麻桶の毛 | 湯舟沢 影黒湖の幻夢草子

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麻桶の毛(あさおけのけ)

阿波(現在の徳島県)三好郡加茂村に現れたとされる妖怪。徳島の古書『阿州奇事雑話』に記載がある。

加茂村の彌都比売神社(やつひめ)神社(文献によっては弥都波能売〈みつはのめ〉神社とも)の神体の麻桶に入れられた毛がその正体であるという。

神社に奉られている神の心が穏やかでないときに、その毛が長く伸びて麻桶から出て人を襲いだすという。『阿州奇事雑話』にある伝説によれば、かつて近隣の村を荒らし回っていた山賊が、ある晩に神社の祠に集まって盗品を分配していたところ、気づかぬ内にこの神体の毛が長く伸びて麻桶の蓋を突き上げ、1本の毛が山賊の人数分に裂け、山賊たちを締め上げた。そのまま山賊たちはどうすることもできず、翌朝追っ手に捕えられてしまったという。