![](https://stat.ameba.jp/user_images/20181223/16/yoyo0616/76/9d/j/o0355035514325739583.jpg?caw=800)
ニューヨークを拠点に活動する日系シンガーソングライターが2018年8月にリリースした5作目となるフルアルバムの感想&レビュー。
影響を受けたアーティストとして、Wikiには、「日本人の母親の影響で中島みゆき、松任谷由実、山口百恵など1970年代の日本のポップ・ミュージックを好み、インスパイアされたアーティストとしてM.I.A、Björk、Mariah Carey、MICACHU、Jeff Buckley、椎名林檎を挙げる」と書かれている。
オープナーの「Geyser」などからは、ビョークからの影響を強く感じる。ビョークのダークな側面を浄化し、モダンにしたようなサウンド。
アルバム全曲に渡って、リスナーの僕を全く退屈させない「うた」が展開されていた。ここでいう「うた」とは、弾き語りでも訴求力を持つようなソングライティングがされている歌もののことである。特に、リード曲「Nobody」は、キャッチーに聴かせるミドルテンポのキラーチューンだ。
また、サウンドもデジタルと人力を上手く折衷させた凝ったサウンドで飽きさせない。
聴いた時期が早ければ、今年のベストアルバム10選に入れていたかもしれなかった。最高。
ところで、何が邦楽と洋楽を分けるのか。そして、邦楽だけのファンや洋楽だけのファンが存在するのはなぜか。
Mitskiは日系だが、海外を拠点に活動していることや国籍から洋楽に区分されるだろう。歌詞が英語だから洋楽という訳ではない。それだったら、歌詞が英語の日本人バンドは皆、洋楽であることになる。
邦楽と洋楽のサウンドの垣根もなくなってきている。Mitskiの音楽的なルーツも邦洋入り混じっている。グローバルに活動している日本人も多いし、歌詞の言語や国籍だとか、そんなことで聴いたり聴かなかったりを決めるのは、作品にとってはどうでも良いことなのではないかと思う。
邦楽だけのファンや、洋楽だけのファンには、世界が多様化して、ルーツが入り乱れ、グローバル化している現状が見えていないのではないか。アーティストの国籍だけで聴くか聴かないかを決めるのは、今の時代にそぐわないと思う。
ただ、邦楽には一種の音楽の傾向があるということも、僕は承知している。そして、その傾向が好きだと言う人も嫌いだと言う人も一定数いるのは、致し方ないことなのだろう。しかし、それではあまりにもったいない。
「Nobody」は、邦楽を好きな方にも聴いてほしい即効性と抗いがたいエレガントな魅力がある。サウンドは洋楽的だが、邦楽と洋楽の垣根を飛び越えるだけの力のある曲だと思う。
Score 8.0/10.0