ススキノが舞台の探偵モノ。2時間ドラマ風の娯楽作品としてはそこそこ楽しめます。原作は昭和の話として書かれているそうですが、映画では時代設定を現代にしているのに、小道具や音楽で中途半端に昭和っぽさを出そうとしているのが滑稽な感じがしました。「ハードボイルド」をうたってみても、現代の札幌でこんなに流血事件が起こること自体が不自然なので、中途半端なんですよね。
北海道出身の大泉洋が主演俳優として地元随一の歓楽街を走り回る「凱旋映画」として観る映画なのかもしれません。
レイモンド・チャンドラー的なハードボイルドを日本でやろうと思ったら、現代とは乖離した時代設定や街並みを用意しないと滑稽でしかない、ということを再認識しました。
「カサブランカ」をリメイクした石原裕次郎の「夜霧よ今夜も有難う」は"霧"をうまく使って無国籍感を出しています。
林海象監督、永瀬正敏の「濱マイクシリーズ」も、横浜黄金町を舞台にしていますが、モノクロ撮影によってレトロな感じを出しています。
そして、昨年のNHKドラマ「ロング・グッドバイ」は最近観たハードボイルドものの中では秀逸でした。原作はチャンドラーの「長いお別れ」で、何度も映画化・ドラマ化されていますが、このドラマは浅野忠信を主演に、舞台を戦後すぐの日本に置き換えて、ちゃんとハードボイルドな作品になっていました。逆に言うと、現代とはかけ離れた設定にしないと、日本が舞台のハードボイルドは成立しないということなのだと思います。
この「ロング・グッドバイ」の中でも、小雪さんが「事件のカギを握るミステリアスな女性」として登場しているので、思い出しました。
「探偵はBARにいる」の小雪さんよりも、「ロング・グッドバイ」の小雪さんの方がずっと良かったです。
今の日本が舞台では銃を持つことも不自然だし、松田優作のようなハードボイルドが絵になる俳優さんもほとんどいません。
現代日本を舞台にした「ハードボイルド」映画、誰か撮ってくれないかなー、と思いながら見終えた作品です。