猫の特発性膀胱炎 | 洋光台ペットクリニックのブログ

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動物の病気のことや病院の出来事などをお知らせします。

 こんにちは。年も明けて、早いもので半月が経過…。

年末年始、皆さまはいかがお過ごしされたのでしょうか?例年とは違い、家で過ごす方も多くいらっしゃったと思います。我が家もこたつで過ごすお正月鏡餅となりました。寒さはこれからが本番です。うがい、手洗いを引き続きおこなって、体調管理に気を付けてください。

一日も早く新型ウィルスコロナ感染症が収束することを願うばかりです。

 

 

 今回は猫の下部尿路疾患、その中でも特発性膀胱炎黒猫について、お話したいと思います。

 

 さて、ここで出てきた下部尿路疾患という疾患名ですが、どこの場所を示すかわかるでしょうか?

→はい。『尿路』という言葉が出てきたので、なんとなくは想像がつくと思いますが、おしっこに関する病気のことです。下部尿路疾患とは、尿路に関する総称で、膀胱炎、尿石症、尿道栓子など様々な症状のことが含まれます。そして、特発性膀胱炎とは原因が特定できない膀胱の無菌性の炎症のことで、ストレスが主な原因の一つと言われています。また、一度は治ったように見えても再発を繰り返すことが多く、猫のおしっこの病気で約半数以上が特発性膀胱炎によるものと言われています。

 

 

【症状】

・頻尿

・血尿

・トイレ以外でそそうをしてしまう

・排尿時に痛みがある

 

【原因】

・多頭飼育

・肥満傾向

・2~10歳の若年齢から中年齢

・去勢オス、避妊メス メスよりもオスがなりやすい

・ストレスを受けやすい仔

・トイレに関する問題

 

 

上記にあげた症状ですが、これは特発性膀胱炎に限らず、下部尿路疾患での症状でもみられます。

では、下部尿路疾患と同じ症状なのにどうやって特発性膀胱炎と診断するのかというと、尿検査、レントゲン検査、エコー検査を行い、感染や結晶・結石、腫瘍がないことを確認します。また、飼い主様への問診を行い、判断します。特発性膀胱炎はストレスが主な要因の一つなので、環境の変化(引越し、家族が増えたなど)や同居猫と相性が悪く喧嘩になる,追い回される。等ないかお聞きします。

特発性膀胱炎のほとんどは無治療でも1~7日で症状が改善することもありますが、またすぐに再発をくり返します。

 

 

治療としては院内で点滴を行い、おしっこを出しやすくします。薬は消炎剤を処方しますが、ずっと飲み続けるわけではありません。症状がなくなれば終了となります。メインとしては、環境の改善、療法食での経過観察となります。

 

 

【環境改善】

・トイレの大きさは猫の体長の1.5倍ぐらい

・たっぷりの猫砂

・カバー付きのトイレもありますが、臭いがこもりやすいため猫にとってはない方がベター

・猫の数+1以上のトイレの設置

・洗濯機の騒音や人の出入りが少ない場所にトイレを設置

・飲み水の場所の数を増やす

・器の工夫(陶器、プラスチック、金属、自動給水機など)

・猫との適度な遊び、ふれあい

・猫が静かにくつろげる場所を作る

 

 

いずれも全てを行うことは大変ので、可能なものから改善して様子をみていくのも良いと思います。

 

 

療法食にストレス成分を緩和してあげる成分が含まれているものがあります。(全て含まれているわけではありません)

・ω3脂肪酸

炎症を和らげる。必須脂肪酸

 

・加水分解ミルクプロテイン

牛乳から作られたタンパク質でGABAに効果。猫の不安行動を現象させることが知られています。

 

L‐トリプトファン

不安や興奮を抑制し、ストレス兆候を減少させるセロトニンの素になる物質。

 

 

【処方食】

≪ヒルズ≫

・c/dマルチケアコンフォート ドライ

c/dマルチケアコンフォート+メタボリックス ドライ

c/dマルチケアコンフォート チキン&野菜入りシチュー缶

 

≪ロイヤルカナン≫

・ユリナリ―S/O+CLT ドライ

・満腹サポート+CLT ドライ

・ユリナリ―S/Oエイジング⁺+CLT ドライ

・ユリナリ―S/Oエイジング7+CLT ウェットパウチ

商品によっては取り寄せになるものもあります。詳しくはスタッフにお尋ねください。

 

 

再発をくり返しやすい病気ですが、工夫次第で再発の回数を減らすことができます。

スタッフにお気軽にご相談ください。