医者の”不養生”??? | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 酒・タバコ・ギャンブル・〇〇は昔から人としての道を踏み外す4大原因とされ、さらに酒とタバコと言えば、不健康の固有名詞とさえ言われてきました。                   

  私の人生を今振り返れば、酒とタバコもありますが、レントゲンの浴びすぎがあります。
 現代社会に生きる皆さんにとって、内科医であった私がなぜ、レントゲンを浴びる機会があったのかと信じられない思いをされることと思います。というか、私のような医師は時代の産物なのかもしれません。確かに、私は医師としては、特殊な時期に生きていたのかもしれません。その時期の特殊性については、詳細にこれまでも記事にしました。
 興味ある方はご覧下さい。 


   実は、私も片頭痛持ちでした
    
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-11949839076.html


   引っ越しを終えて その7
    
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-11947167073.html


 結局、勤務した病院には放射線科の医師はいなく、当時は内視鏡もない時代で、胃・大腸の検査は専らレントゲン検査による胃透視・注腸造影で行っており、それも研修医が順番に毎日担当し行っていました。注腸造影の場合は、患者さんの横で、直接操作しなくてはならず、モロにレントゲンを浴びる状況に置かれていました。


 そして、私の場合は、将来の脳卒中医を目指して、研修医時代から脳血管撮影の手技を身につけるべく研鑽に励んでいました。
 といいますのは、勤務した病院には脳神経外科はなく、また現在のようにCTやMRIなどの画像検査のなかった時代です。ですから、脳血管障害の診断は専ら、脳血管撮影で行われていました。このため救急で脳卒中患者さんが搬入されれば、直ちに私にお呼びがかかり、脳血管撮影を行っていました。当時は、クモ膜下出血、脳出血問わずすべて行い、クモ膜下出血の場合は脳動脈瘤が見つかるまで、左右の内頸動脈、さらに、方向を変えて撮影を繰り返していました。それも連続撮影のため、1件当たりのレントゲン被爆量はかなりのものであったと想像されます。
 昭和50年に、CT装置が導入されてからは、脳出血の小さな出血は血管撮影はしなくなり、クモ膜下出血の場合は、出血側が分かるようになったため、1側だけで済むようになり、レントゲン被曝量は少なくなってきていたのは事実ですが、脳梗塞の場合、最初は患側だけですが、その後「側副路検索」を目的として、残り3本の血管の撮影を行い、さらに1週間後には閉塞血管の再開通の有無をみるために再度、患側の血管撮影を行っていました。ですから、1症例あたり最低3回は脳血管撮影を行うことになっていました。
 この脳血管撮影も、1側16枚連続撮影で行うため、合計32回のレントゲン照射を受ける計算になります。このような方式で行っていたことから、毎日、平均5,6件の検査件数を月曜日から金曜日まで予定され、ここに救急患者さんが飛び込んでくることになります。
 これを私独りだけで、昭和50年度から、昭和63年度まで行っていました。
 当時は、レントゲンの被爆線量を測定する「フイルムバッジ」は付けずに行っていたため、どの程度浴びていたかは定かではありませんが、昭和60年以降は、週末になれば、何とも表現のできないような体のダルサを感じるようになり、何もする気力が沸いてこないのです。

 このように、自分でもレントゲンの浴びすぎを自覚するまでに至りました。
 こうしたことから、脳卒中専門の医療施設を求め、大阪に診療の拠点を移した次第です。

 それは、脳卒中専門の医療施設であれば、私一人だけがレントゲンを浴びることはないと考えたからでした。


 平成2年4月から診療の拠点は現在の和歌山に変更しました。任された所は、19床の有床診療所でした。人口7万人前後しかいないため、急性期脳卒中診療は断念せざるを得ず、一般内科診療主体で、設置医療機器はX線CTとX線テレビ装置が主なものであり、内視鏡はしないこととしました。ということは、もう脳血管撮影は行うことはなくなりましたが・・。人口比率からまずペイできないと考えたからです。
 問題は、X線テレビ装置で各種の検査を行う場合、一般的には医師は操作室から患者さんにマイクを通して「アッチヲ向け、コッチを向け」と指示しながら撮影ができ、レントゲンを被爆することなく検査が行える利点があるとされています。
 しかし、(ところが)、こちらの地域では、このように操作室から患者さんに指示すれば、患者さん自身が緊張して、指示通りに・まともに動いてくれることは殆どといってよい位ありません。胃透視の場合、このような指示に従うことなく、逆方向に動こうものなら、バリウムが胃から排出されてしまい、それ以降の検査ができなくなってしまいます。
 こういった理由から、胃透視を行う場合、操作室で撮影することなく、撮影室内に入って・レントゲン台の横について、患者さんの動きを自分で誘導しながら撮影を進めて行かない限り、満足すべき検査にはなりませんでした。このため、全員、このような方式で検査をすることになります。


 さらに、こちらでは、頸椎X線検査ですら、技師を置く余裕はなく、自分でする必要があります。大病院であれば、技師さん任せにできるのですが・・
 特に、脳卒中診療を断念してからは、頭痛診療主体としたことから、頭痛診療には頸椎X線検査が必須の検査項目と考えることから、全員に行っていました。
 頸椎X線検査を行う際には、必ず6方向撮影を行うことを原則としていました。すなわち、正面像、中間位側面、前屈位、後屈位、斜位左右の合計6方向です。
 撮影のポイントは、正面像を撮影後、横を向いて貰う際のタイミングです。無意識に横を向いた直後に、「中間位側面」の撮影を行うことです。この理由は、無意識に横を向いた直後に撮影を行うということは、いつも習慣的に患者さんが取っている姿勢を意味しています。これを、「真っ直ぐ、横を向いて」と声をかけることによって、患者さんは意識的に正しい姿勢を取ろうとして、いつも取っている姿勢を矯正され、本来の状態が把握できなくなり、誤診のもとになってしまいます。
 さらに、前屈位を撮影する際に、軽く患者さんの頭を押さえて・前屈させるように誘導し、湾曲の状態を動的に把握する必要があります。
 斜位を撮影する際には、椎間孔がきちんと見えるように撮影しなくてはなりません。
 そして、最後に、中間位側面像でストレートネックがあれば、正面に戻して、左右の鎖骨の走向を確認し、左右の鎖骨が水平に位置しておれば、さらに撮影を追加します。
 忘れてならないことは、脊柱の走向を透視しながら、頸椎・胸椎・腰椎と辿ってみることで、「体の歪み」の状態のありのままを観察し、これが欠かせないものになっています。


 以上のような撮影は、少なくとも操作室からの撮影では無理なことであり、撮影室内でレントゲン台の横で患者さんの横でなければ撮影することは不可能です。
 このようなことをしておれば、レントゲンの被爆量も馬鹿にはなりません。
 しかし、こうした撮影方法を経て、「体の歪み(ストレートネック)」の診断基準が確立されてきました。
 ところが、偉い・偉い雲上人とされる頭痛専門医の方々は、自分の手を汚してまで、レントゲンを被爆してまで、自ら頸椎X線検査を撮影されることはありません。撮影することがあっても、すべてレントゲン技師任せでしかされることはありません。
 ここに、専門家と一般素人とされる医師の見解の相違があることを忘れてはなりません。

 このように極めて大切なことをレントゲン技師任せにして、”エビデンス”がないと宣われていることを皆さんは知っておく必要があります。

     
   慢性頭痛患者さんへの頸椎X線検査は必要ないのか
    
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-11945049754.html


 以上のように私の医師人生は、レントゲンの浴びすぎといった、まさに医師としてあるまじき”医師の不養生”そのものであったことが反省されます。


 このようなレントゲンの被爆線量を初めて意識したのが平成19年に右胸に胸水が貯留した際でした。当時、この胸水が肺炎の原因とされたことでした。しかし、採取された胸水では炎症を思わせる所見は何一つありませんでした。
 この入院した時点でも、生殖腺の腫大に気がついていましたが、余り気にとめていませんでした。残念ながら胸水の採取も1回限りであり、本来であれば、胸水の採取を繰り返し細胞診を丹念に行いさえすれば、確診に至ったはずです。
 しかし、当時の和歌山県下ではこうした細胞診もすることはなく、「肺炎による胸水」といった馬鹿げた診断が罷り通っていた時代であり、これも和歌山の”貧困”であるが故と諦めるしかないようです。誰を恨むかといった問題ではないようです。仕方のないことです。
 現在このことが致命的となってしまい、悔やんでも悔やみきれないものがありますが、誰かを怨んでも、もう仕方のないことで諦めるしかないようです。


 いずれにしても、はじめは「脳梗塞の血行再開療法」を夢見る余り、脳梗塞の血管撮影にのめり込み、最後は、慢性頭痛発症のスタートとなるはずの「姿勢の問題」に注目したために、誰もが見向きもしない「頸椎X線検査」に拘り続け、レントゲンを浴びまくった結果が現在の自分であるとすれば、「医者の不養生」というよりは、”馬鹿さ加減も程々に・・”といい加減に、中途半端な生き方の大切さが身に滲みて理解され、反省する毎日です。
 専門医のようにチャランポランな生き方をしない限り、長生きはできないようです。
 あの重い、鉛入りのプロテクターを毎回着用して、撮影していたにも関わらず、このような結果に至ったことは結局、何だったのでしょうか???

 

 

ここでコマーシャルです


 頭痛が気になったら・・
  
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12638708200.html