女性は健常男性より 約52% 脳内セロトニンを産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の4倍減少すると言われ、女性の場合、初潮を迎える13歳頃に発症するのが一般的とされています。
先日、驚愕させられるような、女子中学生を診察することになりました。
その訴えの開口第一声が、ここ最近、毎日のように頭痛があり、このため度々学校を休んでいるということでした。
冒頭で述べましたように、片頭痛の起こり始めであれば、このように毎日、痛むことはないはず、と疑問を持ち問診を開始しました。
起こり始めは、小学生の高学年頃からで、起きても時々にある程度で、市販の鎮痛薬を服用すれば、すぐに治まる程度の極めて軽いものだったそうです。
これが、ここ3カ月の間に、初めは午後に後頭部を中心に重苦しいような頭痛があり、お母さんがかかっている医院で、カロナール300 mg を頓服で処方されたそうです。
このように対処していたところ、頭痛は次第に増悪し、毎日頭痛が出現してくるため、毎日、カロナール300 mg を服用することとなり、ここ2カ月前からは、医院でのカロナール300 mgの処方も30日分まとめて処方されるようになったそうです。
そして、さらに朝起床時から頭痛を感じるようになり、学校も度々休まざるを得なくなったとのことでした。そして、薬を飲んでも、飲んでも一向に頭痛は改善することなく、逆に、増悪する一方であるため、今回、当院受診に踏み切ったとのことでした。
そこで、本来の市販の鎮痛薬を服用するようになった元の頭痛が何だろうか、と考えさらに問診を続けた次第でした。
これまで、診てもらっていた先生には、頭痛の原因について、どのように説明されていたのかを、お聞きしたところ、「成長期にある子供が一時的に訴える頭痛であり、処方薬 カロナール300 mg を服用しておれば、そのうち治まってくる」と言われたようでした。
このため、先生の言われることをひたすら信じて、毎日・毎日、カロナール300 mg を服用すれば、そのうち治るものと思っておられたとのことでした。
そこで、無駄とは思いつつも、携帯もしくはスマホを持っているのかお尋ねしました。
それによれば、中学生になってから、スマホを買ってもらったそうで、1日のうち3時間前後は、毎日、スマホをいじっておられたようでした。そして、1年近く経過して、頭痛が増悪してきたように本人は述懐されておられました。
さらに、念のため、お母さんには頭痛はないのかをお聞き致しました。
ところが、驚くことに、このお母さん自身が、片頭痛持ちで、この医院の先生に診てもらっており、10年以上も通院され、現在でも、トリプタン製剤を処方され、お母さん自身の片頭痛も年々増悪してきているとのことでした。
子供は、3人おられ、患者さんは2番目のお子さんで、三番目のお子さんも、ときに頭痛を訴えておられるとのことでした。
問診をここで打ち切り、型通り頭部CTと頸椎X線検査を行いました。頭部CTでは何も異常はみられず、頸椎X線検査では、見事な「体の歪み(ストレートネック)」を呈していました。
このようにしてみますと、元々、片頭痛の遺伝素因があるため、小学高学年頃から、軽度の頭痛を訴えていたところに、中学生になってからスマホを長時間操作することによって、前屈みの姿勢をとることによって、頭痛が少しずつ増強し、ここに「体の歪み(ストレートネック)」が形成されることによって、さらに頭痛が増悪してきたものと思われます。
これが、本来の頭痛と推測され、これに対して、鎮痛薬のカロナール300 mg を連日服用することによって、薬剤乱用頭痛を併発し、現在のような連日の頭痛へと変化していったように思われました。
現在では、片頭痛に特徴的な頭痛のパターンはとっていないようですが、今後、いずれは片頭痛へと移行していくものと思われます。
それにしても、この中学生を診ておられた先生は、この子供のお母さんを片頭痛として診ておりながら、なぜこのような対応のされかたをされるのか甚だ驚愕させられました。
お母さんが片頭痛持ちであれば、子供さんの女子中学生が頭痛を訴えることになれば、当然、片頭痛予備軍として対処すべきのはずです。
にも関わらず、ミトコンドリアの働きが元々悪いところへ、鎮痛薬のカロナール300 mg を連日服用させることによって、さらにミトコンドリアの働きを悪化させることによって、後天性ミトコンドリア病である片頭痛を作ってきたことになります。
まさに、病気を作っているとしかいえません。
元々、お母さんのミトコンドリアの働きの悪さを、受け継いでいる訳ですから、同時にセロトニン神経系の機能の低下が存在することになり、この両者によって「姿勢の悪さ」を引き起こすことになり、ここにスマホを長時間に渡って操作するような生活習慣があれば、中学生の段階でも容易に「体の歪み(ストレートネック)」を形成してきます。
このようにして、頭痛が増強してきたと考えるべきと思われます。
いずれにしても、鎮痛薬のカロナール300 mg の処方をこのような子供に対して1カ月分まとめて処方する等は、まさに医師としてあるまじき行為と思われます。
さらに、お母さんが片頭痛持ちであれば、その子供さん・とくに女の子に引き継がれやすいことを考えようともされません。
この先生は、”頭痛”をなんと心得ておられるというのでしょうか?
それにしても、受診された女子中学生は、私が、あなたの頭痛は、これまで服用されていた鎮痛薬のカロナール300 mg が原因であり、たちまちは、これを中止することが頭痛を改善させる近道であり、仮に、今後とも鎮痛薬のカロナール300 mg しても頭痛がよくならないのに服用しても意味がない、と宣告したことに対して、どのように思われたのでしょうか。
ただひたすら、頭痛が治ると思って鎮痛薬のカロナール300 mg を服用していたにも関わらず、逆に、これが自分の頭痛の原因であると言われれば、現在の医療に対する不信感は想像を絶するものと思われます。
このような現実を目の当たりにしますと、こうした知識をどのようにして徹底して行っていくかが問われているものと思われます。
このようなことが罷り通ることになれば、いくらでも片頭痛患者さんは量産され、製薬メーカーは市販の鎮痛薬やトリプタン製剤(後発品も含め)、今後とも儲け続け・安泰であるということです。
日本の医療制度は、厚労省、医者(専門家)、業者(製薬会社)の3者によって決められているのが原則であり、医師の診療指針とされる「ガイドライン」は、厚労省、医者、業者(製薬会社)の三者で作成するのがタテマエですが、実際は製薬メーカーが作って、薬漬け医療を、全国の医師に“指示”しています。なにしろ、作成に関わった医師(教授ら)の9割がメーカーからお金(謝礼)を受け取っているのです。
厚労省の役人は、その天下り先として製薬メイカーが用意されています。
このような利権トリオによって牛耳られています。
このようにして、医師は薬剤を出来るだけ多く処方して利潤を上げようとされ、患者さんの病気を治すよりは、病気を作っているという現実があるということです。
こうした利権トリオによって、現実の患者さんはまったく無視されていることを忘れてはなりません。
このような馬鹿げた世界を見せつけられ、暗澹たる思いにさせられました。
ここで、改めて、女性の片頭痛の起こり方を述べておくことにします。
この女子中学生のように、日常生活を送る際の”前屈みの姿勢やスマホ操作などの動作”などが長期間持続することによって「体の歪み(ストレートネック)」が形成されることになります。そうなってきますと、さらに、緊張型頭痛が増強されることになり、さらに「体の歪み(ストレートネック)」を基盤として片頭痛になる可能性のある方は、生まれつき「ミトコンドリアの働きの悪い」”遺伝素因”があり、頭痛を訴える度に鎮痛薬・アスピリンを含んだ鎮痛薬を服用し続けたり、ミトコンドリアをさらに弱らせる抗生物質の服用・マグネシウム不足・有害物質の摂取等々の生活習慣等によって、さらに「ミトコンドリアの働きが悪く」なって来ます。
これとは別に“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なれば「脳内セロトニンが低下」することになり、脳過敏がさらに増強されてきます。
こうした「ミトコンドリアの働きの悪さ」があるところに、さらに「マグネシウム」の不足が持続してきますと、「脳過敏」を引き起こしてきます。
そして先ほどのストレートネックが持続すれば、頸部の筋肉が絶えず刺激を受けることになり、この刺激は三叉神経核に絶えず送られることによって、さらに「脳過敏」を増強させます。これに生活習慣の不規則・ストレス・生理周期により「脳内セロトニンの低下」の要因が追加されて、「脳過敏」を増強させ、さらに症状を多彩なものとさせます。
「ストレートネック」→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
↓ ↓
↓ 脊髄を介して三叉神経脊髄路核
↓ ↓
↓ 中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
↓ ↓
↓ 脳の過敏性、頭痛の慢性化
↓
自律神経失調症状 → 交感神経機能低下→頚性神経筋症候群
(慢性頭痛)
尾側亜核で三叉神経と頚神経が収束する
ストレートネックのために、頭半棘筋に凝りが出ると、それが大後頭神経を刺激し、その刺激が三叉神経に伝わります。大後頭神経と三叉神経は脳のなかで、三叉・頚神経複合体を形成していて、つながっていますので、大後頭神経の刺激は三叉神経にも伝わります。
これまでの当医院の調査では、ストレートネックの確認率は、男性で52%、女性では68%と圧倒的に多く、緊張型頭痛では84%、片頭痛では95%に、群発頭痛では全例に、ストレートネックが確認されています。
片頭痛も緊張型頭痛も共通して「頸部筋肉群の疲労」を基盤として発症すると考えられます。この根拠として、両頭痛に共通してストレートネックが認められる点です。
片頭痛の遺伝素因(ミトコンドリアの活性低下)のない場合は、首の筋肉のこりは、大後頭神経に痛みのみ起きることによって、純然たる「緊張型頭痛」を発症します。
片頭痛の遺伝素因(ミトコンドリアの活性低下)があれば、片頭痛の場合は、「セロトニン神経が働きが悪くなって「痛みの感じやすさ」が存在するところに、首の筋肉のこりの刺激が、大後頭神経から三叉神経に絶えず刺激が送られ続けます。このため、「痛みの感じやすさ」がさらに増強され、常時、脳の過敏性が高まった状態が継続していきます。
片頭痛の基本的な病態は「脳過敏」(脳がちょっとしたことで反応しやすくなることです)にあるとされます。このように少なくともこうした3つの「脳過敏」を引き起こす要因が次々に追加されることによって、”緊張型頭痛”から”片頭痛”にまで進展していくことになります。だいたいこうした時期は、女性の場合、初潮を迎える13歳頃に一致します。
この点に関しては、女性は健常男性より 約52% 脳内セロトニンを産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の4倍減少する、と言われています。
女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は、月経周期でその分泌量は大きく変わります。
特にエストロゲン(卵胞ホルモン)が減ると、それに伴って神経伝達物質であるセロトニンも急激に減ります。
その時に頭の中の血管が拡張することで片頭痛が起こると考えられています。
このエストロゲンが減少するのが排卵日や生理の初日前後です。
つまり排卵日や生理の初日前後にはエストロゲンが減少するためにセロトニンも減少→頭の中の血管が拡張して片頭痛が起こりやすいということなのです。
以上のように、だいたいこうした時期は、女性の場合、初潮を迎える13歳頃に一致します。
こうした年代に女性の場合は、片頭痛を発症してきます。
そして、発症当初は、発作の程度も頻度も少ないのですが、これが結婚を契機として出産・育児を経験することになり、これまでの生活習慣は一変します。具体的には、睡眠時間が、育児に際して、十分に確保できなくなることを意味しています。片頭痛の場合、睡眠時間が確保できませんと、ミトコンドリアの働きを悪くさせ、ひいてはセロトニン不足に繋がってきます。根底にあるストレートネックは経験的に30歳までに改善させませんと、固定化してきます。こうしたことから、概して女性の場合、30歳を超えてきますと、とたんに頭痛の頻度も増え、程度も酷くなってきます。
このような定型的なパターンを示すことを知っておく必要があります。
以上のことを踏まえて、片頭痛持ちのあなたの子供さんが頭痛を訴えた場合に適切に対処しなくてはなりません。そうされませんと、あなたと同じ苦しみを子供さんに引き継がせることになりかねません。
専門家は、こうした指導を決してされないことを私達は知っておく必要があります。
今回のシリーズでは、この点に関して以下で述べました。
祖父母、両親、兄弟姉妹にも同じような頭痛があります
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12351342097.html
生理に関連して起きる頭痛
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12351924831.html