専門家が考えていること | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 現在では、慢性頭痛は原因がまったく不明とされるため、根治させることができず、頭痛を専門的に診療する「頭痛外来」では、緊張型頭痛に対しては、筋弛緩薬・抗うつ薬・血流改善薬が処方され、片頭痛治療方針では、発作急性期には各種のトリプタン製剤を使い分け、発作間歇期には各種の予防薬を”適切に”選択すべきとされ、これで片頭痛の治療体系は確立されたとされています。
 このように、頭痛医療は「薬物療法」がすべてになっており、専ら「鎮痛を目的」としたものであり、根治させることができないとされています。
 それでは、なぜこのような状況に置かれているのでしょうか。


西洋医学では、ただ「健康」か「病気」だけしかない


 現在日本で行われている医学は、アメリカ流の西洋医学が基本になっています。
 西洋医学では、東洋医学での”未病”という領域はなく、ただ「健康」か「病気」だけしかありません。元々、片頭痛という頭痛は、脳のなかに異常がないのが特徴です。
 西洋医学では、一般的には「病気」とは、その病因を裏付ける病理解剖学的所見があるものを指しています。病理解剖学的所見がないのですから”病気”とは言えません。
 こうした病気でもない片頭痛を相手にして診療していることを忘れてはなりません。


 1980年代に、トリプタン製剤が開発されました。一般的に”治験”で実際の患者さんで、確かに有効であることを証明することが常に科せられています。
 現在、コロナ・ウイルスのワクチンの開発が進み、やっとこの”治験”が終了したばかりであることがファイザー製薬から報じられたことはご存じだろうと思います。
 このように新たな薬が開発され、実際に患者さんに応用される前の試験に相当します。
 トリプタン製剤も全く同様に実用化するためには臨床治験が必要とされました。
 このため当時のトリプタン製薬メーカーとその御用学者は、トリプタン製剤の臨床治験を行う際に、治験対象とされる”患者群”を決めておく必要がありました。効きもしない患者さんに投与して試験を行っても意味がないからです。このため、トリプタン製剤を意識的に評価する目的で”トリプタンが確実に効く片頭痛の患者さんを”症状”の上で決め、治験のための”一定の基準”を作成しました。
  この”基準”では、片頭痛の患者であっても、さまざまな条件のためにトリプタンの処方に向かない症状を示す場合には、その患者を片頭痛とは診断できないような基準を作ってしまったのです。たとえば、ほぼ毎日のように頭痛が起きる「変容性片頭痛」などは、この基準に従って診断しますと、緊張型頭痛になるように仕組まれています。
 このようにして、トリプタン製剤が、効くと予測された患者さんに対してのみ投与され、治験が行われたということです。このためトリプタン製剤が、片頭痛という頭痛に極めて有効であったとされる臨床治験を終えて、1991年から臨床に応用され、欧米では爆発的に売れるようになりました。
 この臨床治験のために当時作成された”一定の基準”を基にして、後に国際頭痛学会が作成したものが「国際頭痛分類 第2版」です。
 日本にトリプタン製剤が導入されたのが、10年後の2000年です。
 専門家が日本にトリプタン製剤を導入するにあたって、世界で最も権威あるバイブルとしたのが「国際頭痛学会」の作成した「国際頭痛分類 第2版」です。
 「国際頭痛分類 第2版」は「国際頭痛学会」が作成したものといえば聞こえはよいのですが、その生い立ちそのものは、今述べたように、トリプタン製薬メーカーとその御用学者がトリプタン製剤の治験目的で作成したものです。
 本来、「病気」でもない片頭痛を診断させる目的で、「国際頭痛分類 第2版」では片頭痛を”症状”の上で厳格に定義することにより、医師に対して、片頭痛を見逃さないように正確に診断させて、トリプタン製剤を処方させる目的で作成されたものです。
 そして、日本では、その後継の「国際頭痛分類 第3版β版」を現在では、頭痛診療および頭痛研究の”絶対的な基準”とまで定められるまでに至っています。


 ここで忘れてはならない点は、片頭痛とはあくまでも”症状”だけで定義された「病像」であったはずのものです。ということは「病気」でも何でもなかったものです。
 ところが、皆さんは、片頭痛というのが「病気」だと思っておられる方々が大半だろうと思いますが、このように”症状・症候群”に過ぎなかったものです。それが、現在では、いつの間にか「病気」とすり替わってしまっただけのことです。
 「病気」とは、その病因を裏付ける病理解剖学的所見のあるものを指しています。
 しかし、慢性頭痛、とくに片頭痛では、CTやMRIの画像検査では異常がありません。
 このように、西洋医学でいう「病気」でもない片頭痛を、無理矢理「病気」と考えるような極めて乱暴なことをしているということになります。
 本来であれば、「国際頭痛分類 第3版β版」で定義された片頭痛を肇とする慢性頭痛は、東洋医学でいう”未病”の領域に位置すべきものです。それを、西洋医学では、頭痛領域だけ、「国際頭痛分類 第3版β版」を作ることで、”未病”の代替わりをさせています。


   西洋医学・・・健康       →      病気
   東洋医学・・・健康 → 
未病 → 病気


 従来より、トリプタン製剤が片頭痛に効果があるのは、頭痛が起きる仕組みの根幹部分に作用しているとして、トリプタン製剤が片頭痛の”特効薬”とされて、これさえ服用しておれば、片頭痛は治ってしまうし、うつ状態・パニック障害・冷え性までも改善され、将来的に性格異常や脳梗塞までが予防できるとされてきました。
  このように、トリプタン製剤は片頭痛の”特効薬”とまで祭りあげられていました。
 それを如実に示すものは、「片頭痛は病気です。病気ですから、医療機関を受診して、片頭痛を治療して、治しましょう」と言って片頭痛患者さんに医療機関への受診を勧め、生活の質QOLを高めて、健康寿命を長くさせましようと、しきりにマスコミを通じて、片頭痛患者さんを病院に誘導し、さらに患者団体まで巻き込んで「なお、トリプタン製剤の恩恵に浴していない片頭痛患者さんが多くいる」といって啓蒙活動を進めてきました。
 片頭痛治療とは、片頭痛発作時に適切にトリプタン製剤を服用することとされています。
 本来なら、片頭痛は”病気”ではなく、”症状・症候群”に過ぎないものが、このようにして知らぬ間に、「病気」として扱われるように至りました。
 病理解剖学的所見のない片頭痛は東洋医学での”未病”の段階にあるものです。
 西洋医学では、「健康」と「病気」の中間の”未病”がありません。
 ですから、「病気」のほとんど全てが”原因不明”とされています。
 ですから、このように啓蒙活動を行いながらも、片頭痛は原因不明の不思議で・神秘的な”遺伝的疾患”とされ、片頭痛の”引き金”となるものを取り除きながら、一生にわたってトリプタン製剤のお世話になりながら、お付き合いしましようとされてきました。


 ということは、片頭痛を肇とする慢性頭痛は、西洋医学では、「国際頭痛分類 第3版β版」という基準で定義された、”症状・症候群”に過ぎず、謂わば「架空の存在・砂上の楼閣」にすぎないということです。これを専門家が、商業目的で、トリプタン製剤の売り込み目的で、片頭痛を”病気”であると宣伝しまくってきたということです。このことを忘れてはなりません。


片頭痛は原因不明の不思議で・神秘的な”遺伝的疾患”


 以上のように、「臨床頭痛学」とは、二次性頭痛といった人間の生死に係わる頭痛から、慢性頭痛という私達の肉体に起こる”数々の神秘的な”自然現象という「脳のなかに異常のない」”最も不可解な頭痛”に取り組んでいます。
  とくに、慢性頭痛のなかの片頭痛では、低気圧に左右され、遙かかなたの遠方に発生した台風の影響すら受けるものがあったり、さらに閃輝暗点とか、物が大きくみえたり、極端に小さく見えたりと奇妙な眼の症状を訴えるため、神憑り的な、まさに神秘的な症状を呈し、神秘的な自然現象とされています。
 これらは、生まれつきのものであり、このことから、片頭痛は、原因不明の”不思議な・神秘的・神聖な”遺伝的疾患とされ、不浄な凡人が如きが近寄ってはならず、その本態の解明などは、以ての外・”論外”とされてきました。
 このように片頭痛は”不治の病”であり、一生お付き合いすべきもので、治すことなど夢のまた夢とされ、私達は、これに甘んじなければならないとされてきました。


トリプタンによる薬剤乱用頭痛


 先述のようにトリプタン製剤は片頭痛の”特効薬”とされながら、困ったことがありました。それは、1980年代はじめに、片頭痛の治療領域にトリプタン製剤が開発され、1990年に実際に販売されて間もなくの1990年代の半ばには、既に、頻回の服用によりトリプタンによる薬剤乱用頭痛に陥りやすく、その状態は頭痛の程度が一層強いこと、そして従来の予防薬では効果が得られないことが分かり、欧米では大問題となっていました。
 このような事実は、2000年に、日本にトリプタン製剤が導入される以前から、欧米では既に明らかにされ、一大問題とされていました。
 その理由は、トリプタン製剤は、大半は有効時間が短いため、片頭痛発作の持続時間が長いと、1回の服用で頭痛を抑制できずに、服用回数が増えざるを得ないという宿命にある薬剤だからで、市販の鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、エルゴタミン製剤より以上に ”薬剤乱用頭痛を引き起こしやすい薬剤”とされています。
 さらに、多くの片頭痛では、緊張型頭痛に重なった形にあるため、トリプタン製剤では、上層にある片頭痛は改善されても、下層にある緊張型頭痛の軽い頭痛までは完全に無くすことはできません。このため、ひたすら”完全に”痛みをとろうと考えることから、服用回数が増えてくることになります。このため薬剤乱用頭痛を作ることになりました。
 一方、トリプタン製剤は患者のわずかに50~60%だけしか効果が見られません。
 それは、心疾患のある患者や脳梗塞の既往のある患者、重症の高血圧、末梢血管障害のある患者では使うことができないからです。
 しかも、それらは根本的な治療薬ではない(片頭痛を根治させる薬剤ではない)ため多くの場合頭痛は24時間以内に再発する傾向があります。
 このような有効率しかないものです。
 このような薬剤を専門家は、片頭痛の”特効薬”と宣伝しまくっていました。


 こうしたことを背景に、「トリプタンによる薬剤乱用頭痛」、慢性片頭痛が増加の一歩を辿っており、都市部では片頭痛患者3人に1人は、このような慢性片頭痛とされています。
 トリプタン製剤導入以前には、60 歳を過ぎれば、自然に片頭痛発作は消失してくるとされながら、60 歳を過ぎても依然として、同様の発作回数を示し、消失してくることはありません。このように「健康寿命」を短縮させる結果に至っています。
 私達は、このことから、トリプタン製剤が、片頭痛にあれ程までに絶大な鎮痛効果を示し、片頭痛の”特効薬”とまでされながら、片頭痛そのものを治すことができなかったという落胆しかありませんでした。


 それでは私達は、なぜ、このような脳のなかに異常のない慢性頭痛を根本的に治すことができず、鎮痛薬・トリプタン製剤による対症療法しか受けられないのでしょうか?


 このことは、現在、私達が享受する「西洋医学」に原因があります。
 このことを、まず、知っておかなくてはなりません。


私達の身体は私達の『自然治癒力』でしか治りません。


 19 世紀の半ばまでは、西洋では5つの伝統医療流派が共存していました。
 それは以下のようなものです。


  1. 自然療法(ナチュロパシー):食事療法を中心とする。
    自然に近づくほど病気は治るという真理に基づく 
  2.心理療法(サイコセラピー):心を癒やすことで病気を改善していく、暗示、瞑想、呼吸、イメージ療法など。
  3.整体療法(オステオパシー):体の歪みを正して、病気を治す。
    整体、指圧、マッサージ、カイロプラクテイックス等。
  4.同種療法(ホメオパシー):自然治癒力を活かす。
    草根木皮や薬石などで治癒を促進する。西洋の漢方の相当。
  5.薬物療法(アロパシー):薬物に対する生体反応を利用する。
    本来の治癒反応である「症状」を抑える対処療法(逆症療法)である。


 伝統医療流派のなかの1~4は、自然治癒力を基本とした医療です。
 5の薬物療法だけが自然治癒力を阻害する療法です。

 現代医学は、薬物療法が主流とされ、1~4は、自然治癒力を根本とした医療は代替医療と蔑まれ、すべてまやかしとされています。

 このため、食事療法や整体療法はまったく無視されることになっています。そして、これが現代社会では通念とされています。
  これは、現代社会は製薬業界に支配されているため、このようになっているだけのことです。製薬業界の利潤追求が最優先され、私達の健康は二の次に考えられているために、このようになっています。(このことは後ほど述べます)。


 このような現代医学に至ったのは、”近代医学”まで歴史を遡る必要があります。


病気を治すのは自然治癒力


 古代ギリシアの医聖・ヒポクラテスは「人間は生まれながらに体内に 100 人の名医をもっている」と言いました。この 100 人の名医とは、自然治癒力のことです。
 つまり、人間だけではなく生命体にはすべて自らの身体を治す力が備わっています。
 あらゆる生命は、自らを「正常な状態」に近付ける能力を備えています。
 これをホメオスターシス(生体恒常性維持機能)換言すれば「自然治癒力」と呼びます。


 単細胞から多細胞の高等動物まで、すべての生命体に、この機能は備わっています。
 ところが、なんと近代医学では、このホメオスターシスを、まったく考えていません。 それどころか自然治癒力の存在すら、医学生に教えないのです。
 ですから医師は、この生命の根本原理すら知りません。生命の真理にまったく無知な方々が、患者の生命を預かっています。“彼ら”に、病気が治せるわけがありません。
 そして近代医療を支配してきた薬物療法は、この自然治癒力を妨害・阻止する作用しかありません。
 大学医学部等の医学教育では、この自然治癒力を教える講座は1時間もありません。
 ということは自然治癒力をまったく考えることはありません。


このように医学の世界から「自然治癒力」という概念がいつからなくなったのでしょうか?

 

 この「自然治癒力」を否定した人物の名は、ルドルフ・ウイルヒョウ(1821~1902)。 彼は、別名「病理学の法王」と呼ばれ、ベルリン大学の学長まで歴任し、政治家でもあり、ドイツ生理学、医学の頂点に君臨した人物です。
 近代医学は、ドイツ医学を祖とし、そのドンこそがウイルヒョウでした。その地位は、神の座と言っても良く、当時ドイツの病理学会では、誰1人、彼に反駁、反論できる者はいませんでした。現在の医師で、ウイルヒョウの名を知らぬ者は皆無とされる程有名です。
 当時、欧州の生理学・医学界では、1つの議論が白熱していました。


 それは「生命とはいったい何であるか?」という根本的な論争です。


 それまで、伝統的医学界では、こう考えられていました。
 「生命とは、化学、物理学などで解明できない神秘的な力(生気)によって、営まれている」これを「生気論」と呼びます。古代ギリシアの医聖・ヒポクラテスなど、それまでの医学は、この「生気論」の立場に立っていました。
 それに真っ向から異を唱えたのがウイルヒョウたちでした。彼等は、当時、台頭してきた産業革命などに力を得て、「生気論」を迷信に過ぎない、と嘲笑したのです。彼等は「生物も機械のように物体に過ぎない」と断定しました。これを「機械論」と言います。
 更に、彼等は「生気論者」に論争を挑んだのです。「化学、物理学で説明できない”生気”なるものが存在するなら、科学的に説明してみせよ」と・・
 まさに、これは無理難題の極致・・。


 「”科学”で証明できないものが存在する」と主張する「生気論者」に、それを科学で証明せよ、と迫ったのです。そうして、返答に窮する「生気論者」を「それみたことか」と嘲(あざけ)り、一方的に勝利宣言したのです。更に、こう宣言しました。「単なる物体の生命に、自然に治る神秘的な力など存在しない」「病気や怪我を治すのは、我々医者であり、医薬であり、医術だ!」なんという傲慢、なんという誤謬・・・。ウイルヒョウは勝利に酔いしれ、勢い余って「自然治癒力」まで否定してしまう大失態を犯したのです。


 以来、近代ドイツ医学では、ウイルヒョウによって、一般的には「病気」とは病理解剖学的所見があるものを指すことになっています。と同時に、「自然治癒力」という概念そのものは近代医学では、消えてなくなってしまいました。


 ですから、以後、大多数の医師は、このホメオスターシスを、まったく考えていません。
 それどころか自然治癒力の存在すら知りません。このため医師は、この生命の根本原理すら知りません。
 生命の真理にまったく無知な方々が、患者の生命を預かっています。


ホメオスターシス、自然治癒力の法則


 先程述べましたように、19世紀、近代医学においては、「病理学の法王」と呼ばれるルドルフ・ウイルヒョウによって、「生気論」と「機械論」の論争で、「生命とは、化学、物理学などで解明できない神秘的な力(生気)によって、営まれている」という「生気論」は否定されると同時に、「自然治癒力」まで否定されることになりました。
 これに対して、クロード・ベルナールは、この当時、否定されていた「生気論」にゆかりの深い19世紀のフランスの医師・生理学者で、「生命!、それは創造である」、という一節で、良く知られています。彼の著書「実験医学研究序説」は、近代医学における実験の必要性と正当性を説いた古典として有名です。さらに「内部環境の固定性」と言う考え方を提唱しました。この考え方は後に米国の生理学者・ウォルター・B・キャノンによって「ホメオスターシス」という概念に発展しました。
 ウォルター・ブラッドフォード・キャノン(Walter Bradford Cannon,1871 - 1945)は、アメリカの生理学者で、1906年からハーバード大学医学部の教授を務めました。
  簡単に述べれば、人体は温度が高くなると身体の表面に近い部分の血管をひらいて体内に発生する熱を発散し、更には汗を出して気化熱で温度調節をします。
 また、逆に寒いときには血管を収縮させて熱の発散を防ぎます。
 同じように、酸、血圧、血糖、電解質、エネルギー、ホルモン、酸素、蛋白質、など生存に不可欠の要素に対しても、体内、体外の変化に反応して調節機能が働き、正常値を保とうとします。
 このようにホメオスターシスとは、外部の環境変化に対して、自ら体内の内部環境を、生存に適するように調節することを言います。即ち身体の恒常性を維持することです。
 体温や血糖値の正常範囲外への逸脱は、生体恒常性の異常すなわち病気を意味します。
 また「自然治癒力」は生体恒常性の表われと解釈されます。
 このように、ハーバード大学教授、ウォルター・B・キャノンによって、「ホメオスターシス」(自然治癒力)と命名された法則です。


 ところが、ロバート・メンデルソンは、医師が、「現代医学以外の治療や患者自身の自然治癒力を生かせば効果があるかもしれない」と言ってしまえば、患者に対する威厳・統制力を失うことになります。ですから、医師としてはそんなことは言えません。このため、医師は自然治癒力を認めようとしません。このように述べています。


 このようにして、臨床医学では「自然治癒力」という概念は取り入れられることはありませんでした。あくまでも「生理学」領域の”概念”でしかありませんでした。


改めて、私達の身体は私達の『自然治癒力』でしか治りません。


 これまで「頭痛治療」では、頭痛があれば、まず市販の鎮痛薬を、これでダメなら病院での鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)、これで効かなければエルゴタミン製剤を、これでも効かなければトリプタン製剤が勧められてきました。そして、最後の”砦”とされるトリプタン製剤は片頭痛の”特効薬”とされてきました。このように段階的に、”鎮痛薬”の服用が推奨されてきました。
 すなわち、慢性頭痛治療の場面では、各種の諸々の薬剤によって、ただ単に”頭痛という痛み”を鎮めることしか考えず、痛みさえとれれば、これで万事OK!「よし」、”一件落着”と安易に・短絡的に考えられてきました。
 辛い片頭痛という頭痛発作がトリプタン製剤を服用することによって緩和しさえすれば、これで「片頭痛が治ってしまった」かのごとく思われてきました。このように、現代臨床頭痛学でも、「自然治癒力」といった観点から論じられることはありません。


 このホメオスターシス機能は人が病気になったり、怪我をした時にも発揮されます。
 それは、ちょうど振り子が引力で引かれて、正常の位置に戻ろうとする働きと同じです。 この時、真下に引力として働くのが自然治癒力です。
 風邪を引いた時を考えると、「病気」が風邪なら、発熱、咳、下痢などは「症状」つまり治癒反応です。
 発熱は体温を上げてウイルスなど病原体を殺すためです。更に、免疫力を上げるためです。咳、鼻水、下痢は病原体の毒素を体外に排泄するためです。
 これら「症状」の治癒反応のお陰で「病気」の風邪は、治っていくのです。
 ところが、西洋医学はこの各々「症状」を「病気」と勘違いする重大ミスを犯しています。そして、発熱には「解熱剤」、咳には「鎮咳剤」、下痢には「下痢止め」の薬物を投与します。まさに、対症療法の滑稽さです。「病気」が治ろうとする「命の振り子」を逆向きに押し返す。ですから逆症療法とも呼ばれます。
 治癒反応を薬で止められた「振り子」は、傾いたまま固定されます。
 すると「病気」も固定され、慢性化し、悪化していきます。
 現代医学が慢性疾患に無力で、悪化させるのみなのは、この致命的過ちの結果です。 


自然治癒力を構成する3つの柱


 自然治癒力を構成する3つの柱として、自律神経系、内分泌系、免疫系があります。
 自律神経系には、セロトニン神経系が、内分泌系として、生理活性物質が、免疫系には、腸内環境が関与しています。
 自然治癒力の柱となるのが、セロトニン神経系、生理活性物質、腸内環境です。


 セロトニン神経系はミトコンドリアと連動し、自律神経を調節しています。
 自律神経系には、交感神経・副交感神経系・セロトニン神経系が、生理活性物質には ①炎症を悪くする、②その炎症を調整する、③それらの働きを抑制するものの3つで制御され、腸内環境は、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3つでバランスをとっています。


 このように自然治癒力を構成する3つの柱となるものは、それぞれ3つによって制御されています。このように、自然治癒力は、科学のみで説明できない側面で、制御されているということです。このように多面的・流動的なものであるということです。
 ここに神秘性を秘めています。今後、この領域に研究が進められるべきです。
  ということは、そんなに単純なものではないということです。
 とくに、腸内環境ほど神秘に満ち溢れた世界はありません。


 この点は、現代医学でも自然治癒力の観点からほとんど考察されることはありません。


 これが、さらに現代医学のアメリカ流西洋医学にも脈々と受け継がれています。


西洋医学の本質・・アメリカ流西洋医学の源流


 西洋医学のスタート、それは「資本主義」のスタートと ほとんど同じで、西洋医学は「資本家(お金持ち)がお金を儲ける為に作られた」ものです。
 今世界で主流となっている西洋医学のスタート、これは 20 世紀初頭のアメリカです。
 お金持ちにとって労働者は「部品」でしかなかったのです。
 しかし、過酷な労働のせいで労働者が身体を壊してしまう事が最も問題になりました。
 労働者をできる限り安く、最大限に働かせるために、如何に素早く、壊れた労働者というパーツを素早く 労働力として復活させるのか、をポイントにして、そんなお金持ち達の希望を叶える為に発達した技術、それが日本中の医者が大学で学ぶ医学、つまり 『現代西洋医学』なのです。ですから、治すなんてまどろっこしい事には興味がありません 。
 西洋医学は労働者を限界まで働かせる為にスタートしたのですが、当時のお金持ちは、『病気を治す振りをすればずっとお金が入ってくる』という事に気付きました。
  病気の原因は取り除かず痛みだけを取れば、その場では 治ったように感じても、また痛くなり戻ってきます。 麻薬と一緒です。
 使ったその瞬間は気持ちが良くても、長期的には どんどん身体が壊れていきます。
  問題が増えれば増えるほど出せる薬が増え、 もっともっとお金が入ってくるのですから。
 労働者を働かせる為に利用した手法が『医療』の名の下に 合法的な麻薬として成立してしまいました。
  結果、大きな利益を生み出す『現代西洋医学』は 優先的に研究費が回り、国から優遇され、世界の医学の中心となりました。
 例え一時的だったとしても、痛みを取ってくれるのですから、多くの人が「現代西洋医学」を求め、認めてしまったのです。
 『今、この瞬間、すぐに痛みをとってほしい』その欲求を満たして欲しい人達とそれを満たせばお金が物凄く儲かる人達、それが組み合わさってしまった結果が”金儲け主義医療”です。
 このように、西洋医学は病気を治す為に存在していません。西洋医学には、歴史的にみても、そもそも治す気がまったくありません。
 この時代のアメリカの西洋医学は、ロバート・メンデルソンの「こうして医者は嘘をつく」で克明に記載されていたことです。
 これが、西洋医学の根本的な・基本的な考え方であることを忘れてはなりません。
 このような背景を基に、トリプタン製薬メーカーおよびその御用学者によって片頭痛の世界にトリプタン製剤が、導入されたわけです。


「製薬業界は一般大衆を欺いている」


 さらに、DR.RATH がHEALTH FOUNDATION の「製薬業界は一般大衆を欺いている」で、以下のように指摘されていることを思い起こす必要があります。


 ”製薬業界は私達の社会をコントロールし続けます。製薬業界の求めるところは医学研究をコントロールし、医療従事者をこの製薬業界に依存させることです。この権力を確実に手放さずに済むよう、製薬企業は立法機関およびメディアをうまく操っています。
 全メディアを通じた大規模な宣伝キャンペーンでは、医薬品のPRおよび宣伝部門によって、製薬業界の真実を隠そうと煙幕が張られています。
 製薬企業は、ルイ・パストゥール、ロバート・コッホ等の医学上のパイオニアと重ね合わせて自社のイメージを描こうとしています。彼らは人道主義に基いて疾病の根絶を目指していると主張しています。
 しかしながら、真実はまったくその逆です。つまり、製薬業界は、製薬市場拡大の基盤として疾病を存続させ続けることが目的なのです。コーデックス・カルテルは、意図的な疾病の根絶妨害をその目的としています。
 したがって、製薬業界は人類救済の伝統に基づいてではなく、自らの利益を維持するために無数の人間を犠牲にする組織的犯罪者のグループであるIGファルベン社の伝統に基づいて運営されているのです。”

 

 このような時代的な背景をもとに、トリプタン製薬メーカーは頭痛研究者をコントロールし、国際頭痛学会を味方につけることに至りました。
 すなわち、国際頭痛学会は「国際頭痛分類」を作成し、全世界にこれを普及させることによって、片頭痛にはトリプタン製剤で対処させる基盤を作ったということです。
 このような考え方に基づいて、トリプタン製剤が片頭痛治療の世界に導入され、寝込む程の辛い頭痛が緩和されたことから、片頭痛は「病気」と考えられるようになりました。
(本来なら、片頭痛は”症状・症候群”に過ぎなかったものです)
 トリプタン製剤は、片頭痛を持つ”多くの”(すべてではありません)患者さんに対して、非常に効果があります。すなわち、片頭痛の発作期間の3日間の寝込む程の辛い頭痛が劇的に緩和させることができるようになりました。
 このため、国際頭痛学会は、「国際頭痛分類」を作成して、慢性頭痛、とくに片頭痛の診断基準を作成し、片頭痛を厳格に定義することにより、医師に片頭痛を見逃さないようにして、片頭痛を正確に診断させ、トリプタン製剤を処方させるようにしました。
 このようにして、片頭痛は「病気」として確固たる地位を占めることになりました。
 これが、国際頭痛学会が作成した「国際頭痛分類」です。誤解してはなりません。
  本来、片頭痛は”病気”ではなく、単なる”症状・症候群”に過ぎなかったものです。
  しかし、そもそも片頭痛を治す気がまったくなく、『今、この瞬間、すぐに痛みをとってほしい』その欲求を満たして欲しい人達とそれを満たせばお金が物凄く儲かる人達、それが組み合わさってしまった結果が”金儲け主義”の片頭痛医療となってしまったのです。
 寝込んで、仕事を休むことなく、労働力が確保できるようになり、経済的損失は少なくなり、さらに片頭痛を根本的に治さないために、お金が物凄く儲かる人達にとっては申し分のないことになっています。


 このように、片頭痛が「病気」とされようとも、西洋医学は「病気」を治しません。


 一般的には、西洋医学では、薬物療法で治療可能なものが、所謂「病気」として扱われており、そのほとんどは対症療法に過ぎないものだからです。
 このように、西洋医学の薬の多くは対症療法であり、病気を根本的に治しません。
 また対症療法は、自然治癒力を奪うことにも繋がります。


 このように、本来の「国際頭痛分類 第3版β版」の目的とするところは、片頭痛を明確・厳格に定義することによって、間違いなく、片頭痛という”症状”に対してトリプタン製剤を処方させるためのものです。これだけの価値しかないものです。
 いま日本の医師の大多数は、「この症状ならこのような診断で、この薬を出す」というものがパターン化され組み込まれています。まさしく典型的な対症療法です。
 このように、片頭痛と診断されれば、トリプタン製剤が処方されることになります。
 片頭痛の原因を取り除かず痛みだけを取れば、その場では 治ったように感じても、また痛くなり戻ってきます。麻薬と一緒です。
 トリプタン製剤を服用した瞬間は気持ちが良くても、長期的には どんどん身体が壊れていきます。すなわち、発作頻度・回数が増えてきます。
  回数が増えれば増えるほど出せる薬が増え、もっともっとお金が入ってきます。すなわち、予防薬が次々と追加されてくることになります。結果、薬漬けになってしまいます。
 このようにして、製薬メーカーが儲かるしくみになっています。
 労働者を働かせる為に利用した手法が『医療』の名の下に トリプタン製剤は合法的な麻薬として成立してしまいました。
  結果、大きな利益を生み出す『現代・臨床頭痛学』は 優先的に研究費が回り、国から優遇され、世界の医学の中心となりました。
 現実に、「国際頭痛分類 第3版β版」は全世界の頭痛を担当する医療関係者の”共通の言語”とされ、日本でも、この「国際頭痛分類 第3版β版」は頭痛診療および頭痛研究の絶対的な基準「”教義・教典”」とされるまでになっています。
  例え一時的だったとしても、トリプタン製剤が辛い頭痛を取ってくれるのですから、多くの人が現代の「臨床頭痛学」を、認めてしまったのです。
 そして、片頭痛の診断基準に合致しない緊張型頭痛は、まさに取るに足らない頭痛として、歯牙にも掛けられず、患者さんは仕方なく市販の鎮痛薬を服用せざるを得ません。
 このような対処をすれば、いずれ片頭痛へと移行することに至ります。このようにして、片頭痛患者が醸成・熟成され、無尽蔵に製薬メーカーに供給されることになります。
 このようにして、国際頭痛学会は、「国際頭痛分類」を作成し、全世界にこれを普及させることによって、慢性頭痛を治すことなく片頭痛を”存続”させる基盤を作ったということです。
 西洋医学は治療が主体で、病気の予防には目が向けられていません。
 治療内容も一部の療法を除いて、ほとんどが症状を緩和する対症療法で、原因を解決する治療法ではありません。
 現在の臨床頭痛学では、片頭痛は原因不明の不思議で神秘的な”遺伝的疾患”とされていることから、病気”片頭痛”を予防することなどは、考えもつかないことになります。


 戦前の日本では、ドイツ医学の系統が主流でしたが、戦後から現在まで、日本の医師が学ぶのは、ほとんどアメリカ医学の知識です。
 アメリカは手術、放射線、化学療法、合成化学薬品全てにおいて、現代的な医学が最も進んだ国でもあります。
  こういったことから、日本の頭痛診療の場面でも、アメリカ医学である、「国際頭痛分類 第3版β版」は頭痛診療および頭痛研究の絶対的な基準”教義・教典”とされるまでになっています。


 こういったことから、残念ながら、片頭痛発作時に、毎回、トリプタン製剤を服用しようとも、片頭痛が治ってしまうことはありません。


 以上のように、専門家は片頭痛という辛い頭痛という痛みと取り除くことしか念頭にはありません。ですから根本的に治すことなど、全く考えてはいません。
 そして、慢性片頭痛という悲惨な頭痛地獄に陥ろうとも我関せずです。


 先程述べましたように、片頭痛という概念は、トリプタン製剤が開発された段階で、”症状”の上で厳格に定義された”存在”であることを忘れてはなりません。
 このようにして、頭痛領域においても、西洋医学はこの片頭痛という「症状」を「病気」と勘違いする重大ミスを犯してしまいました。


 本来、片頭痛は東洋医学では、”未病”の領域にあるもので「病気」ではありません。
 すなわち、医師は「国際頭痛分類 第3版β版」に基づいて診断した「片頭痛」という”症状”に対して、トリプタン製剤を一律に処方します。
 治癒反応である「片頭痛」をこうした薬剤で「ホメオスターシス(自然治癒力)」を一方的に抑え込むことによって、治癒反応が停止・固定され、その結果、「片頭痛」という症状は慢性化し、悪化してきます。これが、片頭痛が慢性化する最大の原因になっています。
  つまり、「片頭痛という頭痛」は「慢性頭痛」の治癒反応に過ぎません。
 つまり、様々な「片頭痛という症状」は「慢性頭痛」が治ろうとしている「現れ」なのです。「慢性頭痛」が治ろうとする「ホメオスターシス(自然治癒力)」である「命の振り子」を逆向きに押し返すことになります。こういったことから”逆”症療法とも呼ばれます。このようにして、対症療法は、自然治癒力を奪うことにも繋がります。


 以上のように、西洋医学では、現代医学はもとより、とくに現代頭痛学では、「未病」とか「自然治癒力」といった概念がまったく存在しないため、脳のなかに異常のない慢性頭痛が位置している”未病”の領域が「ブラックボックス」となっています。
 まさに、暗黒の世界(まさに、宙ぶらりの、皆目見当もつかない領域)になっています。
 こうしたことから、現代医学では慢性疾患のほとんどは原因不明とされています。
 従来から、現実に片頭痛は、片頭痛という「病気(疾患単位)」なのか疑問に思われる存在で(換言すれば”幻”のようなもので)、このため、原因不明の不思議で・神秘的な遺伝的疾患とされてきました。
 ということは、片頭痛は、従来の「疾患単位・病気」でもなく(病理解剖学的所見もなく)、「自然治癒力」といった概念そのものもなく、あくまでも「国際頭痛分類 第3版β版」で厳格に”症状”だけで定義された、謂わば「砂上の楼閣」のような存在でしかありません。こうしたことから、「国際頭痛分類 第3版β版」で、個々の慢性頭痛を”症状”の上で、厳密に”定義”して区別・分類しているに過ぎないということです。
 このように、片頭痛は”疾患単位”ではなく、あくまでも”症状”に過ぎないものです。
 このような”未病”の段階(自然治癒力の低下した状態)に、トリプタン製剤といった強力な鎮痛薬を発作時に毎回、服用し続けることは、”さらに”自然治癒力を低下させるだけのことであり、ひたすら慢性片頭痛への道を歩ませているということです。


 皆さんが頭痛を訴えて受診される「頭痛外来」を担当される先生の頭の中の構造がこのようになっていることを忘れてはなりません。
 いくら綺麗事を申されようとも、一皮剥けばこのようになっているということです。
 如何に、美辞麗句を重ねて説明されようとも、内容はこのようなののでしかありません。
 そして、都合が悪くなれば、必ずといってよいくらい”エビデンス”がないと申されます。専門家の申される”エビデンス”とは、「国際頭痛分類 第3版β版」だけに基づいたものを指しています。このようなトリプタン製剤のメーカーが作成した基準で申され、これを水戸黄門の印籠が如く振りかざして、”頭が高い”と平身低頭させ、無理矢理ゴリ押しというか、まさしく”虎の威を借りる狐”でしかありませんでした。このことを肝に銘ずるべきです。

 

 このようにして、無知な私達は、勝手放題に蹂躙されてきたということです。「国際頭痛分類 第3版β版」が国際頭痛学会という最も世界で権威あるものであり、これに基づいて作成された「慢性頭痛診療のガイドライン」は絶対的なものと言い張る専門家とは、もう決別すべき時期にきていることを意味しています。これで、慢性頭痛、特に片頭痛がなぜ、治らなかったのかが理解されたはずです。最も、元々、治す気はサラサラ無かったということでしかありません。

 これ程、私達を愚弄するものはありません。少なくとも、専門家がすべきことではありません。