「脳過敏」はどのように形成されるのか? | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

  ”脳過敏”を引き起こす3つの要因として、3つがあります。


   1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
   2.脳内セロトニンの低下
   3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続


1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足


 マグネシウム欠乏は、『皮質拡延性抑制』を発生させ、三叉神経刺激へと繋がり、片頭痛を発生させると言われています。
 米国の研究では、400mgのマグネシウムを毎日補充すれば3~4週間後に片頭痛の頻度が減るという報告もあります。
 マグネシウム欠乏は、細胞の興奮性を増します。その結果、神経の過興奮・不安定が生じ、拡延性抑制を発生させます。片頭痛トリガーが起動します。
  現在、この『皮質拡延性抑制』を抑える治療薬は開発されていませんが、片頭痛患者に非常に効果があり、皮質拡延性抑制を抑制する物質として期待されているのが『マグネシウム』です。慢性頭痛を持つ方による、マグネシウムサプリメントの摂取例で、劇的に症状が改善したという例も報告されています。


 1995年に行われた研究でも、マグネシウム不足が脳に強度の興奮をもたらし、逆にマグネシウムが興奮を落ち着かせることがわかっています。
 13人の女性が初めの3ヶ月、1日に115ミリグラムのマグネシウム(一日の推奨量の30%にしかならない量)を摂取しました。

 その結果、脳波検査では強度の興奮性があることがわかり、その後の3ヶ月は、1日に315ミリグラムを摂りました(推奨量の360ミリグラムに近い数値)。そうしたところ、これだけの量の変化でもたった6週間後には脳波検査において、脳機能に大きな改善がみられ、興奮性が低下を見せたのです。


 片頭痛はミトコンドリアの機能が低下することによって起きる頭痛です。


 マグネシウムイオンは細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造ならびに細胞膜構造において膜の安定性を保つ役割をしています。
 細胞膜にはミネラルイオンが通過できる小さな「穴」があり、透過できるイオンの種類によって、「ナトリウムチャネル」とか「カルシウムチャネル」といった名がつけられています。これを使って必要なミネラルを自在に出入りさせることで細胞内のミネラルイオン濃度の調整をするのです。ミトコンドリアには、細胞内のカルシウムイオン濃度を適正に調整する作用があります。 
 マグネシウムイオンが不足すると細胞内小器官(ミトコンドリア)の”膜構造ならびに細胞膜構造”のイオンポンプの力が弱くなり、細胞内小器官であるミトコンドリア膜の透過性も亢進し、ミトコンドリア内に入り込んだカルシウムイオンは、ミトコンドリア外へ出ていけません。カルシウムはミトコンドリア内に少しずつ蓄積してきます。ミトコンドリア内カルシウムイオンの増加が起こります。それを薄めるために細胞浮腫、つまり水ぶとりの状態になります。
 細胞内のカルシウムイオン濃度が異常に高くなり過ぎると、ミトコンドリアの調整機能は破壊されてしまいます。調整機能が壊れたミトコンドリアは死滅してしまいます。ミトコンドリアのエネルギー産生やミトコンドリア自体の生死には、ミトコンドリア内のカルシウムイオン濃度が強く係わっており、カルシウムイオン濃度は片頭痛の発症にも非常に大きな原因となります。
 このようになった細胞に、適量のマグネシウムが供給されると、溜まっていたカルシウムイオンなどが排出され、それにつづき、水分も排出されますが、この水ぶとり状態も限度がありカルシウムイオンがある量を超えると、その細胞は不必要となり見捨てられます。 そして、後にはカルシウムイオンなどで一杯になった固まりだけが残されます。これが石灰化した細胞のことです。動脈硬化の原因の一つです。結果的に、この細胞は死滅してしまいます。
 細胞内のマグネシウムが著しく不足すると、カルシウムイオンを細胞外に排出するカルシウムポンプの調整機能が働かなくなり、筋肉は収縮状態(緊張した状態)が続くことになります。片頭痛の前兆や、発症の引き金となる脳血管の収縮は、脳血管細胞内のカルシウム濃度の高まりによっても生じます。それはつまり、マグネシウム不足がもたらす結果でもあるのです。
 このようにして、マグネシウムイオンの低下はミトコンドリア内カルシウムイオンとナトリウムイオンの増加およびカリウムの喪失による細胞内でのカリウムイオンの低下を招きます。同じくマグネシウムイオン感受性のATP依存性カルシウムポンプの活性低下を招くことになり、細胞は興奮しやすくなります。これが「脳過敏」を引き起こしてきます。
 このようにしてマグネシウムイオンの減少はミトコンドリアの好気的代謝異常をきたして、神経細胞を興奮しやすくすることになります。


  これらは片頭痛の根本的原因として考えられているものです。


 片頭痛では、ミトコンドリア代謝異常が生まれつき存在する(ミトコンドリアの活性低下が存在する)ために、ミトコンドリアはマグネシウムイオンの減少による影響をさらに受けやすくなることになります。マグネシウムイオンの低下は片頭痛発作の結果でなく発作の始まる前から存在しているのです。神経細胞の”興奮性の亢進”はマグネシウムイオンの減少の結果あるいはミトコンドリアの代謝異常の結果として生じているものです。
 このようにして、「脳過敏」が形成されることになります。


 片頭痛とてんかんは密接な関係にあって,「片頭痛は本質的にてんかんの一種である」ことが強調されていますが、”脳の興奮性の亢進”は、上記のことを示すものです。


 そして、マグネシウム不足が持続すれば、ミトコンドリアの働きをさらに悪くさせることに繋がることになり、片頭痛を悪化させる”元凶”にもなってきます。
 これが「脳過敏症候群」の本態です。市販の鎮痛薬の服用が原因ではありません。間違えないようにして下さい。この点は極めて重要なことで、忘れてはなりません。
 ネット上では、「脳過敏症候群」は、市販の鎮痛薬の服用による”不適切な治療”が原因であると大々的に吹聴されますが、これは根本的な誤りです。


2.脳内セロトニンの低下


 片頭痛は、私達の体を構成する細胞の中にある”ミトコンドリアの機能障害”による頭痛です。ミトコンドリアは食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出していて、エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。
 そして、私達が日中活動している際に”常時”活動している神経系がセロトニン神経系です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。
 言い換えれば、ミトコンドリア働きが悪いと、脳の神経細胞の場合、「セロトニン神経」が選択的に「ミトコンドリアの働き」の影響を受けやすく、セロトニンを産生しにくく、セロトニンの合成やその合成のための酵素も充分な量を生成できなくなってしまいます。 その結果、「脳内セロトニン不足」が引き起こされてきます。
  「セロトニン神経系」は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分にあります。そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。
 セロトニン神経は、痛みの感覚を抑制する役割を担っています。
 セロトニン神経が活性化されていると、鎮痛効果が現れます。
 痛み自体がなくなるのではなく、セロトニン神経の活性化により痛みの感覚をコントロールすることで、痛みを感じにくくなります。
 反対にセロトニン神経が弱まると、ささいなことで体の痛みを感じるようになります。
 このため、脳内セロトニンが低下すれば、頭痛が出現しやすくなってきます。

 

 脳内セロトニンの低下は、「衝動性、過敏性、こだわり、緊張」が強くあらわれ、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの五感すべてが過敏になり、わずかな刺激にも敏感に反応してしまい、さまざまな自覚症状を訴えるようになります。


 この「脳内セロトニン低下」が「脳過敏」を引き起こす要因となっています。


 “小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なれば益々「脳内セロトニンが低下」することになります。さらに生活習慣の不規則・ストレス・生理周期により「脳内セロトニンの低下」の要因が追加されて、「脳過敏」を増強させてきます。
 「脳内セロトニンの低下」により脳が過敏になり、本来は痛くない刺激を痛みと感じるアロディニア(異痛症)が、片頭痛発症後5年くらい経過して出現することがあります。

 

3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続


 鍼灸師さんによれば・・


 頭頸部の筋肉を鍼でゆるめれば、閃輝暗点は簡単に治ってしまうとされています。
 痛みや脳の興奮の原因となっている後頸部または顎関節周辺の筋肉の硬化(コリ)を解除しないがゆえ、何年通っても治らないわけです。
 後頭部~首への電気鍼を行う事で、片頭痛を引き起こす刺激をブロックする事で片頭痛発作のが起こらなくなります。
 ほとんどが、板状筋を中心に半棘筋、僧帽筋、胸鎖乳突筋の筋膜に出来るトリガーポイントを治療すれば改善します。
 30代OLパソコンによる事務仕事がメインの患者さんの場合ですが、週1回のトリガーポイント鍼治療5回で頭痛、閃輝暗点はなくなりました。


.”ツボ”を押す、マッサージ


   天容(てんよう)
   完骨の下の方
   筋をマッサージする


①前兆現象が現われたら、”玉枕”(ツボです)を強く押します。押方は両手で左右同時にマッサージします。マッサージの仕方が目立って困る場合は片方づづ交互に押しても効果は変わりません。
②”玉枕”から耳に向かって揉み解します。押す力はかなり強めです。
  表現し辛いのですが、次の日に何気なく、マッサージ個所を触ったときに表面が「アレ!少し痛いな、何したっけ!」ってな感じです。実際は、痛くならない程度が良いと思います。
③さらに”玉枕”から”天柱”に向かって同じように揉み解します。
  これで、ほぼ前兆現象の後に起こる頭痛からは解消されます。全く頭痛を感じないときとと軽い頭痛や頭が重い感じが半日程度残る場合がありますが、以前の絶え難い頭痛とは天と地の違いがあります。


小橋 雄太さんの場合


 小橋 雄太さんは、ブログ「イミグラン錠副作用なしで片頭痛を治しちゃえ」で自らの体験を述べておられます。
 小橋さんは、10 年以上、閃輝暗点を伴う片頭痛に悩まされ、おまけに”トリプタン製剤”が全く効かない「トリプタン・ノンレスポンダー」でした。このため、頭痛発作時の前日と当日の発作時の状況を詳細に記録を繰り返していくことによって「体の歪み」に頭痛発作の引き金があることに気付いて、当初は整体師さんの指導を受け、この指導を毎日忠実に守り・実行することによって片頭痛・閃輝暗点を改善されたようです。


 以上から推測して・・


 これらの方法は、頸部筋肉の異常な筋緊張を緩和させる方法と思われます。(マグネシウムは、このような頸部筋肉の異常な筋緊張を緩和させる作用もありますが・・)


 そこで、私は「閃輝暗点」を伴う方々で、頸椎X線検査でストレートネックを呈する方々に対して、ストレートネックを改善させることによって、閃輝暗点がどのようになるのかを検討してきました。


 60歳以上の方で、若い頃、片頭痛の既往のない方で「閃輝暗点」を訴えて来院された方々を15例経験していますが、これらの方々全例にストレートネックを認め、同様に「ストレートネックの改善」のみで、「閃輝暗点」は消失しています。
 これとは別に、若い世代の「閃輝暗点」を伴う片頭痛の場合も、当然「ストレートネック」を伴っておられる方々に「ストレートネックの改善」を行わせますと、前兆である「閃輝暗点」がまず消失してから片頭痛が改善されていくという経過をとっています。
 こうしたことから、「閃輝暗点」とストレートネックは何らかの因果関係があるのではないかと疑ってしまいます。ミグシスは一切使用しておりません。


 このような成績をみますと、専門家は、閃輝暗点発作時の血流低下の状態をSPECTもしくはMRIで確認されますが、この閃輝暗点は”頭痛発作時”での結末を観察しているものと考えるべきもので、あくまでもその引き金となるものは、頸部の異常な筋緊張(”体の歪み・・ストレートネック”)にあるものと考えるのが妥当のようです。


 しかし、専門家は、頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」はエビデンスなし、とされる以上は、このような論点に至ることはあり得ません。


 こうしたことから、カイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々からは、トリプタン製剤やミグシス・テラナスなどの薬物では治るはずはない、と唾棄される現実があるようです。
 前兆として閃輝暗点を伴う片頭痛が、片頭痛全体の20%前後であると推測すれば、こうした20%前後は、「体の歪み(ストレートネック)」が関与する片頭痛と考えるべきかもしれません。


 片頭痛はミトコンドリアの機能障害による頭痛です。ミトコンドリアの働きが悪ければ同時にセロトニン神経系の機能まで低下してきます。これに生活習慣の問題点が加わることによって、脳内セロトニンの低下が引き起こされます。
 脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
 このため、片頭痛では容易に「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こしてきます。


「体の歪み(ストレートネック)」→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
↓                  ↓
↓       脊髄を介して三叉神経脊髄路核
↓                  ↓
↓       中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
↓                  ↓
↓           
脳の過敏性、頭痛の慢性化

自律神経失調症状 → 交感神経機能低下→頚性神経筋症候群
                                
(慢性頭痛)

 
 首にはたいへん多くの神経や血管が集中しています。首の筋肉や関節の異常などによって、これらの神経や血管が圧迫されると、自律神経の働きが乱れ、さまざまな不定愁訴が起きることが多いのです。その症状は、頭痛、吐き気、耳鳴り、めまい、イライラ、不眠など、実に様々です。ときには、こうした不調が自律神経失調症やうつ病など、こころの病気にまで発展することもあります。


 ストレートネックが長期間、放置されて引き起こされる病態が東京脳神経センターの松井孝嘉先生の提唱される「頸性神経筋症候群」です。

 結果として、さまざまな自律神経失調症状が引き起こされ、ストレートネックを伴う片頭痛の場合には、頭痛発作が「天気」によって左右されたり、光が異様に眩しく感じられたり、めまいが頭痛発作と関係なく出現したり、閃輝暗点の発症要因ともなり、不眠、不安障害、パニック障害やうつ状態にまで発展することもあります。
 (これらは片頭痛の共存症とされています)
 ムチウチに遭遇しますと、ストレートネックは必ず、生じてきます。
 こういったことから、慢性頭痛がこじれた状態になったり、ムチウチの場合にも同様ですが、頭痛をはじめとする色々な訴えが出てきます。
 その代表的なものは、「気象の変化、低気圧」によって頭痛が出現したり不定愁訴が増悪し、あたかも「天気予報士」のように天候を言い当てる方々もおられ、”気象病”の代表的疾患とされるほどです。


 このようにして、長期間持続する「体の歪み(ストレートネック)」は脳過敏を引き起こし、頭痛発作が天気に左右されたり、閃輝暗点を引き起こすことになります。

 

 専門家は、「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛研究の絶対的基準とされることから、頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」をエビデンスなし、とされることから、カイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々の実績を否定され、小橋雄太さんの例は論外であり、私の検証も”眉唾”とされ、思考形態そのものが自分で制限されることになります。


 このため、閃輝暗点を伴う片頭痛、さらに天気に左右される片頭痛の原因はすべて、「脳過敏」のなせるワザであり、”神秘的で・不思議な頭痛”とされ、片頭痛はまさしく”神聖な頭痛”ということのようです。このように専門家は考えていることを忘れてはなりません。


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     未だに、ネット上で幅をきかす脳過敏症候群
     
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12281301551.html

 

 このような論説は、トリプタン製薬メーカーに迎合するものであり、このことから国際頭痛学会で賞賛されたにすぎないものです。この点をきちんと理解しておく必要があります。

 

 ここでコマーシャルです。


  頭痛が気になったら・・
   
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12638708200.html