気仙沼日記1085回「愛称かなえおおはし」 | 西和賀日記 山・雪・味・人 楽しき農山村 

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奥羽山脈「真昼山地」に魅せられて65歳で岩手県和賀郡西和賀町に移住したおじさんの暮らしぶり

三陸自動車道の気仙沼湾横断橋の愛称が決まったそうです。

「かなえおおはし」、漢字で書くと鼎大橋。





いい名前ですね。

気仙沼湾には昔から「鼎が浦」の呼び名があったことにちなんだ愛称です。

市が募集し、選考委員会で決めたとのこと。


(かなえ)は中国伝来の煮炊き用の器のことで、三つの脚があります。

僕の知る限りでは、古くは続日本紀にでてきます。

朝廷軍が衣川に三つの陣地を構えたのを桓武天皇に「鼎の脚のよう」と報告しているくだりです(延暦8年=789年)




昔の人にはなじみのあるものだったのでしょう。

近世には、訪れた文人墨客が湾の美しさを「鼎が浦」と称賛したと伝えられています。

写真の左下:神明崎(しんめいざき)、右:柏崎(かしざき)、奥:蜂ケ崎(はちがさき)の三つの岬を鼎の脚に見立てたというわけです。


「日光見ずして結構と言うなかれ」ならぬ「鼎が浦見ずして旅情叶えたと言うなかれ」といったところでしょう。




気仙沼市内には「かなえ」の名がたくさんあります。

女子高の県立鼎が浦高校が最も有名だったようです(現在は気仙沼高校に統合)

団体名や店名や発行物などにも使われています。

僕が2年間働いた福祉関係の職場も「かなえ」という名称でした。


「夢、願い、希望を叶える」の意味もこめられているそうです。

気仙沼湾横断橋は今年度中に開通する予定で、三陸道は東北の太平洋岸の大動脈になります。

「かなえおおはし」は三陸地方の未来にふさわしい愛称だと感じます。 (1月9日)


 ※三つの岬の写真は2015年撮影