「生者と死者を分かつ150のストーリー」 |  ゆちょもごっそ?

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食べてしまいたいくらいユチョンが好き!歌に演技に頑張っているパク・ユチョン君応援ブログ。

ふだん、ユチョン以外の方に関しては、良くないことに関してはなるべく書かないようにしてきたつもりなんですが....ファンじゃない人が書くことが、その方のファンにとってはすごく無神経になることもあると思うので。

 

ツイなどで見たかたも多いと思いますが、俳優のキムジュヒョクさんが亡くなりました。自動車事故で、他の車に追突したあとビルに激突横転したんだそうです。享年45歳...。追突された方が、キムジュヒョクさんが胸を押さえていたのを見ていたようで、事故の原因は心筋梗塞のようです。

 

今日このニュースを見る直前に、私はネットフリックスでキムジュヒョクさん主演のドラマ「アルゴン」を観始めたところでした。なのでなんだかすごくショックでした....

 

映画「共助」を最近観ましたし、過去にいくつかドラマも拝見してましたが、あまり注目してきたわけじゃなかったんですが。この「アルゴン」がなかなか面白くて、今日夢中になって観てたんですよね...。なのでなんとも言えない悲しい気持ちになりました。

 

 

 

 

 

「アルゴン」はテレビの報道番組アルゴンの物語で、局側や権力の圧力に反発しながら、番組やスタッフを守り正しい報道を模索するメインキャスターのキムベクジンをキムジュヒョク氏が演じています。私のお気に入りのチョン・ウヒちゃんも出演していて、報道が作られる過程が興味深い作品です。

 

初回はビル崩落事故の速報から始まります。150名がビルにいて、発生当時死亡はすでに40名、行方不明者は30名という事故でした。

このドラマの名台詞として出演者達が選んだもののひとつが、この初回放送の台詞でした。

150名の名簿を手にしたキムベクジンは、番組スタッフたちに言います。

 

「俺たちには生者と死者を分かつ150のストーリーがある。つまり150人の命の物語があるわけだ。どんなときにも“死”は禁句だ。“行方不明”を“救助”に変える気持ちで動いてくれ。今日は命を失った人々の話でいく。テロップで流れる犠牲者も生身の人間だと伝えたい。視聴者を驚愕させ泣かせるんだ。視聴者に.........犠牲者たちを...忘れさせるな。」 (ネットフリックス字幕より転載)

 

 

 

 

苦労して生きてきた母と司法試験に受かったばかりの娘が共に亡くなっていたり、誕生日の小学生の少女が行方不明者だったり....

どんな事件や事故も、報道で流れたときにひとしきりの悲しみを共感することはあります。ただその1人1人には私たちには見えない歴史や繋がりがあって、みんな誰かの大切な人であり、かけがえのない人であり、決しておろそかにしてはいけない人であり....それを目にした大衆のもつ「悲しみの共感」や「非難の共感」は、ある意味とても無責任なものです。時にはその「共感」は大衆にとって残酷な娯楽ですらあったり....。

 

そういうことを伝える役を演じたキムジュヒョク氏もまた、そういう1人の人間なんだなと。誰かの大切な1人であり、かけがえのない人であり....その1人が惜しくも命をおとされたんだなと思うと、ご冥福をお祈りしますと、簡単に何も知らない私が口に出来ないような気持ちになりました。

 

心筋梗塞が原因ならば、これがせめて運転中でなかったならと、思わずにはいられません。まさに生と死を分かつ物語がここにもあったんですね。

 

生きているっていうことを大事にしないといけませんね。すごく陳腐な言い方しか出来ないけれど...。

普段ほとんど注目してなかった俳優さんと言いながら哀悼の意を表すのもかえって不敬な気がしますので、せめて、彼が遺したドラマ「アルゴン」を大切に観たいと思いました。