”定義”の世界から”自然科学的見地”へ・・おしまいに | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

    慢性頭痛の治療ガイドライン 「ダイジェスト版」
          
http://taku1902.jp/sub541.pdf
 
    慢性頭痛の治療ガイドライン 前編 「実践編」
         
http://taku1902.jp/sub539.pdf
      
         慢性頭痛の治療ガイドライン 後編 「慢性頭痛の基礎知識」
         
http://taku1902.jp/sub540.pdf

 

 以上、とくに「ダイジェスト版」をご覧戴き、理解して戴けたでしょうか?


 専門家の言われるように、片頭痛は”不思議で・神秘的な”遺伝的疾患ではなく、極々、”ありふれた日常的な頭痛”と考えなくてはなりません。
  片頭痛とは、”ミトコンドリアの機能の低下による頭痛”です。
 このようなことは古くから言われていたことで、決して”新しい考え方”ではありません。

 現在では、「後天的ミトコンドリア病」として、逆に、医学常識とまでされる程、一般的な考え方になっています。

 こうした考え方は、トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者の利益を守るために、一切、封印されてきました。

 日本の専門家はトリプタン御用学者の考え方を”信奉”され、無条件に受け入れてきたため、不思議で・神秘的な”遺伝的疾患とされているにすぎないものです。


 片頭痛の治療の原則は、「規則正しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、姿勢を正しくし、運動不足に注意し、リラックスすること」です。
 このような、極めて、当たり前のことをすれば済むことです。
 片頭痛になったということは、このような”至極当然のこと”とされていることが、きちんと行われていなかったということを意味しています。
 このため、これまでの生活習慣を振り返って戴いてみて、このような生活習慣が行われていたかどうかを点検して戴く必要があります。
 このなかで問題になることは、「姿勢を正しくする」「運動不足」「リラックスすること」「規則正しい生活・・睡眠が十分とれているか」「食事がバランスよく摂れている」といった言葉で言えば、至極単純で簡単なことでありそうなことが、きちんと行われているのかが問われています。

 しかし、現代社会では、こうした「”至極、当たり前”と思われるような生活を送ることができない生活環境」に置かれていることを私達は認識しておかなくてはなりません。

 どうして、このような当たり前のことを行えない生活環境にあるのかを知らなくては、私達は何も対処できませんし、片頭痛改善など夢のまた夢になってしまいます。

 現代社会を送る際には、「規則正しい生活」にはほど遠い労働環境に置かれ、現実の作業環境では、IT機器万能の世界にあり、「俯き姿勢」を強要され、仕事から解放されれば、スマホに熱中されるご時世です。交通機関の発達により、私達は歩いたり、体を動かす機会が極端に少なくなっています。食生活では、欧米化した食事が多くなり、高タンパク、高脂肪、食物繊維の少ない食事内容が”健康食”と錯覚されています。アベノミクスを追求する余り、弱小の企業は取り残され、経営状況は悪く、ストレスは貯まる一方であり、リラックスする余裕などはない方々も多いのではないでしょうか?

 ということは、慢性頭痛の基本原則とされる指導内容を忠実に行うことの難しさは、容易に想像できるはずです。これを如何にして、「基本原則」に近づけるかが最大の焦点になっていることは、皆さんも理解されるはずです。このような困難なことを、どのように行っていくのかを、この「ガイドライン」では提示しています。絵に描いた餅ではなにも意味ないことになります。


 特に、「食事がバランスよく摂れている」かどうかの判断は、皆さんの食習慣もあり、考え方は人それぞれ異なり、これまでの食生活が正しいと思っておられる方が多いのではないでしょうか。

 「食事をバランスよく摂取する」ことほど難しい問題はないと思われます。
 

 医者や栄養士はよく、バランスのとれた食事が大切であると言います。しかし、これほどあいまいに使われている言葉はありません。バランスのとれた食事が大切であると言う医者や栄養士自身が、それが実際にどのような食事を指すのかが分かっていないのです。具体的な指示を出さずに、どうして患者に食生活の改善を指導することができるでしょうか。それでは口先だけのきれいごとになってしまいます。「バランスのとれた食事」とは、どこまでも具体的な内容によって示されるべきものです。
 具体的に言えば、ビタミンやミネラルなどの必須栄養素・食物繊維・薬理効果の高い植物栄養素を十分に含み、オメガ3とオメガ6の摂取比率が適正で、抗酸化栄養素・解毒栄養素・酵素をたっぷり供給できる食事のことです。しかし、こうした栄養学的条件をすべてクリアした食事を栄養学理論に基づいて組み立てようとすると、それがいかに難しいことであるかがすぐに理解されます。あまりにも諸条件が複雑に入り組み、現実にどのようにメニューを立てたらよいのか分からなくなってしまうのです。現代栄養学の理論を忠実に実践しようとすればするほど、食事の組み立ては困難をきわめ、絶望的になってしまいます。


 このなかで、例えば脂肪の摂り方を考えてみましょう。


  脂質には、エネルギー源になるほか、生体膜の構成成分・ホルモンや胆汁酸・ビタミンなどの原料ともなります。また、血管の保護や、免疫や炎症を調節する機能、細胞同士の情報を伝達する機能もあるのです。
 このように、脂質は生体内でとても重要な多くの役目を果たしており、いい脂質を摂取することは、健康にとってきわめて重要になります。
 「体の脂肪酸バランス」は、食べ物として摂った脂肪酸によって決まっています。すべての細胞の脂肪酸の状態が、摂取した脂肪酸によってストレートに決定してしまうのです。このため、必須脂肪酸、オメガ3とオメガ6の摂取バランスに問題があれば、痛みを誘発させるプロスタグランデンが異常に産生され、”日常的に感じる極く軽度の頭痛”の原因ともなります。

 また、生体の膜(細胞膜やミトコンドリアの膜構造)を形成していることから、摂取バランスによってはミトコンドリアの機能を悪化させることになります。

 さらに、片頭痛発症の根幹となる「酸化ストレス・炎症体質」を形成させる根源になってきます。


 あまり自覚がない女性も多いですが、女性は脂肪分が多いものが好きなのです。たとえばケーキです。これにはたくさんの脂肪分が含まれていますので、1個食べただけでも相当な脂肪分を体に入れることになります。このほか日常的に食べるものでも脂肪分が多いのが菓子パンやサンドウィッチなどのパン類です。
 菓子パンにもサンドウィッチにも油が多い食品が使われているので脂肪分がとても多いので、しかも、こういいった食事に含まれている脂肪は質が悪いです。
  良質な脂肪としては、魚に含まれる油やアーモンドに含まれる脂分が有名です。
 これらの良質な脂肪は体にも必要なものなので適量を食べるのが望ましいですが、市販のケーキやサンドウィッチ・菓子パン等に含まれる脂肪分はたいていが天然の脂肪分ではなく合成された質の悪い脂肪分なので、体に必要な脂肪分とはとても言えない成分になります。
 ですから、市販のパン類全般を常食し、間食はケーキのようなクリーム系の脂肪分が多い食事が多い現代女性の食事中の脂肪分は過剰になっています。
 といっても脂肪分も多く食べても、体の中できちんと消費されるか、食物繊維が絡め取って便と一緒に体外へ出れば問題ありません。でも、パン類中心の食事はサラダを食べていたとしても食物繊維が圧倒的に少ないので体外に出す量も少なく、実際は過剰になっています。中性脂肪としてたまってしまっているのが現状です。
 そして、体の中で消費されずにたまって脂肪分は、プロスタグランジンの原料になります。体の中には脂肪分があまっていますから、プロスタグランジンも多くつくられてしまいます。
 そのため、多く作られたプロスタグランジンは、生理のときに必要以上に出すぎて、子宮内膜に収縮しなさいと命令をたくさん送ってしまい、生理痛がひどくなってしまうのです。このようにして、生理活性物質のアンバランスを引き起こすことになってきます。
 ですから、脂肪分の多い食事にならないように調整すると、片頭痛と生理痛をやわらげることにつながります。


  このように脂肪ひとつ考えてみても、片頭痛発症に重要な役割を果たしており、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスは重要になっています。

 

 このような脂肪以外にも、トランス脂肪酸の問題が、現在では注目されています。
 トランス脂肪酸とは、植物性の油脂を加工する過程で発生する、最も危険視されている脂肪酸です。
  トランス脂肪酸を多量に含むモノとして代表的なのは、サラダ油・マーガリン・ショートニング・ファットスプレッド・マヨネーズです。
 またそれらを使用した食品(クッキーやスナック菓子など)にも多く含まれます。
  トランス脂肪酸は、細胞膜の形成を阻害することで、免疫異常をきたしやすく、また活性酸素が大量に発生することがわかっており、摂り続けることにより体へ蓄積され、そのダメージも大きくなります。


 このような例は、あくまでも卑近な例に過ぎないものです。


  このように片頭痛の治療原則とされる「規則正しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、姿勢を正しくし、運動不足に注意し、リラックスすること」といったことは、日常生活を送る上で、ほとんど無意識に行われているものです。
 このため、こうした無意識で行ってきた生活習慣が、あなたの片頭痛に対して、どのような悪影響を及ぼしているのかを知っておく必要があります。
 例えば、マグネシウム補充が片頭痛の治療の要(かなめ)とされますが、私達の生活環境は、容易にマグネシウム不足を起こしやすい生活環境に置かれていることを知っておかなければ、この必要性は理解されにくいことになります。
 また、私達の生活環境は、活性酸素や有害物質に満ち溢れていることを知らなくてはなりません。そうされませんと、なぜ、抗酸化食品である野菜や果物を毎日摂取しなくてはならないのかが理解できないことになります。有害物質を除去するためには、デトックスが必要になってきます。そのためには、どのようなことをすべきなのかが知識として必要になってきます。

 

 現代社会は、”活性酸素”に満ちあふれた生活環境にあります。
 こうした背景をもとにミトコンドリアの働きが悪くなると同時にセロトニン神経系の機能が低下しているところに”生活習慣の問題”が加わって「脳内セロトニンの低下」が引き起こされ、この両者によって「体の歪み(ストレートネック)」が引き起こされやすい状況を作ってくることになります。
 このため、現代では「体の歪み(ストレートネック)」が日常茶飯事にみられるようになってきました。
 私達は、日常生活を送る上で、私達は前屈みの姿勢をとる生活環境に置かれています。特に、女性の場合は、炊事・洗濯・掃除を行う際に”前屈みの姿勢”を日常的にとっています。
 さらに職場では、事務系の仕事が多いためパソコンの操作を終日行うことになります。仕事が終われば四六時中スマホ・携帯を覗き込む姿勢をとっています。現代社会はスマホ全盛の時代で、歩きスマホをされるご時世です。
 そして、無意識に”おかしな体の使い方”をしていますと、知らず知らずのうちに仙腸関節がズレ、骨盤の歪みから脊椎( 背骨)の歪みが生じてきます。仙腸関節のズレは、脊柱に影響が及びひいては頸椎にまで及んで、”脊柱の捻れ”を最終的に引き起こしてきます。
 このようにして、無意識のうちに「体の歪み(ストレートネック)」は作られてきます。これが、慢性頭痛の基本骨格になっています。そして、片頭痛発症の要因になってきます。

 

 このように、慢性頭痛とくに片頭痛発症に関連する要因そのものは、大半のものは、私達が日常生活を送る際に、ほとんど意識されていないものばかりです。このため、どのようなことが、慢性頭痛発症に関与しているのかを、まず、知ることが重要になってきます。

 このようなことは、これまで専門家は一切考えることはありません。このため、慢性頭痛の原因はまったく不明とされ、現在でもまったくこのようなことは考えていません。このように専門家が考えれない理由は、慢性頭痛とは一体何なのか、といった基本的な概念がまったく欠如していることにあります。このような致命的な誤りを犯してきました。


 こういった知識を身につけて戴くのが、「慢性頭痛の治療ガイドライン」の目的です。暇な時間に是非とも、このようなことを知っておく必要があります。知識としてなければ、自衛策もなにもないことになります。

 まず、知ることです。このように「慢性頭痛の治療ガイドライン」は作成されています。

 

 専門家は、こうした「規則正しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、姿勢を正しくし、運動不足に注意し、リラックスすること」といった単純なことすら指導することはなく、「片頭痛の”適切な”治療は片頭痛発作時に毎回トリプタン製剤を服用することであり、トリプタン製剤を服用しておれば片頭痛が治ってしまう」と指導されます。

 しかし、こういったことでは根本的に片頭痛は治るわけはありません。
 このような対処をされれば、いずれ片頭痛は慢性化していきます。
  マスコミでは「トリプタン製剤が片頭痛の”特効薬”である」と宣伝されますが、トリプタン製剤は、片頭痛という辛い頭痛を緩和させるための”鎮痛薬”であり、対症療法に過ぎないものであり、本来、片頭痛発作期間中の3日間の”生活の質QOLを向上させる目的で、服用を勧められていたものです。

 一時凌ぎで、決して満足してはなりません。これが重要なことです。トリプタン製剤が効いたからといって、満足しておれば、最終的な”ツケ”は必ず回ってくるものと覚悟しなくてはなりません。


 そして、最も大切なことは、「日常的に感じる極く軽度の頭痛」に対して、この発症の要因を意識することなく、市販の鎮痛薬を繰り返し・繰り返し服用し続けてはなりません。
 少なくとも、5回前後、継続して服用することになれば、「ドクター・ストップ」と考えるべきです。 

 仮に、ご家族・親族に片頭痛持ちの方がいらっしゃれば、確実に片頭痛へと移行していく運命にあると考えなくてはなりません。
 専門家は、これまでこのような「日常的に感じる極く軽度の頭痛」を全く意識することなく、患者さんへの徹底した指導をされませんので、結果的に、片頭痛を醸成・熟成させることになりますので注意が必要です。


 そして、重要なことは、皆さんの子供さんが頭痛を最初に訴えた場合、他に原因となるもの(例えば、風邪のような症状もない)がなければ、片頭痛の初期段階・片頭痛予備軍として、その段階から対処すべきです。

 今後、専門家は、子供の片頭痛にまでトリプタン製剤の適応を拡大しようとされますが、これまで述べてきましたような片頭痛の治療原則である「規則正しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、姿勢を正しくし、運動不足に注意し、リラックスすること」を厳守させ、特に背骨伸ばしのストレッチを毎日行い、好き嫌いなく偏食をさせず、マグネシウム補充を意識した食事、野菜を十分に摂取させるように心がけるべきです。
 専門医によっては、いきなりデパケンを処方される方もいますが、デパケンにはミトコンドリア毒性があり、子供の時期から服用させてはいけません。
 このようなことを行う以前に、「体の歪み(ストレートネック)」 の是正とマグネシウムの補充を徹底して行う限りは、デパケンは必要ありません。
 とにかく、片頭痛治療の基本原則を遵守すべきです。
 そして、頭痛薬を使うとすれば、市販の鎮痛薬→病院の鎮痛薬→エルゴタミン製剤→トリプタン製剤と段階的に服用させるような考えで、いきなりトリプタン製剤を服用させるべきではありません。
 少なくとも、頭痛を訴えた初期の段階から、鎮痛薬を使わずに頭痛を起こさないように対処すべきです。

 子供はまだ行動範囲は限られており、親の躾が子供のストレスになっていないかまず考えてみることです。そして、姿勢が悪くなっていないかどうかを点検することです。そして、最も大切なことは、食事について点検することです。好き嫌いなく、偏食はないか、野菜が十分摂れているか、甘い物の摂りすぎ、良い油と悪い油がきちんと見分けられているかどうか、三食しっかり食べているかを点検しましょう。 

 あくまでも、こうした”対処”を遅らせることは厳禁です。早期から対処するようにしましょう。

 

 女性の場合に、このことは特に言えることです。初潮が始まる時期に発症することが多いわけですので、この段階から”直ちに”対処すべきです。少なくとも社会人になるまで、遅くとも20歳までには根治させるべきです。とくに結婚をされるまでには根治させておく必要があります。対処が遅れれば、遅れるだけ、年々増悪の一歩を辿ることは覚悟しなくてはならず、根治までの道のりは遠のくものと考えるべきです。


 これまでも述べてきて、お分かりのように専門家はこのような指導は一切されることはありません。専門家の作成されるガイドラインには明記されることはありません。

 ところが、一部の専門家は、「セルフケア」として、こうした同一の指導をされるにも関わらず、決して、片頭痛がミトコンドリアの機能の低下による頭痛である、といった観点から述べることはなく、このようなことは単純に考えれば当然でありながら、なぜだかされることなく、極めて「悪質」としか言えません。正面きってこのように論破される専門家はおられません。恐らく、専門家から村八分にされることを恐れているようです。このような「セルフケア」を提唱される専門医の方は、これで9割の方々が片頭痛が改善に導かれると豪語されながらです。
 専門家は、「世界の頭痛医療に追いつき、追い越せ」をスローガンに掲げ”専門医”の養成しか念頭にないようで、現実に慢性頭痛でお悩みの方々を蔑ろにされ、本末転倒した考えをされます。

 本来であれば、”日常的に感じる極く軽度の頭痛”がどのようにして引き起こされるのかを考えた上で、一般開業医への啓蒙活動を優先させなくてはならないはずでありながら、決してこのような考え方をされることはありません。

 その結果、慢性頭痛を益々錯綜としたものとさせ、ここに専門医の存在価値を見いだそうとされます。このようにして、片頭痛を醸成・熟成させ、量産することによって、専門医の出番が回ってくると考えておられるようです。こうした状況はどなたに有利になるのでしようか。このことは、敢えて私が言うまでもないことです。

 実際、これまで、このような”日常的に感じる極く軽度の頭痛さらに緊張型頭痛は、取るに足らない頭痛とされ、全く無視されてきました。このことが何を意味しているのでしょうか?

 これまで、明らかにしましたように、”日常的に感じる極く軽度の頭痛”に、諸々の生活習慣の問題が加わることによって、ミトコンドリアの活性低下という”遺伝素因”を基盤として、片頭痛へと進展していくことから、極めて重要な頭痛であるはずです。これを蔑ろにすれば、いとも簡単に、片頭痛を”醸成・熟成”させ、量産させてくることは、どなたも理解できることです。

 このように、”日常的に感じる極く軽度の頭痛”が軽視・無視されてきた理由は、国際頭痛分類第3版の”定義”にあります。

 この基準では、片頭痛を厳密に定義することによって、片頭痛を間違いなく診断させ、トリプタン製剤を処方させることを目的としています。

 このため、片頭痛の基準に当てはまらない患者はトリプタン製剤を処方する対象にならないために、まったく問題にもされず、研究対象にもならなかったということです。結局、専門家の頭のなかにはトリプタン製剤を処方することしか念頭・眼中になかったということです。
 私達、現実に慢性頭痛でお悩みの方々は二の次であり、片頭痛にはトリプタン製剤があり、これで辛い頭痛が緩和されるのであるから、”これで我慢しなさい”ということです。


 結局、片頭痛は、トリプタン製剤と各種の予防薬で、辛い頭痛を押さえ込みさえすれば、これで片頭痛治療は完結したとしか考えてはおらず、根治療法はどうでもよいということです。

 このことを私達は、肝に銘じておく必要があります。

 この理由は、私が敢えて申し上げるまでもないことです。
 ”片頭痛を根治させる”ことなどは”以ての外”(論外)であり、眼中にはないということです。

 このように考えれば、専門家の本質が浮き彫りにされてきます。

 専門家が、なぜ国際頭痛分類第3版を頭痛診療および頭痛研究の絶対的な”教義・教典”とされている理由が、皆さんには理解されたはずです。

 ということは、私達の「臨床頭痛学」とは、国際頭痛分類第3版という”定義”に縛られることなく、自然科学の立場から論じていくことによって、真の”私達の、私達による、私達のため”の「臨床頭痛学」を作り上げていくことが重要になってきます。

 このため、従来の専門家には何も期待されるものは、何もないことになります。「砂上の楼閣」でも作って楽しんでもらうしかありません。

 新たな「臨床頭痛学」をつくるためには、従来の専門家に頼ってはなりません。