その2 ミトコンドリアの役割 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 皆さんは、片頭痛を改善させるために、何が大切なのかが理解されないために、何を優先して行うべきか分かっていないように思われますので、これからこの点について順次述べていくことにします。
 真っ先に優先して行うべきことは、「ミトコンドリアの機能を悪くさせる要因をなくすこと」、そして、「生まれつき存在するミトコンドリアの機能を改善させること」です。今回は、このことについて述べます。


 前回も述べましたように、「健康的な生活を送る」ためにはミトコンドリアが最も重要な鍵を握っています。もう一度、確認しておきます。前回のおさらいです。


1.ミトコンドリアは「生命エネルギーの製造工場」


 ミトコンドリアがエネルギー産生を円滑に行うためには、栄養素・ビタミン・ミネラルをバランスよく摂取することが基本的に大切です。
 食べ過ぎたり、運動不足になるとミトコンドリアは、栄養が体に行き渡っているため、怠け始めます。
 ミトコンドリアは、エネルギーが不足している時や、もっとエネルギーの需要が必要な時(運動時)に活性化して増殖します。空腹になると、体はもっとエネルギーを作らなければと認識してミトコンドリアを増やし、エネルギーを作ろうとするのです。


2.セロトニン神経系と連動して働いています。


 私達が日中活動している際に、常時活動している神経系がセロトニン神経系です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。
 セロトニン神経系は、”大脳皮質を覚醒させ、意識のレベルを調節する、自律神経を調節する、筋肉へ働きかける、痛みの感覚を抑制する、心のバランスを保つ”などの重要な働きをし、「健康的な生活」を送るためには欠かせない働きをしています。


3.ホメオスターシス(自然治癒力)を制御しています。


 「健康的な生活」とは、生まれつき体に備わっている「生体リズム」に沿った生活ということを意味しています。
 この「生体のリズム」は「ホメオスターシス」によって維持され、「体内時計」により刻まれ、「体内時計」は「ミトコンドリア」・「セロトニン神経系」により制御されています。
  こうしたことから、規則正しい生活(早寝・早起き、睡眠を十分にとる)が必要とされてきます。


 4.姿勢保持に関与しています。


 ミトコンドリアは、全身を支え、姿勢を整える筋肉グループ「抗重力筋群」に多く存在し、ミトコンドリアの働きが悪くなれば当然のこととして姿勢の悪さを引き起こしてきます。
 私達の生活環境は活性酸素に満ち溢れており、ここ50年間の間のうちにミトコンドリア自体の働きが人間界において、悪化していることから、姿勢の悪さを引き起こしやすい状況にあります。
 ミトコンドリアとセロトニン神経系が連動して作用していることから、セロトニン神経系も同時に関与していることになります。これは次回に・・
 姿勢の悪さは、「健康的な生活を送る」上に、さまざまな悪影響を及ぼします。さらに、姿勢の悪さは、最終的に「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こします。


5.「酸化ストレス・炎症体質」形成に関与します。


 ミトコンドリアは細胞のなかにある小さな器官で、糖と酸素を利用してエネルギーをつくり出す、いわばエンジンのような役割を果たしています。
 ところが、このミトコンドリアは、エネルギーを出すとき、同時に排気ガスのような「活性酸素」を発生させます。
 ミトコンドリアを増やすと、体全体のエネルギー発生量を増やすことができます。ミトコンドリアを増やし、元気にさせると、エネルギー合成時に発生する活性酸素の消去する機能も高まります。しかし、弱ったミトコンドリアの活性酸素を消去する機能は低く過剰の活性酸素が発生し、その活性酸素によってミトコンドリアがさらに弱っていくという悪循環が始まります。
 活性酸素が体の中で増える一方ですと、人間はたちまち死んでしまいます。
 そのため、私達の体は活性酸素を取り除く手段を持っています。
 ただ、この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、活性酸素の発生が”抗酸化作用(抗酸化力)”より常に優位な状態が、いわゆる「酸化ストレス」になります。
  「酸化ストレス・炎症体質」とは活性酸素の発生が除去しきれないほど発生してしまう状態のことで、これらが原因で細胞が傷つけられ、さまざまな病気(炎症)を引き起こしてしまう状態のことをいいます。片頭痛も同様です。


6.ミトコンドリアは遺伝情報として関与します
 

 ミトコンドリアは細胞核にあるDNAとは違う、独自のDNAを持っています。ヒトの精子には16個程度のミトコンドリアが存在します。一方の卵子は10万個といわれています。そして、精子に含まれるミトコンドリアは受精後にすべて死滅してしまいます。父性よりも母性のほうが強いということです。
 ということは、ミトコンドリアのDNAに関していえば、卵子に含まれるものだけが子供へと受け継がれます。つまり100%の母性遺伝です。もし母親のミトコンドリアの代謝活性(元気さ)が低ければその影響を当然受けやすくなります。
 女性は健常男性より 約52%「脳内セロトニン」を産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では「脳内セロトニン」合成が男性の4倍減少する、と言われています。
 そのため、母親のミトコンドリアの数が少なく活性が低くければ、その子供にはその性質が引き継がれ易くなります。
 このために、女性に片頭痛の症状が発生しやすいのです。このことは次回で・・


7.ミトコンドリアDNAは傷つきやすい

 

 ミトコンドリアは酸素を使ってエネルギー(ATP)を産生します。この際、体内に取り込まれた酸素の数%反応性の高い活性酸素になります。すなわち、ミトコンドリアは生体内における主要な活性酸素の産生部位でもあるのです。
 正常な状態でも活性酸素は産生されていますが、電子伝達系や呼吸酵素系の活性が低下すると、電子伝達系から電子がもれて活性酸素が生じやすくなります。このために、ミトコンドリアは活性酸素を多く産生するため、ミトコンドリアDNAに突然変異が起こりやすい環境を作り出しています。しかも、ミトコンドリアDNAは核DNAと比べて修復能力が低いため、ミトコンドリアDNAで突然変異が起こる割合は核DNAの約10倍と考えられています。
 このことが、以下の「後天性ミトコンドリア病」を引き起こす最大の原因になっています。
 また、この遺伝情報に関与するミトコンドリアDNAは、は活性酸素によって傷つきやすい特徴があります。

 

 現在では、人が罹るあらゆる病気の90%は活性酸素が関与していると言われ、さらに、感染症以外の、ほとんどの現代病である生活習慣病(片頭痛、動脈硬化、ガン、認知症を含めて)は、「後天性ミトコンドリア病」と考えられています。
 ミトコンドリアがエネルギーを産生する際に必然的に生み出されるのが活性酸素です。
 「後天性ミトコンドリア病」とは、馴染みのない病名ですが、これは”ミトコンドリアの機能が低下する病気”です。
 今までは、先天性の病気”遺伝的疾患”として考えられていましたが、現在では後天的な発症や、薬による副作用で発症することが証明されています。
 このようなことから、片頭痛とは、以下のような「後天性ミトコンドリア病」すなわち、”ミトコンドリアの機能の低下による頭痛”と考えるべき頭痛です。


 片頭痛とは、遺伝素因である「ミトコンドリアの働きの悪さ」に、生活環境および生活習慣(とくに食生活)が原因で、エネルギーを生み出す際に生する活性酸素によって自分のミトコンドリアを傷つけることによって「さらに、ミトコンドリアの働きを悪く」させて「酸化ストレス・炎症体質」を形成することにより引き起こされる疾患と考えられています。
 このミトコンドリアの働きの悪さは、ミトコンドリアDNAによって母親から、先祖代々受け継がれます。そして、ミトコンドリアDNAは生活習慣および外部の生活環境によって変化・悪化することになります。


 以上のことが、片頭痛という頭痛を理解するための基本になっています。


ミトコンドリアの機能を低下させる要因


 それでは、この「ミトコンドリアの機能を低下させる要因」にはどのようなものがあるのでしょうか?


1.生活環境の問題


 活性酸素・・抗酸化食品(野菜・果物)の摂取不足
 有害物質の摂取・・デトックスを怠る


2.生活習慣の問題


 不規則な生活とくに睡眠不足
 運動不足
 食べ過ぎ・過食、偏食(好き嫌い)
 早食い・ドカ喰い・・インスリン過分泌
 薬剤による影響・・とくに市販の鎮痛薬


3.食生活の問題


  バランスの悪い食事
 マグネシウム不足
 鉄不足
 必須脂肪酸の摂取のアンバランス・・膜構造を構成


 以上のことを念頭において、対策を講ずる必要があります。


「ミトコンドリアの機能の低下」に対する対策として、


  生活習慣では、「規則正しい生活」を心掛け、睡眠を十分にとり、運動不足にならないことです。
 食事摂取については、過食・食べ過ぎに注意し、早食い・ドカ喰いのようなインスリン過分泌を来す食事の摂り方はよくありません。ゆっくりと・よく噛んで食べましょう。
 食事内容では、以下のような内容が重要になってきます。


  1) 加工食品・インスタント食品をできるだけ減らす
  2) 脂肪・油をできるだけ減らす(オメガ3を摂る)
  3) 肉・乳製品・卵を摂らないか、ごく少量にする
  4) 砂糖をごく少量にする。白砂糖を摂らない
  5) 主食を精製度の低い穀類にする。雑穀を加える
  6) 豆類を摂る。種子・ナッツ類を摂る
  7) 野菜をたっぷり摂る。果物を摂る。海藻を摂る
  8) 魚貝類を少量摂る
  9) 発酵食品を常に摂る
  10) 食材・調味料は自然で新鮮なものを使う


 このような基本的な考え方で「食事内容」は考えなくてはなりません。


 これに加えて、マグネシウム不足・必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランス・鉄不足に配慮することが大切です。
 必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランスは、ミトコンドリアの機能の悪化に繋がるため極めて重要になっています。
 結局、”バランスよく摂取する”ことが重要になっています。
 生活環境によって生み出された活性酸素および有害物質などの外部の生活環境要因に対しては、活性酸素を除去させるためには、抗酸化食品である野菜や果物を十分に摂取することです。
 そして、有害物質に対しては、避けれるものは極力避けるべきです。

 避けられないものは当然ありますので、デトックスが必要になります。

 このためには、水分を十分に補給し、食物繊維を摂取し、デトックス効果の高い食品を摂取するように努めることです。


 このように、「食事内容」が極めて重要になっています。

 専門家が言われるように、マグネシウム・ビタミンB2の補充をといった、楊子のツマのごとく考えるのではなく、マグネシウム補充こそは、片頭痛治療の要(かなめ)となる程、極めて重要な部分を占め、健康人ですら容易に不足しやすい生活環境に置かれていることを忘れてはなりません。


 このような、ミトコンドリアの機能を低下させる要因に対する配慮を行った上で、母親から受け継がれたミトコンドリアの働きの悪さを改善させる工夫が必要になってきます。


 その方法として、以下のようなものがあります。


ミトコンドリアを効果的に増やすには


 <背筋を1分間伸ばす>


 <毎日1分片足立ちをする>

 
 <短時間で効果的な有酸素運動>


 <古来伝わる不自然な動き> 

 

     ヨガや太極拳、フラダンス、日本舞踊


<寒中稽古、サウナ後の水風呂>


 ミトコンドリア・ダイエット


 結局、こまめにチョコチョコと、体を動かすことが重要であり、格別な運動が必要とされる訳ではないということです。


 ミトコンドリアを活性化する9つの習慣


   ミトコン瀬名のブログ「ミトコンドリアのキモチ♪」に掲載されています。

 

 

 専門家の言うように、「片頭痛の”適切な”治療は片頭痛発作時に毎回トリプタン製剤を服用することであり、トリプタン製剤を服用しておれば片頭痛が治ってしまう」、とかいったことでは根本的に片頭痛は治ることはありません。 このような対処をされれば、いずれ片頭痛は慢性化していきます。
 マスコミでは「トリプタン製剤が片頭痛の”特効薬”である」と宣伝されますが、トリプタン製剤は、片頭痛という辛い頭痛を緩和させるための”鎮痛薬”であり、対症療法に過ぎないものであり、本来、片頭痛発作期間中の3日間の”生活の質QOLを向上させる目的で、服用を勧められていたものです。
 このような姑息的な対症療法しか提唱されなかった理由は、これまでトリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者の利益追求のために、片頭痛がミトコンドリアの機能の低下による頭痛であるといったことが、ひたすら覆い隠されていたことにあります。


 このような事実があることを私達は忘れてはならないことです。


 さらに、現在、訳の分からない専門家は、片頭痛に対して、市販の鎮痛薬を服用する弊害を次のように説明されます。


 市販の頭痛薬や痛み止めの大部分は”みかけの痛み”のみを取り払い、水面下で起こっている脳の神経細胞の興奮症状を置き去りにしています。
 当然、毎回の片頭痛発作のたびに起きている脳の血管周囲の炎症に関しても放置されたままになっています。
 この興奮状態の放置により、片頭痛の回数や程度がだんだんとひどくなってきて、市販の頭痛薬の用法や用量の規定範囲を超えるようになってきたり、飲む回数が増えてきたりします。


 こういったことから、トリプタン製剤が片頭痛の特効薬であり、片頭痛の”適切な治療”とはトリプタン製剤を服用することであり、片頭痛発作時に毎回トリプタン製剤を服用しておれば、”片頭痛が治ってしまう”とかといった”嘘”をつかれる専門家が出現してきていることを忘れてはなりません。


 しかし、トリプタン製剤は患者のわずかに50~60%だけしか効果が見られず、心疾患のある患者や脳梗塞の既往のある患者、末梢血管障害のある患者では使うことができません。しかも、それらは根本的な治療薬ではない(片頭痛を根治させる薬剤ではない)ため多くの場合頭痛は24時間以内に再発する傾向があります。このような有効率しかないものです。
 さらに、片頭痛の発作の都度トリプタン製剤を服用しているにも関わらず、片頭痛の3割の方々は、慢性化して増悪し、なかにはトリプタン製剤が片頭痛の”特効薬”とされることから、トリプタンによる薬剤乱用頭痛に陥り、対処が極めて困難な状態が多発するようになり問題になってきています。

 本来、片頭痛患者さんの”生活の質QOLを向上させる”ために、トリプタン製剤の服用が勧められていたにすぎないものです。それがいつしか、専門家はトリプタン製剤を、片頭痛の特効薬とまで誇大宣伝を行ってきました。


 このような、誤った情報が氾濫している現代です。

 あくまでも、片頭痛がどのような頭痛なのかを、理解した上で、世間一般に流布している情報を的確に取捨選択する必要があります。

 

 要は、トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者の利益に加担するような情報に惑わされることなく、私達の”健康第一に”考えた「健康法」を行うこと、すなわち、ミトコンドリアの機能を悪くさせない方法、より改善させる方法を模索していけばよいということです。

 

 そして、この”2つ”のことを、片頭痛治療の改善を志すためには、最優先して考えなくてはなりません。


 この詳細は「慢性頭痛治療のガイドライン」をご覧下さい。分かりやすく解説してあります。

 

 次回は、「セロトニン神経系」についてです。