歌舞伎座「九月大歌舞伎」第一部に行って参りました | 妻を亡くした夫と母親を亡くした娘の生活

妻を亡くした夫と母親を亡くした娘の生活

2016年9月病院で愛妻が亡くなりました
夫は翌年大学生になった娘と愛犬2匹と暮らしていました
2022年11月二女が動物病院で亡くなりました
2024年1月に三女が後を追うように亡くなりました
大学生の娘と二人家族になりました

今朝の横浜の空、ほぼ1週間ぶりの青空です。雲は出ていますが、日差しが明るく空気は澄み切っています。

さて昨日は雨模様の空の下、JRで歌舞伎座に向かいました。11時開演の「九月大歌舞伎」第一部の観劇です。六世中村歌右衛門二十年祭、七世中村芝翫十年祭として名優を偲ぶ演目が並びました。まずは七世芝翫の当たり役「お江戸みやげ」のお辻を次男の当世芝翫が演じます。次に六世歌右衛門が復活した「須磨の写絵」より、上の巻を「行平名残の巻」と銘打ち養子兄弟の梅玉、魁春がそれぞれ在原行平、海女 松風を演じます。

「お江戸みやげ」は川口松太郎作による新派風の芝居で、設定は江戸の芝居小屋ですが、ほとんど現代劇と言ってもいい、わかりやすい人情喜劇です。呉服の行商で江戸を訪れたお辻(芝翫)とおゆう(勘九郎)が茶屋を訪れ酒を飲むうちに、おゆうに誘われ芝居を観たお辻が、人気役者の板東栄紫(七之助)に心を奪われ、茶屋の座敷に栄紫を招きます。夫に先立たれ商売一筋の倹約家のお辻ですが、栄紫とお紺(かん玉)の恋騒動に巻き込まれ、二人の恋を成就させるため、行商で稼いだ全財産を叩いて二人を助ける気風の良さを見せます。これを案じるおゆうの様子も見所です。終幕は湯島天神の境内で、おゆうの機転でお辻と栄紫が最後の別れの場面、栄紫が自分の長襦袢の片袖を裂いてお辻に渡します。栄紫を見送るお辻が、大事なお江戸みやげとなったと呟き、その片袖をいつまでも握りしめるのでありました。心温まる舞台を七世芝翫の長男(福助)、次男(芝翫)、孫たち(勘九郎、七之助、福之助、歌之介)が主要な役所を収め、故人を偲ぶ名舞台を創り上げました。

「須磨の写絵 行平名残の巻」は須磨の浦に流された在原行平(梅玉)に、浜辺の近くに住む松風(魁春)と村雨(児太郎)の海女姉妹が寄せる恋心を描きます。この地にやってきて3年、都へ戻ることを赦された行平が、来し方を思い返すうちに、行平をめぐって姉妹の諍いが始まります。今風に言えばプレイボーイの行平、2人を宥めて三人で踊り始めるうちに都へ向かう船の出立時刻が迫ります。別れを惜しんで泣き崩れる松風に、村雨共々都へ呼び寄せると告げた雪平は、後ろ髪引かれる思いで去ってゆくのでした。