これまで述べてきたことを、より”簡潔に”まとめて、「総集編」とします。
専門家による現在の「臨床頭痛学」とは
現在の頭痛の専門家の方々は、日本にトリプタン製剤が導入される際に、それまでの1973年の頭痛懇談会、1985年の頭痛研究会、さらにこれを発展させた形で、1996年に「日本頭痛学会」を設立されました。
専門家は、片頭痛研究は日本より、欧米のほうが遙かに進んでいると考えることから、片頭痛の克服をめざす国際的組織ADITUSから、その情報・知識を取り入れました。
そして、専門家は、1988年に国際頭痛学会が発表された「国際頭痛分類」を遵守されることになりました。
そして、日本にトリプタン製剤が導入されると、日本の業績よりも欧米の論文を無条件で評価する考え方から、「国際頭痛分類 第2版」を無条件に踏襲した形で「慢性頭痛の診療ガイドライン」が作成されることになりました。
これが、専門家の「慢性頭痛について考え」の基本になっています。
さらに、現在では、2013年3月に国際頭痛学会主催で東京で行われた、Headache Master School 2013 in Asia が基本となり、これが「日本の頭痛診療・教育プログラム」の中心となっています。
頭痛には、2つの原因があります。
それは、”脳の中に異常のある頭痛”と原因が”脳のなかに異常のない頭痛”です。
脳の中に異常のある頭痛は、医学用語で「二次性頭痛」と呼ばれています。この中には、クモ膜下出血や脳腫瘍や脳出血、慢性硬膜下血腫などの命にかかわる頭痛もあります。
このように、脳に異常がないかどうか見極めるために頭部CTもしくはMRIの画像検査が行われます。このようにして、命に関わる頭痛を除外しています。
これに対して、”脳のなかに異常のない頭痛”があります。医学用語では「一次性頭痛」(慢性頭痛)と呼ばれています。
これらには、「国際頭痛分類 第3版β版」では、緊張型頭痛、片頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)、その他の一次性頭痛に分類されています。
これら、慢性頭痛とは、頭痛という自覚症状はあるが、CTやMRIなどの画像検査では異常のないものをさしています。脳のなかには異常はありません。
このため、”慢性頭痛がどのようなものなのか”が理解できないことから、「国際頭痛分類 第3版β版」では、こうした個々の慢性頭痛を症状の上から細かく定義することによって、分類されることになっています。
ここでは、当然のこととして、人間が経験するありとあらゆる頭痛が記載されていますが、慢性頭痛を診断するための鑑別診断を行うために便宜的に記載されることになっています。
とくに、片頭痛治療の世界にトリプタン製剤が導入される際に、国際頭痛学会は、「国際頭痛分類」を作成して、慢性頭痛、とくに片頭痛の診断基準を作成し、片頭痛を厳格に定義することにより、片頭痛を見逃さないようにして、片頭痛を正確に診断して、トリプタン製剤を処方させるようにしました。謂わば、片頭痛を間違いなく診断させるためのものです。
これが、国際頭痛学会が作成した「国際頭痛分類」です。
このため、”片頭痛と明確に定義された”「国際頭痛分類 第3版β版」の基準に合致しないものが緊張型頭痛とされ、いわば緊張型頭痛は”ゴミダメ”的な性格の強い頭痛とされ、専門家の間では、極めて”取るに足らない頭痛”とされています。このように全く無視されることになりました。さらに、日常的に感じる極く軽度の頭痛は言うまでもないことです。
このように、「片頭痛と緊張型頭痛はまったく別の範疇の頭痛である」といった考え方が専門家の間では、一般常識とされことになっています。
1990年代に臨床に導入されたトリプタン製剤が、片頭痛という極めて辛い頭痛を劇的に緩和させることができるようになったことから、頭痛研究は専ら片頭痛が中心となり、それも各種のトリプタン製剤の作用機序から研究が進められ、片頭痛の発生機序もトリプタン製剤の作用機転の面から説明されてきました(このことは、前回述べました。)
(このため、片頭痛以外の慢性頭痛の研究は置き去りにされることになりました。)
このように片頭痛の病態をトリプタン製剤の作用機序の面から説明してきたことによって、諸々の疑問点が生まれてきているところから、最近では、脳のなかに異常のない頭痛と”定義”される片頭痛が、”片頭痛発生器”というものを脳幹部付近に想定することによって、”中枢性疾患”という脳のなかに異常のある頭痛とまで、”基本的な定義”さえ覆されるようになりました。
さらに、片頭痛のときに起こる脳の変化(閃輝暗点)が、PET、MRI(BOLD法)といった脳の新しい方法で、脳の病気が画像として確認され、群発頭痛の発作時には、視床下部が異常に活性化する事がPET、MRIなどの新しい測定法で発見されたことから、頭痛持ちの頭痛(慢性頭痛)といわれるもののなかに「頭痛そのものが脳の病気」であることがわかってきたとされています。
このように本来、脳のなかに異常のないものと定義されたものでありながら、「頭痛そのものが”脳の病気”」といったトンチンカンな考え方をされることに至っています。
以上のように、慢性頭痛のなかの一つの頭痛であったはずの「片頭痛」「群発頭痛」がこのようにして、「脳のなかに異常のある頭痛」と考えられるように至っています。
このことが、「慢性頭痛とは何か」を考える際の混乱の根源となっています。
ここに、専門家と一般の医師との間で根本的な見解の相違点があります。
これまで、専門家の間では、「慢性頭痛とは何か」、といったことが全く論じられることはありませんでした。このような、海図・羅針盤にも等しい概念もなく、頭痛研究が行われてきたために、広大な荒海をただ彷徨うだけのことでしかなく、いつまでも研究の方向性すら掴むことができなかったということです。
このために、上記のような支離滅裂な考え方で、右往左往するしかなかったということです。
それでは、慢性頭痛とはどのように考えるべきでしょうか
私達は、仕事が忙しかったり、ストレスが重なりますと日常的に「体調不良」を感じます。このような「体調不良」は、具体的には、疲れやすい、胃腸の調子がよくない、身体が冷える、身体がだるい、疲れがとれない、よくめまいを起こす、肩こりがひどい、食欲がない、よく眠れない、頭が重い・頭が痛い、足がつる、耳鳴りがする、夢をよくみる、喉のつかえ、むくみやすい、風邪をひきやすい、顔色が悪い、気分が落ち込む・すぐれない、活力がでない、元気がでない、何となく調子が悪い、寝起きが悪い、等々の訴えです。
このように頭痛とは、「体調不良」のなかの訴えの一つにすぎないものです。
このような体調不良の訴えは、東洋医学では、本来、”未病”ともいうべき範疇にあるものです。
このような”未病”とされる病態は、本来、生活習慣の問題点から引き起こされ、ここから病気へと進展するものと東洋医学では考えられています。
ということは”養生”次第では、”未病”は治るものです。
このように考えれば、”未病”の段階にある、このような体調不良の訴えとは「健康的な生活」を送ることを阻害する”生活習慣”に根本的な原因があるということです。
このため「体調不良」を改善させるためには「健康的な生活」を送ることを阻害する”生活習慣”を改善することが重要になってきます。
同様に、”脳のなかに異常のない”「慢性頭痛(一次性頭痛)」は、東洋医学でいう”未病”の段階にあり、すなわち健康と病気の中間に位置しており、この”未病”は本来、生活習慣の問題点から引き起こされ、ここから病気へと進展するものです。
このような意味合いから、”未病”の段階にある、慢性頭痛とは「健康的な生活」を送ることを阻害する”生活習慣”に根本的な原因があります。
このような観点から慢性頭痛を考えていく必要があります。
「健康的な生活を送る」ためには、”ミトコンドリア”が重要な”鍵”となり、生命の根源ともなるべき役割を果たしています。
すなわち、ミトコンドリアは、私達の体を構成する細胞の中にあり、食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出しています。エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。
私達が日中活動している際に、常時活動している神経系がセロトニン神経系です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。
セロトニン神経系は、”大脳皮質を覚醒させ、意識のレベルを調節する、自律神経を調節する、筋肉へ働きかける、痛みの感覚を抑制する、心のバランスを保つ”などの重要な働きをし、「健康的な生活」を送るためには欠かせない働きをしています。
「健康的な生活」とは、生まれつき体に備わっている「生体リズム」に沿った生活ということを意味しています。
この「生体のリズム」は「ホメオスターシス」によって維持され、「体内時計」により刻まれ、「体内時計」は「ミトコンドリア」・「セロトニン神経系」により制御されています。
私達の生活環境は活性酸素に満ち溢れており、ここ50年間の間のうちにミトコンドリア自体の働きが人間界において、悪化していることから、生活習慣の問題により引き起こされた「脳内セロトニン低下」と相まって、体の歪み(ストレートネック)を引き起こしやすい状況にあります。すなわち、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
こういったことから、現代では、ストレートネックが日常茶飯事にみられるようになってきました。
慢性頭痛の発症の起点は、”日常的に感じる極く軽度の頭痛”です。その原因は、以下の2つにあります。
1.「ホメオスターシスの乱れ」・・自然治癒力の低下
2.前屈みの姿勢を強制させる生活環境
ホメオスターシス(自然治癒力)を維持するためには、以下の3つが重要です。
1.自律神経を整える
2.必須脂肪酸の摂取バランスを考慮する
3.腸内環境を整える
これらは「健康的な生活」を送るための基本となるものです。
そして、これらのうち、1つでも問題があれば、「日常的に感じる極く軽度の頭痛」を引き起こしてくることになります。これに加えて、さらに以下のように・・
私達は、日常生活を送る上で、私達は前屈みの姿勢をとる生活環境に置かれています。 特に、女性の場合は、炊事・洗濯・掃除を行う際に”前屈みの姿勢”を日常的にとっています。
そして、無意識に”おかしな体の使い方”をしていますと、知らず知らずのうちに仙腸関節がズレ、骨盤の歪みから脊椎( 背骨)の歪みが生じてきます。仙腸関節のズレは、脊柱に影響が及びひいては頸椎にまで及んで、”脊柱の捻れ”を最終的に引き起こしてきます。
このため、頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜・左右いずれかに傾いて(捻れて)おれば、バランスがとれず後頸部の筋肉の片側だけに張力が常に加わることになり、これが肩こりに繋がり、この”こり”が上部へと拡がることによって鈍い痛み、締め付けられるような痛みとなってきます。
これらが、すべて”日常的に感じる極く軽度の頭痛”を引き起こす要因になってきます。
ここに、さらに「運動不足」、「栄養のアンバランス」は「健康的な生活」を送ることを阻害する要因になってきます。
さらに、生活環境によって生み出された活性酸素および有害物質などの外部の生活環境要因に、食生活上の問題点、マグネシウム不足・必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランス・鉄不足・抗酸化食品の摂取不足・過食に、睡眠不足や運動不足や不規則な生活などの生活習慣・インシュリン過剰分泌を来すような早食い・ドカ喰い等の食事摂取方法の問題等々が加わって、ミトコンドリアの機能は低下してきます。
このようなミトコンドリアの機能を低下させる要因を取り除かなければ、最終的に「酸化ストレス・炎症体質(片頭痛体質)」を形成させ、「片頭痛」を発症させることに繋がってきます。
ミトコンドリアの機能低下は、同時にセロトニン神経系の機能低下が引き起こすことになり、ここに、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
片頭痛の患者さんでは、緊張型頭痛の場合と異なって、遺伝素因としてミトコンドリアの活性低下が存在することから、ミトコンドリアの働きを悪くし、セロトニン神経を弱らせる要因の影響を、とくに受けやすいことになります。
ところが片頭痛のように遺伝素因としてミトコンドリアの活性低下が存在しなくても、生活習慣の問題によってミトコンドリアの働きが極端に悪くなり、さらに「脳内セロトニンが枯渇」してくれば、片頭痛と同様の難治性の頭痛を引き起こしてくることになります。
以上のように、”日常的に感じる極く軽度の頭痛”が、すべての「慢性頭痛」の起点となっています。そして、緊張型頭痛と片頭痛の基本的な差異は、ミトコンドリアの活性低下という”遺伝素因”の有無でしかありません。
このため、「日常的に感じる極く軽度の頭痛」に対して、日常的にテレビで宣伝される通りに、市販の鎮痛薬を服用し、これまで述べてきましたような慢性頭痛の要因を念頭におくことなく、お茶を濁しておれば、必然的に、頭痛は着実に増悪のみちすじを辿ることになります。
ここに、ご家族に片頭痛持ちの方がいらっしゃれば、確実に「片頭痛」へと移行していくことになってしまいます。
片頭痛は”未病”の領域にあり、ミトコンドリアの活性低下という”遺伝素因”を基にして、日常的に感じる極く軽度の頭痛・緊張型頭痛を起点として、さまざまな生活習慣の問題点が重なることによって「いろいろな段階の片頭痛」へと進行し最終的に「慢性片頭痛」という難治な段階に至ることになります。このように進行性疾患です。
このように、片頭痛では、ミトコンドリアの働きの悪さ(ミトコンドリアの活性低下)が生まれつき存在していますが、先祖代々から継承されたミトコンドリアの働きの悪さは、各人各様で千差万別です。この悪さが極端に悪ければ、片頭痛の発症時期も当然早くなり、小児期から発症します。
それほど悪くなければ、ここに生後、先述したような”ミトコンドリアの機能を低下させる要因”が次々に追加されることによって発症することになり、片頭痛の発症時期も当然遅くなってきます。
30歳以降に発症することもあるということです。
一般的には、女性の場合は、初潮の始まる時期に発症してきます。
これは、女性は男性に比べて元々セロトニンの脳内合成が少ないため、生理時の「脳内セロトニン」の低下が主な要因になっており、初潮の始まる時期に発症してくることになります。
いずれにしても、専門家には、「ミトコンドリア」とか「ホメオスターシス(自然治癒力)」「体の歪み(ストレートネック)」といった概念がまったく存在しないため、日常的に感じる極く軽度の頭痛・緊張型頭痛は一切取るに足らない頭痛とされ、無視されるために、慢性頭痛の発症の起点が失われることになります。専門家は、このために、いきなり片頭痛として発症してくるものと思っておられるようです。
ということは、ひたすら”片頭痛を醸成・熟成させる”ことになってしまいます。
確かに、生まれつきミトコンドリアの働きが極端に悪い場合は、当然のこととしていきなり片頭痛のタイプで発症してくることになりますが・・
このような例外的なものは、さておいて、通常の起こり方を優先すべきです。
以上のように、自然科学の立場および東洋医学的観点から「慢性頭痛とは何か」を考えさえすれば、自ずと「ミトコンドリアの関与」が想定されることになります。
実際に、これまで、Welch KMA, Ramadan NM、下村登規夫、小谷和彦、村上文代先生らによって、日本にトリプタン製剤が導入される以前の段階から”ミトコンドリアのエネルギー代謝異常あるいはマグネシウム低下によって引き起こされる脳の代謝機能異常疾患”であると報告されていました。
さらに、現在では、人が罹るあらゆる病気の90%は活性酸素が関与していると言われ、さらに、感染症以外の、ほとんどの現代病である生活習慣病(片頭痛、動脈硬化、ガン、認知症を含めて)は、「後天性ミトコンドリア病」と考えられています。
ミトコンドリアがエネルギーを産生する際に必然的に生み出されるのが活性酸素です。
「後天性ミトコンドリア病」とは、馴染みのない病名ですが、これは”ミトコンドリアの機能が低下する病気”です。
今までは、先天性の病気”遺伝的疾患”として考えられていましたが、現在は後天的な発症や、薬による副作用で発症することが証明されています。
専門家は、片頭痛を「後天性ミトコンドリア病」と考えないために、不思議で・神秘的な原因不明な”遺伝的疾患”としか考えない理由になっています。
そして、ミトコンドリアとの関連から、「ホメオスターシス(自然治癒力)」、「脳内セロトニンの低下」、および「体の歪み(ストレートネック)」の存在は明確になることは、これまで述べました。
そして、「片頭痛そのものの全体像」を詳細に検討すれば、「ホメオスターシス(自然治癒力)」という概念が想定されることもこれまで述べたことです。
具体的には、片頭痛は、遺伝素因である「ミトコンドリアの働きの悪さ」に、生活環境および生活習慣(とくに食生活)が原因で、エネルギーを生み出す際に生する活性酸素によって自分のミトコンドリアを傷つけることによって「さらに、ミトコンドリアの働きを悪く」させて「酸化ストレス・炎症体質」を形成することにより引き起こされる疾患と考えられます。
このミトコンドリアの働きの悪さは、ミトコンドリアDNAによって先祖代々受け継がれます。そして、ミトコンドリアDNAは生活習慣および外部の生活環境によって変化・悪化することになります。
ミトコンドリアの機能は、生活環境によって生み出された活性酸素および有害物質などの外部の生活環境要因に、食生活上の問題点、マグネシウム不足・必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランス・鉄不足・抗酸化食品の摂取不足・過食に、睡眠不足や運動不足や不規則な生活などの生活習慣が加わることによって、低下してきます。このことは先程も述べました。
ミトコンドリアの機能が低下すれば、ミトコンドリアが「ホメオスターシスを制御」していることから、「自然治癒力」が低下することになります。
さらにセロトニン神経系の機能低下が同時に引き起こされ、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
このため、体の歪み(ストレートネック)を引き起こしてきます。
さらに、先程のミトコンドリアの機能を悪化させる諸々の要因、を取り除かなければ、最終的に「酸化ストレス・炎症体質」が形成されてきます。
ここに、以下のような「脳過敏」を引き起こす要因が追加されることによって、緊張型頭痛から片頭痛へと移行していくことになります。
1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
2.脳内セロトニンの低下
3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続
結局、専門家は慢性頭痛とは何か、といったことを考えることもなく、日本にトリプタン製剤が導入されてからは、片頭痛を他の慢性頭痛とまったく切り離して考え、頭痛研究も、専ら片頭痛が中心となり、それもトリプタン製剤の作用機序に面からしか考えるだけでしかありませんでした。
このように考えられていたために、「私達は、片頭痛治療に難渋させられる」ことになっていました。
以上のように、慢性頭痛を「専門家の考え方」とは別に考えなくてはなりません。
すなわち、日常的に感じる極く軽度の頭痛・緊張型頭痛から、ミトコンドリアの働きの悪さという”遺伝素因”を基盤として、これまで述べてきましたような「健康的な生活」を送ることを阻害する生活環境および生活習慣が次々に追加されることによって、最終的に「酸化ストレス・炎症体質」が形成されることによって、片頭痛へと進展していくものです。
このような「酸化ストレス・炎症体質」はこれまで述べましたように、長い間の生活習慣などにより起こるため、特効薬を飲んだからといって直ぐに治るようなものではありませんし、特効薬などはありません。
このような発症過程を示すことを、皆さんに理解しやすいように”分析的に”述べたに過ぎません。このようなことは、私達が、こうしたことを意識されないままに潜在的に進行しているということです。ただ、表面に現れていないだけのことです。
ここが、専門家との考え方とは異なる点ですが、専門家は、科学的根拠なし、と当然のごとく申されます。これは、専門家はこれまで、自分の”頭”を使うこともなく、ただひたすら欧米のトリプタン御用学者の文献的エビデンスを鵜呑みにしているだけのことにすぎません。このことは前回も述べたことです。
このため、慢性頭痛発症当初の”日常的に感じる極く軽度の頭痛の段階から対処しなくてはなりません。そうしなければ、次々に、新たな要因が追加され、頭痛そのものが錯綜したものとなり、最終的に慢性片頭痛という対処が極めて困難な状態に至ってきます。
こうしたことから、「私達は片頭痛治療に難渋する」理由になっていました。
これが、今回のシリーズの結論です。
このシリーズは、最近提示致しました「片頭痛治療のしおり」をより理解して戴くことを目的に作成したものです。
片頭痛治療のしおり
http://taku1902.jp/sub518.pdf
この分冊は、http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12243497068.htmlで提示しました。
以上から、皆さんが「片頭痛治療に難渋しない」ためには、これまで述べてきた概略および”より詳しくは”、この「指針」を基に、これまでの「自分の頭痛の経過」を冷静に見つめ直して、生活習慣のどこに問題があったのかを点検され、これを改善・是正させていくだけのことです。
前回も述べましたように、専門家の申されるように、「片頭痛の”適切な”治療は片頭痛発作時に毎回トリプタン製剤を服用することであり、トリプタン製剤を服用しておれば片頭痛が治ってしまう」、とかいったことでは根本的に片頭痛は治ることはありません。
「トリプタン製剤が片頭痛の”特効薬”である」とかいった幻想を直ちに捨て去ることです。
トリプタン製剤は、片頭痛という辛い頭痛を緩和させるための鎮痛薬であり、対症療法に過ぎないものであり、本来、片頭痛発作期間中の3日間の”生活の質QOLを向上させる目的で、服用を勧められていたものです。この理由は、これまでトリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者の利益追求のために、片頭痛がミトコンドリアの機能の低下による頭痛であるといったことが、ひたすら覆い隠されていたことにあります。このような事実があることを私達は忘れてはならないことです。
こういったことを念頭に、日常的に感じる極く軽度の頭痛の段階から”適切に”対処していくことが求められています。
今回は、専門家と製薬メーカーの関係については、一切、記載しませんでしたが、現在の頭痛医療を理解するためには、この結びつきの現実を知っておくことも重要になります。
この点は、「片頭痛治療のしおり」の第15章で明らかにしておきました。
しかし、このようなことは一部の方々からは憶測に過ぎないと毛嫌いされ、名誉毀損に値すると排除されることを恐れ、このことは一切触れませんでしたが、このことも私達が片頭痛治療に難渋する最大の要因になっていることを忘れてはなりません。
結局、トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者の”言いなり”に従ってきた専門家が、片頭痛治療を難渋にさせてきた元凶と考えなくてはなりません。
要は、片頭痛という辛い頭痛さえ、トリプタン製剤で取り去れば、これで治療が完結したと考えることに誤りが存在するということです。