今日のいちまい(79) やさしい記憶。 | えかきにっき

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イラストレーター・ひらたゆうこ

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今日のいちまいは、「10年後に届いたママからの手紙」 の中の挿絵を
一枚、ご紹介です。

この絵は、私がこの本のご依頼を受けて
お手紙を一通づつ読ませていただきながら
最初に浮かんだイメージです。
やさしい記憶が降ってくるというイメージでした。

実際に描いたのは、最初ではないけれど
どこかにこの絵を入れようと思っていました。

ちょうど、ご両親と、おじぃちゃん、おばぁちゃんからもお手紙をもらう女の子のお手紙だったので
降ってくるお花に、表情をつけました。

また別のお手紙で、この絵とは違うのですが
お手紙を読ませていただきながら
最後まで挿絵に悩んだ方がいます。

それは、10年後の手紙が手元に届き
今の息子さんお二人へ向けての気持ちを綴られた
たくさんの「ありがとう」を書かれていたお母さんの手紙。

すごく心に響く内容。
これだけ「ありがとう」を伝えられるお母さん、素敵だなって思いました。
このありがとう、をどんな風に表現しようかな・・・
描いてはやめ、描いてはやめ、そして
すっと入ってきたイメージは
お母さんが、窓から
成長していく子どもを見送って
「いつでもここにいるから、疲れたら帰っておいで」と手を振っている姿。
お母さんの背中の窓の中は
あたたかい灯りが灯る部屋を。

小さなスペースの挿絵ですが、何度もこの手紙を読んで
この絵でいこう、と思いました。

本が完成してしばらくして
いつもコラボ企画でお世話になっている岸さんからお電話をいただきました。

お手紙の本に、岸さんのお知り合いが掲載されているとのこと。

とても嬉しくて、どんな挿絵を描いた方だろうと「どなたですか?」と聞きました。

それは、この窓の挿絵を描いた方でした。
そして、その方は、この本が出るのを楽しみにされていたのだけど
この夏に、亡くなられたとのこと。

夏・・・ちょうど、私が挿絵を描いている頃です。

私が、何度も何度もお手紙を読んで絵を描いている間に。

お会いしたことはないのだけど
お手紙を何度も読んだことで、とても身近に感じて
本を楽しみにされていた事も知り
電話口でしばらく、涙が止まらず。

この方のご両親は、出版されてすぐに本屋さんへ行かれたそうです。
その様な思いで、この本を手にされたご家族があったのですね。
なんとも言えない気持ちになりました。

10年後の自分、10年後の子ども
どんな姿なのか、元気なのか、そうでないのか
笑っているのか、悩んでいるのか・・・分かりません。
でも、親は
自分のことより、子どもが笑って幸せに生きていることを願っています。
そして、子どもに「ありがとう」って言ってほしいのでなくて
子どもに「ありがとう」っていっぱい伝えたい。

このお母さんの手紙には、一生分の「ありがとう」が詰まっている気がしました。
そのお手紙に、私は絵を添えさせてもらいました。
とてもありがたくて。
そして改めて
一件、一件のお家に物語があって、その1ページに
そっと絵を添えさせてもらったんだ、と感じました。

この事を、ブログに書こうか悩んで日が経っていたのですが
「ありがとう」っていっぱい詰まったこの本との出会いを語る時
欠かせないお手紙でしたので、書かせていただきました。

「10年後に届いたママからの手紙」

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この間、小浜市に里帰りして
小浜で本を置いてくださっている三陽堂さんにお願いに行き
手描きのポップを置かせてもらう事になりました。
兄が、書店まで行ったら、ポップ付きで目立つ所にある本を発見して
許可をいただいて撮影をして来てくれました。
書店の皆さん、ありがとうございます。

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小浜になかなか帰れない私に代わり
本の様子を教えてくれた兄に感謝です。
ポップをお願いする勇気をくれたのも、兄。
ありがとう。


(小浜は三洋堂さん、ほか北陸、関東、ネットでの販売店は勝木書店さんを中心にこちらです↓
http://ameblo.jp/yuartblog/entry-11407786845.html
勝木書店以外にも福井は、エルパの阿部書店、
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