「こうして医者は嘘をつく」シリーズ 1 「現代医学は宗教である」 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 このシリーズでは、アメリカの小児科医のロバート・メンデルソンの「こうして医者は嘘をつく」に従って、これまで掲載していました「これでよいのか 片頭痛医療」改訂版を根拠として、現在の慢性頭痛とくに片頭痛医療について考察してみたいと思います。 


 原著の「こうして医者は嘘をつく」によれば、以下のように述べられています。
 
 現代医学は患者の信頼がなければ存続しえない。なぜなら、現代医学は医術でも科学でもなく宗教だからである。
 宗教とは、精神世界や日常生活の神秘的な取り組みと定義できる。
 この定義からすれば、「”現代医学”教」は、人間の生死に加え、肉体に起こる数々の神秘的な自然現象という最も不可解な問題に取り組んでいることになる。
  しかし、現代医学は自らを宗教だとは絶対に認めない。病院にしても現代医学を信仰するための教会ではなく、科学を追求するための研究機関と位置づけている。
 「”現代医学”教」は人々の信仰に依存している。宗教はすべてそうである。
 しかし、「”現代医学”教」の場合、信仰の依存度がきわめて高く、人々がたった1日でも信仰を忘れると、医療制度そのものが崩壊してしまうのである。


 このように、「現代医学は宗教である」と断言されており、現代医学では、治療法の有効性を客観的に証明する必要に迫られない。
 そこで、根拠を示し、現代医学が信じるに値しないことをはっきり立証しなくてはなりません。ここでの根拠のすべては、これまで掲載してきました  片頭痛医療」改訂版http://taku1902.jp/sub512.pdf  です。


 それでは、頭痛医療では、どのようになっているのでしょうか?


  「”臨床頭痛”教」は、人間の生死に加え、肉体に起こる数々の神秘的な自然現象という最も不可解な問題に取り組んでいることになります。
  とくに、片頭痛では、低気圧に左右され、遙かかなたの遠方に発生した台風の影響すら受けるものがあったり、さらに閃輝暗点とか、物が大きくみえたり、極端に小さく見えたりと奇妙な眼の症状を訴えるため、まさに神懸かり的な症状を示し、極めて不可解な症状であり、神秘的な自然現象とされています。これらは、生まれつきのものであり、このことから、片頭痛は、原因不明の”不思議な・神秘的な”頭痛とされ、不浄な凡人が如きが近寄ってはならず、原因解明などは、以ての外”論外”とされてきました。


 このように片頭痛は原因不明の神秘的な頭痛とされることから、このような世界では、世の常として、「カリスマ医師」が生み出されてくることになります。
 このため、日本全国の片頭痛患者さんは、挙って、このカリスマ医師に信者として参詣され、神薬としてトリプタン製剤が授けられることになります。こうして、カルト宗教のように、当然”教祖様と信徒さん”の「信仰の関係」が生まれてきます。
 そして、日本全国の医師会の研究会にこうしたカリスマ医師を招聘され、有り難くご託宣を拝聴する構図が生まれてくることになります。
 このようにして、カリスマ医師は、信者である患者さんおよび医師までの信仰対象となっています。(これは、製薬メーカーが祭り上げた産物でしかありませんが・・)


 さらに、学会では、国際頭痛分類第3版を頭痛診療および頭痛研究の「絶対的な基準」とされます。少なくとも、学問(自然科学)の世界に、「絶対的な基準」が設けられることは不条理そのものであることは誰でも理解されることです。ということは、国際頭痛分類第3版は、謂わばカルト教団の教典・教義としての役割を果たすことになっています。 このため、国際頭痛分類第3版に反するものはことごとく排除されることになっています。これまで幾多の業績が排除されてきたというのでしょうか。
 そして、頭痛患者さんを診療される診察医のためのガイドラインとして「慢性頭痛診療のガイドライン」がありますが、このガイドラインは、「国際頭痛分類第3版」に基づいて作成されています。このため、片頭痛の第一選択薬としてトリプタン製剤が据えられています。これは、国際頭痛分類第3版がトリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者が作成したものであることから、当然の成り行き・結果です。
 このように、臨床頭痛学とは、「国際頭痛分類第3版」を教義・教典とする謂わばカルト宗教そのものということになります。 
  このように現代の臨床頭痛学は「こうして医者は嘘をつく」で述べられているように「現代医学は宗教である」ということを地でいっているということを意味しています。


 この教義・教典とされる国際頭痛分類第3版はどのようにして作成されてきたものでしょうか。このことは「これでよいのか 片頭痛医療」でも述べました。


 1980年代はじめに、片頭痛の治療領域にトリプタン製剤が開発されました。
 トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者は、1980年代はじめにイギリスで合成されたトリプタンを意識的に評価する目的でこの「国際頭痛分類」を作成しました。
 トリプタンが医学的に薬剤として評価されるためには、一定の基準に基づいて診断された患者のなかでの治療成績を調べなくてはならないからです。
 この「国際頭痛分類」では、片頭痛の患者であっても、さまざまな条件のためにトリプタンの処方に向かない症状を示す場合には、その患者を片頭痛とは診断できないような基準を作ってしまったのです。たとえば、ほぼ毎日のように頭痛が起きる「変容性片頭痛」などは、この基準に従って診断しますと、緊張型頭痛になるように仕組まれています 。


 トリプタン製剤は、片頭痛を持つ”多くの”(すべてではありません)患者さんに対して、非常に効果があります。すなわち、片頭痛の発作期間の3日間の寝込む程の辛い頭痛が劇的に緩和させることができるようになりました。
 こうしたことから、国際頭痛学会は、「国際頭痛分類」を作成して、慢性頭痛、とくに片頭痛の診断基準を作成し、片頭痛を厳格に定義することにより、片頭痛を見逃さないようにして、片頭痛を正確に診断して、トリプタン製剤を処方させるようにしました。
 これが、国際頭痛学会が作成した「国際頭痛分類」です。
  このようにして、トリプタン製剤が開発されて以来、トリプタン製剤によって、片頭痛が劇的に緩和されるようになったことから、いつの間にか、「病気」とされてしまいました。
 一般的には、西洋医学では、薬物療法で治療可能なものが、所謂「病気」として扱われており、そのほとんどは対症療法にすぎないものです。


 このように、本来の「国際頭痛分類 第3版β版」の目的とするところは、片頭痛を明確に定義することによって、間違いなく、片頭痛に対してトリプタン製剤を処方させるためのものです。
 このため、”片頭痛と明確に定義された”「国際頭痛分類 第3版β版」の基準に合致しないものが緊張型頭痛とされ、いわば緊張型頭痛は”ゴミダメ”的な性格の強い頭痛とされ、専門家の間では、極めて”取るに足らない頭痛”とされています。このように全く無視されています。
  「国際頭痛分類」が作成されてからは、片頭痛と緊張型頭痛は厳格に区別されるとの考え方が徹底して啓蒙されることになりました。それは、医師に対しては、片頭痛にトリプタン製剤を処方させるためであり、一般の方々には、片頭痛にはトリプタン製剤という”特効薬”があることを知ってもらうためです。
  本来は、片頭痛も緊張型頭痛も一連のもののはずです。
 ところが、日常的に感じる極く軽度の頭痛から緊張型頭痛へ、さらに片頭痛へと移行していくことは、詳細に綿密に病歴聴取すれば明らかでありながら、専門家は日常診療において「国際頭痛分類第3版」を巧妙に組み込んだ「問診表」を使われ、受診時の最も困っている頭痛しか問題にされないことから、慢性頭痛発症の起点ともなるはずの「日常的に感じる極く軽度の頭痛」・緊張型頭痛をまったく無視されることになっています。
 このように、臨床神経学の「問診に始まり、問診に終わる」という基本原則をまったく無視した病歴聴取(問診表による手抜き診断)が現実に罷り通り、病気のオンセット(起始)が全く無視されています。
 このようにして、最も大切とされる”片頭痛を見落とすことなく”診断することしか念頭にありません。


 脳のなかに異常のない一次性頭痛(慢性頭痛)は、国際頭痛分類第3版では、緊張型頭痛、片頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)、その他の一次性頭痛に分類されています。
 頭痛研究を行う場面では、これまで専門家は、このように4つに大別された頭痛群をさらに、個々の頭痛を別個に独立させて研究すべきとされてきました。
 このように、片頭痛だけは、緊張型頭痛をはじめとした他の慢性頭痛とはまったく切り離して・別個のものと考えてきました。
 ところが、このような脳のなかに異常のない慢性頭痛の4つのものは、本来、一連のものであり、生活習慣の問題点から、それぞれの4つへ進展していくものです。

 本来、片頭痛は、ミトコンドリアの活性低下という遺伝素因を基盤として日常的に感じる極く軽度の頭痛・緊張型頭痛から、これに諸々の生活習慣の問題点が加わって、片頭痛へと進展していくものです。このため発症の起点となる日常的に感じる極く軽度の頭痛・緊張型頭痛を無視することによって、ただひたすらに、片頭痛を醸成・熟成させることになり、トリプタン製薬メーカーにとっては、これ程有り難いことはないことになります。


 片頭痛の病態は各種のトリプタン製剤の作用機序の面から研究し、説明されてきました。
 

 その結果、肝心要の”中枢神経系でセロトニンが減少する”理由についてはまだ謎とされます。
 片頭痛の患者さんは,そうでない方と違って特別に興奮しやすい状態があるのではないかとされ、このような「脳過敏」を起こす原因もこれまた、不明とされます。
 そして、前兆に関連して、「大脳皮質拡延性抑制」が提唱されていますが、この「大脳皮質拡延性抑制」を起こす原因が分かっていないとされます。
 その前兆のかなり前に予兆と呼ばれる症状があります。あくびが出るとか,異常にお腹がすくとか,イライラするとか,眠くなるなどの症状があってから前兆が起こり,さらに激しい発作が起こること,発作が鎮まった後も気分の変調があったり,尿量が増加したりするなど全身の症状を伴うことが分かりました。そうなると,片頭痛は脳の血管,あるいは脳だけの局所的な疾患ではないのではないかという疑問が持たれています。
 このような観点から病態を説明する最大の問題点は、片頭痛が慢性化する理由が、一切、見当がつかないとされていることです。


 このように片頭痛の病態をトリプタン製剤の作用機序の面から説明してきたことによって、諸々の疑問点が生まれてきているところから、最近では、脳のなかに異常のない頭痛と”定義”される片頭痛が、”片頭痛発生器”というものを脳幹部付近に想定することによって、”中枢性疾患”という脳のなかに異常のある頭痛とまで、”基本的な定義”さえ覆されています。
 このように、まさに支離滅裂な状況に至っています。
 しかし、このようなことは一般の私達には明らかにされることはなく、嘘をつき通すことになっています。


 さらに、カイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々の施術の根拠となる「体の歪み(ストレートネック)」は、「国際頭痛分類第2版」の改訂以来、何ら検証することもなく、エビデンスなしとされています。そして、慢性頭痛診療のガイドラインでは、これらカイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々の施術の評価は推奨ランクCとされ、まったく評価されることなく無効とされますが、現実には極めて多くの方々が受診され、多くの方々が満足のいく結果が得られています。


 このようなことは、片頭痛をミトコンドリアの機能低下による頭痛とさえ考えさえすれば、すべて理論的に説明がつくことは、これまで片頭痛医療」改訂版
http://taku1902.jp/sub512.pdf  で明らかにしてきました。このように頭で考えさえすれば、説明がつくことでありながら、決して専門家はこのように考えることはありません。 
 すべて、国際頭痛分類第3版を頭痛診療および頭痛研究の絶対的な基準とされるだけです。このような「絶対的な基準」を設ける世界は宗教界しかないはずです。
 こういったことから、「現代医学は宗教である」すなわち「”臨床頭痛”教」そのものということを意味しています。


 この「国際頭痛分類 第3版β版」については、国際頭痛学会理事長のDr. Alan Rapoportは、頭痛について、世界共通の言語で会話するために、以下のように述べています。

 

 日本であるタイプの頭痛の研究がなされ、米国でも同様の研究を行う場合、全く同じ症状の患者を対象に研究が行われることが理想です。共通の診断基準を用いていれば、それも可能でしょう。また、同じ基準の下で診断がなされていれば、病名を知るだけで、その患者がどのような状況にあるか理解することができます。いずれにしても私が今、強く願っているのは、より多くの日本の医師に、「国際頭痛分類 第3版β版」を使用していただきたいということです。

 

 しかし、これまで「これでよいのか 片頭痛医療」改訂版 http://taku1902.jp/sub512.pdf でも明らかにしていますように、片頭痛は、極めて多くの要因から発症してきていることが理解されたはずです。ところが、専門家は、「国際頭痛分類第3版 β版」を基に、あくまでも症状の上から片頭痛と診断された”片頭痛群”という集合体を一括して臨床研究されてきました。  このような多面的・流動的な面を持つ片頭痛を一括してコーホート研究という疫学的手法で解析されていることから、科学的根拠の得られる成績は極めて少ないことになります。こうしたことから、片頭痛本態の研究は迷宮入りとなってしまいます。
 具体的には、日本と米国では、片頭痛患者の生活習慣および生活環境はまったく異なっているはずであり、こうした症状だけが「一致」したからといって、片頭痛を引き起こす要因はまったく異なっていることを考慮しなくてはなりません。


 このような嘘をついてまで、「国際頭痛分類 第3版β版」の普及に躍起になっていることを忘れてはなりません。このように、”嘘”の根源は、「国際頭痛分類 第3版β版」そのものにあることを私達は忘れてはならないことです。


 専門家は、国際頭痛分類第3版は世界で最も権威ある国際頭痛学会が作成されたと言って、これまで無知の私達を信じ込ませて参りましたが、その作成された経緯を考える限りは、トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者が作成したものです。
 これを「”臨床頭痛”教」が絶対的な教義・教典としているということです。
 このように専門家は、私達に嘘をついてきたということです。
 このことにより、片頭痛は何時までも原因不明の不思議で・神秘的な頭痛とされたままになり、一生、お付き合いし、片頭痛が起きれば、高価なトリプタン製剤を服用しながら我慢しましょう、ということです。
 これまで「これでよいのか 片頭痛医療」でも明らかにしてきましたように、片頭痛はミトコンドリアの機能低下によって引き起こされる頭痛であり、決して、原因不明の頭痛ではないということです。