ファンタジーの覗き方 (SEKAI NO OWARI 『スターライトパレード』) | とかげ日記

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【日記+音楽レビューブログ】音楽と静寂、日常と非日常、ロックとロール。王道とオルタナティブを結ぶ線を模索する音楽紀行。


SEKAI NO OWARI 『スターライトパレード』 Music Video (YouTubeから)
歌詞 うたまっぷ

2011年11月23日にリリースされたSEKAI NO OWARIのシングル『スターライトパレード』。
ロックのフィールドでポップをやると言っていた彼ら。
この曲はポップの一つの理想形だ。
何度聴いても完璧な歌に聴こえる。
夢見心地なキーボードの音色、一度聴いたら覚えてしまうキャッチーで即効性のあるメロディ。
系統は全然違うが、ビーチボーイズの"You Still Believe In Me"を思い出した。
あの曲も、眠れない夜に別世界の夢へと誘うようなパーフェクトな曲だった。

ただポップであるだけではなく、
「それはまるで僕たちの文明が奪った夜空の光の様に」
と歌詞の最後で重い言葉を投げかける。
重い言葉のはずなのに、明るくポップに響くのは、
『世界平和』や『虹色の戦争』などの曲と同じだ。

「あの世界」を夢想する歌詞の内容。
「あの世界」は星が降る眠れない夜に僕たちを連れて行ったという。
その世界へもう一度連れて行ってほしいと歌う。
「連れて行く」ではなく、「連れて行ってほしい」というあたりが、深瀬さんらしい。
非マッチョ的考え方というか。
「僕」ではなく、「僕たち」というのもポイントだ。
それにより、聴き手との一体感が増している。
『EARTH』収録の楽曲の歌詞は言葉の選び方が幼いと思える箇所もあったが、
この歌詞は完璧だと思う。始まりから終わりまで一分の隙もなくファンタジーだ。

神聖かまってちゃんが非リア充の現実の刃で僕たちをかき回すのなら、
そして、相対性理論が現実をファンタジーにして見せるなら、
SEKAI NO OWARIは、現実からファンタジーを覗(のぞ)く術(すべ)を歌っている。
「あの世界」が指す世界が何なのか分からないが、
その世界に連れて行ってほしくなる。
僕は、魔法にかかったようにこの曲に魅了されている。