「音楽」の革新と「うた」の復権〜2020年代邦楽シーンを占う〜 | とかげ日記

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【日記+音楽レビューブログ】音楽と静寂、日常と非日常、ロックとロール。王道とオルタナティブを結ぶ線を模索する音楽紀行。


米津玄師 MV「海の幽霊」

いつもと作風が違う。J-POPというより、洋楽に近いダイナミズム。出自であるボカロから、随分離れた地点まで来た冒険に拍手。でも、歌メロがキャッチーな米津さんの方が好きだな。

ところで、90年代に小室哲哉は日本人の耳をダンスミュージックに最適化するように教育した。

最近の米津玄師と星野源も日本人の耳を最新洋楽を咀嚼したポップミュージックに最適化するように教育している感がすごい。 次の世代が出てきたら、邦楽はこれから更に進化しそう。

星野源、米津玄師、King Gnuを始めとした洋楽と邦楽の本当の意味でのミクスチャー(混合)サウンドは、今後ますます流行するだろう。ヒップホップのビートなどの最新のトレンドを取り入れたサウンドだ。一時期流行ったシティポップ勢を上回る流行になることは確実だと思う。

僕は洋楽の方が邦楽よりも質が高いという単純な議論をしている訳ではなくて(元メガデスの人やリバース・クオモがJ-POPを複雑=コンプレックスな音楽だとして褒めているのも頷けます)、日本の大衆のリスナーの音楽性志向や快楽原則が彼らの登場により多様化している傾向を嬉しく思うのです。大衆音楽を聴いていたリスナーが彼らを聴いて感化される、この状況がアツい!

USでは今、日本のシティポップが流行っていますよね! 日本ではceroなどが火をつけた2010年代のシティポップの流行は、下火になりつつありますが…。USの今のヒップホップや電子音楽のビートに憧れる日本の音楽と、日本の過去のシティポップに魅力を感じるUSですれ違っているのが面白いです。


あいみょん「ハルノヒ」

その一方で、あいみょんやバックナンバーなどによる「うた」の復権も勢いを増している。

「うた」を求めている人は、こちらを聴くだろう。「うた」であふれていた90年代の音楽をこぞって聴く若い世代も多い。「うた」の概念は、GOING UNDER GROUNDの松本素生さんがインタビューで語った言葉が基になっている。意味合いとしては、歌ものらしい歌とか、そんな意味だと思います。僕の解釈としては、メロディーと歌詞が立っている歌という意味に捉えています。

「音楽」の革新と「うた」の復権。どちらも、2020年代以降の邦楽を占う上で、重要なトレンドだ。