今年はコロナ禍で遠出を控えがちになりました。
家で過ごす一日、何をするかということですけど、やることはけっこうあるものです。
それでも、暇があるなら普段と違う時間を過ごしたいと思うわけであります。
僕はクラシック音楽が好きなのですが、オペラはめったに聴きません。
CDを一枚も持っておりません(高いから買えないだけですけど)。
今年は図書館でオペラのCDを借りて聴いています。
コロナ禍のおかげーと言ったら語弊がありますけど、今年はオペラ(歌劇)をたくさん聴くことができました。
一作品に2時間とか3時間かかり、対訳をなぞりながら聴かねばなりませんから、普段はとても聴いていられません。
宮城県から岩手県に越境して、陸前高田市立図書館に少しばかりオペラのCDがあるので、春ごろから意識して借りてきました(地元の気仙沼図書館は音楽CDに関してはゼロに等しいのが残念です)。
オペラは、まったくもって楽しい世界でありますね。
とりわけモーツァルトはホントに楽しい。
「フィガロの結婚」「魔笛」「コシ・ファン・トゥッティ」「ドン・ジョバンニ」など、ずいぶん楽しませてもらいました。
こう言っちゃ何ですけど、どうでもいいストーリーなのに音楽そのものが素晴らしいのです。
「リゴレット」「椿姫」「オテロ」などのヴェルディは天才だと思います。
(イタリアのミラノに行った時、スカラ座の博物館でヴェルディのデスマスクを見て、ひげの跡までくっきりしていたのを思い出します)
プッチーニやマスカーニやリヒャルト・シュトラウスもいいですね。
ヨハン・シュトラウスの喜歌劇「こうもり」も、酔っ払いの猥雑な話ですけど、カルロス・クライバー指揮のCDで聴いたら、なんだかうきうきして幸せな気分になれました。
図書館から借りてCDを聴いていて、ふと思ったのですけど、音楽が好きで60年も生きていると、だいたいのオペラを生で観ているのです。
一流の高額な舞台ではなく、地方のアマチュア団体が催すような舞台をずいぶん観てきたように思います。
20代前半のころ、カール・ベームがウィーン国立歌劇場を率いて東京公演をした時、観たかったけど5万円のチケットに手が出るはずもなく、公演日の夜に場末の居酒屋でモツ煮込みをかみしめながら呑んだくれていたことを思い出しました。 (12月28日)