第10章 自然治癒力を高めるためには
「健康的な生活を送る」ためには、次に「自然治癒力」を高めることです。
「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。
このため、「自然治癒力を高める」ためには、「ホメオスターシス三角」を構成する”この3つ”を健全化させておくことが重要になります。
このため、自然治癒力を高めるためには
1.自律神経を整えること
2.必須脂肪酸の摂取バランスをとること
3.腸内環境を整えること
以上の3つが重要になってきます。
その1 自律神経を整えるためには???・・
自律神経とは
自律神経は、心臓や腸、胃、血管などの臓器をコントロールする大切な神経です。
「交感神経」と「副交感神経」が、綱引きのように働いて(交感神経がアクセル、副交感神経がブレーキの役割と喩えられます)、臓器をコントロールしています。
血管を例にその働きを見ると、交感神経は血管を収縮して心拍数や血圧を上げます。
同時に、副交感神経は血管を拡張させて心拍数や血圧を下げようとします。 この2つの働きが、うまくバランスをとるので、ちょうどよい心拍数と血圧になります。
緊張する状況では、副交感神経に対して交感神経が優位になり、心拍数や血圧が上がります。その興奮状態が長く続くと身体に過剰な負担がかかりますが、夜間など副交感神経が優位になると、心拍数や血圧は下がり、落ち着き、リラックスした状況になります。
自律神経の働き
先程述べましたように、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキの役割を果たしています。
交感神経のアクセルを踏み込むと、血管が収縮して心拍数や血圧が上がり、気持ちが高ぶってアグレッシブな方向ヘシフトします。一方、副交感神経のブレーキを踏むと、血管が拡張して心拍数や血圧が下がり、気持ちが落ち着いてゆったりリラックスする方向にシフトします。
この交感神経と副交感神経は、両方とも高いレベルでバランスよくキープされているのがベストです。両方ともハイレペルで安定しながら、日中は交感神経が少し高いくらい、夜間は副交感神経が少し高いくらいになるのが理想的です。
自律神経のバランスが崩れると
①交感神経が優位になった場合
交感神経のアクセルばかり踏んで、副交感神経のブレーキの機能をすっかり落としています。現代人にもっとも多いパターンです。仕事や家事、人間関係のストレスなどから、一日中イライラ、ピリピリしています。
こういう状態が続くと、血流が悪くなり、免疫力も低下して病気などのトラブルに見舞われやすくなります。また、仕事や家事などでも、一生懸命がんばっているのに結果が伴わず、心身ともに疲弊していってしまうことが少なくありません。
②副交感神経が優位になった場合
副交感神経が高くても、交感神経が低い状態はよくありません。アクセルの利きが悪く、いつものろのろ運転になってしまいます。
この「のんびり屋さんタイプ」の人は、注意力散漫で不注意なミスも起こしがちなのです。7人にひとりの割合でいるとされ、うつ病に陥りがちな傾向もあります。
③交感神経、副交感神経ともに低い場合
交感神経と副交感神経のバランスがよくても、両方ともレベルが低いのもダメ。ストレスの多い生活や寝不足が続くと、両方の働きがダウンしてしまうケースがあります。
このタイプの人はたいへん疲れやすく、やる気や覇気が感じられず、いつもぐったりしている傾向があります。アクセルもブレーキも働きが落ちているため、ちょっと車を動かしただけで疲弊してしまうのです。
生体の恒常性、ホメオスターシス
さまざまな環境の変化に対応して行くための自律神経という調整機能がホメオスターシスとしてあります。
たとえば、自動車には必ずアクセルとブレーキとが備わっています。
アクセルしかない車、ブレーキだけしかない車では運転し続けることはできません。同じようにアクセルとブレーキの働を受け持つのが自律神経です。アクセルにあたる交感神経とブレーキにあたる副交感神経です。
自律神経は無意識のうちにホメオスターシスによって、夜眠っているときにも心臓が動き、呼吸が途絶えたりしないのも、自律神経が働いているためです。
日中は交感神経が優位になって血管を収縮させ、脈拍が上がり、呼吸数も増え、仕事や勉強に精を出すことができます。逆に、睡眠や食事をしているときには副交感神経が優位になって血管を拡張させ、脈拍や呼吸数を減らし、消化を促します。
自律神経がホメオスターシスによりバランスよく働くことで、毎日の生活を健康で元気に送ることができるのです。
人間の体は一定の生体リズムに沿って、一定の収縮(活動)と弛緩(休息)を繰り返していますが、社会環境の変化、不規則な生活習慣やストレス状態が続くと生体のリズムの誤差が大きくなりホメオスターシスの修正ができず不調を感じたりして、健康維持が難しくなってきます。
ホメオスターシスは、異常を正しくする防衛力で、活性酸素の害やストレスにより乱される自律神経の調整、免疫の働き、やる気や睡眠を誘導する脳内ホルモンの分泌等さまざです。生体リズムを正し、ホメオスターシス機能を発揮して、健康が保てる生体リズムを誤差範囲内にとどめることが大切です。
ストレスなどによって自律神経が乱がれても、ホルモンバランスや生体リズムに悪影響が及びます。
どれかひとつでも乱れが生じれば、連鎖的に他の2つにも影響が出て、ホメオスターシスの機能が崩れてしまうのです。
自律神経を調節するセロトニン神経
先程述べた「ホメオスターシスの三角形」の一角に「自律神経系」があり、セロトニン神経は、自律神経を調節する役割を担っています。
ストレスと脳内セロトニン
このことは以前のも述べたことで、慢性的にストレスに晒されることによって、「脳内セロトニン不足」を来すことによって、痛みを制御ができなくなって、頭痛を感じやすくなります。
ストレスを貯めないことが大切
現代はストレス社会であり、ほとんどの人がストレスを抱えています。ただし、ストレスがまったくない生活はつまらなく、人を怠惰にさせますから、適度なストレスはあったほうがいいでしょう。問題になるのは、慢性的に強いストレスがかかることです。
ストレスが要因となっておきる精神的な問題には、うつ病、不安神経症、パニック障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、ASD(急性ストレス障害)などがあります。さらに、過食症や拒食症のような摂食障害や、アルコールや薬物などへの依存も起きやすくなります。
ストレスは、からだの不調ももたらします。先述のように、ストレスがかかると、副腎からストレスホルモン「コルチゾール」が分泌されます。コルチゾールが出続けると、炎症をおさえる力が弱まったり、免疫力が落ちたりします。また、交感神経の緊張状態が続き、自律神経のアンバランスが招く、さまざまな病気の原因となります。心筋梗塞、脳梗塞、アレルギー性疾患、リウマチ、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、じんましん、円形脱毛症、メニエール病、過換気症候群などが、その例です。
ストレスを貯めないためにも、適切な解消法を持ちましょう。音楽やスポーツ、ガーデニングなど、いろいろな趣味をもち、自分の好きなことをするのが一番です。ストレスに目をつぶるわけではありません。ストレスと上手につき合うことが大切なのです。
年配の人から、昔は生活が苦しかったけれど、そのなかで日々の楽しみを見つけ、今よりも心豊かに過ごしていたと、よく聞きます。個人の心のもち方しだいです。あらゆる世代の人と交流する機会をもち、知恵を得ることも、お互いにとっていいものです。
ちなみに、真面目で几帳面、責任感が強く、人に頼れない人、自分に否定的な人は、ストレスをためやすいので要注意です。このような傾向のある人は、完璧を求めない、がんばりすぎないことです。子育て世代や主婦の人は、日々やることが多く、本当に大変だと思います。しかし、「○○しなければいけない」ということは、案外それほど多くないかもしれません。他人と比べて自分を追い込まないこと。ひとりで抱え込まず、家族や友人に相談をしましょう。
最近では、「笑い」の効用が一般にも知られるようになってきました。笑うことにより、副交感神経が働き、免疫力がアップします。楽しいことを見つけ、明るく過ごしましょう。
生活を整えることも重要です。からだにいい食事と生活の習慣は、あらゆるストレスに負けない力を与えてくれます。そして、未来へ向かう人生の目標をもち、うれしい、楽しいと感じることを実行しましょう。たとえつらいことがあっても、必然としておこっているものとしてとらえ、「今」に感謝して生きるようにしましょう。
自律神経を整えるには・・
以上のように自律神経は「慢性頭痛」と大きく関与しております。
こうしたことから、特に片頭痛を改善させるためには、どのようにして「自律神経を整える」かが鍵を握っているとされ、重要な課題とされます。
自律神経を整える働きは、セロトニン神経系の役割です。このため、セロトニン神経を活性化させるために、「セロトニン生活」が必要になります。さらに「脳内セロトニンを増やす」工夫が必要とされます。このことは章を改めて述べることにします。
最近では、順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生は「聞くだけで自律神経が整うCDブック」(アスコム)を出版された程です。
小林先生によれば、”私たちの脳は、外部から受けた情報によって生じる情動(喜怒哀楽といった感情)に応じて、脳の視床下部というところが作用します。この視床下部は、自律神経を司るところです。ここから、体中の臓器に「働け」「休め」という情報が送られています。
外部の刺激のなかでも、音楽は自律神経のバランスをよくする効果を発揮します。
実は、人間の脳は、本能的に音楽を「快」と感じるようにプログラムされていることが明らかになりました。
音楽を聞くことで、自律神経のバランスが整い、体がちゃんと働くのは、こんなメカニズムがあるのです”と指摘されます。
この交感神経と副交感神経は、両方とも高いレベルでバランスよくキープされているのがベストです。両方ともハイレベルで安定しながら、日中は交感神経が少し高いくらい、夜間は副交感神経が少し高いくらいになるのが理想的です。
反対に、どちらか一方にバランスが偏った状態が続くと、心身にさまざまなトラブルが生じることになります。ところが、現代人には、このバランスを大きく崩している人がたいへん多いのです。とりわけ目立つのは、交感神経ばかり上げっぱなしで、副交感神経の働きを落としているタイプです。
なお、このように交感神経優位タイプの人が多くなっているのは、「交感神経が上がりやすいから」でもあります。交感神経は身に危機が迫ったときに”緊急スクランブル”的に心身機能を引き上げる役割をしているため、もともと上がりやすくできています。これに比べると、副交感神経の上がり方は緩慢です。
要するに、自律神経は、交感神経だけを上げるのは簡単なのですが、交感神経と副交感神経の両方のレベルを引き上げるのはけっこう難しいのです。車にアクセルとブレーキの両方が必要なように、交感神経と副交感神経との両方が高いレベルで安定していてこそ本来の力を発揮するようにできています。
ですから、自律神経のバランスを整えたいなら、まずは下がりっぱなしの副交感神経を引き上げるのがファーストステップ。
そのうえで、交感神経と副交感神経が両方ともハイレベルで安定した状態」をキープしていかなくてはならないということになります。そして、その状態をコントロールする最良の方法が「音楽」なのです。
クラッシック音楽とモーツァルトの勧め!
クラッシック音楽のジャンルの中でもモーツァルトの音楽は、副交感神経を効果的に刺激し、交感神経優位の状態を改善してくれます。また、モーツァルトの音楽を初めとするクラッシック音楽は、免疫細胞のリンパ球を増やすなど免疫力の強化、精神的な不安の軽減、痛みの緩和に良い働きがあります。そういうことがストレス解消にも大変よいのです。家畜にもモーツァルトを聞かせている酪農家もあるとか。・・・
●モーツァルトの音楽を聴くとなぜ癒されるのでしょうか?
ジャンルを問わず好きな音楽を聴くと心身が癒されることは誰でも経験していると思います。クラッシック音楽の中でもモーツァルトの音楽は癒し効果が特に優れているといわれています。
その理由は、人の健康を支えている生体機能に刺激を与える高周波を豊富に含んでいるので、この高周波音は脊髄から脳にかけての神経系を効果的に刺激し、その結果健康を支えている生体機能に良い影響を及ぼすのです。
そして、自然の音と同じ一定のリズムを保ちながら変化のある音のゆらぎに満ちているということです。波の音、小鳥のさえずりや虫の音、小川のせせらぎのような自然の音には、ここちよさを生み出すゆらぎが含まれています。
モーツァルトの曲には、ヴァイオリンが奏でるビブラートや音が震える部分など、1/f ゆらぎと呼ばれています。人間の生体リズムも1/f ゆらぎになっているため、1/fゆらぎを感知すると生体リズムと共鳴し、自律神経が整えられるということです。
高いリラックス効果のあるモーツァルトの楽曲は、聴いているだけで心が落ち着いたり、ストレスが解消されたりと、私たちの心と体を元気にさせてくれるのです。
また、ストレスがかかると、対抗するためにコルチゾールというホルモンが分泌されます。闘争本能がむき出しなったときもコルチゾールが多くなっています。体が臨戦態勢になっている状態です。
モーツァルトの音楽を聞く前と後では、聞いた後の方がコルチゾールのホルモン量が少ないことが確かめられています。そんな点からもストレス解消に良いといえるでしょう。モーツァルトが美しい音を求めたことは、自分自身の脳の中で快感物質を増加させるためでもあったようです。その音は楽譜の中に記録され人々の感動を与える快感物質になったようです。
●音楽だけでなくスポーツなども、ドーパミンの合成を高めるようです。
脳内のドーパミンは、快感物質で沢山分泌されるほど気持ちが良くなることが知られています。脳が創造性を発揮することにもドーパミンが関わっていると考えられています。 こころが嬉しい楽しいと感じる生きていく喜びや意欲の源です。ドーパミンは脳から、嬉しい楽しい気持ちを呼び出しやすらぎを与える物質です。
スポーツ選手が苦痛を乗り越えた後に来る爽快な気分が病みつきになり、それをもとめて苦しいスポーツにのめりこむことは良く知られています。音楽にも同様の効果があるようです。モーツァルトも無意識のうちに音楽活動を通じ爽快感を体感し、心地よい音を求め、楽譜の中に脳機能活性化させる信号を埋め込んだのでしょうか。
効果的なクラッシック音楽の聴き方は、耳からの情報に集中できるように、部屋を薄暗くし目をつぶり、大き目のヘッドフォンで聞きながら、1回30分ぐらいを目安に聞くとよいでしょう。加えて、アロマテラピーやお香で嗅覚にも刺激を与え、始める前にコップ一杯の水を飲むと血液の流れもよくなります。
聞くという感覚以外でも、毎日の暮らしの中で、あなたはどのくらい五感を使って生活しているでしょうか。
五感とは、視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚をいいます。この五感は、動物が生きていくために外的から身を守るため備わっているものです。
しかし、快適なはずの現代社会は、五感が鈍るような生活環境になっています。五感を刺激することで自律神経の働きも良くなります。また、泣いたり笑ったり、感動したりするとで免疫や代謝も活発になります。
爪もみでストレスを解消しましょう!
瓜もみは、手軽に副交感押経刺激ができる家庭療法としてお勧めです。手の指先には神経が集中しており、親指、人差し指、中指、小指の瓜の生え際を、押しもみすることで、効果的に自律神経を刺激することができます。
手の指は内臓の働きと密接にかかわっています。親指は肺などの呼吸器、人差し指は胃腸などの消化器、小指は心臓や腎臓など、循環器の働きを高めることが期待できます。中指の効果は具体的にはわかっていません。
●爪もみの指
刺激を与える指は、両手の親指、人差し指、中指、小指です。これらの指の瓜の生え際をもむと、交感押経の過度な緊張がおさえられて顆粒球の減小とともに副交感神経が優位となり、血液循環が促進されます。
薬指への刺激は交感押経の緊張を招きやすいので、通常は行わないでください。
●爪もみの場所
瓜の生え際の角です。おおよそ瓜の生え際であれば良いようです。
《爪もみをストレス解消の健康習慣に・・・・》
ストレスが多いと交感神経に傾きやすい状況です。
病気は、交感神経緊張による血流障害などの原因が多いことが言われています。爪もみは、交感神経の緊張を抑えてくれます。
薬指を除いてどの指も刺激していいのですが、たとえば胃の病気や調子の悪い方であれば人差し指を、肝臓の調子が気になる方なら親指を、念入りにもむようにすると良いようです。
●爪もみのもみ方
瓜の生え際の角は、指の両側にあります。覚えやすいように、親指の外側から1・2(親指)、3・4(人差し指)、5・6〔中指)、7・8(薬指)、9・10(小指)と番号をつけると分かりやすいです。
爪もみで刺激する際には、一方の手の親指と人差し指で、もう一方の手の瓜の生え際を両側からはさむようにしてつまみ、そのまま押しもみします。
他の指と一緒にもんでください。たとえば親指なら1・2を同時に10砂ずつ押しもみます。念入りにもむ指は、20秒くらい刺激します。
一回に、両手の親指、人差し指、中指、小指を刺激し、これを一日に1~3回行い、子供も大人と同様に行ってかまいません。
●刺激の強さ
爪もみで指を刺激するときは、瓜の生え際にやや痛みを感じるくらいに押しもみます。 軽い刺激では効果がないので、痛いと感じる程度が適しています。
瓜もみは、自律神経のバランスを調整する効果に優れた健康法です。やり方もたいへん簡単で、病気の予防やご家族の健康増進・ストレス解消にも役立ちます。お風呂に入っているとき、寝る前など、行う時間を決めておき、忘れずに続けるようにしましょう。
また、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生は、以下のように提唱されます。
自律神経の働きを正す「万能健康ジュース」
私達の体に必要なさまざまな代謝は私達の意思にかかわらず、自律神経によりコントロールされています!
自律神経には日中に活発に働く交感神経と、夜になって活発に働く副交感神経があります。また、交感神経は体の活動時や緊張している時に活発に働き、副交感神経は食事時やリラックスしている時に働くというように、互いに相反する働きがあります。
そして、健康であるためにはこの自律神経が正常に機能していなければなりません。
たとえば、睡眠中は副交感神経が優勢に働いているのですが、交感神経が優性であれば眠りは浅くなり(よく目が覚める)、体力回復機能も弱まってしまいます。
このようなことから、良い睡眠を得るためには就寝前にキッチリと交感神経を抑制し、副交感神経を十分に高めておく必要があるのです。
このように、副交感神経優位から交感神経への切り替えや、交感神経優位から副交感神経への切り替えには、切り替えに必要な時間を充分に取ることが必要となります。
決して、熟睡中に突然起こされ、全力疾走するようなことを毎日やってはいけないのです。
食べ物を食べれば副交感神経が活発化され、胃や腸が働き、栄養素の消化吸収がおこなわれます。
また、副交感神経は排尿や排便を促し、昼の間に消耗した体のメンテナンスをつかさどります。
目覚めの朝は、この副交感神経が優勢な状態から、昼の活動にそなえ交感神経が優勢な状態に切り替わっていく非常に大切な時期なのです。
交感神経が働きだした朝の消化吸収能力は低く、昼・午後に向け向上していきます。
そして、夜間が最も消化吸収能が高くなり、再び目覚めとともに消化吸収能力は低下することになります。
ここで問題となるのが、一人ひとりの消化吸収能力のレベルなのです。
一般に欧米人は歴史的な食文化の違いから消化吸収能力は非常に高く、日本人でも成育期の子ども達や異常に消化吸収能力の高い成人はいます。
しかし、一般的な日本人、中でも特に低体温症の方や片頭痛、パニック障害など神経系の病気の人たちの消化吸収能力は低く、「朝食」が自律神経のバランスを乱す原因となるのです。
栄養素的に、動物性タンパク質は消化吸収時の代謝負担は大きく、特に朝食では摂取したタンパク質の大半が消化吸収に費やされてしまいます。
たとえば、消化吸収能力の低い人が朝からビーフステーキを食べると、消化吸収にかかわる全ての器官では、熟睡中に起こされ全力疾走するようなことが起きてしまうのです。
そのため、朝から全ての代謝機能は乱され、自律神経の働きが乱れるとともに集中力のないけだるい一日が始まるのです(食事の内容により異なりますが、通常は食後1時間~5時間で消化吸収エネルギーは最大となります)
朝食を「万能健康ジュース」に変え、副交感神経の大きな役割である消化吸収のリズムを正しくすることにより、朝から頭は冴さえ渡り、体は驚くほど軽くなり、集中力も上がり、疲労感はなくなり、気分が明るくなるのです。
交感神経の働きを乱す最大の原因は「ストレス」、副交感神経の働きを乱す最大の原因は「過食」と憶えておくといいように思います。
比較的少ないと思った量の食事であっても、特に消化吸収能力の弱い朝では「過食」となってしまうのです。
特に栄養素の中でもタンパク質は消化吸収の負担が極めて大きいのです(朝は、わずかな量でも「過食」となりやすい)
だからといって、朝食を抜くと血糖が下がりすぎ、「ストレス」を受けたときと同じような体の仕組みが働き、「酸化ストレス・炎症体質」の原因となる「遊離脂肪酸」や「活性酸素」が発生することになります。
また、短時間の弱い空腹は基礎代謝を上げ、健康にとってもプラスとなるのですが、強く長い空腹はホルモンの異常な分泌を招き自律神経までも乱してしまいます。
このように、交感神経が働きだす朝に必要以上に副交感神経を刺激しすぎることで、自律神経のバランスを乱すことになるのです。
消化吸収にかかわるエネルギー負荷を最小限にし、且つ、昼食までに大きな空腹感じさせない基礎代謝程度のエネルギーを与えることが重要になってきます。
そして、夜間の代謝(同化)で消耗したミネラル、ビタミンや昼からの活動時に発生するであろう活性酸素のための抗酸化物質を朝食時に補給することを目的に「万能健康ジュース」は作られているのです。
朝食を「万能健康ジュース」に変え、単に朝食の消化吸収エネルギー負荷を極小化し、胃の負担を軽くすることにより、ほとんどの逆流性食道炎は1週間~2週間程度で改善します。
さらに、「酸化ストレス炎症体質」の改善のためには、腸内細菌を健全に保ちビオチンを十分に産生させることや食事後のインスリンの分泌を如何に抑制するかということが大きな課題となります。
そのため、「万能健康ジュース」には、ビオチン産生菌であるアシドフィルス菌の好むりんごをベースとし、食後の血糖値を急激に上げずに血糖が持続して補給されるように作られているのです。
ただし、「万能健康ジュース」は運動不足気味の成人向け(特に生活習慣病が心配な方や、すでに生活習慣病である方など)に作ったものであり、成育盛りの子ども達やスポーツ選手(運動量の多い人)、妊婦の方は、朝からしっかりタンパク質もとってください(その分に見合った消化吸収能力は充分にあります。逆に、タンパク質を多くとるときは、しっかり運動することが必要です。
その2 「オメガ3」と「オメガ6」のバランスをとる
「オメガ3」と「オメガ6」のバランス
必須脂肪酸である「アルファ・リノレン酸(オメガ3)」と「リノール酸(オメガ6)」は、単なるカロリー源ではなく、細胞膜の構成成分になったり、体のほとんどすべての機能を調節するホルモン様物質(局所ホルモン)の原料となる不可欠な脂肪酸です。
栄養学で問題となるのは、「オメガ3」と「オメガ6」の摂取比率についてです。この2種類の脂肪酸の「摂取比率・体内比率」が崩れると、現代人の多くが抱えているような病気が引き起こされるということです。必須脂肪酸のアンバランスは、ガン・心臓病・脳卒中・糖尿病・関節炎・不妊や生理のトラブル・アレルギー・喘息・精神疾患など、さまざまな病気にかかわっています。 最新の栄養学によって、「オメガ3」と「オメガ6」の摂取比率が、私たちの健康を大きく左右するということが明らかにされてきました。
現代栄養学では、「オメガ3」と「オメガ6」の理想的な摂取比率を、およそ1:1~1:3くらいであると考えています。これはアメリカで言えば、百年ほど前の食事の内容です。それが現代では、極端に崩れてしまっています。オメガ3は、必要量の20%程度しか摂られていません。
その状況は日本においても同様です。我が国では1960年頃までは、かなりよい比率を保っていたと思われますが、その後急速に悪化してしまいました。 今ではオメガ3とオメガ6の摂取比率は、1:10~1:50というような、ひどいアンバランス状態にあります。オメガ3の著しい不足に対して、オメガ6は極端な過剰摂取に陥っています。
オメガ3とオメガ6のアンバランスを引き起こす原因
では、どうしてこのような異常な事態を引き起こすようになったのでしょうか。「オメガ3」も「オメガ6」も、植物性食品や植物油の中に多く含まれています。そして、その植物油がアメリカや日本において大量に摂取されるようになったのは、1960年以降のことです。食事が欧米型に向かい、油料理・揚げ物料理が多くなった時期ということです。
食事の欧米化の中で摂取量が増え続けてきた油と言えば、コーン油・大豆油・サフラワー油(紅花油)などです。そして、それらをベースにしたマヨネーズやドレッシング・マーガリンなどです。実は、こうしたどこの家庭でも毎日のように使う油には、「オメガ6(リノール酸)」が豊富に含まれているのです。(※食用植物油の脂肪酸組成を参照してください。一般に使われる油の中には、45~75%もの「オメガ6」が含まれています。)
一方、「オメガ3(アルファ・リノレン酸)」を多く含む油としては、シソ油・エゴマ油があり、欧米では亜麻仁油があります。しかし現代人のほとんどは、これらの油を料理に使うことはありませんでした。
(※日本ではあまりなじみのない「亜麻仁油」ですが、食用に用いられた歴史は古く、ギリシャ・ローマ時代からだと言います。北欧諸国では第2次世界大戦の前まで、どこの家庭でも使われていました。)
また食品によっては、オメガ3を比較的多く含むものもあります。野菜(特に緑の濃い冬野菜)・海藻・魚(背の青い大衆魚)などです。そしてこれらの食品は、昔の日本人は日常的によく食べていました。そのためかつては、かなり「オメガ3」を摂取することができていたのです。油料理をひんぱんに摂るような現代とは違って、オメガ3とオメガ6のバランスは自然に良好だったのです。
現代人は、オメガ3の摂取源となる野菜・海藻・魚などをあまり摂らなくなっているのに対し、オメガ6の摂取量は激増しています。食事が欧米型に傾けば傾くほど、「オメガ6」だけが多くなってしまうのです。こうして必然的に、「オメガ3」と「オメガ6」のバランスは大きく崩れてしまいました。
現代人の深刻な「オメガ3脂肪酸欠乏」
食生活の欧米化が深刻な「オメガ3欠乏」を招いていますが、その一因としては、次のようなことも挙げられます。一般に現代人は、寒い地域の食物より、温かい地域の食物を好んで食べるようになっています。温室栽培や輸入によって、冬でも、トマトやキュウリ・ピーマンなどの夏野菜が食べられるようになりました。実は、「オメガ6」が暖かい地域の農作物に多く含まれているのに対して、「オメガ3」は寒い地域の農作物に多いのです。ホウレン草・シュンギク・小松菜・白菜・ブロッコリーなどの冬野菜は、よいオメガ3の摂取源となっています。
また精白技術の進歩が、オメガ3不足に拍車をかけています。穀類の胚芽にはオメガ3とオメガ6がともに含まれているのですが、精白することで「オメガ3」が失われてしまいます。
さらにオメガ3不足の大きな原因として現代式の製油方法が挙げられます。食用油といえば、かつては手絞り的な圧搾法「コールド・プレス(低温圧搾法)」で製造されていました。しかし現代では、そうした方法でつくられているのは亜麻仁油・オリーブ油などの一部の油のみです。それ以外のほとんどの食用油は、化学的溶剤で原料の中の脂肪を溶かし出し、その後に溶剤を除去するといった方法でつくられています。そして最後の脱臭工程では、230℃以上もの高温処理がなされています。取り出された油には、部分的に水素が添加されます。“水素添加”とは、不飽和脂肪酸の二重結合部分に、高温高圧下で強引に水素をつなげて油を飽和状態に変えてしまうことです。こうすると油は酸化しにくくなって日もちがよくなり、商品寿命が延びるからです。
こうした製油過程で真っ先に失われてしまうのが、水素と最も反応しやすい「オメガ3」なのです。原料となる大豆やゴマなどの種子類には、わずかですがオメガ3が含まれていますが、今述べたような製油方法では、ほとんどなくなってしまいます。そのうえ「トランス型脂肪酸」という有害な脂肪酸が生成されることになります。
(※「溶剤使用」「高温処理」「水素添加」という現代式の製油方法の中では、オメガ3だけでなく、ビタミンなどの栄養素も失われてしまいます。トランス型脂肪酸の害については、後で述べます。)
このような原因が重なって、現代人の「オメガ3不足」は、きわめて深刻な状態になっています。
酸化ストレスを悪化させる危ないやつ!
植物油に多く含まれるのが「リノール酸」です。リノール酸は「必須脂肪酸」で、わたしたちのカラダには欠かせません。でも、穀類や豆類中心の食事をしていれば、充分に必要量がとれます。
リノール酸は、活性酸素の発生などを抑える「生理活性物質」(体内でのさまざまな生命活動を調整したり影響を与えたりする)の原料になりますが、とり過ぎてしまうと逆にそれを抑制してしまいます。現代人の食生活は植物油を多くとり過ぎなので、むしろ活性酸素を過剰に発生させてしまっているのです。
それから問題なのが「トランス脂肪酸」。これは天然の植物油(昔ながらの低温圧搾でつくられたもの)にはほとんど含まれません。
大量生産で工業的につくられる場合にできる副産物で、いわば人工的な有害物質です。ですから、精製・加工された植物油には多くのトランス脂肪酸が含まれています。このトランス脂肪酸も酸化ストレス・炎症体質を悪化させます。
トランス脂肪酸は多くの国で使用が制限され、表示義務があります。ところが、日本ではほぼ“Free”という状況です。ほとんどの人がその危険性をよく知りません。あなたは知っていましたか?
トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングにもたくさん含まれています。マーガリンは即やめたほうがいいし、ショートニングを使っているお菓子なども、やはり気をつけたほうがいいです。そのほかでは、市販の揚げ物なども要注意です。何度も使い回しができる“持ぢのよい「硬化油」という植物油が使われていて、これにはトランス脂肪酸がいっぱいです。
健康によい油
リノール酸は「生理活性物質」の原料になります。この生理活性物質には、
①「炎症を悪くする」、
②「炎症を抑える」、
③「両者の働きを調整してバランスをとる」
の3種類があり、リノール酸はとり過ぎると①になってしまいます。
大事なのは③です。「酸化ストレス・炎症体質」にならないようにコントロールしてくれるからです。その原料となるのが「α-リノレン酸」や「EPA・DHA」です。
サプリメントのCMで見たことがあると思いますが、EPAやDHAは青魚に多く含まれています。「α-リノレン酸」。α-リノレン酸は、体内でEPAやDHAに変わってくれるのです。α-リノレン酸は「エゴマ油(シソ油)」や「亜麻仁油」に多く含まれています。 αーリノレン酸やEPA・DHAは「オメガ3系脂肪酸」といいます。健康の決め手はオメガ3です。