「むかしばなし」のおはなし。 | えかきにっき

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イラストレーター・ひらたゆうこ



こんにちは、昨夜は
台風の通り道から少しずれている私の地域でもかなりの強い雨風でした。

大きな被害があった関東の地域の皆さん、お見舞い申し上げます。
少しでも早く雨風と被害がおさまりますように・・・


ちょうど先月の中ごろに、私の生まれた町、小浜市や若狭地方でも
台風による大きな大雨被害がありました。
たくさんのボランティアさん達の協力もあり少しづつ復旧した様子を友人から聞きました。

その頃、私は小浜市に伝わる昔ばなし、民話の挿絵のお仕事をしていました。
少し先月にさかのぼり書きますね。

私、妹、足立直紀さん、三人の絵描きで一話づつ担当し

挿絵にむかし噺の語りの録音が添えられ
デジタル絵本として学校などで子ども達に伝わっていきます。

足立直紀さんは小浜の、さばとらななちゃんのキャラクターの、生みの親でもある
小浜在住のイラストレーターさんです。


足立さんは、あちこちに絵を描かれていて
どれも小浜を大切に想う気持ちが伝わるような絵のお仕事をされている大先輩です。
今回、一緒にさせていただきとても嬉しかったです。

そして、私が担当したお話は「綱女」という15歳の女の子のお話。
全部で10ページある大きな絵、綱さんの事を少しでも知り、想いながら描きたくて
西津地区にある、綱女と像とお墓にも8月に連れて行ってもらいました。
こちらの、昔ばなしの語りは今から録音されます。
完成に近づきましたら、詳しくお伝えしますね。(写真は挿絵の一部です)

このお仕事も含めて
最近、私の中でご縁があることのひとつは「むかしばなし」。

(ここから少し長くなります)

一番最初は一年前くらい、「りん君」の絵本で出会えた鈴木鍼灸院の鈴木先生からCDで
昔話・民謡の調査をされていて実際の語りをされる方の
貴重な録音を聞かせていただいた事です。

伊豆弁で語られるおばぁちゃん達のお話は、そこにいて話してくれるようで
おもしろく惹きつけられます。

そして今年に入り、同じ福井県で絵を通じて出会った方のお母様が
長年続けておられる、「なのはな文庫」を知りました。
誰かが語ってくれる話をきくことで生まれる想像力や
声から伝わる想いやあたたかさを伝え続けてくださっているんだなぁと
お話会に参加して感じました。

それから少しして、今度は遠く福岡の友人が
小澤俊夫先生の「昔ばなし大学」という講義に通っていることを知り
どんな先生なんだろう?どんな内容なんだろ~?と興味を持っていたときに
先ほどの「なのはな文庫」の方が、福岡の友人が通う講義にゲスト出演!された事を知りました
この時点で、色々繋がりびっくりしていた私です・・・

この後に、今度は福井で小澤先生の講演会があるよと教えていただいて
お友達家族に協力してもらい、福井大学へ・・・

「ふくいむかし話大学主催
小澤俊夫氏講演会
グリム童話集200歳
~日本昔話との比較~」
へ行くことが出来ました。
9月21日のことです。

小澤先生は
小澤むかし話研究所所長であり、指揮者の小沢征爾さんのお兄さんです。
とっても柔らかい話し方をされるお優しい方でした。
グリム兄弟がどんな人生だったのか初めて知りました。
そして、日本の昔はなしとの共通点や、全く逆、ある・ないなど
ひとつひとつの比較がとても面白かったです。
どちらも完成された世界であり、どちらの世界も心底面白いと学んだ方だからこそ
できる比較でした。そこから、国や生活、宗教観、考え方が見えてくるのがまた面白かったです。子どもに何を伝えたくて何を残したくて作られたお話なのか・・・
興味が湧きました。

今の時代に生まれた「絵本」「お話」は、テンポよくユーモアがあって
発想に驚いたり、好きな作品たくさんあります。

でも自分の中で
新しいものが増えると、昔に作られたものが日常の中で見えなくなってきます。

確かに、昔と今は繋がっているはずなのに。どこかで区別をしている気がします。

そんな今、むかしばなしを改めて知ると
何よりそれが新しく感じます。その中に、見落としてきたこと、大切なこと
たくさん見つかるかもしれません。

「今」も、いつか「昔」になります。
その時、残っているもの、残してほしいものは何だろう・・・
絵を描くものとして、母親としても考えさせられました。

「省略された昔ばなし」ではなく、出来るだけ何も“省かれていない本当の昔ばなし〟に
触れることをお勧めします。
と教えていただきました。

私は、何も知らないに近いので、時間を見つけて
こちらの本を読んでみようと思います。


小澤先生の話が聞けるFM福岡のラジオ番組のサイトを
教えていただきました。今の時代の子育てや生き方へのヒントにもなるメッセージ。
こちらサイトから無料でお聞きいただけます。
「小澤俊夫 昔話へのご招待」


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長くなりましたが
この様な流れの中で、絵のお仕事の中に
小浜の昔ばなしの挿絵を描く時間がありました。
読んでいただてありがとうございました。

声で聴くお話と、絵で見るお話。

今回、絵を見ながら、語りを聴くデジタル絵本。

初めての昔ばなしの絵・・・難しいなってちょっと悩みながらの制作でしたが
時代の風景を大事しながら、身構えずに自分らしく
「15歳の綱さんだったら、自分のことを
後世にこんな風に残してほしいかな」って
綱さんが喜んでくれたらいいなって思いながら描きました。

小浜市で、お披露目される機会があると思いますので
またお伝えしますね