晴れ渡ったら撮ろうと狙っていました。
「平地から見た根菅(ねすが)岳」です。
真昼山地(奥羽山脈の一部)の北部、和賀山塊にある根菅岳は、地元・西和賀町内の平地から見えません。
周囲の山や尾根に隠されてしまうんです。
でも、(当ブログには何度も書いていますけど)とってもいい山なんです。
けさ、日の出のころ貝沢地区から見た沢尻(さわじり)岳(真ん中奥の白い小さなピーク)。
この山頂から根菅岳を正面に見ることができるんです。
その前に、とっておきの平地の撮影地に向かうことにしました。
山伏トンネルを抜けた雫石町の御所湖畔です。
以前から狙っていて、なかなか晴れ渡った日に行けなかったのです。
日の出のころ雲がかかっていた和賀山塊が、僕の日ごろの行いを神様が見逃がしていたらしく、すっかり晴れ上がりました。
宝くじの2等に当たったくらいのうれしい瞬間でした(当たったことありませんけど)。
白い山脈の左の方に根菅岳が見えているのです。
よほど根菅岳に興味がある人以外は目にも入らないことでしょう。
ズームで撮った根菅岳。
端麗な双耳峰がくっきりと見えています。
全国的には無名の山です。
でも、僕は密かにこの山に想いを寄せているんです。
誰にも見られず、奥深い山峡につつましく身を置いて、周囲の和賀岳や高下岳といったスターたちの陰になりながら、それらを引き立てている純情無垢で孤独な山。
愛さずにはいられません。
山伏トンネルを抜けて西和賀町に戻り、貝沢から登山口に入りました。
遠望の興奮さめやらぬうちに間近に見ようという考えです。
ブナの尾根はやっぱり気持ちいいなぁ。
登り口の杉林でカンジキのツメを痛めてしまいました。
だから、ほとんどを長靴のツボ足(キックステップ)で登りました。
幸い、つま先に鉄板入りの安全長靴だったので、斜面へのキックは快調でした。
標高が上がるにつれて根菅岳が姿を現してきました。
沢尻岳の最後の登りです。
先客が何人かいました。
皆さん、さらに奥の羽後朝日岳に足を延ばしたようです。
標高1260メートルの沢尻岳山頂に立ち、和賀山塊の主脈を望みました。
真ん中が根菅岳です。
右奥は和賀岳、左端は高下岳。
根菅岳の全容です。
沢尻岳の山頂は強い風が吹いていましたが、タヌキの尻皮で雪面に座り、この景観を眺めながらおにぎりをほおばりました。
壊れたカンジキのツメは、ゆで卵の殻を割るのに役割を果たしました。
至高の雪カフェは、こんな山景色の中で一番映えます。
平地から見る根菅岳の愛おしさ、間近に見る根菅岳の美しさに胸を熱くした雪山でした。 (2月17日)