未だに、ネット上で幅をきかす脳過敏症候群 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 現在、ネット上では以下のような記事で氾濫しています。


片頭痛を放置して置くと脳過敏症候群の予備軍の可能性


 最近、若い頃に片頭痛を適切に治療して来なかった人に見られる症状が注目されています。
 高齢者の中には、歳を重ねるうちに頭痛は余りしなくなった一方で、めまいや耳鳴り、不眠や抑うつ感、イライラと言った症状が目立つようになって来たと感じている方がいます。
 耳鼻科や婦人科で検査を受けても異常は見つからず「原因不明」、「更年期障害だと思う」片頭痛持ちなどと言われ。病院を転々とハシゴしても一向に良くならない。


 これが、脳過敏症候群の典型的なケースとされます。


 これらの症状のある方に共通するのは、かつての片頭痛を治療しないで凌いできた事とされています
 かつて、片頭痛で病院で検査して貰ったが、特に異常は無く、「ただ頭が痛いダケです」
片頭痛持ちと、医者にまともに取り合って貰えない。
 「片頭痛位で会社は休めない」と、治療などせず市販の鎮痛剤で凌いできた、・・・
”片頭痛くらいは我慢するもの”といった国民性も影響していると思います。


片頭痛は治療しないと姿・形が変って行く


 最近「脳過敏症候群」という新しい病気が注目されはじめています。


 脳過敏症候群に移行しやすい人はかつてしつこい片頭痛に悩まされ続けてきた人です。 でも治療はして来なかった。
 片頭痛の根本原因は大脳の興奮性の高さにあります。通常人よリ高く過敏に反応します。


 「変化を敏感に読み取る脳」です。


 体の内外からの刺激に対して、脳の特定部位が過剰に反応して、その興奮が脳の広範囲に及ぶと、 脳全体に興奮しやすい状態がつくられます。
 市販の鎮痛剤で片頭痛を凌いでも、痛みを鎮めるだけで脳の興奮状態は残ったままになります。
 鎮痛剤では、片頭痛の治療にはなっていません。
 中高年になると、脳の血管のしなやかさがなくなり、拡張しずらくなります。
 その為、痛み自体が無くなったり軽くなったりします。が、脳の興奮状態は残ります。
 こうして、脳の働きに乱れが生じて、目まい、耳鳴り(頭鳴)、不眠、イライラといった症状が表れてきます。
 これらの症状は慢性化した「脳の興奮状態」です。
 若い頃に片頭痛を治療しておけば良かった、と嘆く人が多いのです。

 

 

 以上のように、片頭痛を適切に治療していないと、将来、脳過敏症候群を引き起こしてくるとされます。片頭痛の適切な治療とは、片頭痛発作時に毎回、トリプタン製剤を服用することとされ、このようにして、トリプタン製剤の売り込みを目論んでいます。
 しかし、片頭痛の適切な治療とは、果たしてどのようなことをするのでしょうか?
 皆さんは、これまで頭痛外来を受診され、ただ単に、トリプタン製剤だけを処方され、生活指導を具体的に受けた方々は少ないのではないでしょうか?


 片頭痛はミトコンドリアの機能が低下する頭痛です。ミトコンドリアの機能が低下すれば、当然、セロトニン神経系の機能は低下しています。ここに生活習慣の不規則・ストレス・生理周期、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なれば「脳内セロトニンが低下」することになります。そして、この ミトコンドリアの機能が低下と「脳内セロトニンが低下」することに、前屈みの姿勢を強制される生活習慣が加われば、「体の歪み(ストレートネック)」を形成してきます。
 脳過敏は、「ミトコンドリアの機能が低下」、「脳内セロトニンが低下」、「体の歪み(ストレートネック)」の3つが関与して、引き起こされてきます。


1.ミトコンドリアの関与

 

 私達の体を構成する細胞の中には、多数のミトコンドリアという小器官があります。
  ミトコンドリアは、ほとんどすべての生物(ヒト、動物、植物、菌類など)の細胞に在り、酸素を取り込み、生きる為に必要なエネルギーを作り出していて、車のエンジンや発電所の発電機のような働きをしています。
 エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多くなります。
 ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。
 ミトコンドリアには、細胞内のカルシウムイオン濃度を適正に調整する作用があります。 マグネシウムイオンは細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造ならびに細胞膜構造において膜の安定性を保つ役割をしています。
 細胞膜にはミネラルイオンが通過できる小さな「穴」があり、透過できるイオンの種類によって、「ナトリウムチャネル」とか「カルシウムチャネル」といった名がつけられています。これを使って必要なミネラルを自在に出入りさせることで細胞内のミネラルイオン濃度の調整をするのです。
 マグネシウムイオンが不足すると細胞内小器官(ミトコンドリア)の”膜構造ならびに細胞膜構造”のイオンポンプの力が弱くなり、細胞内小器官であるミトコンドリア膜の透過性も亢進し、ミトコンドリア内に入り込んだカルシウムイオンは、ミトコンドリア外へ出ていけません。カルシウムはミトコンドリア内に少しずつ蓄積してきます。ミトコンドリア内カルシウムイオンの増加が起こります。それを薄めるために細胞浮腫、つまり水ぶとりの状態になります。
 細胞内のカルシウムイオン濃度が異常に高くなり過ぎると、ミトコンドリアの調整機能は破壊されてしまいます。調整機能が壊れたミトコンドリアは死滅してしまいます。
 ミトコンドリアのエネルギー産生やミトコンドリア自体の生死には、ミトコンドリア内のカルシウムイオン濃度が強く係わっており、カルシウムイオン濃度は片頭痛の発症にも非常に大きな原因となります。
 このようになった細胞に、適量のマグネシウムが供給されると、溜まっていたカルシウムイオンなどが排出され、それにつづき、水分も排出されますが、この水ぶとり状態も限度がありカルシウムイオンがある量を超えると、その細胞は不必要となり見捨てられます。そして、後にはカルシウムイオンなどで一杯になった固まりだけが残されます。
 これが石灰化した細胞のことです。動脈硬化の原因の一つです。結果的に、この細胞は死滅してしまいます。
 細胞内のマグネシウムが著しく不足すると、カルシウムイオンを細胞外に排出するカルシウムポンプの調整機能が働かなくなり、筋肉は収縮状態(緊張した状態)が続くことになります。片頭痛の前兆や、発症の引き金となる脳血管の収縮は、脳血管細胞内のカルシウム濃度の高まりによっても生じます。それはつまり、マグネシウム不足がもたらす結果でもあるのです。
 このようにして、マグネシウムイオンの低下はミトコンドリア内カルシウムイオンとナトリウムイオンの増加およびカリウムの喪失による細胞内でのカリウムイオンの低下を招きます。同じくマグネシウムイオン感受性のATP依存性カルシウムポンプの活性低下を招くことになり、細胞は興奮しやすくなります。これが「脳過敏」を引き起こしてきます。
 このようにしてマグネシウムイオンの減少はミトコンドリアの好気的代謝異常をきたして、神経細胞を興奮しやすくすることになります。
 片頭痛では、ミトコンドリア代謝異常が生まれつき存在するために、ミトコンドリアはマグネシウムイオンの減少による影響をさらに受けやすくなることになります。
 マグネシウムイオンの低下は片頭痛発作の結果でなく発作の始まる前から存在しているのです。神経細胞の”興奮性の亢進”はマグネシウムイオンの減少の結果あるいはミトコンドリアの代謝異常の結果として生じているものです。このようにして、「脳過敏」が形成されることになります。
 片頭痛とてんかんは密接な関係にあって,「片頭痛は本質的にてんかんの一種である」ことが強調されていますが、”脳の興奮性の亢進”は、上記のことを示すものです。
 そして、マグネシウム不足が持続すれば、ミトコンドリアの働きをさらに悪くさせることに繋がることになり、片頭痛を悪化させる”元凶”にもなってきます。これが「脳過敏症候群」の本態です。市販の鎮痛薬の服用が原因ではありません。間違えないようにして下さい。この点は極めて重要なことで、忘れてはなりません。
 マグネシウムは、日常生活を送る際にいろいろな原因で容易に不足してきます。
 このことは、後程述べます。


  2.「セロトニン神経系」の関与


  「セロトニン神経系」は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分にあります。そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。
 「セロトニン神経系」は、セロトニンを含有し、神経伝達物質として”セロトニン”を用いる神経細胞群とその標的細胞の受容体からなります。
 神経伝達物質とは、神経細胞のニューロン間で、信号をやり取りするための物質の事です。この細胞のシナプスからは、特定の神経伝達物質が放出され、受容体で受け取られるという仕組みがあり、この情報伝達が神経へとつながっているのです。
 セロトニン神経の活動レベルは一日の中で絶えず変化していますが、その活動が活発であればセロトニンの分泌が多くなり、弱くなれば分泌が少なくなります。
 分泌が多ければ、それだけ情報も伝わりやすくなるというわけです。
 セロトニン神経が働くのは、おもに覚醒時です。
 朝起きてから夜寝るまで、セロトニン神経は休むことなくインパルスを出し続けています。つまり、起きている間中、セロトニンの分泌は行われています。
 そして、睡眠中には、そのインパルス活動が弱くなり、セロトニンはほとんど分泌されなくなります。そのため脳内のセロトニンの濃度が下がり、脳全体を覚醒する作用もなくなります。
  セロトニン神経には、歩行、呼吸、咀嚼などの基本的なリズム運動によって活性化されるという特性があります。毎日の生活の中で、こうしたリズム運動を自然に繰り返していれば、セロトニン神経は正常レベルに保たれます。したがって、こうした運動を極端に抑えた生活を継続することは、セロトニン神経の減弱を招きます。
 例えば以下のような生活習慣には要注意です。
  

  日光を浴びることが少ない
  朝は出かける直前まで寝ている
  昼夜逆転生活になっている
  固いものをあまり食べない
  階段を使わずエレベーターやエスカレーターを使う
  30分以上続けて歩くことができない
  運動不足である
  デスクワークが多い
  朝食をとらない
  ごはんやパンなどの炭水化物をあまり食べない
  魚より肉をよく食べる
  ダイエットのため食事制限をしている


 また、加齢による身体機能の衰えも運動不足に繋がります。セロトニン神経の活性には太陽の光も影響しますから、インドア指向の最近の子供たちの生活、とくに連日、息をつめてゲームをやり続けるという習慣などは、セロトニン神経が減弱しやすくなるのです。
 “小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なれば益々「脳内セロトニンが低下」することになります。さらに生活習慣の不規則・ストレス・生理周期により「脳内セロトニンの低下」がさらに増強してくることになります。
 疲れなどで、体に乳酸が蓄積して起きる”肩こり”なども脳内セロトニン不足の原因になるということです。
  セロトニン神経は、痛みの感覚を抑制する役割を担っています。
 セロトニン神経が活性化されていると、鎮痛効果が現れます。
 痛み自体がなくなるのではなく、セロトニン神経の活性化により痛みの感覚をコントロールすることで、痛みを感じにくくなります。
 反対にセロトニン神経が弱まると、ささいなことで体の痛みを感じるようになります。
  脳内セロトニンが低下すれば、頭痛が出現しやすくなってきます。またアロデイニアと関連しています。
 そして、これに加えて、市販の鎮痛薬、病院で処方される「鎮痛薬」と「トリプタン製剤」「エルゴタミン製剤」の過剰服用や、「有害物質」の蓄積により、これが「化学的ストレス」となり、「慢性的なセロトニン不足」を引き起こす原因となり、結果的に「脳内セロトニンの枯渇状態」に至らしめ、このため「痛みに対する感受性を低下」させ、「衝動性、過敏性、こだわり、緊張」が強くあらわれ、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの五感すべてが過敏になり、わずかな刺激にも敏感に反応してしまい、「脳過敏」に至ってきます。 これとは別に“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なれば「脳内セロトニンが低下」することにより、これがさらに増強されてきます。
 本来は痛くない刺激を痛みと感じるアロディニア(異痛症)が、片頭痛発症後5年くらい経過して出現することがあります。
 これは「脳内セロトニンの低下」により脳が過敏になって生じてきます。


3.体の歪み(ストレートネック)の関与


 脳のなかに原因のない”慢性頭痛”の方々には、頸椎レントゲン検査を行いますと共通してストレートネックが認められます。それでは、どうしてストレートネックが頭痛・脳過敏を引き起こしてくるのでしょうか?

 人間の背骨(脊柱)はS状の湾曲を呈しています。人間は直立位を保っていますから、背骨が一直線ですと、全体重が下の背骨にかかることにより、すぐに下の背骨がダメになってしまいます。こうしたことにならないようにS状の湾曲を呈しています。ということは頸椎は前に湾曲を示していることになります。ところが、頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜しておれば、後頸部の筋肉に張力が常に加わることになり、これが肩こりに繋がり、このこりが上部へと拡がることによって鈍い痛み、締め付けられるような痛みとなってきます。

 


「ストレートネック」→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
   ↓              ↓
   ↓     脊髄を介して三叉神経脊髄路核
   ↓              ↓
   ↓      中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
   ↓              ↓
   ↓     
脳の過敏性、頭痛の慢性化
   

 自律神経失調症状 → 交感神経機能低下→頚性神経筋症候群
                                           
 (慢性頭痛)                               

 

尾側亜核で三叉神経と頚神経が収束する

 

 ストレートネックのために、頭半棘筋に凝りが出ると、それが大後頭神経を刺激し、その刺激が三叉神経に伝わります。大後頭神経と三叉神経は脳のなかで、三叉・頚神経複合体を形成していて、つながっていますので、大後頭神経の刺激は三叉神経にも伝わります。
 首の筋肉のこりの刺激が、大後頭神経から三叉神経に絶えず刺激が送られ続けます。このため、常時、脳の過敏性が高まった状態が継続していき、「痛みの感じやすさ」が増強されることになります。
 このため、「痛みの感じやすさ」がさらに増強され、常時、脳の過敏性が高まった状態が継続していきます。
  「体の歪み(ストレートネック)」は、胸鎖乳突筋に影響が及び、耳鳴りの原因になってきます。さらに、めまいを引き起こすことになります。
  「体の歪み(ストレートネック)」によって引き起こされた脳の過敏性が高まった状態は、閃輝暗点を引き起こす原因にもなってきます。


 以上のように、「ミトコンドリアの活性低下とマグネシウム不足」「体の歪み(ストレートネック)」「慢性的な脳内セロトニンの低下」この3つの側面から「脳過敏」を考えなくてはなりません。


マグネシウムの重要性


  ここで、マグネシウムの重要性について述べておきます。
 

ストレスとマグネシウム


 通常、ストレスがかかるとアドレナリンが分泌されます。
 アドレナリンによって心拍数が上がって、血圧上昇、血管収縮、筋肉収縮が起こります。
 こうやって外部からのストレスに身体が対処しようとするわけです。しかし、こういった作用には必ずマグネシウムが必要で、ストレスがかかる状況が続けば、マグネシウム欠乏に陥ります。
 ストレスの研究で有名な、ハンス・セリエによれば、身体の短期的な闘争反応、逃避反応から、慢性的ストレスに移行する際にもマグネシウムが消耗されると言います。また副腎(ストレス調整臓器)は、コルチゾールやストレスホルモンであるノルエピネフリンを作り出しますが、ノルエピネフリンはアドレナリンに似た作用を示し、同じくマグネシウム不足を生じさせます。
 こういったマグネシウムの消耗が身体にストレスを与え、ここからパニック発作が引き起こされます。
 またストレスによる副腎の酷使は、マグネシウム不足を生みますが、体内のマグネシウムレベルが低い時にストレスにさらされると、より多くのアドレナリンが放出されてしまうのです。
 アドレナリンは、イライラや怒りっぽさ、短気、感情の爆発などを作り出すので、まさに悪循環の流れが出来上がるわけです。こういった神経症をストップさせるのには、マグネシウムレベルを回復させることが重要になってきます。
 またストレス反応が続く間は、アドレナリンの放出を促進するのにカルシウムが必要とされますが、元々カルシウムが過剰になっているとアドレナリンが溢れかえってしまいます。しかし十分にマグネシウムがあれば、余剰カルシウムを抑えてくれ、通常レベル以下にしてくれるので、ストレス反応が抑制されます。


マグネシウムは、神経系の興奮を自然と鎮めてくれるのです。


 1995年に行われた研究では、マグネシウム不足が脳に強度の興奮をもたらし、逆にマグネシウムが興奮を落ち着かせることがわかっています。13人の女性が初めの3ヶ月、1日に115ミリグラムのマグネシウム(一日の推奨量の30%にしかならない量)を摂取しました。その結果、脳波検査では強度の興奮性があることがわかり、その後の3ヶ月は、1日に315ミリグラムを摂りました(推奨量の360ミリグラムに近い数値)。そうしたところ、これだけの量の変化でもたった6週間後には脳波検査において、脳機能に大きな改善がみられ、興奮性が低下を見せたのです。


 その他、マグネシウム欠乏が「不安神経症」や「うつ病」の根本原因であることが、いくつかの研究でも発表されてきています。
 ちなみに、慢性マグネシウム欠乏の症状には、不安行動、強度の情動性、無気力、不安感、記憶減退、錯乱、怒り、緊張、筋力減退、 疲労、頭痛、不眠、立ちくらみ、目眩、心因性発作、喉のしこり感、呼吸不全、筋肉痙攣(こむら返りを含む)、皮膚のヒリヒリ感、チクチク感、ムズムズ感、頻脈、 胸痛、心悸亢進、心拍リズム異常、などがあります。
 こうみていくと、まさに不安神経症などはマグネシウム不足が背景にあることが見えてきたのではないでしょうか。


  次にうつ病についてですが、これにはセロトニンという脳内をリラックスし、快くさせるホルモンの低下が関わっていることはみなさんもご存知かもしれません。
 というのもうつ病で処方されるお薬が、セロトニン再取り込み阻害薬のようなセロトニンの化学作用を利用したものが多いからです。セロトニン再取り込み阻害薬は、セロトニンの分解・排泄を阻止して、人工的に体内のセロトニンレベルを高めるものです。
 しかし、ほとんどの人がセロトニンが働くには、実はマグネシウムが重要な栄養素であるということを話題にしません。マグネシウムは、脳細胞によるセロトニンの放出と取り込みに必要な栄養素で、適正なマグネシウムがあれば、自然と十分なセロトニンが作り出され、感情にも落ち着きが出てきます。


 ところが前述のようにストレスにより、マグネシウムが不足してしまうと、悪循環が始まって脳内の適正なセロトニンレベルを維持出来ず、うつ症状を生じてしまうことがあります。
 このように脳内を落ち着かせてくれるセロトニンについてもマグネシウムが重要な役割を果たしていたのです。ちなみにうつ病のお薬(セロトニン再取り込み阻害薬)を使った場合、セロトニンは脳内に長時間滞留することになるので、理論的には気分が高揚することになりますが、実際には個々で全く違う反応を示します。
 長いうつ病から解放される方もいれば、薬を飲み続けることで、逆に不安神経症や興奮状態に陥ってしまう人もいます。また気分に起伏がなくなり、笑うことも泣くことも出来ない変化の乏しい生活に追いやられてしまうこともあります。こういったことは心療内科で薬を使ったことがある方だったら、わかると思いますが、こういった薬は抜けるのが難しいものです。
 是非、薬を使用する前に、この大切な栄養素がかかわっていることを思い出して頂き、まずマグネシウムを補給することから始めて下さい。
 マグネシウム欠乏があらゆるタイプのうつ症状の原因となり得るのですから。
  不安神経症とうつ病の方で、特に避けるべき食べ物は、食品添加物、人工甘味料、砂糖、小麦などです。また加工食品やジャンクフードも避けましょう。またうつ病と腸の関わりはよく言われますが、酵母(イースト、真菌類)なども問題を起こしやすく、過敏性大腸炎などもこういった神経症やうつ病との関わりも深いと言われています。


マグネシウム不足で片頭痛が起こる理由

 
 マグネシウムが不足すると片頭痛が引き起こされる因果関係は、以下のようにいくつか考えられています。


 •脳神経の興奮状態が続いてしまう
 •片頭痛抑制に有効なセロトニンが生成されにくくなる
 •脳血管の収縮が続き、その反動で脳血管が拡張する


脳神経の興奮状態が続いてしまう


 マグネシウムには、神経の興奮を鎮めて精神を安定させるという役割(抗ストレス作用)があります。このため、マグネシウムが不足すると神経細胞が興奮状態に陥りやすくなります。

 マグネシウム不足により、脳の神経細胞が興奮し(つまり脳の神経が過敏になり)、これが片頭痛につながると考えられます。


片頭痛抑制に有効なセロトニンが生成されにくくなる


 セロトニンとは、脳内伝達物質のことで、脳の血管収縮にも作用しています。脳内のセロトニンが不足すると、脳の血管が拡張しやすくなり、片頭痛も起こりやすくなります。 つまり、セロトニンの量が安定していることが、片頭痛の抑制になるということです。


 そして、マグネシウムは、セロトニンの生成に必要なミネラルです。


 マグネシウムが不足してしまうと、セロトニンが生成されにくくなるため、脳内はセロトニン不足になってしまいます。その結果、脳の血管が拡張して、偏頭痛が起こると考えられます。


脳の血管の収縮が続き、その反動で脳の血管が拡張する


 マグネシウムは、同じミネラル仲間のカルシウムと拮抗(互いに反対の働き・機能を持つという意味)しています。具体的には、カルシウムが筋肉や血管を収縮させると、マグネシウムが筋肉や血管を緩ませる方向に働いて、バランスを取ります。


 マグネシウムが不足している場合、カルシウムの働きにより収縮した筋肉や血管は、収縮しっぱなしの緊張状態が続いてしまいます。
 これが脳内で起こると、まず、脳の血管が収縮しっぱなしという状態が続きます。そして、その後、収縮の反動で、脳の血管がいっきに拡張して片頭痛が引き起こされます。


マグネシウムとカルシウムの拮抗作用


 カルシウムは神経伝達物質として細胞に出入りし、マグネシウムはそのカルシウムを細胞から取り出す、という拮抗関係にあります。筋肉の細胞(筋細胞)にカルシウムが流入して細胞内のカルシウム濃度が高くなると、筋肉は収縮します。これに対し、マグネシウムは筋細胞内のカルシウムを取り出し、筋肉を弛緩させます。血管の壁にある筋肉(平滑筋)の細胞で同様のことが起こると、血管の収縮が起こり血圧が上がります。マグネシウムは、細胞からカルシウムを取り出し、血管を弛緩させ血圧を下げます。


(カルシウム)筋肉収縮 ⇔ (マグネシウム)筋肉弛緩
(カルシウム)血管収縮 ⇔ (マグネシウム)血管拡張


マグネシウムが不足すると、カルシウムが暴走する


 カルシウムと拮抗するマグネシウムが不足すると、細胞内にカルシウムが溜まる一方になり、筋肉や血管の収縮状態が続きます。細胞のカルシウム濃度を薄めようと、水分が細胞内に流れこみ、細胞浮腫(ふしゅ・水太り)が起こりますし、最悪の場合は、細胞内のカルシウムの量が限界を超えて石灰化し、細胞が死滅することもあります。石灰化した細胞は、動脈硬化の原因にもなります。
 このように、マグネシウムの不足による症状として挙げられているものの多くは、マグネシウムが不足してカルシウムが一人歩きしてしまった結果による症状とも言えます。


私達の生活環境は、マグネシウムが不足しやすい状況にあります。

 
 日本人には慢性的にマグネシウムが不足しています。その原因は、昔と比べ欧米化した食生活にあります。
 厚生労働省「平成21年国民健康・栄養調査」によると、マグネシウムの平均摂取量は20歳以上の男性では264mg、20歳以上女性では234mgです。
 食品からの摂取量だけで男性では100mg前後、女性では50mg前後のマグネシウムが毎日不足していると推定されます。


 日本人のマグネシウム不足の原因として「食生活の“欧米化”」と「精製塩の過剰摂取」を挙げられています。粗塩にはマグネシウムをはじめとするミネラルが多く含まれます。
 また、塩分の過剰摂取により、体内からのマグネシウムの排泄が増えると、マグネシウムは不足気味になります。その他、マグネシウムはストレスが加わると尿中にたくさん排泄され、さらに不足傾向になります。ストレスにさらされる現代人は、マグネシウムが不足しやすい生活になっているのです。


 それでは、これ以外の、マグネシウム不足の原因は何でしょうか? 


 次のような身の回りの生活環境は、容易にマグネシウム不足を起こしてきます。


・ストレス


 ストレス対応ホルモンがマグネシウムの排泄を促してしまいます。


・アルコールの飲み過ぎ


 アルコールの多飲により 尿中にマグネシウムを排泄する量が増加します


・毎日の牛乳摂取


 カルシウムばかりが多い牛乳を いつも飲むことで 2:1が望ましいカルシウム:マグネシウムのバランスが狂い、マグネシウムの相対的欠乏を招いてしまいます。


・激しい運動や暑すぎる環境


 マグネシウムは 汗とともに大量に排泄されます。


・食材のマグネシウム含有量が低い


 日本の土壌は火山灰土でミネラルが少ないため その土壌で育った作物はあまりミネラルを含まないのです。
 さらに農薬の使用で土壌が枯れ 以前より含有率は低下していると言われています。


・白米小麦粉など精製食品の摂取


 精製過程でミネラル分がそぎ落とされてしまっています。


・白砂糖の摂取


 消化分解にマグネシウムが大量に消費されます。


・加工品や清涼飲料水の摂取


 これらに多く含まれるリンによりマグネシウムの吸収が妨げられます。


・食品添加物や農薬等の摂取


 有害物質を解毒するために肝臓でマグネシウムを消費します。


・エストロゲン過剰(環境ホルモン含む)


 本来月経期間中はエストロゲン濃度が低いはずですが、肉・乳製品・環境ホルモンの摂取でエストロゲンが高濃度になると、マグネシウムの体内濃度は低下します。
 肉・牛乳・乳製品、これらにホルモン剤(エストロゲン様環境ホルモン)が含まれている可能性がある事をご存知ですか?
 例えば乳牛は、早くから、そして大量にお乳を出させるために、遺伝子組み換え牛成長ホルモンというのが投与されている事があります。日本では規制も表示義務もないですが)
 アメリカでは、逆にこのホルモン剤を「投与してません」と書くと、投与している牛乳の販売を妨害する、と裁判が起こり、区別してはいけないようになっています。
 ホルモン剤投与でたくさんお乳を出す牛さんは、ママさん達ならわかると思いますが、乳腺炎を起こしやすくなります。その乳腺炎防ぐために、抗生剤も投与されているのです。
 肉牛にもホルモン剤は使われており、日本では4種類のホルモン剤投与が認可されているようです。(EUでは一切禁止されていますが・・)
 ホルモン剤に抗生剤をお肉や牛乳・乳製品から取っているかもしれない、なんて、普通は気付きませんので注意が必要です。


・食の欧米化


 洋食より和食の方がマグネシウムを多く含む献立ですが、食の欧米化によりマグネシウムの摂取量は低下しています。


・生理時には・


 特に更年期以前の女性は、月経前に血中マグネシウムを骨や筋肉へと移行させるため、生理中は脳内のマグネシウムレベルが低下してきます。


・ドカ喰い、早飯・・インスリン過剰分泌


  ドカ喰い、早飯はインスリンの過剰分泌を来します。
 インスリンはブドウ糖とともにリンを細胞内に移動させる作用がありますが、暴飲暴食などによってインスリンの過剰分泌を起こすと、必要以上に細胞内にリンが取り込まれて血液中のリン濃度が低下し、低リン血症を起こします。 低リン血症になるとマグネシウムは腎臓から尿とともに多く排泄されます。 このように、インスリンの過剰分泌もマグネシウム不足を起こす原因となります。

  などなど。。。


 このように、私達の生活環境はマグネシウムが不足しやすい状況にあることを忘れてはなりません。このために、市販の鎮痛薬の服用とは別に、脳過敏の原因が存在しています。


 片頭痛の適切な治療とは 「ミトコンドリアの活性低下」を改善させ、「体の歪み(ストレートネック)」を改善・是正し、「脳内セロトニン」を増やすことであり、マグネシウム不足を解消させることです。この4つの側面から「脳過敏」を予防させなくてはなりません。
 このような、「脳過敏」に対して、抗てんかん薬で抑え込むことは、まさに素人が思いつくようなものであり、確かに、一時的には効果があることは当然のことです。しかし、抗てんかん薬のなかのデパケンは、ミトコンドリア毒性があることから、あくまでも一時的な服用に止めておかなければ、ミトコンドリアを弱らせることになり、結局、何をしているのか分からなくなってしまいます。


 片頭痛の適切な治療とは、ミトコンドリアの機能を回復させ、脳内セロトニンを増やし、体の歪み(ストレートネック)を改善させることであり、トリプタン製剤は、あくまでも鎮痛薬にすぎないことが理解されたはずです。
 片頭痛発作時に、毎回、トリプタン製剤を服用したからといって、「脳過敏」を予防できないことが理解されたことと思います。
  このように、トリプタン製剤を売り込もうとした論法がネット上には、極めて多いことがお分かり戴けたことと思います。

 

 

 こうした「脳過敏症候群」を提唱される方々は、片頭痛をミトコンドリアの機能の低下する頭痛とは全く考えていません。
 ですから、脳内セロトニンの低下などは、念頭にありません。さらに、「体の歪み(ストレートネック)」の存在そのものを認めません。
 これら3つの存在が頭にないため、脳過敏の原因は、市販の鎮痛薬を服用し、トリプタン製剤を服用しなかったことが原因であるといった短絡的な考えしか思いつかないことになります。
 こうした、片頭痛に対して市販の鎮痛薬で毎回、辛い頭痛を抑え、これが頻繁になってきますと薬剤乱用頭痛を併発してきます。この薬剤乱用頭痛は、市販の鎮痛薬を頻繁に服用することによって、これがミトコンドリアの機能を益々悪化させ、さらに脳内セロトニンを低下させることによって起きてくるものです。ここに、マグネシウム不足が加わることによって、脳過敏が増強してくることになります。
 このように、トリプタン製剤を服用していなかったことで脳過敏が起きるのではありません。
 先述のような脳過敏を来す要因の3つが全く念頭の置かれず、その対策を怠った結果にすぎないものであり、これらの3つが積み重なった結果として「脳過敏症候群」が作られてきたにすぎないものです。まさに恥ずべき論法でしかないはずです。

 

 また、脳過敏の決め手とされる脳波所見は、慢性化した緊張型頭痛でも、マグネシウム不足が持続しても、共通してみられる所見であり、特異的に「脳過敏症候群」だけでみられるものではありません。

 ということは、脳波検査をしたからといって、「脳過敏症候群」と診断するのは、早計(ハヤトチリ)でしかありません。
 これに対して、抗てんかん薬・抗うつ薬を服用させることは、脳過敏を抑えているだけのことであり、根本的に治しているものではなく、あくまでも対症療法にすぎないものです。

 
 このような「脳過敏症候群」を絶賛するのは、トリプタン製薬メーカーやトリプタン御用学者しかいないことになります。すなわち、このようにしてトリプタン製剤の宣伝をしているに過ぎないものです。
 こうしたことから、ネット上に広く流布していることになっています。

 

 さらに、最も問題視すべきは、このような脳過敏を引き起こす要因3つを無視することによって、片頭痛を慢性化させる原因の1つにもなっていることを私達は忘れてはならないことです。