本年、映画撮影中に交通事故で無くなった、
ギリシャの映画監督、
テオ・アンゲロプロス氏の追悼上映で
過去の氏の作品を見に行ってきました。
渋谷のオーディトリウムという映画館。
かつて、エレニの旅という作品の第一部を見に行って
壮大なギリシャの歴史をそのまま擬人化した
象徴的な映像美は脳裏に深いイメージを残し
面白い、とかそういう事とは全く違う
忘れられない作品の一つになりました。
「狩人」はギリシャの政権や階級などを、
擬人化したような象徴している歴史作品。
民主主義主張の赤旗を掲げる革命派と、資本主義を持って弾圧し現状維持を守ろうとする人々を
戦いや直接的表現ではなく、
過去の殺人事件を元に
回想、謎解きをアガサクリスティーの推理小説よろしく
時を行き来しながら描いていて、
集中して見ていないと、置いて行かれそう。
独特の映像美に加え、
映像が重なりあいながら、暗転無しに回想シーンに入る舞台の転換のように時間が入れ替わるので、
とても新鮮で学ぶ事も多い作品でした。
映像製作から舞台を初めてつくる時には、
是非参考にして貰いたい作品。
音楽やダンスシーンはとてもふんだんに使われ華やか雰囲気も有りつつも
解決しないままの政治を見据える三時間の作品に
見るのもかなりの疲れが残ります。
二回見たい、とは思わないけど、
印象の深さ、脳裏に刻まれるシーンの一つ一つ、
見ておかなければ、勿体無い高品質な作品でした。
やっぱり舞台みたいだったなあ~!
氏ならではの映像美はやはり好きです。
来週の追悼二作目はアレキサンダー大王、
こちらも三時間の大作だそうで、
どこかで気合い入れて見に行こうと思います。