その9 抗酸化食品(野菜・果物)の役割 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

ミトコンドリアと活性酸素


 ミトコンドリアは細胞のなかにある小さな器官で、糖と酸素を利用してエネルギーをつくり出す、いわばエンジンのような役割を果たしています。
 ところが、このミトコンドリアは、エネルギーを出すとき、同時に排気ガスのような「活性酸素」を発生させます。
 自動車に例えるとわかりやすいと思います。ガソリンを使ってエンジンを動かしたら、排気ガスが出ます。
 同じように、ミトコンドリアも、エネルギーを作り出したら、排気ガスと同じようなものが出てしまうのです。それが、活性酸素です。
 例えば、360ccの軽自動車をブンブンふかしていたのではダメで、エンジンを大きくして(=ミトコンドリアを増やして)少ないガソリンで効率よくエネルギーを出し、排気ガス(活性酸素)の少ない良質なエンジンを積んでおくことが重要になってきます。


 生活環境の影響や年齢を重ねると、このミトコンドリアの数が減少していき、さらにミトコンドリアの働きも低下していきます。ガソリンばかり食ってあまりエネルギーが出ないような質の悪いエンジンになってしまうわけです。


 ミトコンドリアを増やすと、体全体のエネルギー発生量を増やすことができます。ミトコンドリアを増やし、活性化させると、エネルギー合成時に発生する活性酸素の消去する機能も高まります。しかし、弱ったミトコンドリアの活性酸素を消去する機能は低く過剰の活性酸素が発生し、その活性酸素によってミトコンドリアがさらに弱っていくという悪循環が始まります。


 ミトコンドリアDNAは活性酸素によって傷つきやすい特徴があります。
 そして、このミトコンドリアDNAは、核内DNAより10倍傷つきやすいとされています。これがミトコンドリアの機能を低下させてきます。

 
身の回りの活性酸素を生み出す要因


 活性酸素は、「呼吸をする」、「食事をとる」、「運動をする」など、ごく普通の生活をしているときにも発生します。酸素を取り込み、エネルギーを作る過程で必ず発生するからです。そのほか、白血球が細菌を殺傷するとき、生理活性物質が作られるとき、有害物質(過酸化脂質、残留農薬、食品添加物、抗がん剤、アルコール、タバコ、大気汚染物質など)を解毒するとき、止まっていた血液が再び流れ出すとき(再濯流)、紫外線や電磁波(レントゲンなど)を受けたとき、強い精神的ストレスを受けたときなど、さまざまな要因により発生します。


身の回りは活性酸素を生み出す要因だらけ


 実は活性酸素は、私たちが生きていく上で、どうしても発生してしまうものなのです。


 私たちが体に酸素を取り込み、消費する過程で活性酸素は自動的につくり出されます。激しい運動をしているときはもちろんのこと、仕事や家事などをして普通に生活しているときも、くつろいでいるときや眠っているときも発生するのです。
 私たちは生きている限り活性酸素から逃れることはできません。
 太古、地球の生物が酸素を体に取り込んで生きるようになったときからの、宿命といえるかもしれません。
 もちろん活性酸素が体の中で増える一方だと、人間はたちまち死んでしまいます。
 そのため、私たちの体は活性酸素を取り除く手段を持っています。
 ただ、この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、病気や老化が起きるのです。大量発生のきっかけにはさまざまなものがあります。
 体が傷を受けたり、ウイルスが侵入したときもそうですし、太陽光線も原因になります。
これらは昔から、私たちの体に活性酸素を発生させる原因になってきました。
 その上、現在では、更に活性酸素を発生させる原因が増えています。
 それが食品添加物や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質であり、大気中の有害物質や放射線などです。これらの原因は、昔にはなかったものです。
 豊富な栄養をとっているにもかかわらず、現代人に病気が多いのは、このことが原因ではないかと言われています。
 ウイルスや細菌は、病気を引き起こす元凶ですが、これも活性酸素発生の原因になります。これらの外敵が入ってくると、白血球が出動してきて外敵を殺そうとします。
 このときの武器が活性酸素なのです。白血球が敵の数に合わせて、びったり適量の活性酸素しか出さなければいいのですが、白血球は外敵を確実にやっつけるために必要量を上回る活性酸素を作ってしまいます。その余分な活性酸素が、まわりの細胞まで傷つけてしまうのです。体にとっての異物は、ウイルスや細菌ばかりではありません。
 実は、病気を治すために飲む薬や、空気中に存在する有害物質、そして食品添加物や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質も、体にとっては異物なのです。
 このなかには、当然のこととして頭痛薬として使用される市販の鎮痛薬、非ステロイド性鎮痛薬、エルゴタミン製剤、さらにトリプタン製剤も含まれています。
 これらのものは、つい最近まで、人類の体内に入ることはなかった物質なので、体は異物と理解してしまうのです。
 そして、異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程でも、活性酸素が発生してしまうのです。
 このように特に、現代の科学や文化の発達が生んだ数々の人工的な要因が、私たちを更に蝕んでいることが伺えます。
 薬や食品添加物の氾濫、農薬の普及、排ガスによる大気の汚染、水の汚染、原子力の利用による放射線被爆、電気製品による電磁波・・・・・生活環境の変化、破壊はすなわち体内での活性酸素の大量発生に繋がっているのです。
 昔から受けてきた紫外線にしても、オゾン層の破壊により、増加し続けています。
こうした要因は、ほんの数十年の間に急速に増えてきたものです。
 私たちの体の働きは、太古から少しずつ作られてきたものですから、この数十年の変化には着いていくことができません。

 体の中には活性酸素を取り除く働きもありますが、人間のミトコンドリアは、活性酸素の発生源が今よりずっと少ない時代につくられていますから、新しい要因が生み出す過剰な活性酸素まで取り除くことはできない状態にあります。
 活性酸素を作り出す原因がこれだけ増え、体の中には対抗する手段が充分にはないとすると、私たちの体の中には、過剰な活性酸素が存在しているということになります。
 これが現代人の体をむしばみ、病気をつくり出しているのです。
 食物の豊富な国に住み、快適な暮らしをしているにもかかわらず、現代社会に暮らす日本人は病気から逃れることができません。
 ガンや糖尿病、心臓病などの成人病の発生が増えているのも、昔はあまりみられなかった喘息や花粉症、アトピーなどのアレルギーが増えているのも、環境の悪化による活性酸素の増加が原因と考えられます。

 日本は長寿大国となりましたが、長寿を謳歌している人の多くは、活性酸素を発生させる要因が少ない時代に育っていることを忘れてはいけません。
 また、昔の日本人の食事は活性酸素を取り除くために理想的な食事ともいわれています。活性酸素の発生要因に囲まれ、欧米風に変化した食事をとって育っている若い人や子供が、長生きできる保証はどこにもないのです。


 もちろん活性酸素が体の中で増える一方ですと、人間はたちまち死んでしまいます。
そのため、私達の体は活性酸素を取り除く手段を持っています。


「酸化ストレス・炎症体質」


 ただ、この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、活性酸素の発生が”抗酸化作用(抗酸化力)”より常に優位な状態が、いわゆる「酸化ストレス」になります。


 「酸化ストレス・炎症体質」とは活性酸素の発生が除去しきれないほど発生してしまう状態のことで、これらが原因で細胞が傷つけられ、さまざまな病気(炎症)を引き起こしてしまう状態のことをいいます。


抗酸化食品の役割


 このように私達の身の回りのは活性酸素が満ち溢れています。このような活性酸素の毒消しをするのが、フリーラジカルスカベンジャーです。
 抗酸化食品は活性酸素を除去します。こうしたことから、抗酸化物質の摂取不足はミトコンドリアの働きを悪化させることになります。


  抗酸化食品には、以下のようなものがあります。


ビタミンA:ニンジン、ほうれん草、卵黄、牛乳、バター
ビタミンC : ブロッコリー、小松菜、ピーマン、トマト、イチゴ、緑茶、ジャガイモ
ビタミンE:大豆、落花生、しじみ、うなぎ
βーカロテン : ニンジン、小松菜、ほうれん草、かぼちゃ、ニラなど
ポリフェノール : 赤ワインなど
リコピン : トマトなど
スルフォラファン : ブロッコリー、キャベツ、カリフラワーなど
メラノイジン : みそ、しょうゆなど

 

 

 抗酸化食品のほとんどは、日ごろから食べている野菜や果物に含まれています。つまり、日ごろから、好き嫌いなく、バランス良く積極的に野菜や果物を食べていれば不足することはないと考えられます。
 しかし、一人暮らしの方や外食が多い方などは野菜不足になりがちです。
 また、高カロリー・高脂肪な肉食中心の欧米型の食事は、体が酸化しやすいため、活性酸素の攻撃を受けやすいと考えられます。
 少しずつ食生活を変え、上手に抗酸化作用があるサプリメントを取り入れて、活性酸素を抑えましょう。