「慢性頭痛の基礎」39.片頭痛を誰が治らなくしたのか | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 現在では、ミトコンドリアを治すものが”病気を制する!”とされています。
 この事実は、医学界では何十年もタブーとされてきました。
 オットー・ウォーバーグがワールブルグ効果を発表した時には、この事実がわかったのですが、製薬会社や医者の利益を守る為に封印されてきました。
 

 さらに、全世界では病気の90 %は活性酸素が原因とされています。残りの10%は感染症とされています。
 活性酸素は、ミトコンドリアがエネルギーを産生する際に必然的に生み出されるものです。
 そして、ほとんどの現代病は、後天性ミトコンドリア病と考えられています。
 水や食生活、放射能汚染や環境汚染、有害物質の蔓延などや酸素不足などを原因として、後天的に発症するミトコンドリア病です。
 後天性ミトコンドリア病とは、何らかの原因でミトコンドリアDNAが傷つくことによって、活性酸素で身体が”酸化”していく全身病です。
 そして、片頭痛は後天性ミトコンドリア病と考えるべきものです。


 実際、片頭痛は、これまで”ミトコンドリアのエネルギー代謝異常あるいはマグネシウム低下によって引き起こされる脳の代謝機能異常疾患”であると報告されています。


 Welch KMA, Ramadan NM Review article; Mitochondria, magnesium and migraine. J Neurol Sciences 134 (1995) 9-14
 下村登規夫、小谷和彦、村上文代:片頭痛とミトコンドリア。神経研究の進歩、46(3)391-396,2002
 間中信也:マグネシウムMagnesium、頭痛大学、インターネットホームページ
 後藤日出夫:お医者さんにも読ませたい 片頭痛の治し方.健康ジャーナル社


 しかし、学会を主導される方々は、片頭痛が、単一遺伝子から生じるものがあることから、すべて単一遺伝子による”遺伝的疾患”であるかのごとく考えており、原因不明の”不思議な・神秘的な頭痛”とされ、一生、お付き合いすべきとされ、高価なトリプタン製剤と予防薬の併用を行う「薬物療法」に終始しています。


 なぜ、冒頭で述べたことが”医学界では常識”とされながら、これらを無視して、原因不明の”遺伝的疾患”とされているのでしょうか?


 これを考える際には、現在の「学会の歴史」を紐解く必要があります。


 現在の学会を主導される方々は、1980年代に片頭痛治療薬トリプタン系製剤が開発されて以来、1991年に、英国において全世界で初めて販売されたことに注目されていました。
  日本にトリプタン製剤が導入される以前の10年間の間は、神経学雑誌の話題・トピックスは大半がトリプタン製剤で占められていました。
 これほどまでに日本にトリプタン製剤が認可される日が待ち焦がれていました。このように、常にトリプタン製剤の動向を念頭におき、1962年に発表された米国神経学会の頭痛分類特別委員会の分類、さらにその後,1988年に発表された国際頭痛分類、2003年に、「国際頭痛学会による診断基準を伴う分類」の改訂分類が発表され、こうした「国際頭痛分類」を基本として、1996年に、片頭痛の克服をめざす国際的組織ADITUS が設立されたことを契機に、それまでの1973年の頭痛懇談会、1985年の頭痛研究会、さらにこれを発展させた形で、同年の1996 年に「日本頭痛学会」を設立されました。


 とくに1988年に発表された「国際頭痛分類」を遵守されることになりました。この国際分類は、1980年代はじめにイギリスで合成されたトリプタンを意識的に評価する目的で作成されたもので、とりもなおさず、欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用学者が作成していたものです。現在の学会を主導される先生方は、片頭痛研究は日本より、欧米のほうが遙かに進んでいると考えることから、片頭痛の克服をめざす国際的組織ADITUS(トリプタン製薬メーカーのアストラ・ゼネカ社が設立)から、その情報・知識を取り入れました。
 このなかで「ADITUS Japan」の活動は見落としてはなりません。トリプタン製剤販売に照準を合わせ、1999年から、トリプタン製剤のひとつである”ゾーミッグ”の製薬会社アストラ・ゼネカ社が率先して、日本全国の脳神経外科・神経内科を中心とした医師への啓蒙活動というよりは宣伝活動を展開し、トリプタン製剤の導入に向けて着々と準備を進めていました。


  2000年にやっと、日本に待ち焦がれたトリプタン製剤を導入すると間もなく、電光石火のごとく「慢性頭痛の診療ガイドライン」が作成されました。
 このような欧米崇拝主義の考えから背後に存在する問題点、日本人の特性などを考慮することなく、海外の文献的”エビデンス”にただ追随しているのが実情です。こうしたことから、鳥取大学神経内科グループの先生方、下村登規夫先生、松井孝嘉先生の偉大な業績がありながら、日本の業績よりも欧米の論文を無条件で評価する考え方から、それまでに欧米のトリプタン製薬会社とトリプタン御用学者が作成していた「国際頭痛分類 第2版」を無条件に踏襲した形で「慢性頭痛の診療ガイドライン」が作成されることになりました。


 この「慢性頭痛の診療ガイドライン」は、欧米のトリプタン製薬メーカーとトリプタン御用学者が作成した「国際頭痛分類」という基準を遵守・踏襲した形で作成されたことから、片頭痛治療の世界はトリプタン製剤がすべて(一色)になってしまいました。片頭痛治療薬の第一選択薬として、トリプタン製剤が据えられ、マスコミでは片頭痛の”特効薬”と誇大宣伝が繰り返されました。
 そして、この「慢性頭痛の診療ガイドライン」はトリプタン製薬会社を介して、日本全国津々浦々の医療機関に広く配布されたほど徹底したものでした。
 このようにして製薬メーカーが中心となって徹底した売り込み戦略が開始されました。このため、学会をも巻き込んだ形でガイドラインが作成された点を忘れてはならない点です。いわばこの「慢性頭痛診療のガイドライン」はトリプタン製薬会社が作成したかのような印象がありました。
 これが、今後の片頭痛治療・研究の方向性を決定的に左右した時点でした。


 そして、2005年には、頭痛専門医制度が制定され、頭痛専門医は、日本内科学会,日本小児科学会,日本産科婦人科学会,日本眼科学会,日本耳鼻咽喉科学会,日本脳神経外科学会,日本麻酔科学会,日本救急医学会,日本リハビリテーション医学会および日本精神神経学会.日本神経学会 といった各科が入り乱れた集合体で構成されてきました。
 この目的とするところは、慢性頭痛では、片頭痛が最も大切なものであり、これにはトリプタン製剤という特効薬があることから、この存在を認識させるためのものです。
 最近では、一般の開業医が片頭痛にトリプタン製剤を処方しないことから、毎年、Headache Master School Japan(HMSJ)を開催することにより、頭痛専門医の量産を図ります。これは、頭痛専門医に、片頭痛にトリプタン製剤を処方させるのが目的です。


Headache Master School Japan(HMSJ) 


 さらに2013年3月には、国際頭痛学会主催でHeadache Master School 2013 in Asia が東京で行われ、世界のトップエキスパート14名(Burstein, Charles, Diener, Dodick, Ferrari, Goadsby, Gobel, Guidetti, MacGregor, Purdy, Schoenen, Schoonman, Rapoport, Zagami) が来日し、頭痛医学の最新の進歩を参加者一人一人に伝授されました。


 学会を主導される方々が、この世界のトップエキスパートとされる先生方は、いずれもトリプタン御用学者と称される先生方です。
 学会を主導される方々は、これが日本の頭痛診療・教育のあるべき姿を示すものと盲信され、一昨年、学会独自のHeadache Master School Japan(HMSJ)が「日本の頭痛教育プログラム」の中心として継承されることになりました。
 そして一昨年はHeadache Master School Japan(HMSJ)2015です。これは一昨年7月26日東京で開催されました。
 このように、毎年、Headache Master School Japan(HMSJ)が開催されています。
 このように欧米の学者の考え方・研究業績を最優先する考え方は、Headache Master School 2013 in Asia から、Headache Master School Japan(HMSJ)へと引き継がれています。以後、毎年、学会が主催して行われ、「国際頭痛分類 第3版β版」が徹底して教え込まれ、一般の開業医が片頭痛にトリプタン製剤を処方しないことから、頭痛専門医の量産を図ります。これは、頭痛専門医に、片頭痛にトリプタン製剤を処方させるのが目的です。


 以上のような経緯です


 このように、学会を主導される方々は、日本にトリプタン製剤が導入される直前からトリプタン製薬メーカーと二人三脚で、手を携えあって、頭痛診療および研究、啓蒙活動を推進し、「国際頭痛分類第3版β版」を絶対的な基準とし、ガイドラインまで作成して、片頭痛そのものが永続的に存在する基盤を作り上げ、製薬メーカーとのスクラムは強固であることから、片頭痛はミトコンドリアの機能低下による頭痛と考えられ、病気の原因の90%が活性酸素とされていようとも、このようには一切考えることがない理由がここに存在します。
 このことは、製薬会社や医者の利益を守るためには、このような姿勢を堅持する必要があります。といいますのは、医師は頭痛研究を行っていく際には製薬メーカーの支援なくしては成り立たないからです。
 こうしたことから、学会を主導される方々は、国際頭痛学会が作成した世界的に権威あるものとされる「国際頭痛分類 第3版β版」を頭痛診療および研究の”絶対的な基準”とし、片頭痛という辛い頭痛をトリプタン製剤が劇的に緩和させたことから、片頭痛の病態・発生機序(おこり方)はすべて、トリプタン製剤の効き方から説明されてきました。
 世界的に権威あるとされる「国際頭痛分類第3版 β版」は、トリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者が作成したものです。このため、片頭痛はすべてトリプタン製剤との関連からしか考えることはありません。
 こうしたことから、片頭痛はいつまでも原因不明の”不思議で・神秘的な””遺伝的疾患”のままであり続けることになっています。
 このように、現在では、片頭痛は、原因不明の”遺伝的疾患”とされ、一生、お付き合いすべきとされ、高価なトリプタン製剤と予防薬の併用を行う「薬物療法」がすべてとされ、”片頭痛の治療体系”は既に確立されたとして、片頭痛治療は頭痛の緩和・減少させることだけを追い求め、片頭痛の根治させるといった大それた考えはされることはありません。
 このため、日本にトリプタン製剤が導入されて以来、これまで片頭痛の本態の研究はトリプタン製剤の観点からしか行われてこなかったことから、何の進歩もみられることはありませんでした。
 このようにすることによって、医師にとっては、片頭痛患者さんは一生に渡って高価なトリプタン製剤を処方できる”ドル箱”のような金を生む患者であり続け、製薬メーカーにとっては、片頭痛が不治の病とされることによって、”気の遠くなるほど嬉しい市場”になります。

 このように、両者の利害が一致することで万々歳ということです。このような姿勢は今後とも貫かれていくものと思われます。


 私達は、このような学会を主導される方々と製薬メーカーのあり方から、日本の頭痛診療の現状を理解するためには、以下のような論説を忘れてはなりません。


 DR.RATH HEALTH FOUNDATION の「製薬業界は一般大衆を欺いている」


 ”製薬業界は私達の社会をコントロールし続けます。製薬業界の求めるところは医学研究をコントロールし、医療従事者をこの製薬業界に依存させることです。この権力を確実に手放さずに済むよう、製薬企業は立法機関およびメディアをうまく操っています。全メディアを通じた大規模な宣伝キャンペーンでは、医薬品のPRおよび宣伝部門によって、製薬業界の真実を隠そうと煙幕が張られています。
  製薬企業は、ルイ・パストゥール、ロバート・コッホ等の医学上のパイオニアと重ね合わせて自社のイメージを描こうとしています。彼らは人道主義に基いて疾病の根絶を目指していると主張しています。しかしながら、真実はまったくその逆です。つまり、製薬業界は、製薬市場拡大の基盤として疾病を存続させ続けることが目的なのです。コーデックス・カルテルは、意図的な疾病の根絶妨害をその目的としています。したがって、製薬業界は人類救済の伝統にもとづいてではなく、自らの利益を維持するために無数の人間を犠牲にする組織的犯罪者のグループであるIGファルベン社の伝統に基づいて運営されているのです。”
 

 このようにトリプタン製薬メーカーおよびトリプタン御用学者は、国際頭痛学会を支配下におき影響を及ぼし続け、これが日本では学会を主導される方々や「慢性頭痛診療のガイドライン」の末端にまでも影響・コントロールされているということです。私達、一般人は、国際頭痛学会の作成した「国際頭痛分類 第3版β版」と聞かされれば、信じざるを得ません。しかし、ここに欺瞞というか、落とし穴があることを私達は認識しなくてはなりません。


 卑近な例では、毎年、頭痛学会総会が開催されます。この総会では、他の学会と異なる点は、シンポジウム、教育講演、ランチョンセミナー、イブニングセミナー、招待講演等々、多数行われますが、これら全てが「トリプタン製薬」の製薬メーカーを中心に、製薬メーカーがスポンサーとなって名を連ねており、まさに奇異な思いにさせられます。
 あたかも、「トリプタン製薬」の製薬メーカー協賛の発表のような印象を感じさせられます。これが、学問を論じる場なのかと疑いたくなります。
 そして全国各地で、頭痛研究会や勉強会が開催されますが、必ずといってよいくらいトリプタン製薬会社がスポンサーになっています。
 当地域では「関西頭痛懇話会」が存在しますが、これも某トリプタン製剤の製薬メーカーがスポンサーになり、年2回、高級ホテルで開催され多額の金額を拠出されています。

 このように製薬メーカーは、学会をはじめ末端の日本全国各地の研究会に至るまで関与し続け、医療従事者をこの製薬業界に依存させてきました。
 そして、多くの研究者はこうしたトリプタン製薬メーカーの恩恵に浴してきました。そして研究者同士の”利権争い”が絶えることはありません。


 このため、全世界で、病気の原因の90%が活性酸素が関与しているとされようとも、これまで片頭痛が後天性ミトコンドリア病であるといった考えがあろうとも、一切、このようには考えることはなく、片頭痛は依然として原因不明の”不思議で・神秘的な病気であり、”遺伝的疾患”であり続け、その本態解明は専門家の間では禁句・タブーであり、片頭痛にはトリプタン製剤が特効薬であり続けなくてはならないことになっています。


 今回のファイルは、以下のものです。


  片頭痛を誰が治らなくしたのか
      http://taku1902.jp/sub468.pdf

  

   これでよいのか 片頭痛医療 一開業医からの提言
    
http://taku1902.jp/sub358.pdf