今回は12月中旬~2月にかけて収穫される今が旬の富士山やさい「水ネギ」をご紹介いたします。
・「水ネギ」とは・・・
「水ネギ」は、富士吉田市の小明見、富士見地区と都留市の十日市場、夏狩地区で、明治の末頃から富士の湧水を水田に引き込み栽培されてきた伝統野菜です。
桂川は、冬場でも水量が豊富で水温も6~12℃を保っており、これを水田に引き込んでかけ流しにして栽培されています。
・栽培方法・収穫時期
5月頃、畑にネギ苗を定植し(一部を翌年の採種用に残す)、稲刈りが終わった後の10月初旬頃、水かけ菜の圃場のまわりにネギを畑から移植し、最低気温が氷点下近くとなる12月上旬に水田へ湧き水を引き込みます。
収穫は、12月中旬~2月末頃まで。
【採種用のネギの畑】
【ネギ苗育苗の畑】
【移植後のネギの水田】(水かけ菜のまわりに移植)
・特徴
長所:通常のネギに比べ、水中で生育することで、柔らかく味と香りが強く、ぬめりが多い。
短所:冬の寒い時期に栽培するため、水面より上部は枯れやすく、折れやすい。また、傾斜のついた畝に植え付けるため、曲がってしまい、見栄えが悪い。
・栽培の状況
「水ネギ」は、収穫時期が12月中旬~2月と寒い時期に水に入っての収穫となるため、収穫作業は体への負担が大きいことなどから、生産者・栽培面積ともに年々減少している。
生産量は1~2トンでほとんどが自家消費であり、一部の農家が、道の駅等に出荷・販売している状況である。
・販売場所
道の駅富士吉田
道の駅つる
都留市農林産物直売所
山梨県の中でも寒さの厳しい富士北麓地域では畑は凍ってしまうが、湧水の中は6度前後を保っているため凍らずに栽培できる知恵を、代々受け継いでいる伝統野菜の「水ネギ」。
次回は「水ネギ」を使った野菜ソムリエオリジナルのレシピをご紹介いたします。
資料提供
富士山野菜生産者協議会
富士東部農務事務所
文責:天川 里江