このひとつ前の記事で訴訟も本人訴訟で、と書きました。

 

 訴訟の前段階でよく使われるのが内容証明郵便です。損害賠償の訴えを起こしたいと思えば、まずは普通に督促→払われない→きつめの督促→払われない→内容証明郵便による支払督促→払われない→訴訟、というのが通常の流れだと思います。

 

 内容証明郵便を送る理由は、「このような内容の督促をしてますが払われていません」という跡を残すこと。

 

 従来は内容証明を送るには、書式の基準を満たした文書を作成し謄本(原本)のほか2部の写、合計3部の同じ文書を作って持ち込み、相手方などに送付する、というやり方でした。(書式のとりきめはこちら→

 

 ご存知の方もいらっしゃると思いますが1行につき〇文字、1ページにつき〇行という制限もあり、まず作るところまでで手間がかかります。文書が2ページ以上にまたがるときには綴じた部分に割印をし、一続きの文書であるという体裁を整えなければなりません。そして郵便局に持ち込んで出状…ということになります。

 

 現在、日本郵政ではインターネットで内容証明郵便の受付を行ています(e内容証明)。

 

 使い方は、

 

1.ユーザー登録(メールアドレスと支払用クレジットカードの登録)

2.差出人、受取人情報の入力、内容証明郵便の本文をword入力したものを登録

 

 で済みます。24時間受付ですので時間の節約には最適です。

 

 ※ただしサイトの説明はわかりにくいことこの上なく、初めての人だとすっと使いこなすのは難しいかもしれません。Windows10、cromeでトライしましたが何度も同じエラーとなりました。日本郵便のFAQを参照し、それでもエラーになり…解決策はinternet explorerを使ってログインすることでした。(常にそうなるかは解りませんがcrome、edgeでは正常にログインできませんでした)

 ※まず一度ログインして内容証明の本文用のwordの書式をDLしておきます。それまでに出した催告書などをもとに内容証明の本文をwordで完成させたあと、再度e内容証明にログインし、①参照するword文書ファイルを指定、②差出人、受取人情報を入力、③ユーザー登録時に登録したクレジットカード情報を確認、で出状完了です。

 ※差し込み印刷用の入力シート(csvファイル)なるものもサイトに置いてありますが1通ずつ作成するのでしたらこれは不要です。(販社など同じ内容証明郵便を大量に出す場合などにこれを使うことになると思います)

 

 内容証明の書式は、ネット上にも多数公開されており、目的別に書式を参照しながら作成するとよいと思います。

 

 

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 従来「当たり前」だったものがどんどん変化しています。

 

 この記事のひとつ前、「あらゆるノウハウが急速に普及している」での書きましたが、いままで価格が高く、中小零細企業には手が届かなかったサービスが安く、早く、利用できるようになってきています。

 

 その典型が会計です。

 

 経営改善のご相談を受ける中で、経営者からよく「会計事務所への恨み節」を聞ききます。

 「遅い」「間違える」「その割に高い」。

 

 資金繰りや販売政策、コストカットなどの悩みを会計事務所にぶつけても「答えが返ってこない」。
 
 試算表を誰よりも先に見る立場なのにそれをもとにしたアドバイスがない。(コンサルタント目線から見ると本当にもったいない機会損失です)

 

 私は、中小企業が苦しむのはすべて会計事務所のせい、というつもりはありません。よく考えればこれにはからくりがあると思います。私が普段接するのは業績をテコ入れしたい会社がほとんどです。きちんとコンサルティングに近いレベルのお世話をしている会計事務所も多いはず。

 

 そう考えると、①そのような会計事務所がついている先の業績が悪くなる確率は低くなる。②逆に言うと、業績が悪い会社についている会計事務所は、「苦しいのでできるだけ安く」と要望され、最低限のサービス提供にとどまっているため行き届かない、と考えられます。

 

 もう少しきちんとした業績管理を行い、簡単なコンサルがあれば業績回復が望める会社が多いのです。

 

 キーは「クラウド会計」です。ここでは私自身、申告に使用しているMFクラウドに準拠してご説明します。

 

 クラウド会計は各種ありますが、共通項は、

 

  1. まずクラウド会計ソフトの利用開始。その日から使え、月額2-3千円です。お試し期間ということで数十日の無料試用期間がついています。また後述の補助アプリを使ってもさほどの負担にはなりません。(MFクラウドの場合、請求書発行が少し高めでプロプラン5,980円/月、さらに機能充実しているエンタープライズプラン19800円/月、になります。MF経費精算は一人500円/月額となります)
  2. すでに利用しているインターネットバンキングや経費精算用クレジットカードの使用履歴、必要なものを買っている通販サイトなどで使っているものをクラウド会計アプリに登録。
  3. すでに使っている会計ソフトがあるときには、仕訳データや残高などをクラウド会計ソフトに読み込ませ、過去データを取り込みます。これが前年同月比、同期比の元データや仕訳辞書の元になります。
  4. セットが終わったところで自動巡回ボタンを押す。預金やクレジットカードの出入りの情報を会計ソフトに直接読み込ませます。これで通帳を開きながら一本一本入力していく、という手間が消滅します。かつ金額まで自動読込しますので間違いのない記帳が実現します。
  5. 読み込んだデータのうち、「デンキダイ」と摘要がついていればAIの自動判定で「水道光熱費」に計上します。それを「承認」すればそのまま会計に計上されます。
  6. どんなものかわからないものは科目がブランクの状態で表示されます。それを見ながら、「地代家賃」「買掛金支払」など仕訳します。これがAIによって学習され、次回同じものがでてきたときには初回の処理を参考に科目を入れてくれます。
  7. ここまでで現金取引を極力減らし、クレジットカードや銀行送金を使えば記帳負担はぐっと楽になります。

 また、交通費やカードの使えないお店での清算など、どうしても現金支払となる場合には、クラウド会計のサブソフトの形で「経費精算支援アプリ」があります。例えば会計ソフトである「MFクラウド」に対して「MFクラウド経費」という補助アプリがあり、レシートを撮影して仕訳化して会計ソフトに送ります。乗った駅、降りた駅を入力すると交通費を計算してこれも仕訳にしてくれます。

 

 社員さんの多い会社さんだと、一人一人にこの経費精算アプリを使ってもらい、「使用申請」「上司の承認」という管理機能を利用することもできます。

 

 そのほか組み合わせ可能なものとしては、「請求書発行」「給与計算」などがあります。

  

 連携可能なデータとしては、金融機関、クレジットカード、通販サイト利用データ(楽天、Amazon、Yahoo、ASKULなど)、電子マネー(WAON、nanaco、交通系)のほか、エアレジ、楽天(出品者側の販売データ)が自動連携できます。

 

 一旦CSVデータに落とすことができれば、普通のレジのデータも手作業にはなりますが読み込ませることができます。
 
 ここまで組み上げることができれば、記帳の手間はほとんどかかりません。

 

 これをもとに業績の早期把握と会計コストカットが可能になると思います。

 

 これにはコンサルタントとして私にも大きなメリットがあります。コンサルタントフィーが高いのは私の場合、「分析に時間がかかるから」。これが毎月早く正確な会計がなされる、ということならコンサルタントフィーを大きく下げる余地が出てきます。 

 

 私が「クラウド会計の利用」をコンサルティング契約の条件とするのはここに理由があります。

 

 クラウド会計のもう一つのメリットは、操作が入りにくいところです。ほとんどが自動読込で記帳されてしまいますから。

 

 また、エアレジや楽天の販売データと連携することにより販売上の問題点も非常に見えやすくなります。

 

 ちなみにエアレジはアプリ自体は無料。タブレット、キャッシュボックス、レシートプリンタ、クレジットカードリーダーは装備しなければなりませんが10万円行くかどうか。

 

 小売業でしたら仕入データ、在庫データも管理できますので中小零細企業には非常に強い味方になります。しかも会計連動となると…

 

 従来数十万円かかっていたサーバー内のデータ保管もクラウド化で安くなっています。

 

 複合機も小規模事務所ではあまり必要ありません。

 

 これらのコストをまかなえず、不利な立場に立たされていた、中小零細企業に有利な時代になってきているのです。

 

 クラウド会計を利用したコンサルティングについてぜひ弊社までお問い合わせください。

 がんばれ経営者

 

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 経営上、何らかのトラブルが発生しそれが法的な争いに発展するときがあります。退職した従業員さんから未払賃金の請求を受ける、キャンセルされた仕事で発生した損害の賠償を求めたいが相手が同意しない…などなど。

 

 私自身、何回か訴訟も経験している中で感じたこと、法の世界とはどのようなものなのかを書いてみます。

 

【いきなり訴訟、にはならない】

 商品代金未払いなら、「請求書を再度送付」「それでもだめなら催告書」「内容証明で送付、法的手続きも辞さないという予告」「(必要に応じて)弁護士を依頼」と進みます。

 

 それでもだめなら、「訴訟」ということになります。

 

 いきなり訴訟ではなく、その前の段階で解決すればそれに越したことはありません。

 

【先方が弁護士を代理人に立てたとき】

 その弁護士の性格や方針にもよりますが、乏しい経験の中ではしっかりお話は聞いていただけるように思います。もっとも、話し相手が弁護士、とうことでこちら側が逃げ回ったり、その場限りの言い訳を繰り返す、などすれば先方の態度も硬くなってきます。

 

 落としどころを念頭に、「ここまでなら」という譲歩を見せれば話は進んでいきます。

 

【訴訟のやり方】

 どうしても解決しないとき、通常弁護士に委任します。しかし求める賠償額が数十万円の訴訟なのに手前で着手金を払い、さらに取り戻した金額の一定割合を成功報酬で支払うとなるとほとんど経済的な実効性はありません。相手方にプレッシャーを与え、「あなたがしたことは世間一般では通用しないことなんですよ」という認識を持ってもらうという効果はあるかもしれませんが…

 

 となると少額の争いであれば本人訴訟で、という流れになります。本人訴訟の手引き書は多数出ていますのでそれらを参考にしつつ…ということになります。

 

 相手方にも同じことが当てはまります。「数十万円のことで代理人弁護士を立てても…」となる可能性もあります。

 

 とりあえず訴状を書き、それを裁判所に持ち込んで書記官から指導を受けます。証拠のつけ方、納付すべき切手代など教えてくれます。裁判所はいうまでもなく公平な立場ですので当然に「こうすれば勝ちやすいですよ」というアドバイスはなく、あくまでも形式を整える、という意味のアドバイスがあります。

 

 また、いきなり裁判所に持ち込むのも…というときには訴状の下書きのチェックを弁護士に依頼するという手もあります。

 

【私が本人訴訟を経験したきっかけ】

 となり裁判になりそうなトラブルが発生したとき、本人訴訟など全く考えず弁護士に相談しました。どんなトラブルかを正しく理解してもらうために、資料を整え、相談したのですが…

 

 「山崎さん、ここまで資料がそろっていて主張したいこともまとめてあるのですから自分でやった方が良いですよ」

 「どうしてもというのなら受任しますが結局私がやる仕事は極端に言えばワープロ打ち、ということなります」

 「解らない展開になったらお聞きいただければそこのところはお教えします」

 

 という流れで本人訴訟を経験することになりました。

 

【素人が見る訴訟、法の世界】

 私の印象は、「紙の世界」。あらゆるものを紙に落とさないと「ない」ことになります。法廷でどんなに雄弁な主張をし、その場で裁判長がうなずいて聞いていたとしても、それはその場限り。

 

 主張は準備書面や上申書の形でしっかり残さないといけません。

 

 (私は経験していませんが、「証拠にするためにその日起きた出来事を織り込んで会話を録音する」というのを知ってらっしゃる方も多いと思いますが、その場合でも録音から会話を活字に書き起こし証拠提出することになります)

 

 次の印象は、「裁判はゆっくり進む」。

 

 大まかには、「お互いが事前に、あるいはその場で提出した書面を裁判長がチェック」「双方の主張は解りました。それぞれ反論があれば次回までに」「次回の期日、〇月〇日のご都合は」という繰り返しになります。法廷の場で火花が散るようなやり取りの末に裁判所の判断を逆転させる、というのはテレビドラマの中の話のように思います。

 

 ここが素人にはツライところで、どうしても「話が進まない」印象になります。かといって拙速にはしり主張をきちんと聞いてもらえないのも困りますが…公判期日は1か月おきくらいのペースですので書面の交換をしているうちに春が夏になり、秋になり…という感じになります。

 

 余談の上、うろ覚えですがオウム真理教の裁判の公判が月2回ペースだったと記憶します。裁判としては異例のスピードで進めた(裁判所も弁護人もこの事件を最優先した)のだと思います。 

 

 さらに余談ですが提出する書面のフォントはなぜかMS明朝ということになっています。

 

【判決の威力はすごい】

 首尾よく勝訴を勝ち取り、「〇〇万円を支払え」という判決が確定すればそれをもとに改めて相手方に請求を行います。いままでの請求書、催告書と違うのは、判決をもとに差押など強制執行ができることです。

 

【和解の威力もすごい】

 裁判でお互いの主張が対立し裁判が長期化したような場合、裁判所から和解を勧められることもあります。和解というとソフトな語感がありますが、効力は判決と同じで破った場合には強制執行が可能です。

 

 別項で、「金融機関の債務が返せなかったときに訴訟されたら」という記事も準備します。