頭痛 あれこれ -8ページ目

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

海馬とは


 人間の脳には、目や耳にとらえた情報の中から、関心のある物を一時的に保管しておく場所があり、この場所は「海馬」というところで、ここは「記憶の引き出し」で、人は、この「引き出し」に入れておいた情報を、必要なときに随時取り出します。ところが、年を取り老化すると「引き出し」の容量が小さくなり、出しにくくなってくるために、「物忘れ」が起きると説明されています。
 ところが、「認知症」では、この「引き出し」の容量が少なくなった段階を通り越して、「引き出しが無くなってしまった状態」を意味しています。
 要するに、「物忘れ」と「認知症」の違いは、この「引き出し」の”容量の程度の差”に過ぎないものです。
 この「引き出し」の容量が減少してくる原因にはさまざまなものがありますが、その多くは生活習慣の問題から引き起こされてきます。
 このように、物忘れは「生理的現象」のほとんどの場合、心配することはないと、一般的には従来から問題にされることはなく、「物忘れ」と「認知症」とは厳然と区別されるとされてきましたが、「単なる物忘れ(良性健忘)」と「認知症」との区別は明確ではなく、”連続したもの”と考えなくてはなりません。


新しい記憶は海馬に、古い記憶は大脳皮質に


 アルツハイマー型認知症になると、最初にダメージを受ける場所、それが海馬です。「海馬」は「記憶の引き出し」となる場所です。


  では、なぜ海馬が損傷すると記憶障害を起こしてしまうのでしょうか?


 大脳辺縁系の一部である海馬はタツノオトシゴのような形をしています。海馬は人間の脳のなかでも非常に重要なところです。
 人間が人間としての生活を送るために、生物が生きていくために必要な器官で、形、匂い、音などに関連した様々な情報を取りまとめて、物事を記憶する仕組みに重要な役割を果たしています。


 日常的な出来事や勉強などを通して覚えた情報は、海馬で一度ファイルされて整理整頓されます。
 その後、必要なものや印象的なものだけが残り、大脳皮質に溜められていきます。
 つまり、私たちの脳の中で新しい記憶は海馬に、古い記憶は大脳皮質にファイルされているのです。


 ですから、海馬が正しく働かなくなると、私たちは新しいことをうまく覚えられなくなってしまいます。
 つまり、昔のことは覚えていても、新しいことはすぐに忘れてしまうのです。
 アルツハイマー型認知症の方が、ついさっきのことを忘れてしまうのはこのためです。


睡眠と記憶


眠っているときに記憶は固定される


 海馬の神経細胞が活性化すれば、当然、記憶力や暗記力が高くなるということになります。しかし、それはとりあえず、短期的な記憶です。
 それを覚えておくためには、短期記憶が長期記憶にきちんと移行されて収められなくてはなりません。
 海馬の中の一時記憶は、時間の経過とともに大脳皮質全体のいろいろなところに移し換えられていくのです。
 ですから、海馬の大切な役割はとりあえず短期の記憶を蓄えて、その記憶を長期記憶に移していくことです。
 短期記憶の記憶が長期記憶に移行され固定されるのは、睡眠中と考えられています。
 眠ることによって、昼間の必要のない記憶を消して、大事な記憶だけを残すのだろうというのです。


 睡眠時間が極端に多い人や少ない人、不規則な睡眠時間の人は、高齢になった時に記憶障害が生じやすいことが分かっています。
 また、若いうちに質の良い睡眠を十分に確保し、海馬を発達させているかどうかが、アルツハイマー型認知症になった時の記憶障害の進行スピードにも影響すると考えられています。


 不規則な生活・・睡眠不足


   前回は「ミトコンドリアの機能の低下」に対する対策として、生活習慣では、「規則正しい生活」を心掛け、睡眠を十分にとり、運動不足にならないことと述べました。


 規則正しい生活がなぜよいのかは、睡眠の質がアップすることにあります。不規則な生活をしていると体内時計が狂ってしまい、夜きちんと眠くならなかったり、寝ても疲れが取れなかったりということが起こります。
 睡眠時間が十分とれなかったり、睡眠の質が下がってしまったりすると、体にさまざまな不調が起こる可能性があります。
 逆に言えば睡眠の質がアップすることで不調が改善され、さまざまなよいことがある!ということになります。
 また、認知症の人は、睡眠や排泄などの生活リズムが乱れると、身体の不調が原因で症状が悪化することがあります。
 良質な睡眠がとれるように、日中は適度に身体を動かすことを心掛け生活のリズムを整えることが大切です。


それでは、なぜ十分な睡眠が必要なのでしょうか?


 それは、活性酸素等で傷ついたミトコンドリアの修復は寝ている間に行われるため、その修復には睡眠が不可欠です。
 もしその傷が大きければそれだけ長い睡眠が必要になります。
 そうなのです、必要とされる睡眠時間は状況によって大きく変わるのです。例えば1日中テレビを見たり本を読んで過ごした日は6 時間の睡眠でいいかもしれませんが、殴り合いのケンカで死にそうになった日は15 時間でも足りないかもしれません。
 起きている間の活動で細胞が傷つき、寝ている間にそれを修復します。しかし前述したように完全には修復できないため徐々に傷が蓄積し、それが致命的な状態にまで達したときお迎えが来るわけです。つまり起きている間にできる傷が大きいほど睡眠時間は長くなって寿命は縮むのです。


  生活習慣に問題があるとか、ストレスをためているために、活性酸素等で傷ついたミトコンドリアを修復させるために、自然と睡眠時間が長くなりますが、過大なストレスにさらされている状態が持続していれば、傷ついたミトコンドリアは、長時間睡眠をとったにも関わらず、完全には修復されません。
  こうしたことから、日頃から「生活習慣の問題点を是正」し、「ストレスを貯めないための対策」が必要となってきます。
 このため寝不足は”論外”ということになります。


 嫌なこと、辛いことを眠って忘れると言うように睡眠中には心の修復、記憶(情報)の整理までもが行われています。
 記憶が整理され、定着するのは、深い睡眠中です。このため、睡眠が十分でないと、記憶の効率が悪く、学習機能は向上することはありません。このことは、物忘れを自覚した段階で念頭に置くべきことです。認知症まで進展した場合でも同様に言えることです。


睡眠中に分泌されるホルモンの役割


 夜、眠りについてから朝起きて活動を始めるまでに、体の中ではさまざまなホルモンが分泌され、大切な働きをしています。
 ノンレム睡眠中には、新陳代謝を活発にする成長ホルモンや免疫細胞同士の情報伝達の役割をするサイトカインなどが活発に分泌され、病原菌に対する抵抗力が強化されたりします。
 成長ホルモンは22時頃から活発になり2~3時頃にピークを迎えます。「寝る子は育つというように」、睡眠の深い子ども程たくさん分泌され、子どもの成長に重要なホルモンですが、大人にとっても体の修復に欠かせません。たんぱく質や骨などを合成する働きの促進、疲労回復、リンパ球の働きを活発にさせて傷の修復、お酒を飲んで代謝に使われた肝臓細胞の再生など、細胞を活性化させ、体全体のダメージを回復するホルモンです。


  女性にとってもこの4時間は、お肌のゴールデンタイムといわれ、肌の生まれ変わりが最も活発になり、熟睡によって皮膚の新陳代謝が促進され、肌がみずみずしく、つやつやしていきます。


 それでは、睡眠時間に関して最近一番よく聞くのが、6時間半~7時間半くらい、つまり平均して7時間くらいが良いということです。従って11時頃就寝し、6時頃起床するのが理想的と言われています。この点に関しては、本人にとって適正な時間であれば十分であり、それよりは起床時間と就寝時間を一定にさせることが最も大事な点です。


 適切な睡眠時間は、各人によって異なっていることを理解され、睡眠時間を適正に確保し、起床・就寝時間を一定にすべきです。これが最低限必要とされています。
 とくに、仕事の関係で十分な睡眠時間が確保できない状況においては、最低限、朝の起床時間を一定にする必要があります。

 
  以上、睡眠は、健康的な生活を送る上、さらに認知症を予防する上で、極めて大切であるかが理解して頂けたかと思います。


 とても興味深い発表がロチェスター大学の研究チームでなされています。それによると睡眠不足が認知症を招く原因の1つと発表しています。脳にたまった老廃物は睡眠で有毒な物質を掃除しているというのです。


 研究チームは、特殊な染料をネズミの脳の周りを流れる脳脊髄液に注入し、覚醒時と睡眠時で染料の移動スピードがどう違うかを調べた。すると睡眠中、脳の活動自体は減少しているのに、脳脊髄液の中における染料の移動は覚醒時よりも多くなったというのです。
 実際には、人間の脳の周囲を流れているのは染料ではありません。ベータアミロイドというタンパク質の一種です。ベータアミロイドは長い年月の間に蓄積され、アルツハイマー病の原因となると考えられています。
 これが脳から除去されないと、だんだんと経路が詰まってニューロンの伝達システムが崩壊してしまいます。そしてベータアミロイドの蓄積を防ぐ唯一の有効な手段が睡眠だ、というのが専門家の見方です。


  つまり睡眠不足は大きな認知症リスクだということです。


  「睡眠時間が短いと肥満になりやすい」ということが報告されています。
  確かに起きている時間が長くなると、ついつい食事や夜食の回数が増えてしまいがちです。
  ただ、その「つい食べてしまう」行動自体が睡眠不足によるものってご存知でしたか?


 睡眠不足が食欲増進につながるということを示したこんなデータがあります。健康成人男性1,024名を対象に、睡眠時間と食欲に関するホルモンの関連を調べた報告によれば、睡眠時間が短くなると、レプチン(食欲抑制ホルモン)の分泌が低下して、グレリン(食欲増進ホルモン)の分泌が増えることが示されています。
 つまり、睡眠時間が短いと食欲に関するホルモンのバランスが乱れて食欲が増進してしまい、肥満につながりやすいと考えられます。


  また、別の研究では、健康な20代男性12名を対象に、4時間睡眠で2晩過ごした後と10時間睡眠で2晩過ごした後で、食欲に関するホルモンの変化と食べ物の嗜好について調べています。
 その結果、4時間睡眠で2晩過ごした後は、10時間睡眠の後に比べ、レプチン(食欲抑制ホルモン)が低下して、グレリン(食欲増進ホルモン)が増えており、実際に空腹感や食欲も増えていました。


 さらに興味深いことに、4時間しか睡眠がとれなかった後は、10時間睡眠の後に比べ、ケーキやクッキー、アイスクリームなどのスイーツや、ポテトチップスやナッツなどの塩気の強いもの、パンやパスタなどの炭水化物が食べたくなるという傾向がみられました。

 
 睡眠不足で食欲増進、さらにスイーツや炭水化物が食べたくなる…睡眠不足は肥満の大敵といえそうです。


グレリンとは


 グレリンとは胃から分泌されるペプチドホルモンで、その働きは二つあります。


  1 食欲を増進させる
  2 成長ホルモンの分泌を促進する

 
グレリンが分泌されるのは、お腹が空いたときです。

 
 お腹が減ると胃からグレリンが大量に分泌され、脳に「お腹が空いたから何か食べなさい」と指令を出します。
 同時に成長ホルモンの分泌も促すので、グレリンが分泌されている時は成長ホルモンの分泌も活発になっているのです。
 「たくさん食べると大きくなるよ」と言われているのは、グレリンが作用し食欲が増進することで、成長ホルモンの分泌が活発になることが関係しているためで、実に理にかなったことなのです。

 
 グレリンが老化防止のカギを握るというのは、食欲増進作用の方ではなく、成長ホルモンの分泌促進作用の方にあるのです。

 

 では、なぜ成長ホルモンが若返りや老化防止のカギとなるのでしょうか。

 
若返り・老化防止と成長ホルモン

 
 若返りや老化防止に成長ホルモンがなぜ重要でしょうか。

 

 成長ホルモンは文字通り、成長に関するホルモンで骨や筋肉の発達に関わっているホルモンです。
 しかし成長ホルモンにはもう一つ、とても重要な働きがあるのです。それは「代謝」と呼ばれる、人間の体にある物質をエネルギーに変える働きです。
 代謝は、食べ物をエネルギーに変えて体を動かしたリ、古くなった細胞を排出して新しい細胞を作り出したリ、人間が生きていくうえで必要なすべての活動のことです。
  成長期の子供に成長ホルモンが必要なのはもちろんですが、このように代謝をつかさどるホルモンなので成人した大人にも必要不可欠なものなのです。

 
・成長ホルモンが出なくなるとどうなる?

 

 成長ホルモンが出なくなると、人はどうなってしまうのでしょうか。成長ホルモンは代謝にかかわるホルモンであり、代謝は人間のあらゆる健康にかかわっています。
  成長ホルモンが十分に分泌されていないと、次のような症状になって現れてきます。


   コレステロール値の上昇
   心疾患(心筋梗塞や狭心症)
   動脈硬化
   糖尿病

 

 成長ホルモンは、脂肪の分解をしたり、血中コレステロールを下げたりする働きがあります。
  このような健康被害は、成長ホルモンが十分に分泌されていないことでリスクが高まる可能性があるとされているものです。
  病気もそうですが、成長ホルモン不足は見た目の老化にも影響します。


   肥満
   筋骨量の低下
   肌荒れ

 

 体脂肪、とくに内臓脂肪が増えるためお腹周りが大きくなります。
  俗にいう、メタボリックシンドロームです。

 

 また、骨は一度できたら一生モノではなく、日々代謝で生まれ変わっています。
 成長ホルモンが足りないと、骨が弱くなり、骨粗鬆症や骨折しやすくなったり、また背が縮んでしまったりします。
 筋肉が衰えてくると、運動能力が低下して動きが鈍くなったり、姿勢が悪くなったりしていきます。
 さらに、肌荒れや肌老化にも成長ホルモンが大きくかかわっているのです。
 皮膚の汗腺というところに成長ホルモンの受け皿があるのですが、成長ホルモンが少ないと汗腺までたどり着けず、発汗量が減ることによって皮膚がカサカサに乾燥してしまいます。
 それに、皮膚はターンオーバーといって約28日サイクルで生まれ変わっていますが、ターンオーバーも成長ホルモンなくしてはできません。
 成長ホルモンが少ないとターンオーバーの周期が長くなり、古くなった角質がいつまでも残ってしまうので見た目にはシワやくすみとなって現れ、「老けている」印象を与えてしまうのです。

 
 成長ホルモンが不足すると、病気になりやすく、見た目的にも老化してしまうことがわかりました。
  ですから成長ホルモンの分泌を促すグレリンを増やすことが、老化防止のカギになるのです。

 

・グレリンが細胞の老化をストップ! 記憶力UPにも


 また、グレリンは記憶力の向上にも効果があります。

 
 今から約10年ほど前、アメリカ・イエール大学ホーバス博士の研究で、グレリンが記憶力の向上に効果的と発表されました。
 マウスを使った実験で、グレリンが脳の記憶をつかさどる「海馬」に作用して記憶力を高めることがわかったのです。
 実験では、グレリンの投与で海馬のシナプス(神経細胞)が30%増大し、活動が活発になったということです。
 
 このように、グレリンには食欲増進や成長ホルモン分泌促進だけでなく、いろいろな健康作用があることかわかります。

 

グレリンをたくさん分泌させる方法
 

 ここまで、グレリンの老化防止効果について説明してきましたが、最後にグレリンをたくさん分泌させる方法を述べます。
 

・お腹を空かせる

 
 グレリンは、空腹時に分泌されるホルモンです。
 お腹がグゥ~っと鳴ったらグレリンが分泌されているサインです。お腹が鳴ったからといってすぐに何か食べるのではなく、しばらくガマンしてグレリンをたくさん分泌させましょう。
 また、肥満の人はグレリンの分泌が少ないと言われているので、老化防止のためにも適正体重を心掛けるようにしましょう。


  もう一つ、空腹になることによって細胞が若返るしくみを説明します。


  私たちの体は約60兆個もの細胞が集まってできていますが、その細胞一つ一つにミトコンドリアというものが存在しています。
  ミトコンドリアは細胞の中でエネルギーを作り出し、若さや元気の源になるもの。
  ミトコンドリアは、エネルギーが不足している時や、もっとエネルギーが必要な時に活性化して増殖します。
  ですから空腹時というのは、ミトコンドリアが増殖するうえ、グレリン分泌も活発になるため、細胞から若返るのには最適な環境といえるわけです。


老化防止ホルモン「グレリン」

 
 グレリンの主な働きは食欲促進作用であるため、一見すると老化防止とは真逆のようですが、実はたくさんの老化防止・健康促進作用があることがわかりましたね!
 グレリンをたくさん分泌させる方法も、「お腹が空いた状態を維持する」だけなので簡単です。
  今日からグレリン分泌を意識して、認知症防止、アンチエイジングを心がけましょう!


 このように認知症を予防するには、生活習慣では、「規則正しい生活」を心掛け、睡眠を十分にとることが極めて重要になっています。


      生活習慣の乱れ → 体内時計の乱れ
                               ↓
                           肥満
                              ↓
                      生活習慣病 → 認知症へ


体内時計とは


 体内時計とは、私たち自身のからだ、臓器や器官がそれぞれもっている時計で、地球の自転(24時間)とは1時間ずれ、体内時計は1日25時間といわれています。この時間を調整し、地球の自転とあわせてくれているのが”朝陽”なのです。ですから、放っておくとリズムが崩れ、生活リズムが乱れていきます。そのリズムをもとに戻してくれるのが「朝陽」なのです。また、太陽の光は、脳の中にある視交叉上核から松果体を刺激し、セロトニンやメラトニンというホルモンをつくってくれます。


 このふたつのホルモンは、ミトコンドリアの天敵「活性酸素」を除去する働きがあります。メラトニンは睡眠ホルモンとして、セロトニンは心を鍛え、バランスを整えるホルモンとして、有名ですが、この二つとも、ミトコンドリアにとって天敵の活性酸素を除去する働きがあります。
  活性酸素は、細胞を傷つけたり壊したりする働きがありますので、ミトコンドリアだけでなくからだにとっても天敵です。朝陽を浴びることは、この活性酸素を減らすホルモンをだす効果もあるのです。


 セロトニンは、太陽の出ている日中に分泌されやすく、睡眠中は日が沈んでからは分泌が少なくなります。これはメラトニンの働きと関係していますが、人間が本来持っている生活リズムは『日中に活動し夜は寝る』と言うもので、この原則を守ることがセロトニン神経の活性化に効果的だと言われています。
  このため、早寝早起きの規則的な生活を心がけることが大切になってきます。
  セロトニンは、睡眠ホルモンであるメラトニンと相対する性質があります。
  セロトニンは脳の覚醒を促し、メラトニンは睡眠に作用します。
  メラトニンが分泌している間はセロトニンの分泌は少なく、逆にセロトニンが多く分泌されている間はメラトニンの分泌は少なくなります。
  太陽の光(のような非常に強い光・明かり)を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌がストップし、代わりに脳の覚醒を促すセロトニンの分泌が活発化されるのです。
  昼夜逆転の生活をしていたり、日中部屋の中にばかりいると、セロトニンとメラトニンの分泌のバランスが崩れ、不眠症になったり、認知症を悪化しやすくしてしまうのです。
  毎朝日光を浴びる行為は、セロトニンを鍛えるだけで無く、生活リズムを整えることにもつながります。
  できれば、紫外線が強くなる前の時間帯、日の出から8時までの間が良いでしょう。
  時間は5分~15分ほどで構いません。両手を広げ、全身で朝陽を浴びてみましょう。
  外に出るのが苦手な方は、カーテンを開け、部屋の中でも構いません。
  全身に光を浴びることを意識し、できれば「気持ちいい~」と言葉に出してみましょう。
  そもそも地球上のほとんどの生物は太陽のエネルギーなくては生きていけません。
  この自然の恵みを全身に浴びることで、ミトコンドリアの遺伝子(DNA)のスイッチがオンになると同時に、脳の中では、視交叉上核というところが反応し、体内時計がリセットされます。
  このように早起きをし、朝日を浴びる習慣を身につけましょう。

 
運動すると、なぜ認知症予防になるのでしょうか?


 今まで、認知症の原因として一番有力視されていたのが「老人斑」。
 これは、アミロイドβというタンパク質の一種で、脳の中にできるシミのようなものです。


  ところが、原因はそれだけではないことがアメリカ・ミネソタ大学の研究で分かってきました。


  認知症の人と、そうでない人の脳を死後解剖して観察したところ、脳に老人斑がかなりできていても、生前、認知症を発症していなかった人が3人に1人いたそうです。
  脳の働きをよくするのに重要なホルモンは、いくつか知られていますが、その中でも一番重要といわれるのが、BDNF(脳由来神経栄養因子)です。
  このタンパク質の一種「BDNF」が脳内に多いと、海馬が大きくなり、老人斑があっても、認知症を発症しなかったというのです。
  通常は、加齢とともに、BDNFレベルは下がっていきます。
  アルツハイマー病の脳の海馬は、このBDNFレベルが非常に下がってるのが特徴です。
  BDNFレベルが下がると海馬は萎縮していきます。これが、アルツハイマー病の引き金となります。
 反対に、脳内にBDNFが増えると、神経細胞の破壊が止まり、海馬が大きくなっていき、記憶の減退やアルツハイマー病の発症を防ぎます。
 これほど素晴らしい作用をもつBDNFですが、ナント!運動によってBDNFが増えることが分かったのです。

 
 米国カリフォルニア大学のカール・コットマン教授は、ネズミのカゴに車輪を入れて、1週間ネズミを毎晩走らせました。走ったネズミは、走らなかったネズミに比べて記憶力テストで頭が良いことが分かりました。
  しかもネズミの海馬を比較すると、運動したネズミはBDNFレベルが上がっていたのです。ネズミは、走る時間が長くなるほど、BDNFレベルも上昇していました。

 
 このネズミの実験で、運動によってBDNFが増えることが分かり、その後、人での研究も進み、次のことが分かってきました。

 
★人間の脳内のBDNFを増やす方法

 
 1.適度の運動(有酸素運動)
 2.頭を使うこと


 上記の2つを組み合わせて行なう運動が、たとえば暗算(100から3を引き算)しながらの早歩きや、音楽に合わせての軽い運動になります。


日常生活で身体を動かすことが認知症予防


  ウォーキング(早歩き)、ジョギング、サイクリングなどの定期的な運動は、認知症予防に効果的ですが、日常生活でのこまごまとした動作も、それぞれの小さな動きが積み重ねられることで、認知機能が高まります。
 

 米国の80歳代の健常な高齢者500人に、腕に特別な装置を10日間つけてもらい、1日の活動量と認知機能テストとの関連性を調べました。
 すると、1日の総活動量が高いほど、認知機能テストのスコアが高かったのです。これは年齢、性別、体重などに関係なく同じ結果でした。
 この結果から日常生活での小さな動きであっても、それが積み重なれば、運動と同じ効果を脳にもたらすということが分かります。


有酸素運動で認知症予防


  認知症を予防する方法として、有酸素運動が有効視されています。
  ここでは、年齢に関係なく適度な負荷で手軽にできる有酸素運動と認知症と関係について説明します。


有酸素運動とは


 有酸素運動とは、読んで字のごとく呼吸により酸素を利用して行う運動のことを言います。運動の強度自体は強くありませんが、継続して筋肉を動かし、そのエネルギーを生み出す材料として酸素が使われるのです。つまり酸素を取り入れた運動、強度が弱い持続的運動が有酸素運動だということです。

 一般的に知られている有酸素運動の効果は、体脂肪燃焼によるダイエット効果ですが、それだけではありません。血流を促進することによって、脳の機能向上、目の健康維持、心疾患予防、うつ病予防にも効果を発揮することが分かっています。具体的な有酸素運動とは以下の通りです。

 
 ・ウォーキング
 ・ジョギング
 ・水中ウォーキング
 ・水泳
  ・ヨガ
 ・踏み台昇降運動
  ・エアロバイク


有酸素運動が与える認知症への効果


 有酸素運動は、認知症の予防にも効果を発揮します。

 

 米イリノイ大学の研究チームのデータによりますと、有酸素運動は脳機能の低下を防ぎ、脳を若く保つ働きがあることが明らかにされています。
  有酸素運動を行う事で持続的に酸素を体内に取り入れる事こそが、認知症予防に有効とされる理由です。酸素は血液によって運ばれ、その血流増加は脳にも派生し、脳の血管に新鮮な酸素を含んだ血液が送り込まれます。
  脳内の血液が豊富になる事によって、脳の神経細胞であるニューロンが新しく作られます。そして、神経細胞同士を結び付ける働きを持つシナプスは脳機能に非常に重要であり、酸素が多く脳に送られると事で活発に働き、記憶力を増強させるのです。
 また、脳内の血流増加により、傷ついて機能しなくなった毛細血管の代わりに新しい毛細血管も作られていきます。
 そうすることで、脳の記憶を司る海馬の脳内ネットワークがうまく機能しなくなることで起こる認知症を予防することが出来るのです。


 有酸素運動の取り入れ方


 認知症予防に行う有酸素運動は、まずは1日10分程度の時間で気分転換になりそうな軽いものから始めましょう。
 例えば、ウォーキングなどを行うのもたった1人で行うのではなく、出来ればご家族や友達と会話をしながら歩くことが有効です、会話をすると、その分負荷がかかり酸素を多く身体に取り入れる事が出来るからです。
 また、外に出て歩くことで、周りの景色が変化し、それに合わせて目から入ってくる情報を脳が判断する為に働くという効果も見込めます。
  慣れてくれば、毎日ではなく週に2~3日1回約30分の有酸素運動を取り入れて行きましょう。


 筋トレで認知症予防


  筋肉を動かすことは、脳の神経伝達をスムーズにし、かつ海馬の神経細胞を新しく作ることが出来ます。ここでは筋トレについて説明します。


筋トレと脳の関係


  筋トレを行う事は身体を健康に保つだけではなく、脳をトレーニングすることにも繋がります。これは脳と筋肉との関係を知れば分かります。
  私たちが身体を動かす時に筋肉に指令を出しているのが脳なのです。また、運動をした後に感じる筋肉痛は、逆に筋肉からの電気信号が脳に神経回路を通じて送られているのです。


 つまり、筋肉を動かしてやる事で、脳内の神経細胞であるニューロンからの情報伝達機能が繰り返し使われることとなり、脳のトレーニングへと繋がるのです。
 また、記憶を司る海馬は65歳を超えると1年で約1%萎縮し、その機能が減少してしまうと言われています。
 しかし、筋トレを行う事で血流が促進され、海馬内の神経細胞が新しく作られ、かつ海馬が大きくなったというデータもあります。
 筋トレによって脳の伝達機能をトレーニングし、海馬内の神経細胞を常に鍛える事で認知症予防につなげる事が出来ます。


 筋トレの効果


  筋トレというと、若い子がするものというイメージを持たれがちですが、いくつになっても筋肉は鍛える事が出来ます。
  まずは筋トレが持つ様々な効果について見て行きましょう。


・体幹バランスを保つ


 年齢ともに失われがちな身体を支える中心部の筋肉をいつまでも元気に保つことが出来ます。また体幹バランスが崩れると、背中が曲がる圧迫骨折も起こりやすくなってしまうのです。

 

・骨粗鬆症予防


 骨は適度な振動が加わることで強くなり、骨密度が上がります。カルシウムといった骨の材料の成分を取ることはもちろん、筋トレで骨に負荷を与える事で骨粗鬆症も予防できます。


・冷え症改善


  筋肉が落ちてくると、顕著に表れてくるのが手足や身体の冷えです。冷えを感じるとますます動くことが億劫になる為、万病のもとと言われる冷え症を進行させてしまうのです。

 
簡単筋トレメニュー


・大腿四頭筋トレーニング


 背もたれがある椅子に腰かけ、片足ずつゆっくりと膝を伸ばし、ゆっくりと元に戻します。これを1セット=10回連続して、まずは3セットを片足ずつ行いましょう。
  これで鍛えられるのは太ももの前側の筋肉です。スクワットで鍛える方法もありますが、体重が膝にかかる分、膝への負担が大きくなりますので、この方法が優しく確実に鍛えられます。


 少し負荷をかけるには、鍛える側の足の裏を床から浮かし、出来るだけゆっくりと曲げ伸ばしをしましょう。また、より効果を出す為には、鍛えている筋肉を意識することと呼吸を止めない事です。
 どこの筋肉を動かしているかという事に集中することでより、脳からの神経伝達がスムーズになります。また、呼吸をしながら鍛える事で脳にも筋肉にも酸素を送ることができ、より効果が高まります。
 下半身には全身の筋肉の約3分の2が集中していますので、この方法を用いて無理なく脳トレへと繋げましょう。


運動の認知症予防効果  


  適度な運動は、脳の老化を食い止め認知症を予防します。
 

・運動は、軽い運動(有酸素運動)でOK!
・少し息があがるぐらいの早歩きのウォーキングなどを1日30分程
・週3~4回するのが理想的。
・簡単な暗算をしながらの早歩きなど、2つのことを同時にやりながらの運動が効果的。
・音楽に合わせて身体を動かすのも効果的。
・その他にも日常生活の中で、こまめに身体を動かすことも大切。


 認知症予防に運動はどのくらい効果があるでしょうか?
 

 認知症予防における運動の効果は、人を対象にした実験データによると、かなりの効果がすでに実証されています。
 高齢者の方々に1年間軽い運動を行なってもらったところ、80%の人達に認知機能の改善が見られました。
 また運動に音楽を組み合わせた音楽体操を1年間高齢者の方々に行なってもらったところ、運動のみの場合よりも、より高い認知機能の改善が見られました。
 音楽に合わせて運動をすることは、音楽のリズムやテンポを理解し、自分の身体を音楽に合わせて動かし、さらに音楽に身体の動きが合ってるかどうかを即時に判断しなければいけないので、複雑な脳の働きを必要とします。
 このように運動だけでなく、運動と同時に他の思考回路も使うほうがより高い認知機能を得られるといいます。


  また運動の種類と時間については、10分間ほどの軽いウォーキング(有酸素運動)でも脳の認知機能が高まることが分かっています。

 ウォーキングの場合、息が少し上がる程度の速さで、しっかりと心拍数が上がることが大切です。

 

認知症患者数は近い将来には世界で一億人


 世界保健機関(WHO)の発表によりますと、現在(2013年)、世界の認知症を患っている人は3500万人以上います。毎年770万人が新たに認知症を発症し、認知症患者数は増え続けています。
 このペースでいきますと、2030年には2倍の7000万人以上になり、2050年には1億人を突破し、1億1540万人にまで増加するといいます。実際に詳しく調べるともっと多いのかもしれません。


世界の認知症対策


 認知症というのは誰もが患う可能性のあるとても身近でいて大きな病気です。
 しかし、先進国でもその対策や早期の診断が十分ではありません。

 認知症は早期に発見されれば適切な対処で、長い間良い状態を維持できる病です。ただ、早期の状態の場合、病院での診察の時だけなぜかうまく質問にこたえることが出来る患者もいる等、様々な患者がいるためか、診断が難しく、なかなか適切な診断が出せていないのが現状のようです。
 世界で1億人を超す勢いで増え続ける認知症患者数。介護者も含めると倍以上の人が認知症に関わることになります。
 介護をする者(主に家族)は、仕事を辞めなくてはならない場合も多く、経済的にも、精神的にも、肉体的にも重くのしかかってしまいます。
  国際アルツハイマー病協会のMarc Wortmann氏は、もっと社会的にこの病の認知度を高め、理解を促してこの病の不名誉なイメージを縮小していくことが重要と話しています。
 世界各国でもその対策が急がれています。


認知症患者は全国推定患者数462万人


 厚生労働省が2012年に発表したのが305万人でした。2013年の調査では、過去4年にわたって厚生労働省の研究班が行ったもので、本人との面接に加えて医師の診断を行うなどし、精度を高めたものです。その推計が2014年に発表されました。
  その数は462万人です。2012年の全国の高齢者の数は3079万人。今回の調査では、高齢者の15%が認知症という診断結果となり、3079万人の15%である462万人という数がはじき出されました。
 高齢者とは65歳以上のこと。60代、や70代前半で認知症になる方はまだ少ないですから、その先、年を重ねることがこの病のどれほどのリスクとなっているか想像できます。
  85歳以上となると40%以上の人がが認知症と診断されます。
  その他の病を考えれば異常なほどの高い数字です。


厚生労働省、認知症施策推進「オレンジプラン」を発表


 厚生労働省は2015年1月27日、認知症施策推進「オレンジプラン」を発表しました。このプランの基本的考えは「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で、自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」というものです。
 

 団塊の世代が75歳以上となる2025年には65歳以上の高齢者5人のうち1人に相当する約700万人が認知症またはその予備軍になっていると見積もられており、認知症患者にとって住みやすい社会づくりが急務となっています。 オレンジプランは、下記7つを柱としています。

 
① 認知症への理解を深めるための普及・啓発の促進
② 認知症の容態に応じた適時適切な医療・介護等の提供
③ 若年性認知症対策の強化
④ 認知症の人の介護者への支援
⑤ 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
⑥ 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
⑦ 認知症の人やその家族の視点の重視


  厚生労働省が発表したオレンジプラン関連の当初予算案によると、認知症患者の介護を支えるための医療・介護保険に約27兆円、介護施設の整備に約423億円と、予算をそれぞれ振り向ける方針とされています。

 
 このように、認知症患者さんの介護を中心とした対策しか現段階では行われていないことを意味しています。これでは、いつまでたっても後手・後手になってしまいます。
  前回は、「物忘れ」が気になる人に対して、その対処の仕方について述べました。


脳を若返らせるには運動と脳トレ


 脳を若返らせる、活性化するには、運動と脳トレが重要です。


  運動では、歩くことや有酸素運動が認知症予防に非常に高い効果を持つことが研究者たちから発表されています。
  脳トレでは、ゲームが認知症に効果があるとか、紙ベースのパズルや計算問題などで認知症の症状が緩和した、予防に高い効果を示したなど、様々な研究の成果が出ており、日々発表が行われています。


  現在のところ、認知症を治す治療薬は見つかっていません。
  治療薬がないのなら、運動や脳トレなどで緩和や予防をする事を意識して、自分自身を守るしかないでしょう。


  認知症は発症する20年前から始まっているといわれ、高齢者の病と思って油断すると後で後悔することになるかもしれません。
  若年性認知症の患者は全国で4万人弱。把握されていない患者数を含めると10万人ともいわれ、若いうちから注意しても決して損はありません。


  認知症はまずは予防することが重要ですから、普段からできる範囲で運動と脳トレを取り入れてみてください。


  このように、認知症は予防することが極めて重要になってきます。


認知症予防に対する基本的な考え方・・前回も述べましたが・・


  アルツハイマー型認知症は、患者さんの脳にアミロイドβという異常なタンパクが付着し、徐々に脳神経を壊していく病気です。
  脳のしみ、老人斑などとも言われますが、脳を壊していくので非常に”たちが悪いしみ”だといえます。
  アミロイドβによって、患者さんは、それまでできていた能力、記憶や見当識、思考力、判断力などを失います。
  そのため徐々に自立した生活が営めなくなり、介護の助けがないと生きていけなくなります。
  なぜ体内でできたタンパクが、自分自身を傷つけるのかについてはまだ詳しいことはわかっていません。
 ただアミロイドβは、単独ではなく、アルコール脱水素酵素(ABAD)というタンパクとミトコンドリア内部で結合することで毒性が発現し、神経細胞を壊すことがわかってきました。
 この時、ミトコンドリアでは、エネルギー生産の低下や二重になっている膜の透過性が下がるなど著しい機能の低下が観察されているため、ミトコンドリアに原因があると考えられるようになりました。


  こうして脳の神経細胞がアミロイドβによって壊され、アルツハイマー病が進行していくのですが、現在のところ進行を緩やかにする、あるいは周辺症状を多少改善する薬があるくらいです。
 現代の医学では、原因となるアミロイドβを除去すること自体や毒性を消すこと、さらに作らないようにすることも出来ません。


  しかし、ミトコンドリアの機能が低下することによってアミロイドβが毒性を持ってしまうのなら、ミトコンドリアの機能を改善することでアミロイドβの沈着を防ぎ・毒性を抑えることができる可能性があります。


  これからまだまだ、研究・実験を繰り返す必要があるなか、アルツハイマー型認知症の改善に期待できるとされているのが”ミトコンドリアを元気にし、増やす”ことです。
  ここに、認知症を予防する可能性が秘められています。


  「抗酸化物質」・抗酸化食品を積極的に摂取し、ミトコンドリアを弱らせる要因を取り除き、ミトコンドリアの機能を改善させることによって、認知症の予防・治療が可能となってきます。


  アルツハイマー認知症は、立派な生活習慣病です。

 

 若年化しており20代の若者の患者もいます。
  一つの原因は食の欧米化によって脳細胞で使われたタンパク質の燃えカス(メタボリック)アミロイドβタンパクの蓄積による脳細胞の萎縮です。
  そして、有害ミネラルであるアルミニウムの脳の蓄積によるものが考えられます。

 

 最近では、アルツハイマー病は脳の糖尿病であるという研究報告が次々に出され、アルツハイマー病は、3型糖尿病と呼ぶこともあるほどです。糖尿病の人は、アルツハイマー病になりやすいことは前から言われていました。
  糖尿病や低血糖症で、血糖がうまくコントロールできない状態が続くと、記憶力の低下が始まり、アルツハイマー病の特徴でもある脳の海馬の萎縮が始まるといわれています。
  さらに、糖質を減らして、食後の血糖値の急激な上昇を抑える生活を続ければ、血糖コントロールもできるようになり認知症予防になるというわけです。早食い・ドカ喰いは食後の血糖値の急激な上昇を引き起こすことになります。
  しかし極端な糖質制限も、あまり良くないといわれます。そこでオススメなのが、ご飯をいつもより少し減らすこと。それが習慣化すれば、少しずつでも糖質を減らしていくことができます。


ミトコンドリアの機能を悪化させる要因


  ミトコンドリアの機能を悪化させる要因として、以下のものがあります。


1.生活環境の問題


  活性酸素・・抗酸化食品の摂取不足
   有害物質の摂取・・デトックスを怠る


2.生活習慣の問題


   睡眠不足・・睡眠の重要性
   運動不足
   食べ過ぎ・過食
   インスリン過分泌・・早食い・ドカ喰い
   薬剤による影響・・病気を治すために使われる薬剤


3.食生活の問題


   マグネシウム不足・・マグネシウムの重要性
   鉄・葉酸不足
   必須脂肪酸の摂取のアンバランス 


「ミトコンドリアの機能の低下」に対する対策として、


  生活習慣では、「規則正しい生活」を心掛け、睡眠を十分にとり、運動不足にならないことです。
  食事摂取については、過食・食べ過ぎに注意し、早食い・ドカ喰いのようなインスリン過分泌を来す食事の摂り方はよくありません。ゆっくりと・よく噛んで食べましょう。


  食事の内容は、以下のような内容が勧められています。


   1) 加工食品・インスタント食品をできるだけ減らす
   2) 脂肪・油をできるだけ減らす(オメガ3を摂る)
   3) 肉・乳製品・卵を摂らないか、ごく少量にする
   4) 砂糖をごく少量にする。白砂糖を摂らない
   5) 主食を精製度の低い穀類にする。雑穀を加える
   6) 豆類を摂る。種子・ナッツ類を摂る
   7) 野菜をたっぷり摂る。果物を摂る。海藻を摂る
   8) 魚貝類を少量摂る
   9) 発酵食品を常に摂る
   10) 食材・調味料は自然で新鮮なものを使う


 これに加えて、マグネシウム不足・必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランス・鉄不足・野菜不足に配慮することが大切です。
  必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランスは、ミトコンドリアの機能の悪化に繋がるため極めて重要になっています。
  結局、”バランスよく摂取する”ことが重要になっています。
  生活環境によって生み出された活性酸素および有害物質などの外部の生活環境要因に対しては、活性酸素を除去させるためには、抗酸化食品である野菜や果物を十分に摂取することです。
 そして、有害物質に対しては、避けれるものは極力避けるべきです。避けられないものは当然ありますので、デトックスが必要になります。
 このためには、水分を十分に補給し、食物繊維を摂取し、デトックス効果の高い食品を摂取するように努めることです。

 このように、「食事内容」が極めて重要になっています。


ミトコンドリアを効果的に増やすには


   運動をして筋肉の量を増やせばミトコンドリアの量も増え、 体全体のミトコンドリアの働きも活性化します。
  1分間の軽めの運動と30秒間の強めの運動を繰り返すサーキットトレーニングが、ミトコンドリアを増やすのに効果的とされています。
  毎日の生活習慣や運動時でミトコンドリアを増やすにはコツがあります。例えば、ミトコンドリアは持久力を司る筋肉に多く含まれると分かっていますから、筋肉痛にならない程度の運動を行うことです。ここが一番大切な点です。決して無理をしないことです。


  <背筋を1分間伸ばす>
  <毎日1分片足立ちをする>
  <短時間で効果的な有酸素運動>
  <古来伝わる不自然な動き>
  <寒中稽古、サウナ後の水風呂>


  背筋を伸ばす、片足立ちを行う。この二つを習慣化するだけで1週間で体の調子が変わってくることを実感できるでしょう。先ずは、ほんの少しの努力でミトコンドリアを増やす習慣をつけることから始めてみてください。


  以上が、認知症予防の原則です。

 


  認知症の予防を考える際に、なぜ、認知症が増加の一歩を辿っていくのでしようか。確かに、平均寿命が延びたことにも原因があるかもしれませんが、若年性認知症の患者は全国で4万人弱は存在することから、一概に高齢者だけの病と思って油断すると後で後悔することになるかもしれません。


  そこで、認知症予防を考える際に、なぜ、認知症が増加の一歩を辿っているのかを考えてみることも、あながち無駄なことではありませんので、まず、これから・・


なぜ、認知症は増加してくるのでしょうか


1.活性酸素の問題


身の回りは活性酸素を生み出す要因だらけ


 実は活性酸素は、私たちが生きていく上で、どうしても発生してしまうものなのです。
 私たちが体に酸素を取り込み、消費する過程で活性酸素は自動的につくり出されます。 激しい運動をしているときはもちろんのこと、仕事や家事などをして普通に生活しているときも、くつろいでいるときや眠っているときも発生するのです。
  私たちは生きている限り活性酸素から逃れることはできません。
  太古、地球の生物が酸素を体に取り込んで生きるようになったときからの、宿命といえるかもしれません。
  もちろん活性酸素が体の中で増える一方だと、人間はたちまち死んでしまいます。
  そのため、私たちの体は活性酸素を取り除く手段を持っています。
  ただ、この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、病気(認知症)や老化が起きるのです。大量発生のきっかけにはさまざまなものがあります。
  体が傷を受けたり、ウイルスが侵入したときもそうですし、太陽光線も原因になります。
  これらは昔から、私たちの体に活性酸素を発生させる原因になってきました。
  その上、現在では、更に活性酸素を発生させる原因が増えています。
  それが食品添加物や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質であり、大気中の有害物質や放射線などです。これらの原因は、昔にはなかったものです。
  豊富な栄養をとっているにもかかわらず、現代人に病気が多いのは、このことが原因ではないかと言われています。
  ウイルスや細菌は、病気を引き起こす元凶ですが、これも活性酸素発生の原因になります。これらの外敵が入ってくると、白血球が出動してきて外敵を殺そうとします。
  このときの武器が活性酸素なのです。白血球が敵の数に合わせて、びったり適量の活性酸素しか出さなければいいのですが、白血球は外敵を確実にやっつけるために必要量を上回る活性酸素を作ってしまいます。その余分な活性酸素が、まわりの細胞まで傷つけてしまうのです。体にとっての異物は、ウイルスや細菌ばかりではありません。
 実は、病気を治すために飲む薬や、空気中に存在する有害物質、そして食品添加物や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質も、体にとっては異物なのです。
 これらのものは、つい最近まで、人類の体内に入ることはなかった物質なので、体は異物と理解してしまうのです。
 そして、異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程でも、活性酸素が発生してしまうのです。
  このように特に、現代の科学や文化の発達が生んだ数々の人工的な要因が、私たちを更に蝕んでいることが伺えます。
  薬や食品添加物の氾濫、農薬の普及、排ガスによる大気の汚染、水の汚染、原子力の利用による放射線被爆、電気製品による電磁波・・・・・生活環境の変化、破壊はすなわち体内での活性酸素の大量発生に繋がっているのです。
  昔から受けてきた紫外線にしても、オゾン層の破壊により、増加し続けています。
  こうした要因は、ほんの数十年の間に急速に増えてきたものです。
  私たちの体の働きは、太古から少しずつ作られてきたものですから、この数十年の変化には着いていくことができません。


  体の中には活性酸素を取り除く働きもありますが、人間のミトコンドリアは、活性酸素の発生源が今よりずっと少ない時代につくられていますから、新しい要因が生み出す過剰な活性酸素まで取り除くことはできない状態にあります。
  活性酸素を作り出す原因がこれだけ増え、体の中には対抗する手段が充分にはないとすると、私たちの体の中には、過剰な活性酸素が存在しているということになります。
  これが現代人の体をむしばみ、病気をつくり出しているのです。
  食物の豊富な国に住み、快適な暮らしをしているにもかかわらず、現代社会に暮らす日本人は病気から逃れることができません。
  ガンや糖尿病、心臓病、認知症などの成人病の発生が増えているのも、昔はあまりみられなかった喘息や花粉症、アトピーなどのアレルギーが増えているのも、環境の悪化による活性酸素の増加が原因と考えられます。


 日本は長寿大国となりましたが、長寿を謳歌している人の多くは、活性酸素を発生させる要因が少ない時代に育っていることを忘れてはいけません。
  また、昔の日本人の食事は活性酸素を取り除くために理想的な食事ともいわれています。 活性酸素の発生要因に囲まれ、欧米風に変化した食事をとって育っている若い人や子供が、長生きできる保証はどこにもないのです。


2.有害物質の問題


  私達は、知らないうちに「有害物質」を口にしています。「公害」は過去のものではなく、有害物質は海底などに堆積する形で残っていますし、単位面積あたりの農薬の使用量の多さ、何でも焼却処分することから発生する大気汚染などはそのままです。
  最終的に有害物質は、海の生物達に蓄積され、それを最後に人間が食べています。
  私達の体には解毒機能が備わっているのですが、これらの有害物質は代謝されませんので体内に蓄積されていきます。その量が限界を迎えると、さまざまな症状となってあらわれます。
  有害物質となるものは、添加物入りの食品や、農薬を使った野菜などです。 
  食品には、添加物を使ったものがたくさんあります。このような有害物質になるものを体に取り込まないことが大切です。現在は、無農薬野菜なども販売されているので、うまくそういうものを利用していくことが大切なのです。さらに、この有害物質となっているダイオキシンなどは、しっかりと、水洗いすることや火を通す作業を行うことによって、かなりその量が減少します。これが、環境ホルモンから体を守っていくためにできることのひとつです。
 これらの有害物質が体内に多く残っていますと、全身の細胞の代謝が低下します。中でもエネルギー代謝に働く細胞内のミトコンドリアが有害物質の害を受けることによって「酸化ストレス・炎症体質」を形成させてきます。有害物質ゼロが理想です。


  先述のように、アルツハイマー型認知症は、有害ミネラルであるアルミニウムの脳の蓄積によるものが考えられます。


  昔から日本の紀伊半島南西部からグアム島にかけての地域には、ALS・パーキンソン病・アルツハイマー型認知症の3つの神経難病が多発していることで知られます。
  そこで東大の白木博士は紀伊半島~グアム島の地質・水・農作物などぼ分析調査を行いました。
  するとカルシウムとマグネシウムの含有量が極めて少なく、逆にアルミニウムが大変多いということが分かりました。
  ただし一般的にはアルミニウムは神経にとって有害なので、脳の血液脳関門という体内のバリアを通過しません。
  ところが白木博士はある条件下ではアルミニウムなどの有害物質が血液脳関門を通過して脳内に入ることを確認しました。
  その条件がまさにカルシウムとマグネシウムの不足です
 白木博士はサルにアルミニウムを与えるという実験をしました。
  アルミニウムを単独で投与した場合は神経細胞の中には侵入しませんでしたが、体内のカルシウムとマグネシウムを欠乏状態にした場合はアルミニウムが簡単に通過したのです。
  その原因はカルシウム・マグネシウムを中心としたミネラル不足であったということです。


  私たちの生活の身の回りにはアルミを使ったものが実に多く存在しています。むしろ生活の一部と言っていいものもあります。
  アルミ缶、アルミホイル、ベーキングパウダー、調理器具、消化制酸剤、食品包装材、食品添加物(着色料)、制汗剤、ワクチン、リンゴジュース、タバコ、酸性化した土壌、1円玉の材料。
  医薬品では、医療用マーロック顆粒、タイメック顆粒など他にも同一成分でいくつか出ています。OTCでミルマグなど多数あります。


  アルミニウムを遠ざける事(アルミ製の鍋・やかんなど)も大切ですが、それ以上にカルシウムやマグネシウムの多い食べ物を積極的に摂ることのほうが重要です。


3.マグネシウム不足の問題


■ 食生活の欧米化でマグネシウム不足となり糖尿病が増えた


 日本人は、あまり太っていない人でも糖尿病の発症率は高く、原因は食事の欧米化やファーストフードの普及、ミネラルを多く含む自然塩から精製塩に替わったことでマグネシウム(Mg)の摂取量が減り、インスリンの効きが悪くなったことがあることがわかってきました。


マグネシウムにはインスリンの働きをよくする効果があります。


 日本人のマグネシウム不足の原因として考えられるのは「食生活の“半欧米化”」と「精製塩の過剰摂取」です。
 戦後、日本人の昔からの伝統的な食生活が大きく変化し、特に大麦や雑穀などの全粒穀物の摂取が減りました。逆に高脂肪、高カロリーの摂取が増え、結果としてマグネシウムの摂取量が減少したと考えられます。


  また、日本では1972年に塩田法が廃止されるまでは、精製されていない粗塩(あらじお)が多く使われていました。粗塩にはマグネシウムをはじめとするミネラルが多く含まれます。また、ライフスタイルの変化に伴い、外食やファストフードを利用する習慣が増え、日本人は塩分を摂り過ぎています。塩分の過剰摂取により、体内からのマグネシウムの排泄が増え、マグネシウムはさらに不足気味になりました。


それでは、これ以外の、マグネシウム不足の原因は何でしょうか?


  次のような身の回りの生活環境は、容易にマグネシウム不足を起こしてきます。

 

   ・ストレス
   ・アルコールの飲み過ぎ
   ・毎日の牛乳摂取
   ・激しい運動や暑すぎる環境
   ・食材のマグネシウム含有量が低い
   ・白米小麦粉など精製食品の摂取
   ・白砂糖の摂取
   ・加工品や清涼飲料水の摂取
   ・食品添加物や農薬等の摂取
   ・エストロゲン過剰(環境ホルモン含む)
   ・食の欧米化
   ・生理時には・・
   ・ドカ喰い、早飯・・インスリン過剰分泌


   などなど。。。


マグネシウムとカルシウムの関係


  カルシウムには筋肉を「収縮させる」作用があります。マグネシウムは筋肉細胞内のカルシウムをポンプで汲み出すように排出することから、収縮した筋肉を「緩める」作用があります。カルシウムとマグネシウムは、このように常に相反的に作用し、通常はカルシウムイオン濃度が適正に維持されています。
  しかし、細胞内のマグネシウムが著しく不足すると、カルシウムイオンを細胞外に排出するカルシウムポンプの調整機能が働かなくなり、筋肉は収縮状態(緊張した状態)が続くことになります。その結果、こむら返りを起こしたり、瞼がピクピクと痙學したりするなどの症状があらわれます。
  さらにマグネシウムの不足が進むと、筋肉細胞内のカルシウム濃度が高くなり過ぎて筋肉の伸縮ができなくなります。もしそれが心臓で起きれば、心臓の機能停止(死)といった重篤な状態に陥ることになるわけです。


  マグネシウム不足の原因は先程も述べました。その原因としては、利尿剤などの薬剤の服薬、食事からのマグネシウム摂取量不足、胃腸の吸収障害(下痢など)があり、そのほかにも多くの生活習慣に原因があります。
  たとえば、インスリンはブドウ糖とともにリンを細胞内に移動させる作用がありますが、暴飲暴食などによってインスリンの過剰分泌を起こすと、必要以上に細胞内にリンが取り込まれて血液中のリン濃度が低下し、低リン血症を起こします。低リン血症になるとマグネシウムは腎臓から尿とともに多く排泄されます。このように、インスリンの過剰分泌もマグネシウム不足を起こす原因となります。
  また、マグネシウムは「抗ストレスミネラル」と呼ばれるように、ストレスが多いときほど多く消費されます。
  その他、激しい運動、過労、過食など、マグネシウムを消耗する要因は、現代の生活環境の中に満ちあふれているのです。

 

  食品添加物としてのリン
    
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12636891947.html


肉・牛乳(乳製品)・卵の摂りすぎの弊害


  私たちの健康にとって、カルシウムは非常に重要なミネラルです。しかし一方でカルシウムのとり過ぎが「マグネシウム不足を引き起こす」ということはあまり知られていません。特に食が細い(小食)にもかかわらず、肉類や乳・乳製品が好きという人は要注意です。
  牛乳は、カルシウムを多く含む食品としてよく知られています。でも、牛乳をとり過ぎると、カルシウムは腸から充分に吸収されることなく、そのほとんどが糞便とともに排泄されてしまいます。このとき、カルシウムだけではなく、体に必要なマグネシウムなどのミネラルや栄養素も一緒に引き連れて排泄されてしまうのです。
  では、もし牛乳に含まれるカルシウムを充分に吸収したとするとどうなるか? 血液中のカルシウム濃度が急激に高まります。これがまたよくないのです。
  体にはホメオスターシス(恒常性維持機能)という、バランスをとって正常値に近づけようとする働きがありますから、余分なカルシウムは尿としてただちに排泄されることになります。この排泄にともない、マグネシウムや亜鉛などのミネラル、他の栄養素がやはり失われることになるのです。
  このように、牛乳の吸収率がよいにしろ悪いにしろ、カルシウムを多く含む牛乳や乳製品をとり過ぎることは、結果的にマグネシウムをはじめとする必要なミネラルを失うことになります。実際、牛乳や乳製品など、カルシウム分か特に多い食品のとり過ぎによってマグネシウム不足になるケースは多いのです。
 ちなみに、カルシウムとマグネシウムの摂取比は「2一1」が適切と考えられていますが、牛乳そのもののカルシウムとマグネシウムの比は「10 一1」程度と、カルシウムの比率が高くてアンバランスです。それから代表的な乳製品であるチーズに含まれるカルシウムとマグネシウムの比は、ナチュラルチーズで「20 一1」程度、プロセスチーズ「30 一1」と、もっとバランスが悪くなっています。マグネシウム不足はミトコンドリアの働きを悪くさせますので、牛乳や乳製品のとり過ぎには充分に気をつけましょう。
  また、肉・牛乳・乳製品、これらにホルモン剤(エストロゲン様環境ホルモン)が含まれている可能性があり、本来月経期間中はエストロゲン濃度が低いはずですが、肉・乳製品・環境ホルモンの摂取でエストロゲンが高濃度になると、マグネシウムの体内濃度は低下します。
  またタンパク質を多量に摂ると(肉食)、解毒の働きをする肝臓と、排泄を担う腎臓に、大きな負担をかけることになります。尿素が増えてくると、それを尿として流し出すために、体は多くの水分を必要とします。そして尿と一緒に、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル類も排泄されてしまうことになります。こういったことから、マグネシウム不足を引き起こすことになり、マグネシウム不足はミトコンドリの働きを悪くさせます。
  高脂肪・高タンパク質食品に偏った食生活を続けると、カロリーのとり過ぎとあいまって、「SOD」(スーパーオキシドディスムターゼ)や「グルタチオンペルオキシダーゼ」、「カタラーゼ」といった、抗酸化酵素”の活性に必要不可欠なマンガン、鉄、銅、亜鉛、セレンなどのミネラル元素の不足を引き起こします。結果、活性酸素の発生が増加することになり、ミトコンドリアの働きを悪化させます。
  肉類や乳・乳製品といっだ動物性タンパク質”たっぷりの食事は、腸内環境を悪くします。腸内の悪玉菌の大好物は、肉などたんぱく質や脂肪を多く含む食品です。
 悪玉菌はたんぱく質やアミノ酸を分解し、有害物質を作り出し、このためミトコンドリアの働きを悪化させることになります。
  牛乳の飲み過ぎは、過剰なカルシウムが排泄されるのと同時に、マグネシウム・亜鉛・鉄などのミネラルや、他の栄養素も失われてしまいます。その結果、さらにミネラル不足が進むことになります。
  砂糖のような「空のカロリー食品」の多い食事には必須栄養素が不足していますから、カロリーだけは満たされても必須栄養素は欠乏するという事態が生じます。結局エネルギー代謝が円滑に進まず、ミトコンドリアの働きを悪くさせます。
  ミトコンドリアは「生命のエネルギー工場」と呼ばれ、エネルギーを産生する重要な場所です。ミトコンドリアの働きの悪さは、新陳代謝やエネルギー代謝など代謝の低下を意味します。


  このエネルギー代謝を円滑に行うためには、食生活でとくに栄養素・ビタミン・ミネラルを過不足なくバランスよく摂取することが大切になります。


  偏った食事は、ミトコンドリアの働きを悪化させ、新陳代謝やエネルギー代謝が円滑に行われなくなります。
  こうしたことから、食生活が極めて重要な鍵を握っています。
  以上のように、食生活でとくに栄養素・ビタミン・ミネラルを過不足なくバランスよく摂取することが大切になります。

 

  このような3つの大きな要因が考えられます。 

 

 


  軽度認知障害(MCI)は、”未病”の段階


  前回も述べましたように、 「加齢による正常範囲の物忘れ」と「MCI(軽度認知障害)」と「認知症」は一連の連続したものであり、”未病”の段階にある、このような軽度認知障害(MCI)とは「健康的な生活」を送ることを阻害する”生活習慣”に根本的な原因があるということです。
  このため軽度認知障害(MCI)を改善させるためには「健康的な生活」を送ることを阻害する”生活習慣”を改善することが重要になってきます。
 「健康的な生活を送る」ためには、”ミトコンドリア”が重要な”鍵”となり、生命の根源ともなるべき役割を果たしています。
  最近では、アルツハイマー病は脳の糖尿病であるという研究報告が次々に出され、アルツハイマー病は、3型糖尿病と呼ぶこともあるほどで、立派な生活習慣病です。


「特定健診」を有効に活用する・・認知症予防はいつから行うべきか


 私達の生活環境には活性酸素が満ち溢れています。このような活性酸素の毒消しをするのが、フリーラジカルスカベンジャーです。
  私達の体には抗酸化物質として備わっているスーパーオキシドディスムターゼ (Superoxide dismutase, SOD) 、やコエンザイムQが40歳を境に急激に減少してきます。


  このため、減少した抗酸化物質を抗酸化作用のある野菜や果物などの食品・食べ物で補う必要があります。ところが、これを怠れば必然的に、ミトコンドリアの働きが悪化し、アルツハイマー型認知症へと進展していく素地を形成します。
  また、マグネシウム不足は、糖尿病などの生活習慣病を引き起こす最大の要因になってきます。このことは、前回も述べたことです。


  こういったことから、平成20年から行われている「特定健診」を行う際に、メタボ検診と同時に「認知症予防」を目的として、併せて行う必要があります。
  このように、40歳過ぎたら、このような「特定健診」の形で、認知症予防のキャンペーンをはることが大切になってきます。キャンペーンのための冊子の作成を試みました。


   「物忘れが気になる人に」・・改訂版   
       
    このようにアルツハイマー型認知症の本態がすべて解明されることを待つことなく、あくまでもこれまでの研究業績から、予防対策を講じていく必要があります。
  こういったことから、現在、生活習慣病予防を目的とした「特定健診」を奨めていく際に、上記のような啓蒙活動を大々的に行っていくことが重要と思われます。


 「抗酸化物質」・抗酸化食品を積極的に摂取し、ミトコンドリアを弱らせる要因を取り除き、ミトコンドリアの機能を改善させることによって、認知症の予防・治療が可能となってきます。そして、海馬を若返らせるためには、有酸素運動と脳トレーニングが必須になってきます。このことは、また次回で改めることにします。

 

”物忘れ”が気になる人に・・


 「あれ」とか「それ」とかで単語がすぐに出てこなかったり、顔は思い出しても名前が出てこなかったり、家を出てから…鍵を閉めたか?とかエアコン切ったか?とか心配になったり、してませんか?
  これらは、ほとんどの場合は「単なる物忘れ(良性健忘)」で認知症ではありません。
  物忘れは「生理的現象」で病気ではないのです。
  ところが、「認知症」は脳の器質的な疾患で「進行性の病気」なのです。
  人間の脳には、目や耳にとらえた情報の中から、関心のある物を一時的に保管しておく場所があり、この場所は「海馬」というところで、ここは「記憶の引き出し」で、人は、この「引き出し」に入れておいた情報を、必要なときに随時取り出します。ところが、年を取り老化すると「引き出し」の容量が小さくなり、出しにくくなってくるために、物忘れが起きると解釈されています。
  こういったことから、物忘れは「生理的現象」のほとんどの場合、心配することはないと、一般的にはされ、「物忘れ」と「認知症」とは厳然と区別されるとされてきました。


  しかし、これが果たして、真実なのでしょうか。


ミトコンドリアと認知症


  50代~60代のまだ若いうちに認知症を発症している人は、健康な人と比べて、肌や髪、姿勢などあらゆる点で老け込むのが早い印象があります。

 
 認知症になると、なぜ老化のスピードが早まってしまうのでしょうか?

 

 その答えは細胞の中の「ミトコンドリア」にあります。
 ミトコンドリアは、人間にとってエネルギーの製造工場のようなものです。
 ミトコンドリアが多ければ、それだけたくさんのエネルギーを作り出して、代謝も活発になり、若々しい細胞を維持できるのです。
 認知症の人の脳細胞を調べてみると、ミトコンドリアの量が少なく、エネルギーを生み出す機能も低下していることがわかっています。
 ミトコンドリアのエネルギー生産能力が低下すると、脳の働きも悪くなります。
 加齢とともにそれは、さらに加速してしまいます。


  アルツハイマー型認知症は、患者さんの脳にアミロイドβという異常なタンパクが付着し、徐々に脳神経を壊していく病気です。
  脳のしみ、老人斑などとも言われますが、脳を壊していくので非常に”たちが悪いしみ”だといえます。
 アミロイドβによって、患者さんは、それまでできていた能力、記憶や見当識、思考力、判断力などを失います。
 そのため徐々に自立した生活が営めなくなり、介護の助けがないと生きていけなくなります。
 なぜ体内でできたタンパクが、自分自身を傷つけるのかについてはまだ詳しいことはわかっていません。
 ただアミロイドβは、単独ではなく、アルコール脱水素酵素(ABAD)というタンパクとミトコンドリア内部で結合することで毒性が発現し、神経細胞を壊すことがわかってきました。
 この時、ミトコンドリアでは、エネルギー生産の低下や二重になっている膜の透過性が下がるなど著しい機能の低下が観察されているため、ミトコンドリアに原因があると考えられるようになりました。


  このように、認知症発症と進行の原因となる異常なタンパク、アミロイドβは、ミトコンドリアの機能低下を背景・基盤にして、ミトコンドリアの内部で他のタンパク(アルコール脱水素酵素(ABAD)というタンパク)と結合し、細胞を壊す毒性を持つようになったのではないかと考えられています。
 こうして脳の神経細胞がアミロイドβによって壊され、アルツハイマー病が進行していくのですが、現在のところ進行を緩やかにする、あるいは周辺症状を多少改善する薬があるくらいです。
 現代の医学では、原因となるアミロイドβを除去すること自体や毒性を消すこと、さらに作らないようにすることも出来ません。


  しかし、ミトコンドリアの機能が低下することによってアミロイドβが毒性を持ってしまうのなら、ミトコンドリアの機能を改善することでアミロイドβの沈着を防ぎ・毒性を抑えることができる可能性があります。
 

 このように、アルツハイマー型認知症は、ミトコンドリアに原因があると考えられるようになり、ミトコンドリアの機能を改善することでアミロイドβの沈着を防ぎ・毒性を抑えることができる可能性があります。
 これからまだまだ、研究・実験を繰り返す必要があるなか、アルツハイマー型認知症の改善に期待できるとされているのが”ミトコンドリアを元気にし、増やす”ことです。
  ここに、認知症を予防する可能性が秘められています。

  「抗酸化物質」・抗酸化食品を積極的に摂取し、ミトコンドリアを弱らせる要因を取り除き、ミトコンドリアの機能を改善させることによって、認知症の予防・治療が可能となってきます。


「軽度認知障害(MCI)」

 
  先程の「物忘れ」と「認知症」の話に戻します。
  「認知症による物忘れ」と「健康な人の物忘れ」は異なるとされています。
  認知症ではない健康な人の物忘れは、例えば「うっかり約束をすっぽかしてしまう」、「しまったはずの印鑑をどこにしまったか、すぐに思い出せない」などです。
 しかし、健康な人の物忘れは、「約束をすっぽかしたこと」、「しまい忘れたこと」という、その出来事は覚えています。つまり自分が忘れているということを覚えているのです。
 一方、認知症による物忘れは、たとえば「約束したこと自体を忘れる」、「印鑑をしまい忘れたこと自体を忘れる」というものです。
 ですから認知症の高齢者の場合「約束していない」とか「印鑑がなくなった!盗まれた!」となります。これは、認知症の物忘れが「経験(体験)の喪失」と言われるとおり、自分が忘れていること自体を忘れて、思い出せない、自覚することができなくなっているからです。
  このように、両者は、厳然と区別されるものとされています。


  ところが最近では、認知症の前段階として「軽度認知障害(MCI)」という状態があることが知られるようになりました。
  軽度認知障害(MCI)は、認知症との診断はつかないものの正常ともいえない、正常と認知症の中間といえる状態です。


  それでは、どのような状態が軽度認知障害なのでしょうか?


 物忘れが主な症状です。物忘れの自覚があるものの、記憶力の低下以外に先述のような、明らかな認知機能の障害がみられません。日常生活への影響はないか、あっても支障をきたすほどのものではない軽度のもの、というような状態です。


 これを分かりやすく解説した最近テレビCMが「その物忘れ、脳の衰えの始まりかもしれません」というCMで、最近、頻繁に放映されます。。
 場面は3つで、買い物をし、お金を払って、買った商品を受け取らずに帰ろうとして店員さんに注意される場面、買い物に自転車で来たのに、お店をでたと同時に携帯に電話があって電話応対をしながら、歩いて自宅へ帰っている最中に娘さんに出会って初めて自転車で買い物にきたことを気付かされる場面、本日の予定として、カレンダーの赤丸をして記入しているのに、友人から催促の電話を受けて初めて、同日にその友達と約束をしていたのを気付かされる場面、です。演じる女優さんも役にはまって何ら違和感もなく、微笑ましい気分にさせられます。
  このようにして、認知症を早期に発見し、対策を講じるべきであるとつくづく思い込まされます。

  現在では、以下のような「診断基準」があります。


 本人、または家族による物忘れの訴えがある
 年齢や教育レベルの影響だけでは説明できない記憶障害が存在する。
 日常生活動作は自立している。
 全般的な認知機能は正常範囲である。
 認知症ではない


  「軽度認知障害(MCI)」はその症状と対応によって回復したり、発症が遅延したりすることがあります。
  「軽度認知障害(MCI)」を放置すると、認知機能の低下が続き、5年間で約50%の人は認知症へとステージが進行すると言われています。
 しかし、移行しなかった人も半数存在し、その中の10%の人においては、なんとMCIから正常域に戻っていたのです。
 つまり、MCIと診断された人が、何らかのきっかけでMCIの状態から抜け出したのです。このことは、どういったことを意味しているのでしょうか。このことを明確にしておく必要があります。


 これを簡単に検査で発見するためには、「かなひろいテスト」があります。


 かなひろいテスト(以下、かなひろいと略す)とは、500字程度の全文平仮名書き物語文の、大意 を読み取りながら同時に「あ・い・う・え・お」の5文字を拾って○をつけていくというものです。 制限時 間は2分で、拾った数と見落とした数、意味把握の程度を参考に年代別に合否を判定します。
  これは浜松医科大学医学部脳神経外科の金子満夫教授が考案されたもので、私は、開発当初から使わせて頂いており、この「軽度認知障害(MCI)」の有無、程度を把握する上で極めて、有用であり、便利です。


  MCI(軽度認知障害)の人は、正常の人の「歩行」と比較して以下のような違いがあると報告されています。


 ・MCIの人は正常の人と比べて歩くスピードが遅い
 ・MCIの人は正常の人と比べて小幅が狭い
 ・足の運び方が乱れていてふらつきやすい

 

  「歩行」以外にも、MCIの人に見られる変化があります。
   次のリストの内、3項目以上当てはまる場合は、MCIが疑われます。

 

 MCIの人に見られる7つの変化
 

  外出するのが面倒
  外出時の服装に気をつけない
  同じことを何度も話す回数が増えたと言われる
  小銭の計算が面倒、お札で払うことが多くなった
  手の込んだ料理を作らなくなった
  味付けが変わったと言われる
  車をこすることが増えた

 

 このように言われてはいますが、従来から、加齢による正常範囲の物忘れは、正常な脳の老化なので、治療の必要はないとされていましたが、しかし、物忘れが早期の段階から見られることが多いアルツハイマー型認知症と、加齢による正常範囲の物忘れとは、専門家といえども、この「物忘れ」の段階では、明確に区別できません。


 このため、私達は、このような初期の段階の「物忘れ」に対する考え方を改める必要があります。
 「加齢による正常範囲の物忘れ」と「MCI(軽度認知障害)」と「認知症」は一連の連続したものと考えなくてはなりません。


軽度認知障害(MCI)は、”未病”の段階


  このような軽度認知障害(MCI)の状態は、東洋医学では、本来、”未病”ともいうべき範疇・段階にあるものです。
  このような”未病”とされる軽度認知障害(MCI)は、本来、生活習慣の問題点から引き起こされ、ここから病気の認知症へと進展するものと東洋医学では考えられています。
 このように考えれば、”未病”の段階にある、このような軽度認知障害(MCI)とは「健康的な生活」を送ることを阻害する”生活習慣”に根本的な原因があるということです。
 このため軽度認知障害(MCI)を改善させるためには「健康的な生活」を送ることを阻害する”生活習慣”を改善することが重要になってきます。
「健康的な生活を送る」ためには、”ミトコンドリア”が重要な”鍵”となり、生命の根源ともなるべき役割を果たしています。
  これまでも再三にわたって「健康的な生活を送る」ためには、どのようなことが必要なのかを諄いばかりに述べてきました。


  このようにして、先程述べたことと話が連結してくることになります。


 このように「アルツハイマー型認知症」は「後天性ミトコンドリア病」と考えるべきもので、「軽度認知障害(MCI)」の段階で、健康的な生活を阻害する要因・・「ミトコンドリアの機能を悪くする要因」を取り除くことが大切です。
 このように、アルツハイマー型認知症は、糖尿病・高血圧症・脂質異常症を基盤として発症してくる脳血管性認知症とともに、その発症の基盤は「酸化ストレス・炎症体質」があり、共通しているということです。


 とても興味深い発表がロチェスター大学の研究チームでなされています。
 それによると睡眠不足が認知症を招く原因の1つと発表しています。脳にたまった老廃物は睡眠で有毒な物質を掃除しているというのです。
 これが脳から除去されないと、だんだんと経路が詰まってニューロンの伝達システムが崩壊してしまう。そしてベータアミロイドの蓄積を防ぐ唯一の有効な手段が睡眠だ、というのが専門家の見方です。


  つまり睡眠不足は大きな認知症リスクだということです。


 このことは、アルツハイマー型認知症発症には、ミトコンドリアが関与しているということを示唆しているようです。
 なぜ十分な睡眠が必要なのかは、活性酸素等で傷ついたミトコンドリアの修復は寝ている間に行われるため、その修復には睡眠が不可欠です。こういったことから、睡眠不足はミトコンドリアを弱らせることを意味しています。


 糖尿病の人は、アルツハイマー型認知症になりやすいことは前から言われていました。
  糖尿病や低血糖症で、血糖がうまくコントロールできない状態(インスリン過分泌)が続くと、記憶力の低下が始まり、アルツハイマー病の特徴でもある脳の海馬の萎縮が始まると謂われています。


  マグネシウムは糖尿病などの生活習慣病を予防することが知られ、マグネシウムは日常生活を送る上で不足しやすいことから、日常的にマグネシウムの摂取量が不足すると脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンの分泌量が低下します。アディポネクチンの不足は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)を招きます。
 このようにして、ミトコンドリアの機能低下による「酸化ストレス・炎症体質」を基盤として、糖尿病を発症してきます。
  アルツハイマー型認知症は脳の糖尿病であるという研究報告が次々に出されています。 

 最近では、アルツハイマー型認知症は、3型糖尿病と呼ぶこともあるほどです。
 このように両者の発症の基盤は共通しています。
 このため、認知症は、今や生活習慣病ではないかと言われるまでになってきました。


それでは、海馬を傷害するものは


 アルツハイマー型認知症の記憶障害は、海馬の障害が原因となっていて、海馬を傷害するものは、酸素不足と強いストレスが原因となります。


ストレスが原因で脳にある海馬にダメージを与えます


 人は、強いストレスを長期に渡って受けると、物覚えが悪くなったり、思い出せなくなったりします。
  ニュースなどでよく耳にするPTSD(心的外傷後ストレス障害)ですが、PTSDの患者の脳を調べると、海馬が萎縮しています。
  アメリカの戦争帰還兵には、このPTSDの患者が多くいますが、戦争という強いストレスによって海馬が著しく萎縮してしまい記憶喪失を生じる場合もあります。
  記憶を失うまでいかなくても強いストレスを長く受けたことによって記憶力が低下する現象が起きているのです。耐えることは美徳といわれますが、我慢しつづけてストレスを長期的に受けていると、自分の脳がダメージを受けてしまうかもしれません。


  人間がストレスを持続的に受けることによって


 強いストレスを感じると体内のマグネシウムがどんどん使われ、益々ストレス状態が悪化するという悪循環に陥ります。このようにして、マグネシウムは枯渇してきます。


  そして、ストレスがたまると活性酸素が増えます


 活性酸素を増やす要因には、食生活の乱れやタバコや大量の飲酒、過激なスポーツ、紫外線など、さまざまな要因があります。しかしそれだけではなく、ストレスも重要な要因のひとつです。代表的なメカニズムには、次のようなものがあります。


 1.ストレスを受けると、ストレスに対抗する「副腎皮質ホルモン」が分泌される。この分泌と分解の過程で、活性酸素が発生します。
 2.ストレスは、「抗酸化ビタミン」ともいわれるビタミンCを大量に消費します。
 3.緊張が続くと血管が収縮し、一時的に血流が阻害されます。
  その後、血管が拡張したときに、血液が勢いよく流れますと、大量の活性酸素が発生します。
 4.ストレスがあると高血糖になりやすい。
  この状態も、活性酸素が増える一因となります。


  この活性酸素そのものがミトコンドリアを弱らせることになります。


 マグネシウムは糖尿病などの生活習慣病を予防する

 
 マグネシウムは、体内の善玉コレステロールであるHDLコレステロールを増加させます。
 日常的にマグネシウムの摂取量が不足すると脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンの分泌量が低下します。
 アディポネクチンの不足は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)を招きます。
 また、インスリンの機能が低下し、糖質と脂質の代謝が悪くなるため血糖値が上昇することで2型糖尿病や動脈硬化や虚血性心疾患などの生活習慣病の発症リスクを上昇させることが研究により解明されています。


インスリンの作用を応援する必須主要ミネラル「マグネシウムMg」


 マグネシウムMgは、体中のインスリンの作用を応援する役割を持っています。
 つまりインスリンの感受性を正常に保つように働きます。
 ここで、糖の代謝について少し説明します。
 人が食物を摂取すると腸からエネルギー源であるブドウ糖が吸収され、ブドウ糖は血液中に入ります。インスリンが細胞に働きかけてブドウ糖が細胞に取り込まれると、血液中のブドウ糖濃度が低くなります。
 マグネシウムMgは、細胞がブドウ糖を取り込む際の酵素チロシンキナーゼの働きをよくします。インスリンが細胞に働きかけ、ブドウ糖が細胞に入りやすくなります。その結果、血糖値が下がります。


 また、細胞は常にカリウムやカルシウム、ナトリウムを出し入れしていますが、マグネシウムMgは、出し入れするポンプの働きをなめらかにする作用があります。このポンプが活発になるとエネルギーが消費されるので、ブドウ糖の消費にもつながります。


  マグネシウムMgは細胞レベルの運動を活発にしてくれるのです


 マグネシウムMgは血管の働きにも作用しています。
 マグネシウムMgが不足すると血管が収縮してしまい、血圧が上がるのです。マグネシウムMg不足は交感神経の緊張状態を作るので、神経という面からも高血圧につながってしまいます。また血液成分の柔軟性にも影響します。サラサラな血液の大切さは皆さん知っているとおりです。
  糖尿病予備群の人にもマグネシウムMgは効果があります。
  むしろ予備群とされる人のほうがマグネシウムMgのメリットが出やすい傾向があります。今から積極的に摂ってもらいたいものです。


 このように海馬を傷害する根源であるストレスにはマグネシウムが関与しており、これが糖尿病、高血圧発症にも関連しており、認知症を予防するためには、マグネシウムは忘れてはなりません。

 

  アルツハイマー型認知症の予防・治療に対する考え方


  アルツハイマー型認知症の進行を遅らせたり、脳に病変が存在していても発症させないよう予防することは可能です。
  例えば、運動や食事、睡眠などの”生活習慣見直し”、手紙や日記を書く・読書するなどの”知的活動”、”人とのコミュニケーション”、”治療薬の服用”により、アルツハイマー型認知症を予防、治療することは十分可能ということです。

 

 アルツハイマー型認知症の進行はとても緩やかです。なので、例えアルツハイマー型認知症になったとしても、十分その症状が悪化することを食い止めることができます。


運動習慣


  高齢者の方でもジョギングや早歩きなどの有酸素運動をすることで、脳内で記憶を貯めておく働きのある「海馬」の容積が大きくなることがカナダの研究で確認されています。
  また、例えジョギングなどの有酸素運動を毎日行うことが難しくても掃除や料理などで日常的に良く動いている人の方が、アルツハイマー病を発症しにくいことが分かっています。つまり、適度な運動を継続的に行うことで、脳の記憶領域が拡がり、認知症の進行を遅らせる可能性があることが分かっています。

 
食習慣


 脳の健康に良い食べ物の代表として、マグロやサバなどの「青魚」があげられます。青魚に含まれているDHAやEPAが脳に良いとされており認知機能が改善することが分かっています。青魚の他にも、緑茶やココアなどの抗酸化物質を多く含むものにも認知機能を高める効果があります。
 
 また、アルツハイマー病と脳梗塞などの脳血管障害を併発することにより認知症の症状が悪化するケースが多くみられます。したがって、野菜などの血液をサラサラにする食材をとることで、脳血管障害を予防することができ、結果アルツハイマー型認知症の進行を食い止めることが出来ます。

 
  睡眠


 若いうちに適度な時間睡眠をしっかりとることで、海馬が大きくなる傾向があります。 アルツハイマー病は、記憶と深く関係している海馬の萎縮が特徴です。

 
 つまり、睡眠時間が極端に多い人や少ない人、不規則な睡眠時間の人は、高齢になった時に記憶障害が生じやすいことが分かっています。また、若いうちに質の良い睡眠を十分に確保し、海馬を発達させているかどうかが、アルツハイマー病になった時の記憶障害の進行スピードにも影響すると考えられています。

 
 また、認知症の人は、睡眠や排泄などの生活リズムが乱れると、身体の不調が原因で症状が悪化することがあります。良質な睡眠がとれるように、日中は適度に身体を動かすことを心掛け生活のリズムを整えることが大切です。

 
知的活動や人とのコミュニケーション

 
 長い間、読書や書き物などの知的活動を続けてきた人と・そうでない人では、記憶力の衰えが15%も遅いことがアメリかの研究で分かっています。

 
 また、高齢になってからでも、簡単な読み書き、計算、コミュニケーションを続けることで、記憶・判断、感情のコントロールを司る前頭葉が刺激され、記憶障害や見当識障害などの中核症状や徘徊や不眠などの周辺症状が改善することが分かっています。

 

 以上、運動、食事、睡眠、人とのコミュニケーシヨンの4原則が重要になっています。.

 
最後に・・


   以上のように、私達は「物忘れ」が気になっても冒頭で述べましたように「認知症」とはまったく別のものとされてきましたが、このようなことでは問題があります。
  こうしたものの中から将来、アルツハイマー型認知症へと進展してくることは間違いのない事実です。このため、これまでの生活習慣を振り返り、「健康的な生活」が送れているか、すなわち、ミトコンドリアの機能を低下させるような要因が、あなたの生活習慣のなかに存在しないかどうかを点検しておく必要があります。
  こういった意味で、「物忘れ」が気になった段階が最も適切な時期と思われます。このことが、認知症予防の鍵となり、従来のような考え方では、みすみす、認知症を防ぐチャンスを放棄することになります。
  今後、認知症が年々増加傾向にあるとされていますが、なぜ、増加の一歩を辿っているのかを、もうそろそろ検討する時期にきているものと思われます。
  先日は、認知症の国際会議が行われたばかりですが、何故だか、こうした観点から討議が行われないのかが不思議でなりません。
  介護する人間には限りがあるはずであり、今後は、アルツハイマー型認知症および脳血管性認知症だけでも発症率を減少させるように対策を行っていく必要があります。


  そして、皆さんのなかには、ご両親のいずれかを認知症を抱えて苦労されておられる方々も多いと思われます。ここで最も問題とされなくてはならない点は、認知症と医療機関で診断されても、ただ単に、認知症の進行を遅らせることを目的に「抗認知症薬だけを飲ませている」だけに終始される医療機関が多いことに驚かされます。
 このようなお薬は、アリセプトを始めとして、現在では極めて多くの種類のものが販売されるようになり、ここでも、こうしたお薬を飲ませておけば「認知症が治る」といった誇大宣伝をされる医師も多いことに驚かされます。
 このように、お薬だけで対応するのではなく、これまでに得られた研究業績を基にして、”積極的に”認知症に向き合っていくことが重要になってきます。
  このようなことを目的として、「認知症との向き合い方」をまとめておきました。
  これらは、すべて皆さんもご存じのことばかりのものです。

 しかし、皆さんがこれまで得られた情報は、すべて断片的なものと思われ、なぜ、こうしたことが認知症に有効なのかという理論的なことが欠けているものと思われます。
  こうしたことから、これまでの情報を整理して、理論的にまとめたものです。

 

あとがき


 私が忘れもしない患者さんおよび家族は、物忘れを心配されて受診されたお婆さんとその娘さんです。この娘さんは認知症の物忘れと生理的な物忘れは区別されるはずだと、私の「軽度認知障害(MCI)」という診断に対して罵声を浴びせられました。MCIにしても、認知症までとは言えないが、認知症に近い状態というのが娘さんには気にくわなかったのだろうと思われました。そこで、健康人→「軽度認知障害(MCI)」→アルツハイマー病へと進展していく位置関係を図示し、お母さんは、現時点で、この段階にあると説明しました。ところが、この説明で、さらに火に油を掛けたようなもので、怒りを倍加させたようでした。この娘さんには、認知症なのか、そうでないのか、という白・くろでしかなく、その中間はないのが普通であるようでした。


 こうした患者さんを診察するにつけ、認知症の世界に、冒頭で述べたような 「単なる物忘れ(良性健忘)」と認知症との区別に終始し、アリセプトを処方して、認知症の治療が完結するといった治療法が一般化しなければ、認知症は現在のようには蔓延しなかったはずです。ということは、アリセプトがなく、長谷川和夫の認知症・簡易試験がなければ、介護保険の財政状況は一変していたことと考えれば、残念でなりません。
 

 こうしたことを反省した上で、もう自分たちの身は自分たちで守るしかありません。
 そうです。認知症も、お偉い方々に任せていたのでは埒が明きません。自分で予防策を作成していくしか道は残されていません。
 今後、しばらく、シリーズで掲載していく予定です。