前回の「なぜ、現代臨床頭痛学は”迷走”し続けるのでしょうか?」の続編です。
前回の記事でも、一部述べたことですが、西洋医学では、本来、私達の体に備わった「自然治癒力」を全く容認することはありません。
◯病気を治すのは自然治癒力ー医聖・ヒポクラテス
ヒポクラテスは、古代ギリシャ時代の名医で、今でも「医学の父」として、その名が受け継がれています。
ヒポクラテスは、マクロビオスという言葉を初めて用いました。
(マクロ=大きな・偉大な ビオス=生命)「偉大な生命」=「健康で長生きの人」を指す言葉で、それには「自然との調和が保たれた状態」が重要であると説いています。
自然との調和を保つためには、以下のように、人の持つ”自然治癒力”が十分に発揮できている必要があり、そのためには環境と食事と生活習慣が重要だとも説いています。
●人は誰でも100人の名医を持つ
▼人は生まれながらに、100人の名医を持っている。
「100人の名医」とは、一体何でしょう?一言で言えば自然治癒力のことです。
医聖・ヒポクラテスは更に次の様に医師たちを戒めます。
▼病気とは自らの治癒力で自然に治すものである。
▼医者は”100人の名医”の手助けに過ぎない。
つまり、医師の仕事は、患者の自然治癒力を助けることである、と諭しているのです。まさに医療の永遠の真理です。
ですから、医師、看護師達は、その職責に着く時、必ず「医師ヒポクラテスの誓い」を唱和します。
◯悪魔に魂を売った”近代医学の父”
●ドイツ医学界の首領ウイルヒョウ
ヒポクラテスという真理に開眼した医聖を人類は得ながら、一体どこで医療は誤ったのでしょうか? 何時、悪魔に魅入られたのでしょうか?
そのルーツを辿ると1人の医学者に辿り着きます。
その名は、ルドルフ・ウイルヒョウ(1821~1902)。彼は、別名「病理学の法王」と呼ばれ、ベルリン大学の学長まで歴任し、政治家でもあり、ドイツ生理学、医学の頂点に君臨したのです。
近代医学は、ドイツ医学を祖とし、そのドンこそがウイルヒョウでした。
その地位は、神の座と言っても良い程で、当時ドイツの病理学会では、誰1人として、彼に反駁(はんぱく)、反論できる者はいませんでした。
当時、欧州の生理学・医学界では、1つの議論が白熱していました。
それまで、伝統的医学界では、こう考えられていました。
「生命とは、化学、物理学などで解明できない神秘的な力(生気)によって、営まれている」これを「生気論」と呼びます。ヒポクラテスなど、それまでの医学は、この「生気論」の立場に立っていました。
●自然治癒力を否定! 致命的過ち
それに真っ向から異を唱えたのがウイルヒョウ達でした。彼等は、当時、台頭してきた産業革命などに力を得て、「生気論」を迷信に過ぎない、と嘲笑したのです。彼等は「生物も機械のように物体に過ぎない」と断定しました。これを「機械論」と言います。
それは「生命とは一体何であるか?」という根本的な論争です。
更に、彼等は「生気論者」に論争を挑んだのです。「化学、物理学で説明できない「生気」なるものが存在するなら、科学的に説明してみせよ」まさに、これは無理難題の極致・・・。「”科学”で証明できないものが存在する」と主張する「生気論者」に、それを科学で証明せよ、と迫ったのです。
そうして、返答に窮する「生気論者」を「それみたことか」と嘲笑・あざけり、一方的に勝利宣言したのです。
更に、こう宣言しました。「単なる物体の生命に、自然に治る神秘的な力など存在しない」「病気や怪我を治すのは、我々医者であり、医薬であり、医術だ!」何という傲慢、何という誤謬・・・。ウイルヒョウは勝利に酔いしれ、勢い余って自然治癒力まで否定してしまう大失態を犯したのです。
●自然・心理・整体・同種・・・4流派を弾圧
伝統医療への攻撃は、まず西洋で始まりました。19世紀の半ばまで、西洋では5つの医療流派が共存していました。それは以下のようなものです。
1. 自然療法(ナチュロパシー):食事療法を中心とする。
自然に近づくほど病気は治るという真理に基づく
2.心理療法(サイコセラピー):心を癒やすことで病気を改善していく、暗示、瞑想、呼吸、イメージ療法など。
3.整体療法(オステオパシー):体の歪みを正して、病気を治す。
整体、指圧、マッサージ、カイロプラクテイックス等。
4.同種療法(ホメオパシー):自然治癒力を活かす。
草根木皮や薬石などで治癒を促進する。西洋の漢方と言える。
5.薬物療法(アロパシー):薬物(毒)に対する生体反射を利用する。
本来の治癒反応である「症状」を抑える対処療法(逆症療法)である。
上記の伝統医療流派のなかの1~4は、自然治癒力を基本とした医療です。
5の薬物療法だけが自然治癒力を阻害する療法です。
現代医学は、薬物療法が主流とされ、1~4は、自然治癒力を根本とした医療は代替医療と蔑まれ、すべてまやかしとされています。これが現代社会では通念とされています。
これは、現代社会は製薬業界に支配されているため、このようになっているだけのことです。製薬業界の利潤追求が最優先され、私達の健康は二の次に考えられているために、このようになっています。
このような現代医学に至ったのは、”近代医学”まで歴史を遡る必要があります。
近代医学の歴史
ユースタス・マリンズは、その著書「医療殺戮ー現代医学の巨悪の全貌」で以下のように述べています。
その著書では、欧米の財閥が一般社会の人々の健康ニーズに応えるわけではなく、自分たちの狭い経済的・社会的利益を守っていくため、資本主義に基づく近代的医学を確立してきた歴史が解き明かされています。
近代医学が資本主義という枠の中で発展し、欧米の財閥のために”産業化”したことが「医療費高騰」の原因と結論づけています。
科学万能主義が席巻していた20世紀初頭のアメリカでは、石油王のロックフェラーや鉄鋼王のカーネギーなどの大資本家が、すでに世界の金融王であったロスチャイルド財閥(ロスチャイルド財閥のアメリカ代表がモルガン財閥)の後押しを受けて社会を支配していくようになりました。
先述のように、彼等・大資本家達は、多数の労働者を取り換え可能な機械部品のように扱っていました。資本家のもとでは、労働者は維持コストゼロの無限の資本として過酷な労働を強いられたため、短命ですぐに健康を害し、労働力としては使いものにならなくなったからです。
しかし、労働者を取り換え引き換えしていたのでは、その度に最初から教育し直なさなければなりません。それでは利益を上げるのに効率が非常に悪くなります。資本家たちは、科学的な手法で労働者たちを教育し、健康を向上させ、再生可能な労働資源として活用すれば、全体的なコストが下がるのではないかと考えていました。
この考えのもと、科学的な手法で労働者や奴隷階級を教育していく目的で作られた学問を「社会科学」または「社会工学」と言います。社会工学は戦後の日本人の思想統治の手法としても流用されました。
そして、科学的な手法で労働者の健康を維持する目的で作られたのが「近代医学」なのです。つまり、「近代医学」は、労働者を資本家階級に奉仕させるための道具だったのです。
このシステムへの投資は、慈善事業を行うという名目で作られた財団を通じて行われました。本当は、財団は資本家が税金回避の ために作ったのですから、近代医療への投資は一石二鳥と言えました。
近代医学は、台頭してきた産業革命などに力を得て、ドイツ医学を祖とし 伝統的医学界の「生気論」を否定し、「機械論」の立場をとっていました。
近代医学さらに、現代医療とは、伝統医療のなかの5の薬物療法しか行っておらず、他の4つはまったく無視していることになります。
なぜ、5の薬物療法しか行わず、他の4つは無視されるのでしょうか。
それは、約200年前に、石油王のロックフェラー財閥が、莫大な医療利権に眼を付け、それを丸ごと乗っ取ったためです。こうして世界の「医療王」として、未だに君臨しています。同財閥は、もう一つの巨大な財閥ロスチャイルド財閥と並んで、現代の地球を支配しています。
彼等は医療だけでなく、金融、軍事、科学、食糧、農業、教育、メデイア、エネルギー・・・と、あらゆる産業を独占しています。その絶大な権力の下では、国家などあってなきがごとしです。すでに地球上では1%の富裕層が99%の富を所有しているのです。格差は爆発的に拡大しています。
この事実を知れば地球はすでに1%に凌駕されています。
このように、国際石油利権は、石油が錬金術で医薬に化けることから伝統医療のなかの5の薬物療法に着目しました。国家・医学を支配することで、薬物療法中心の”近代医学”をでっち上げました。そうして、伝統医療である5つの医療流派のなかの1~4の4流派を”迷信、非科学”と徹底弾圧、排斥、追放したのです。伝統医療のなかの1~4は、自然治癒力を根本とした真の医療です。5の薬物療法だけが自然治癒力を阻害する誤った療法です。
国家・石油・薬物が手を組んだ”近代医学”そのものが患者を治せず、ただ”金儲けの医療”なのです。こうした状況は今も続いています。
◯「症状」は「病気」が治る”治癒反応”です
●「症状」を「病気」と間違えた西洋医学
西洋医学は、病気の原因がさっぱり分からない。ところが、東洋医学は、原因は”体毒”と突き止めています。
更に、西洋医学の致命的過ちは「症状」を「病気」と間違えていることです。東洋医学は、「症状」と「病気」をハッキリ区別しています。つまり、「症状」は「病気」の治癒反応に過ぎない。つまり、さまざまな「症状」は「病気」が治ろうとしている「現れ」なのです。
●ホメオスターシス(生体恒常性維持機能)
分かりやすく説明するため、振り子で説明します。これは「命の振り子」と呼びます。
まず、そもそも生命とは何か。考えてみましょう。「生命」の最大特徴はホメオスターシスです。
これは「生命は常に正常を保とうとする働きがある」ことを示します。
分かりやすく言えば体温です。人の正常体温は 36.5 ℃です。夏場、炎天下では、汗がダラダラ流れます。それは、汗の気化熱で体温を冷まそうとしているのです。逆に、氷点下数十度の極寒では、体はガタガタ震えます。それは筋肉を小刻みに動かし、血行を促進して体温を上げようとしているのです。
このように、「恒常性」を維持しようとするホメオスターシスは単細胞生物から多細胞生物にまで備わっている機能です。この機能があるから、生物は生命を維持できるのです。
●「命の振り子」を押し返す薬物療法
このホメオスターシス機能は人が病気になったり、怪我をした時にも発揮されます。それは、ちょうど振り子が引力で引かれて、正常の位置に戻ろうとする働きと同じです。この時、真下に引力として働くのが自然治癒力です。
風邪を引いた時を考えると、「病気」が風邪なら、発熱、咳、下痢などは「症状」つまり治癒反応です。
発熱は体温を上げてウイルスなど病原体を殺すためです。更に、免疫力を上げるためです。咳、鼻水、下痢は病原体の毒素を体外に排泄するためです。
これら「症状」の治癒反応のお陰で「病気」の風邪は、治っていくのです。
ところが、西洋医学はこの各々「症状」を「病気」と勘違いする重大ミスを犯しています。そして、発熱には「解熱剤」、咳には「鎮咳剤」、下痢には「下痢止め」の薬物を投与します。まさに、対症療法の滑稽さです。「病気」が治ろうとする「命の振り子」を逆向きに押し返す。ですから逆症療法とも呼ばれます。
治癒反応を薬で止められた「振り子」は、傾いたまま固定されます。
すると「病気」も固定され、慢性化し、悪化していきます。現代医学が慢性疾患に無力で、悪化させるのみなのは、この致命的過ちの結果です。
●自然治癒力をまったく教えない医学教育
これまで述べて来ましたように、約200 年前に始まった近代医学から間違っていたのです。
古代ギリシアの医聖・ヒポクラテスは「人間は生まれながらに体内に100 人の名医をもっている」と言いました。
この 100 人の名医とは、自然治癒力のことです。
つまり、人間だけではなく生命体にはすべて自らの身体を治す力が備わっているのです。あらゆる生命は、自らを「正常な状態」に近付ける能力を備えています。これをホメオスターシス(生体恒常性維持機能)と呼びます。
単細胞から多細胞の高等動物まで、すべての生命体に、この機能は備わっています。ところが、なんと近代医学では、このホメオスターシスを、まったく教えません。それどころか自然治癒力の存在すら、学生に教えないのです。
ですから医者は、この生命の根本原理すら知りません。
生命の真理にまったく無知な方々が、患者の生命を預かっています。“彼ら”に、病気が治せるわけがありません。そして近代医療を支配してきた薬物療法は、この自然治癒力を妨害・阻止する作用しかないのです。
大学医学部等の医学教育では、この自然治癒力を教える講座は1時間もありません。
私は、その理由を自然医学界の重鎮、森下敬一博士(国際自然医学会、会長)に尋ねました。 森下博士は、現代医学と決別して薬を使わない自然医学では、国際的な指導者です。 その森下先生が、現代医学をこのように笑い飛ばされたのです。
「患者が勝手に治るなんてことを、教えてごらん。医者も薬屋も、おまんまの食い上げだ」
つまり、医療利権と製薬利権が、近代医学教育まで支配しているからです。支配してきたのは、近代の”資本家”を代表するロックフェラー財閥です。さらに、ロスチャイルド財閥も同じです。
●病気の治し方も、原因もまった教えない!
そもそも、近代以降の地球を支配してきたのは、この2大財閥なのです。彼らは、教育だけではなく、メディアも完全支配しています。
ですから人類には、その実態は永遠に伝わらないのです。
私が尊敬する安保徹博士(元、新潟大学医学部教授)にお伺いしました。
「大学医学部で、患者の治し方は、いつ習うのですか?」
先生は、はっきり答えました。
「大学医学部で、病気の治し方なんか教えないよ」
びっくりしました。それでは、いつ“治し方”を学ぶのか、尋ねると。
「医者になると、ガイドライン(指示書)という便利なものがあるんだよ」
これは、厚労省、医者、業者(製薬会社)の三者で作成するのがタテマエですが、実際は製薬メーカーが作って、薬漬け医療を、全国の医師に“指示”しています。なにしろ、作成に関わった医師(教授ら)の9割がメーカーからお金(謝礼)を受け取っているのです。
もう一人、尊敬する医師、鶴見隆史医師から伺った話。
「医学部時代に、患者の病気について、教授に質問した。この病気の原因はなんですか?」
すると、教授はカンカンになって怒った。
「原因なんて、どうでもいい! 処置だけすればいいんだ!」
鶴見先生は、医学部で病気の原因を知ろうとすると激しく叱られることを“学んだ”のです。
著名な近藤誠先生(元慶応大学医学部)に尋ねました。
「抗ガン剤で、なぜ多くの患者が死亡するのか?」
「世界にはガン産業というのがあります。ガンで儲ける業界です。その中心が国家なのです」
自然治癒力とは・・・
片頭痛を考える際に重要なことは、慢性片頭痛に至っていない初期の段階では、発作時にトリプタン製剤を服用しなくても、発作期間中に我慢に我慢して、永くても3日間耐え忍ぶことで、また元通りの健康状態に回復してくることです。群発頭痛でも同様です。
なぜ、酷い発作で苦しめられながらもとの健康状態になってくるのでしょうか。
さらに、この発作の期間も短くて4時間、永くて3日間と「国際頭痛分類 第3版β版」では、定義されていますが、どうしてこのように発作期間に差が診られるのでしょうか。
これは、人間本来に備わっている「自然治癒力」のおかげです。そして、発作期間に差がみられるのは、個々の患者さんによって、あるいは発作時の体調によって、自然治癒力の程度に差異があるためです。これが、片頭痛治療を考える上でヒントになります。
一般的には、片頭痛は、約3割が自然に治癒し、約4割が症状は変わらず、残りの3割が慢性化して増悪してきます。
自然治癒した3割は、ホメオスターシス、すなわち”恒常性を維持するための「環境に対する適応力」により治癒したものです。
「ホメオスターシスの三角形」を構成する”セロトニン神経系”・”生理活性物質”・”腸内環境”の問題点が持続して存在すれば、「ホメオスターシスの三角形」の”歪み”が継続され、4割の方々が、症状が変わらない状態(発作がいつまでも繰り返される)が持続することになります。
すなわち、脳内セロトニンの低下を引き起こす生活習慣があったり、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスの悪い食生活があったり、腸内環境を悪化させる要因が持続するような生活習慣が継続していることを意味しています。
「ホメオスターシスの三角形」の”歪み”が継続された状態に、さらに「ミトコンドリアの弱体化」、「脳内セロトニンの枯渇」、生理活性物質の問題(必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスの悪い食生活の常習化)によって「ホメオスターシスの三角形」のバランスが崩壊することによって、さらに「体の歪み(ストレートネック)」等々の慢性化の要因が加わることによって、自然治癒力が失われた状況に至って、2~3割の方々が慢性化に至ってきます。
これが慢性片頭痛の本態です。
ホメオスターシス、自然治癒力の法則
先程述べましたように、19世紀、近代医学においては、「病理学の法王」と呼ばれるルドルフ・ウイルヒョウによって、「生気論」と「機械論」の論争で、「生命とは、化学、物理学などで解明できない神秘的な力(生気)によって、営まれている」という「生気論」は否定されると同時に、「自然治癒力」まで否定されることになりました。
これに対して、クロード・ベルナールは、この当時、否定されていた「生気論」にゆかりの深い19世紀のフランスの医師・生理学者で、「生命!、それは創造である」、という一節で、良く知られています。彼の著書「実験医学研究序説」は、近代医学における実験の必要性と正当性を説いた古典として有名です。さらに「内部環境の固定性」と言う考え方を提唱しました。この考え方は後に米国の生理学者・ウォルター・B・キャノンによって「ホメオスターシス」という概念に発展しました。
ウォルター・ブラッドフォード・キャノン(Walter Bradford Cannon,1871 - 1945)は、アメリカの生理学者で、1906年からハーバード大学医学部の教授を務めました。
簡単に述べれば、人体は温度が高くなると身体の表面に近い部分の血管をひらいて体内に発生する熱を発散し、更には汗を出して気化熱で温度調節をします。
また、逆に寒いときには血管を収縮させて熱の発散を防ぎます。
同じように、酸、血圧、血糖、電解質、エネルギー、ホルモン、酸素、蛋白質、など生存に不可欠の要素に対しても、体内、体外の変化に反応して調節機能が働き、正常値を保とうとします。
このようにホメオスターシスとは、外部の環境変化に対して、自ら体内の内部環境を、生存に適するように調節することを言います。即ち身体の恒常性を維持することです。
体温や血糖値の正常範囲外への逸脱は、生体恒常性の異常すなわち病気を意味します。
また「自然治癒力」は生体恒常性の表われと解釈されます。
このように、ハーバード大学教授、ウォルター・B・キャノンによって、「ホメオスターシス」(自然治癒力)と命名された法則です。
ところが、ロバート・メンデルソンは、「もし医者が患者の病気に対して無力であることを認め、”現代医学以外の治療や患者自身の自然治癒力を生かせば効果があるかもしれない”と言ってしまえば、患者に対する威厳・統制力を失うことになります。ですから、医師としてはそんなことは言えません。このため、医師は自然治癒力を認めようとしません」と述べています。
このようにして、臨床医学では「自然治癒力」という概念は取り入れられることはありませんでした。あくまでも「生理学」領域の”概念”でしかなかったのです。
改めて、私達の身体は私達の『自然治癒力』でしか治りません。
従来より「頭痛治療」では、頭痛があれば、まず市販の鎮痛薬を、これでダメなら病院での鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)、これで効かなければエルゴタミン製剤を、これでも効かなければトリプタン製剤が勧められてきました。
そして、最後の”砦”とされるトリプタン製剤は片頭痛の”特効薬”とされてきました。
このように段階的に、”鎮痛薬”の服用が推奨されてきました。
すなわち、慢性頭痛治療の場面では、各種の諸々の薬剤によって、ただ単に”頭痛という痛み”を鎮めることしか考えず、痛みさえとれれば、これで万事OK!「よし」、”一件落着”と安易に・短絡的に考えられてきました。
ですから、辛い片頭痛という頭痛発作がトリプタン製剤を服用することによって緩和しさえすれば、これで「片頭痛が治ってしまった」かのごとく思われてきました。
このように、現代臨床頭痛学でも、「自然治癒力」といった観点から論じられることはありません。これが西洋医学の本質であることを片時も忘れてはならない点です。
このホメオスターシス機能は人が病気になったり、怪我をした時にも発揮されます。
それは、ちょうど振り子が引力で引かれて、正常の位置に戻ろうとする働きと同じです。
この時、真下に引力として働くのが自然治癒力です。
風邪を引いた時を考えると、「病気」が風邪なら、発熱、咳、下痢などは「症状」つまり治癒反応です。
発熱は体温を上げてウイルスなど病原体を殺すためです。更に、免疫力を上げるためです。咳、鼻水、下痢は病原体の毒素を体外に排泄するためです。
これら「症状」の治癒反応のお陰で「病気」の風邪は、治っていくのです。
ところが、西洋医学はこの各々「症状」を「病気」と勘違いする重大ミスを犯しています。
そして、発熱には「解熱剤」、咳には「鎮咳剤」、下痢には「下痢止め」の薬物を投与します。まさに、対症療法の滑稽さです。「病気」が治ろうとする「命の振り子」を逆向きに押し返す。ですから逆症療法とも呼ばれます。
治癒反応を薬で止められた「振り子」は、傾いたまま固定されます。
すると「病気」も固定され、慢性化し、悪化していきます。
現代医学が慢性疾患に無力で、悪化させるのみなのは、この致命的過ちの結果です。
自然治癒力を構成する3つの柱
自然治癒力を構成する3つの柱として、自律神経系、内分泌系、免疫系があります。
自律神経系には、視床下部・セロトニン神経系が、内分泌系として、内分泌腺・生理活性物質が、免疫系には、腸内環境が関与しています。
セロトニン神経系はミトコンドリアと連動し、自律神経を調節しています。
自律神経系には、交感神経・副交感神経系・セロトニン神経系が、生理活性物質には ①炎症を悪くする、②その炎症を調整する、③それらの働きを抑制するものの3つで制御され、腸内環境は、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3つでバランスをとっています。
このように自然治癒力を構成する3つの柱となるものは、それぞれ3つによって制御されています。このように、自然治癒力は、科学のみで説明できない側面で制御されているということです。
このように多面的・流動的なものであるということです。
ここに神秘性を秘めています。今後、この領域に研究が進められるべきです。
ということは、そんなに単純なものではないということです。
とくに、腸内環境ほど神秘に満ち溢れた世界はありません。
この点は、現代医学でも自然治癒力の観点からほとんど考察されることはありません。
現代臨床頭痛学でも、まったく同様です。
これが、さらに現代医学のアメリカ流西洋医学にも脈々と受け継がれています。
今回の”新説・片頭痛のメカニズム”では、脳の視床下部が、片頭痛を起こす原因とされています。なぜ、視床下部が、今回、クローズアップされたのでしょうか。
視床下部の役割
自然治癒力を構成する3つの柱として、自律神経系、内分泌系、免疫系があります。
このなかで、視床下部は、自律神経系、内分泌系の部分を担っています。
•自律神経系を調節する『自律神経中枢』
•内分泌系を調節している『内分泌中枢』
このように、内分泌機能や自律神経の調整といった、生命維持の中枢となっているホメオスターシスの一角を担っています。
視床下部は自律神経の中枢ですが、視床下部自体は大脳辺縁系や大脳皮質から影響を受けて活動しています。
外部からの刺激を受けて大脳辺縁系から視床下部に情報伝達され、それをもとに視床下部から自律神経に指令が下り、身体や心の状態を変化させるのです。
例えば、自転車に乗っていて交差点の死角から急に人が飛び出して来たら、まずは大脳辺縁系で「危ない!」(恐怖)という感情が生まれますよね。
その感情の情報が視床下部に伝わり、視床下部は自律神経に「生命危機だ!危機対応のため、交感神経を活性化させろ」という指令を出します。
交感神経が優位になると血圧と心拍を上昇、汗をかき、筋肉は収縮させるというように全身が興奮状態になり、瞬時に動ける身体に変化するのです。
このように視床下部はは大脳辺縁系(本能的欲求や情緒の元)からの情報を受けて、自律神経の調整役をしています。
また、視床下部は大脳皮質(知覚・思考・推理・記憶・判断などの情動を含む心理行動の司令塔)の影響も受けています。
サスペンスを見ていてドキドキする、好きな人と一緒に過ごして胸がときめく、自分の部屋でホッと落ち着くなどは大脳皮質から受けた情報で自律神経が変化しています。
視床下部のホルモンが下垂体から分泌されるホルモンをコントロールし、身体の恒常性を維持しています。
ストレスの影響
視床下部が支配する機能に最も広範に影響を与える要因はストレスです。
ストレスは、自律神経系の興奮と内分泌系(特にHPA系)の働きを促進させ、アドレナリンやノルアドレナリン、コルチゾールなど様々なストレスホルモンを分泌させます。
また、ストレスを受けると、睡眠や食欲、性欲などは抑制され、変わりに怒りや悲しみと言ったネガティブな感情が想起されます。
視床下部の働きを表す一例として、女性ホルモンが乱れてPMS(月経前症候群)を起こす流れを挙げます。
女性ホルモンであるプロゲステロンやエストロゲンは、視床下部に支配される内分泌系のホルモンです。これらの女性ホルモンの分泌が乱れるとPMS(月経前症候群)の症状が悪化することが知られています。
視床下部で分泌が支配される女性ホルモンは、他の中枢機能の乱れによって、分泌量が乱れてしまいます。例えばストレスによって自律神経系の働きが乱れると、女性ホルモンの分泌バランスも影響を受けます。また、睡眠が不足すればやはりホルモンバランスが乱れやすくなります。
ところが、西洋医学では、自然治癒力といった概念そのものがないため、以下のように述べるしかありません。
誘発因子の情報はまず脳の視床という部分に伝えられます。するとそのすぐ下にある視床下部が反応し、セロトニンという脳内物質の量を減少させます。
セロトニンは身体のリズムを正常にコントロールする機能を持っています。これが減ると、脳神経の1つである三叉神経がコントロールから外れて興奮し、CGRPという血管拡張物質を放出します。これによって血管が拡張すると、炎症を起こす物質が周辺の組織に染み出し、痛みを引き起こします。これが片頭痛のメカニズムです。
1週間がんばって働いた人が、週末に寝すぎや二度寝などでリラックスしすぎると片頭痛が起きることがよくあります。これは脳がセロトニンを出す必要がなくなったと判断し、量を減らしたために起きるのです。ですから週末は単にリラックスするだけでなく、リフレッシュするような活動をするほうが片頭痛の予防には効果的です。
片頭痛のときに起こる脳の変化(閃輝暗点)が、PET、MRI(BOLD法)といった脳の新しい方法で、脳の病気が画像として確認され、片頭痛発作中にはかなり激しい脳の変化が起こるが、発作が治まると脳も完全に正常な状態に戻ることもわかり、すなわち、片頭痛は発作性に頭痛が起こるたびに脳に病気が起こが、頭痛のないときには脳は全く正常で、本人もケロッとしているとされています。
群発頭痛の場合は、目覚まし時計のように決まった時間に起こりやすく、また群発頭痛発作には日内リズムに関係するメラトニンという脳内物質が変化することがわかっています。生体の日内変動をコントロールしているのは脳にある視床下部です。
その視床下部が群発頭痛の発作時に異常に活性化する事がPET、MRIなどの新しい測定法で発見されました。視床下部は三叉神経や自律神経を支配しているため、三叉神経により内頸動脈が拡張と炎症を起こして激しい痛みを生じたり、さらに、この血管を取り巻いている自律神経が刺激され、頭痛と同側に流涙、結膜充血、鼻閉、鼻汁、ひたいの発汗、まぶたの下垂などの自律神経症状が起こります。
このように、視床下部が発作時に異常に活性化するのは、引き起こされたダメージをホメオスターシスによって修復する期間の間、活性化されているのをPET、MRIなどの新しい測定法で観察していると考えるべきものです。
ここに、専門家とズブの素人の見解の相違があると考えるべきです。