脳は悲鳴を上げている!! その3 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 これまで2回に渡って述べてきましたように、「脳過敏症候群」を提唱される”偉い先生方”は、片頭痛に対して、「市販の頭痛薬」を服用することの弊害を警告されます。
 その要点は、市販の頭痛薬や痛み止めの大部分は”みかけの痛み”のみを取り払い、水面下で起こっている脳の神経細胞の興奮症状を置き去りにしています。
 当然、毎回の片頭痛発作のたびに起きている脳の血管周囲の炎症に関しても放置されたままになっています。
 この興奮状態の放置により、片頭痛の回数や程度がだんだんとひどくなってきて、市販の頭痛薬の用法や用量の規定範囲を超えるようになってきたり、飲む回数が増えてきます。
 トリプタン製剤は、通常の頭痛薬とは異なり、片頭痛発作の際に脳の血管周囲に張り巡らされた三叉神経から、炎症たんぱくが放出されるのをブロックすると同時に、膨れあがった脳の血管を元の大きさに戻す作用を持ち合わせる、いわば根本から片頭痛を断ち切る薬です。
  また、トリプタン製剤は、不必要に脳の血管が炎症で損傷することも防いでくれるため、結果として、将来、脳梗塞に陥ることをある程度防いでくれることも明らかになっています。
 このような神経の炎症物質がばらまかれ、脳が片頭痛のたびに異常な興奮を繰り返すことを放置していると、脳の血管損傷の他にも、将来、「脳過敏症候群」、「脳梗塞」を引き起こしてくることになると警鐘を鳴らしておられます。
 これを防止するためには、片頭痛の発作時には必ず、トリプタン製剤を服用すべきであるとされ、まさにトリプタン製薬メーカーが聞けば泣いて喜ぶような論理を展開されます。
 結局、片頭痛治療のすべては、トリプタン製剤の服用にあるとされます。
 しかし、このような論点が如何に我田引水的なものかを、2回に渡って指摘しました。
 このようなトリプタン製剤を服用しなくても、「脳梗塞」や「脳過敏症候群」は防止可能なことを明らかにしてきました。いや、このようなトリプタン製剤を服用したからといって、決して「脳梗塞」や「脳過敏症候群」は防ぐことはできないことを明らかにさせました。

 
 ここで最も問題とすべきことは、”片頭痛”に市販の鎮痛薬を服用することとされていることです。私達が、「頭痛」を感じた際に「市販の鎮痛薬」を服用します。
 このように市販の鎮痛薬を服用される方々すべてが、自分の頭痛が片頭痛と思っておられるのでしょうか? そのようなことは、絶対にあり得ないことです。もし、このようなことが可能であれば、現在のような頭痛専門医が診療されている「頭痛外来」などは必要とされないことになります。
 これまで、専門家は口を揃えて、医療機関ですら、片頭痛は”正確に”診断されていない、と述べています。
 頭痛専門医ですら、片頭痛の正診率の低さを指摘される程、困難なものとされている段階において、患者さん自身がどのようにして、片頭痛と診断されるのでしょうか?
 ここに「脳過敏症候群」を提唱される方々の論理的な矛盾が存在します。
 逆に言えば、”患者集め”のために、頭痛を自覚すれば全て、「頭痛外来」を受診して、専門医によって診断を仰ぎ、正確に「片頭痛」と診断してもらった上で、トリプタン製剤を処方してもらいましょう、ということが本音なのかもしれません。


 私達が、市販の鎮痛薬を服用するのは、自分が片頭痛と思って服用される方はどなたもいらっしゃらないはずであり、片頭痛と考えれば、現在ではトリプタン製剤という特効薬があるとマスコミ・ネット上で宣伝されているため、まず医療機関を受診されるはずです。

 しかし、「日常的に感じる極く軽度の頭痛」が再三に渡って繰り返され、日常生活が円滑に行えないがために、服用しているはずです。


 例えば、ゲームやネットに夢中になり、あっという間に深夜。あげくの果てにベッドに入っても寝付けない。リズムの崩れた生活で脳をいじめ、仕事や日常生活に支障をきたしていないでしょうか? このようなリズムの崩れた生活をすることで、不眠となり同時に頭痛を引き起こされる方々も多いのではないでしょうか?
 また、業績第一と考え仕事に専念し、職場の人間関係からもストレスを感じて頭痛を起こされる方もいらっしゃるはずです。
 生体のリズムは「ホメオスターシス」によって維持され、「体内時計」により刻まれ、「体内時計」は「ミトコンドリア」・「セロトニン神経系」により制御されています。
 不規則な生活をすれば、体内時計が乱れ、「ミトコンドリア」・「セロトニン神経系」の機能にも影響を及ぼすことになります。
  睡眠は日中活動している間に傷ついたミトコンドリアを修復させています。ところが不眠が持続すれば、修復されないため、ミトコンドリアの機能は悪化し、これに伴ってセロトニン神経系の機能を低下させ、ここに諸々の生活習慣の問題点が加わることによって、脳内セロトニンは低下することになり、このため脳内セロトニンの低下により睡眠障害に拍車をかけてくることになります。このような悪循環を繰り返すことになります。
 このようにして、ミトコンドリアの機能を悪化させ、このためにセロトニン神経系もこれに伴って機能低下させることになります。ここに生活習慣の問題点が追加されることによって脳内セロトニンが低下することになります。
 慢性頭痛とは、健康的な生活が行えていないことに原因があります。健康的な生活を送るためには、ミトコンドリアがまともに働き、セロトニン神経系が正常に機能していることが最低限の条件になっています。

 
 ミトコンドリアは、全身を支え、姿勢を整える筋肉グループ「抗重力筋群」に多く存在し、ミトコンドリアの働きが悪くなれば当然のこととして「体の歪み(ストレートネック)」引き起こしてきます。
  セロトニン神経は直接体を動かすのではなく、筋肉を緊張させることによって、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉に働きかけていることから、セロトニンが不足してきますと、セロトニン本来の働きである「正しい姿勢の保持」が、困難となり、「体の歪み」を招来し、結果的に「ストレートネック」を引き起こします。
   このように両者によって「体の歪み(ストレートネック)」が引き起こされます。 
 

 私達の生活環境は、前屈みの姿勢を強制される生活環境・作業環境にあり、さらに仕事が終われば、四六時中スマホに没頭しているのが大半であり、この前屈みの姿勢が、日常的に感じる極く軽度の頭痛の原因ともなり、上記のことが重なることによって、「体の歪み(ストレートネック)」を形成させ、さらに頭痛を増強させてきます。
 

 このような「日常的に感じる極く軽度の頭痛」に対して、市販の鎮痛薬を連用すれば、こうした薬剤すべては、人体にとっては害(有害なもの)になるのです。これらを解毒する際に、活性酸素が発生し、このためにミトコンドリアの働きを悪くさせることによって、頭痛を増強させます。
 また、これら薬剤はいずれも”化学的ストレス”となって、脳内セロトニンを低下させ、”痛みの閾値”を下げるため痛みを感じやすくさせるために、難治性の頭痛を引き起こしてくることになります。
 このようにして、健康的な生活を送ることを阻害してくることによって、頭痛を引き起こしてくることになります。


 そして、ここにご家族に片頭痛の方がいらっしゃれば、ミトコンドリアの活性低下という”遺伝素因”を受け継いでいることから、これらミトコンドリアの働きの悪さや脳内セロトニンの低下の影響をモロに受けることによって、「日常的に感じる極く軽度の頭痛」から片頭痛へと進展していくことになります。


 片頭痛患者さんの根底には、「脳内セロトニンの低下状態」が必ず存在し、このため、「抑うつ・パニック症状」、「不眠」を訴える方もみられることになります。
 こうしたことから、「抑うつ・パニック症状」、「不眠」を改善させるためには、「脳内セロトニン」を増やすしか解決策はありません。このため根気強い「セロトニン生活」や食事によってうまく工夫してトリプトファンを摂取し続けなければ改善は到底不可能であり、これまでの経験では最低3カ月は必要とされます。
 このような状況をトリプタン製剤だけで是正・改善できるはずはありません。例えて言えば、”線香花火”のようなものでしかありません。
  基本的に、片頭痛発作時には、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減少あるいは機能が低下しており、片頭痛発作の時に、脳内セロトニン様作用をもつトリプタンを投与することによって、機能低下状態に陥っているセロトニンをバックアップしています。
 「脳過敏症候群」を提唱される先生方が申されるように、発作時にだけトリプタン製剤を服用したからといって、機能低下状態に陥っているセロトニンを”一時的に”補填しているに過ぎないものです。このようなトリプタン製剤だけで是正・改善できるはずはありません。


 それにも増して、片頭痛発症の根幹には「酸化ストレス・炎症体質」というものが存在し、このために、活性酸素や遊離脂肪酸が過剰に産生されやすく、このため血小板凝集が引き起こされ、これが引き金となって血小板から”生理活性物質”であるセロトニンが放出されることによって、片頭痛発作につながっていきます。
 苦しい頭痛という痛みだけをトリプタン製剤で取り除いていますと、その根底にある病態は次第に増悪してくることになります。このため、自然と服用回数が増えてくることは避けることができません。このため、必然的に服用回数が増加して最終的には「トリプタン製剤による”薬剤乱用頭痛”」に至ります。
  このようになれば、現時点では”対処が極めて困難な状態”になりかねません。
  ということは、市販の鎮痛薬に限らず、トリプタン製剤でもあてはまることです。


 ということは、「脳過敏症候群」を提唱される先生方が申されるように、トリプタン製剤を服用していたからといって何も解決はされないということです。


 それならどうすれば、よいのでしょうか?


 諸悪の根源は、最初の起こり始めの「日常的に感じる極く軽度の頭痛」に対して、市販の鎮痛薬を”安易に”服用することにあります。

 このため、「日常的に感じる極く軽度の頭痛」を繰り返して感じる場合、その場凌ぎで市販の鎮痛薬を服用することはやむを得ませんが、これを連用することなく、「日常的に感じる極く軽度の頭痛」要因がどこにあるのかを考えてみることです。
 置かれている生活状況・環境を点検すればどこかに問題があるはずです。前屈みの姿勢を強要される作業環境に置かれていないかどうか、ストレスなどの生体の恒常性維持機構の「ホメオスターシス」を乱すような状況にないかを確認することです。
 仮に、ストレスであれば、その対策として「セロトニン生活」の励行が勧められます。
 前屈みの作業環境に置かれておれば、長時間にわたる前屈みの姿勢をとり続けることに原因があることを自覚し、30分に1回は、首を後方へ反らす体勢をとる配慮が必要とされ、さらに毎日、就寝前に「背骨伸ばしのストレッチ」を1回3分間行うことです。
 これだけのことで、市販の鎮痛薬を服用することなく、「日常的に感じる極く軽度の頭痛」は無くしてしまうことができます。
 このような配慮をされませんと、次々と、いろいろな要因が追加されてくることによって、頭痛がさらに複雑化してくることになります。
 そして、ミトコンドリアの活性低下という”遺伝素因”があれば、片頭痛へと移行してしまう、という不幸な結末を迎えることにもなりかねません。


 このように考えてみれば、「脳過敏症候群」を提唱される先生方の論点は何なのでしょうか? 片頭痛治療には、トリプタン製剤という有効な薬剤があり、これを服用すれば、将来、脳過敏症候群や脳梗塞に至ることはなく、「抑うつ・パニック症状」、「不眠」までが改善されると言いたいのでしょうか? それとも片頭痛患者さん”集め”を目的としたものなのでしょうか?  何が言いたいのでしょうか?


 いずれにしても歯切れの悪い論理としか言えないようです。


 

 頭痛にどのように対処すべきでしょうか
  
http://taku1902.jp/sub434.pdf


 慢性頭痛の発症過程
  
http://taku1902.jp/sub443.pdf