夜来の雨の音には雪が混じっていたようです。
この5日ほど、空がぐずついています。
僕んちの庭、この冬初めての雪化粧。
週末にミユキさんが渋柿をたくさん持ってきてくれました。
大きくていい形です。
あした晴れの予報なので、人生初めての干し柿づくりに取り組みました。
皮をむいてひもに結びました。
熱湯に5秒間。
殺菌とカビ対策をするようにとインターネットに出ていたので。
外は雨降りなので室内に仮干しして、あしたの晴れに備えました。
ショウイチさんが群馬の娘さん宅に行くので、送別の小宴がありました。
88歳の独り暮らしですから、雪の半年間を関東で過ごすのです。
弁舌旺盛なショウイチさんです。
この夏、僕んちにナスを持ってひょっこり現れたことがあります。
1時間くらい茶飲み話をして、僕は半分くらいは話の内容がわかりました。
この夜はリョウイチさんやタツヤさんが相手なので、僕は話の1~2割しかわかりませんでした。
夏の時は、ショウイチさんなりに僕に気を遣ってくれたのでしょう。
内容は定かでなくとも方言(なまり)と話しぶりが面白いのです。
笑いっ放しです。
そして、頭脳明晰なんです。
誰かから電話がかかってきました。
こんなに表情豊かな人はあまり知りません。
…現役のころ、インタビュー取材の撮影もやったことがありました。
取材相手が話しているところのアップ写真を撮るのです。
質問する取材記者にくっつくようにしてカメラを構えます。
カメラ目線からほんのわずか角度を取るのです。
「シャッター音しますけど、カメラはないものと思ってお話しください」
そう断って、話し手の表情に応じて何枚も何十枚もシャッターを切るのです。
(映画監督の熊井敬さん※を撮ったモノクロフィルム時代が懐かしいです)
「ショウ兄(あに)」と慕われるショウイチさんは写真映えする人だなぁと思いながら、酔っ払った手でスマホを構えて何十枚もボタンを押しました。
来春のゼンマイ採りの季節に再会するのを楽しみに、小宴はお開きとなりました。
帰宅して今季初めて、据え付けのFF式ストーブをスイッチオンしました。
干し柿がおいしくできますように…と願って、子供みたいに「あした天気になぁれ」と口ずさみました。 (11月14日)
※熊井敬(くまい・けい):「黒部の太陽」「忍ぶ川」「海と毒薬」などの名作を世に出した映画監督。病魔と闘いながら制作に打ち込んでいた鋭い眼光を思い出します。