グロいだけではない映像にして欲しかったのですが、やっぱり、原田監督はこういう世界観向きの監督ではないのだと思います。もっとリアルでドキュメンタリータッチの作品向きだと思うのです。
「腕の箱詰め」をリアルに撮ったらもう、この作品は台無しです。
この作品、数年前にアニメ化もされています。このアニメがとてもよくできていて、ストーリーに合った幻想的で耽美的な世界観で描かれています。構成もきちんとしていて、原作ファンからの評価もかなり高い作品です。私も夢中になって観たアニメ作品のひとつです。アニメを観ていたから、この実写版のわかりにくい部分が"脳内補完"できたのかもしれません。
同じ「魍魎の匣」を観るなら、アニメ版の方をおすすめします。



