ダニーバグ「雨の日の少年」
歌として一本筋が通っているギターロックの良曲を聴きたいなら、ダニーバグというバンドをオススメします。
元は4人組バンドだったようですが、このPVを観る限り、今は3ピースバンドなのかな?
骨太の演奏を聴かせてくれます。ギターが感傷的に泣きの音を出すけど、女々しくなく、男らしい男泣きなんだよね。ルートを忠実になぞるベースも、オーソドックスなリズムのドラムも、ボーカルとギターを邪魔しない。曲の箇所によって、ボーカルだったり、ギターだったり、明確に主役があるサウンドだから、曲に浸れやすい。
何よりメロディと歌詞が良いんだよね。ソングライティングが巧みなのだ。「空はブルーな涙色を帯びた」という箇所で少し不安そうに歌うのが切なかったり、サビの箇所が力強かったり、歌唱に様々な気持ちをこめて歌うのがグッとくる。
歌詞の内容はバンドと自分の来し方とこれからについて歌っていると僕は解釈しました。
ネガティブな出来事もたくさんあったのだろう。「雨の日」というタイトルの言葉がそれを象徴している。でも、そんな時も視線は上(天気)を向いている。
今日も雨でも同じ主題のブルースを口ずさむだろうという歌詞に辛くても耐えようとする意思を感じる。なぜなら、ブルースは元はと言えば、黒人奴隷の労働歌であり、自分と他者への励ましのために歌われていたものだったのだから。ブルースのその出自と「さよならFreedom」という歌詞が呼応している。自由がなくなっても自分たちには音楽があるとでも言うかのように。
この歌はすべての孤独と虚しさを抱える人間へ向けられた歌だ。歌詞は暗いが、歌唱と演奏に暗さは感じられない。やるせない気持ちを昇華するかのような歌唱と演奏の熱さに、孤独でも虚しくても「I wanna be back」、必ずここ(ステージ)に帰ってくるよというバンドの意思を感じる。歌詞にある「雨上がりの路地裏でニヤける少年」のようなピュアなハートをこの曲から感じるのだ。雨が上がった時に心から喜ぶような純粋な心を持った少年には、孤独も虚しさもない。選んだ未来(彼らの場合はバンドをやるということ)へ向けて、雨上がりを待つ少年のような澄んだ心で進んでいきたいという彼らの意思を感じる。
まあ、そういう能書きを読むよりも、上のYouTube動画をとにかく観て欲しい。類稀な歌心を持ったギターロックが聴けますよ。サブスクにもあるのでぜひ!
「退屈ハイウェイ」も全てをなぎ倒していくような無敵感を持った名曲!