気仙沼に鹿折(ししおり)という地区があります。
気仙沼内湾に面した平地で、対岸の魚市場がある埋立地と並ぶ水産加工の集積地でした。
大震災の時に、地震・津波・火災の三重苦に見舞われた悲劇の場所として記憶されることとなりました。
その鹿折地区は今、大規模かさ上げ工事と併行して、工場・店舗・住宅といった復興建設事業が進行しています。
写真は鹿折地区のかさ上げ造成工事と、気仙沼のシンボルと言われる安波山(あんばさん)です。
僕が住む貸家は安波山の反対側にあります。
安波山から望む気仙沼湾の景色は、全国的に見ても長崎と双璧を成すほどの港の絶景だと思います。
この鹿折地区で、この春から仕事をしています。
震災前にあった市の施設が再建されて、そこに通うようになったからです。
そんな関係もあって、職場の古株や鹿折地区の住民に話を聞く機会が増えました。
誰もが口をそろえるのが「鹿折は、まったく別の街になっていくようだ」との声です。
それはそうでしょう。
以前の建物は何ひとつ残っていないのですから。
これから、どんな街になっていくのでしょうか。
人がひとっこひとり住んでいなかった太古の昔から、このあたりを見つめてきた安波山の神様は、今どんな気持ちで人々の営みを眺めているのでしょうか。 (7月18日)