栗駒山に前回登った時(7月24日)、温泉で「千年クロベ」の存在を知りました。
また、先週には盛岡のモンベルで山歩きに使う長靴を買い、山で試したいと考えておりました。
千年クロベは沢を何本も渡渉するコースです。
というわけで、行ってきました。
耐油性が高い、どちらかというと水産業や農業の作業用長靴だそうですが、山歩きにも使えるというので、登山歴45年で初めて購入しました。
若いころ、北アルプスあたりの山小屋の従業員が黒いゴム長靴(普通の長靴)で登り下りしているのを見たのが印象に残っています。
千年クロベは栗駒山の東麓にある湿原・世界谷地の奥にあります。
大地森コースと湯浜コースの中間あたりです。
駐車場から1時間ほど歩いて、ベンチのある大地森分岐(写真上)。
ここから湯浜温泉への栗駒古道を行きます。
途中、クマのフンを見たりしながら、次々と現れる沢を渡りました。
登山靴ならば石を靴底で拾いながら渡りますが、この日は長靴装備でありますから、子供みたいにわざと水の中を歩きました。
大地森分岐から1時間ほどで千年クロベのある森に着きました。
写真は別のクロベですけど、これも見事な巨木でありますな。
クロベ(黒檜)はヒノキ科の常緑針葉樹で日本特産だそうです。
千年クロベは、保護の観点から周囲が立ち入り禁止になっています。
少し離れたところから見ても、幹周り10メートルという巨体に圧倒されます。
幹が割れて、仁王立ちの様相です。
樹高は21メートルほどで、樹齢は不明だそうです(のちの千年も永らえるようにと命名されたとのこと)。
もう、単なる木じゃありませんね。
ブナやミズナラの古木の森に閑全と立ち尽くす様は、大自然と星霜が生み出したインスタレーションだと感じます。
いいものを見たなあ…と戻りかけると、名もない沢の細流にイワナがひるがえって隠れました。
「石の下にいることはわかっているぞ」
「釣り具がなくてくやしいんだな」
「つかみ取りしてもいいんだぞ」
「長靴はいてるからって自信過剰になるなよ!」
世界谷地から振り返った栗駒山。
長靴の試し履きは上々でした。
山の紅葉はまだこれからのようです。 (9月21日)