97年の世代のデビューアルバムをレビュー(ナンバーガール,くるり,スーパーカー) | とかげ日記

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平成が終わろうとしている。平成の中盤以降の邦楽ロックに多大な影響を与えた、97年の世代と呼ばれる主な3組のナンバーガール、くるり、スーパーカーのメジャーデビューアルバムをここでレビューしておきたい。

ナンバーガールとスーパーカーは音楽的衝動を発散した後に解散してしまったが、くるりは活動している。くるり結成当時からメンバーの岸田繁(ギターボーカル)と佐藤征史(ベース)の間の音楽的信頼が厚かったことや、アルバム毎に音楽性を変え、バンドでできることをやり切ったという感覚に陥らなかったことが解散していない理由かもしれない。

ナンバーガール『School Girl Distortional Addict』(1999年)





ナンバーガールが1999年7月に発表したメジャー1stアルバム『School Girl Distortional Addict』。

同じく97年の世代と呼ばれるくるり、スーパーカーと比べるとセールスは振るわなかったが、ナンバーガールから影響を受けたアーティストは数多く、アジカン、ベースボールベアー、きのこ帝国など数え切れない。現在の邦楽ロックの枠組みに多大な影響を及ぼしている。

これぞオルタナティブ。ナンバーガールは、歌心のある歌からは遥かに離れた地点で、刺すような鋭角のギターサウンドに乗せて、石つぶてみたいな激しい歌声をリスナーにぶつけてくるアーティスト。

邦楽って、歌が主で演奏が従になっているサウンドが多いのだけれども、ナンバーガールは違う。演奏がバチバチと殺気立てながら歌とタメを張る。テレキャスターのジャキジャキと鋭い鋭角のギターサウンドがリスナーに襲いかかる。

オススメ曲は「透明少女」。この曲はメジャーシングル一作目で、比較的ポップな方。ナンバーガールの中でもサウンドが軽めの曲だが、ドラムは猛烈。激しい演奏だが軽く聴こえるのは、ナンバーガールのオリジナリティの一つだろう。

また、向井秀徳の歌詞の発想の飛び具合ほど好物なものはない。発想が色々な所に飛ぶのに、肉感的な主張があり、文学性がある。

路面電車が走るのを
オレは見たことがない

普通に物事を
見すえる力が欲しい

私は海を
抱きしめていたい

桜のダンスを
お前は見たか?
(「桜のダンス」)

ギターロックの衝動が全て詰まっていて、歌詞や思想も他の追随を許さない独創性がある。評価は満点の星5つ。

評価★★★★★

くるり『さよならストレンジャー』(1999年)





このジャケの3人のもっさり具合や垢抜けなさ具合がこのアルバムを象徴している。突き抜けられないことを突き抜けたようなアルバムだ。その後はどんどんオシャレになっていくくるり。もっさりしたアルバムが聴きたいのなら、この1stアルバムをお勧めします。

フォークを基調にしたロックアルバム。フォークという音楽性もそうだけれども、人柄がにじみ出るような音楽に安心する。でも、その人柄も温和だけれども時々激しかったり、ひねくれたりしていて一筋縄ではいかないのだけれどもね。

歌メロも良いし、演奏も面白いし、フックがある。核心にフォークがある歌心も素晴らしい。くるりがスピッツほど売れなかったのは、「フロントマンの岸田さんが草野さんほどイケメンじゃなかったから」という説に一票を投じるね。

本作にはダルな曲も散見されるが、集中して聴くと、曲に込められたアイデアの豊かさに気持ち良くなれる。

オススメ曲はデビューシングル曲「東京」。こういう心の叫びがそのまま曲になったような曲は好きでして。失恋した帰りの電車で聴いた「東京」が忘れられないよ(いらない情報)。ベースを始めたての頃、この曲をコピーしようとしたのだけど、初心者には難しくて挫折した記憶があります(笑)。

スーパーカーがエレクトロに接近したように、この後くるりもエレクトロに接近する。そればかりか、クラシックや民族音楽にも接近して、音楽博覧強記なくるり。毎アルバムごとにカメレオンのように音楽性を変えていく。音楽に偏差値があるとしたら、くるりは日本最高の偏差値を誇るんじゃないかしら。

評価★★★★★

スーパーカー『スリーアウトチェンジ』(1998年)





「青い森」青森から出てきた4人組による青春のサウンドトラック。

「会いたくなぁれ、僕に」とか「子供の頃から夢に見てた空で/ステキな星には君の名前つけた。」など、小っ恥ずかしくなるような歌詞のオンパレード。

だけど、ライドやジザメリの影響を受けた淡いシューゲイザーサウンドのギターの上でナカコーやフルカワミキが平熱の歌声でこれらの歌詞を歌うと、小っ恥ずかしさが一周してクールになる不思議。

名曲「Lucky」収録。左チャンネルからリズムギターが聴こえ、右チャンネルのリードギターが続き、その後にリズム隊がインするイントロを聴いただけで、名曲感満載。フルカワミキとナカコーが交互にボーカルを取るが、男女がボーカルを取る青春感と後ろ向きの歌詞を歌うことのギャップの切なさが心に沁みる。

歌詞は雰囲気歌詞で具体的に何を指しているのか分からない。全般的に雰囲気歌詞だが、そのために不思議な空気を醸し出している点がシューゲイザーサウンドと相まって良かったのだろう。

しかし、雰囲気歌詞撲滅派の僕としてはそこがいただけなかった。メロディやアルバムの淡く霞みがかった世界観は好き。よって★4つ。

スーパーカーのベストアルバムを聴いていると、ギターロックからエレクトロロックに音楽性が変遷するところで、視界が開けるような革新性がある。リアルタイムで聴いていたリスナーは驚いただろうな〜。

評価★★★★