ミトコンドリアと有害物質 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 前回は、「ミトコンドリアの働きを悪くさせるもの」として「活性酸素」について述べました。今回は「有害物質」について、述べます。


 私達は、知らないうちに「有害物質」を口にしています。「公害」は過去のものではなく、有害物質は海底などに堆積する形で残っていますし、単位面積あたりの農薬の使用量の多さ、何でも焼却処分することから発生する大気汚染などはそのままです。
 最終的に有害物質は、海の生物達に蓄積され、それを最後に人間が食べています。
 私達の体には解毒機能が備わっているのですが、これらの有害物質は代謝されませんので体内に蓄積されていきます。その量が限界を迎えると、さまざまな症状となってあらわれます。
 有害物質となるものは、添加物入りの食品や、農薬を使った野菜などです。食品には、添加物を使ったものがたくさんあります。このような有害物質になるものを体に取り込まないことが大切です。現在は、無農薬野菜なども販売されているので、うまくそういうものを利用していくことが大切なのです。さらに、この有害物質となっているダイオキシンなどは、しっかりと、水洗いすることや火を通す作業を行うことによって、かなりその量が減少します。これが、環境ホルモンから体を守っていくためにできることのひとつです。
 これらの有害物質は、ミトコンドリアの働きを悪くさせ、「酸化ストレス・炎症体質」を形成させるものです。有害物質ゼロが理想です。


食事に含まれる危険な有害物質


 食事とともに摂取される有害物質には、食品添加物のようにあらかじめわかるものもありますが、多くの場合、有害物質が含まれていることを知らずに摂取しています。
 日常の食事から摂取される有害物質には次のようなものがあります。


 ●DDT、PCB、有機水銀、カドミウム、ダイオキシン類などの環境汚染物質
 ●タール系色素、亜硝酸塩、臭素酸カリウムなどの食品添加物
 ●OPP、TBZ、イマザリルなどのポストハーベスト農薬
 ●有機塩素系農薬、有機リン系農薬、爆蒸剤、除草剤などの残留農薬など
 ●ヒジキ、ワラビ、ふきのとうなどの天然食品、カビ類、調理法(直火で焼かれた食べ物、煉製、焼け焦げ、漬け物等)により含まれる発がん物質など


これらは大別すると2つに分けることができます。


①食べるとただちに細胞などを傷つける細胞毒性が強い有害物質
②長い時間をかけて体に毒がたまり、やがて毒性が発現する残留性有害物質


 ①の細胞毒性が強い有害物質は、毒性試験での因果関係がはっきりしていますし、食品への表示義務があるものも多いため注意しやすいはず。しかし、②の残留性有害物質の多くは、食べてすぐにその悪影響があらわれることがないので厄介です。知らず知らずのうちに体が毒されていき、仮にその毒性があらわれたとしても、その原因を明確に特定できません。多くの場合、「原因不明」とされるか、体質によるもの、あるいは別の病名がつけられることになります。
 「酸化ストレス・炎症体質」の誘因物質となる、②の食品に含まれる残留性有害物質には、メチル水銀、ダイオキシン類、PCB、カドミウムなどがあります。
 これらの残留性有害物質による病気には間違った病名がつけられることも多く、得てして難治性慢性病として扱われがちです。また、さまざまな生活習慣病の隠れた発症原因となっていると考えられます。


どうすればいいの? 細胞毒性の強い有害物質への対応


 有害物質が含まれていると思われる食品は食べないのが一番ですが、実際には食べる物がなくなってしまうというのが現状です。とはいえ、一般に細胞毒性の強い有害物質には危険性が比較的わかりやすいものが多く、加工食品には表示義務もありますので、注意することである程度回避することができます。
 注意したいのは「カビ毒」です。穀類、豆類、ナッツ類、落花生、そば、生コーヒー豆、香辛料、ナチュラルチーズなどのカビに含まれ、現存する天然物では発がん性が強いアフラトキシンや、リンゴの腐敗菌であるパツリンなどです。
 カビそのものは熱により殺菌できるのですが、カビ毒の多くは、調理時の温度ではほとんど分解されません。「カビが生えたものは食べない」のが鉄則です。
 それから、「焦げ」に発がん性があることはご存知でしょう。バーベキューや煉製の際の黒煙や焦げには、発がん性の強いベンソピレンやヘテロサイクリックアミンという有害物質が含まれています。少なくとも直火で調理された魚肉類や野菜類の焦げは食べないことです。
あとは、野菜や漬け物と一緒に魚を食べると発がん物質ができるという話は、すでにご紹介しました。これは、野菜類に含まれる硝酸塩や漬け物などに含まれる亜硝酸塩が、魚などのタンパク質成分と反応してニトロソアミンという発がん物質を生成するという仕組みです。
 だからといって野菜をとらないことは健康維持のために好ましいことではありませんので、亜硝酸塩の添加が明らかな加工食品を食べることを極力控えるとよいでしょう。
 亜硝酸塩は、肉や魚の発色剤として用いられるほかに、ソーセージやハム、チーズ、いくら、すじこ、タラコといった生鮮品、干しブドウなどのドライフルーツにも用いられています。魚肉ソーセージには第二級アミンと亜硝酸塩がたっぷりと含まれていますから、古くなった魚肉ソーセージは特に気をつけたほうが無難です。
 根本的な対応方法としては、これらの食事のときにはビタミンCやポリフェノールを一緒にとることです。私の絶対のお勧めは「ラブレクラウト」。魚や肉類、ハムやソーセージを食べるときには必ずI緒にとるようにしてください。


輸入農作物は大丈夫?


 輸入の果物や野菜、穀類(小麦など)も気になるところです。これらの農作物にはポストハーベスト(収穫後の農薬)といって、長期移送や貯蔵中に品質不良を起こさないように特別な農薬が使用されています。
 これらの農薬には、日本国内基準を大幅に超える量の農薬が使用されていることや、国内で認可されていない農薬もありますので特に注意が必要です。ポストハーベスト農薬が使用されているものは極力とらないか、少なくとも継続してとらないことが重要です。
 野菜などの残留農薬は、水洗いや煮こぼし等である程度は除去が可能です。しかし、果物には浸透性の高い農薬が使用されている場合があり、皮をむいたからといって安全が確保されるわけではありません。また、小麦に含まれる残留農薬は意外なほど多く、パンやケーキを食べたりするときにも影響が及びます。
 ポストハーベスト農薬については、たとえ残留農薬量が基準内だとしても、その基準自体に大きな問題があることを知っておいたほうがいいでしょう。たとえば、輸入の小麦と玄米を比べると、小麦のほうが玄米の50倍~100倍もの緩い基準が設けられているのです。こうしたことから、小麦アレルギーや大豆アレルギーの幼児・子どもの中には、ポストハーベスト農薬などによって症状を悪化させている場合が多いのではないかと思っています。もし、小麦や大豆のタンパク質に対してはアレルゲンの反応が出ないのに、パンや納豆を食べるとアレルギーがひどくなるという場合は、輸入農作物の残留農薬の可能性を疑ってみてください。
 このように、意外と怖いのが輸入穀類や豆類に含まれる残留農薬です(有機リッ系農薬一サリンと同じ作用があります)。ところが多くの場合、このことに気づかずに片頭痛の隠れた要因となっています。さらには、自律神経失調症、メニェル症候群、更年期障害、うつ病、パニック障害、不安神経症などといった症状の原因になっている可能性もあるのです。


ヒジキのヒ素には要注意!


 健康にょいと思われるヒジキには、発がん性の強い「無機ヒ素」が含まれています。
 ヒ素といえば、昔から人に気づかれずに殺すときに用いられてきた毒です。殺鼠剤としても使われていますし、「和歌山毒物カレー事件」で使われたことでも有名です。あれと同じようなヒ素(無機ヒ素)がヒジキには含まれているのです。しかも決して少ない量ではありません。ですから、よほどヒジキが好きな人でないかぎり、食べるのは避けるようにしたほうが無難です。妊婦や授乳中の場合には厳禁です。
 特に、乾燥ヒジキを粉砕し、ふりかけにしてとることは大変危険です。ちなみに体重50キロの人の週間許容摂取量は1日4・7グラム。ふりかけたと一度の食事で許容量を超えます。
 「ヒジキはほとんど消化吸収されないので気にすることはない」という人もいますが、無機ヒ素は水溶性ですから、摂取すれば必ず吸収されることになります。
 また、「無機ヒ素」は米にも含まれます。特に、私たちが主食とするジャポニカ種は無機ヒ素の含有割合が高くなっています。ヒ素はヌカの部分に多く含まれますので、玄米を常食としている人は注意が必要です。また、ヌカにはカドミウムも含まれるので、玄米を常食としていて肌が黒ずんできた人、高尿酸血症など腎臓の機能が低下した人は、ヌカに含まれるヒ素やカドミウムによる健康被害を疑ってみるべきです。
 健康ブームで玄米を推奨する食事法があります。玄米は非常にバランスのとれた食品ではあるのですが、カドミウムやヒ素の問題を含んでいることだけは忘れないでおいてください。
 どうしてもヒジキや玄米を食べたいという人は、にんにくやタマネギ、ネギなどを一緒にとるとよいでしょう。これらに含まれるイオウ化合物は、体内でヒ素と結合し、ヒ素の細胞毒としての作用を抑制したり、排泄させたりする働きがあるからです。
 なお、ヒ素はヒジキ以外にも昆布やエビ、力二にも含まれますが、それらは無毒な「有機ヒ素」なので心配いりません。有毒な「無機ヒ素」は、ヒジキにだけ特異的に含まれています。


もつとも危険で残留性の高い有害物質とは?


 ここまでお読みになり、「こんなに危険なものを食べていたなんて!?」と驚かれた人も多いはず。でも、食品に含まれる有害物質の本当の怖さはここからです。
 食品に含まれている残留性の高い有害物質には、PCB、DDT、ダイオキシン類、メチル水銀、カドミウムなどの環境汚染物質があります。これらはごく少量とったからといって、ただちに症状があらわれるわけではありません。しかし、一旦摂取されると解毒代謝されることがなく、体の中に長期にわたって蓄積されます。蓄積された有害物質は、コップの水のように、限界を超えてあふれたところで症状となってあらわれます(その限界量を闘値といいます)。 このように、すぐに病気になるわけではないので因果関係を正確に知ることが難しく、多くの場合、遺伝的な体質や原因不明の病気として扱われることになります。メチル水銀が原因の水俣病、カドミウムが原因のイタイイタイ病などがその例です。
 これらの環境汚染物質は、化学的に安定しているため自然界で分解・浄化されること がなく、植物やプランクトンなどの食物連鎖を通じて濃縮されていきます。自然界では、食物連鎖が一段階上がるごとに10倍に濃縮されます。たとえば、わずかな有害物質を含むプランクトンを食べた小魚は、プランクトンの10倍の有害物質を含むようになり、その小魚を食べたイワシはその10倍、そのイワシを食べたブリはその10倍というふうに濃度が高くなるのです。食物連鎖の最上位に位置する私たち人間は、一体何倍の有害物質をとることになるのでしょう……。
 日本では、環境汚染や公害はすでに過去の出来事であり、心配する必要はないと考えている読者も多いと思いますが、果たしてそうでしょうか?
 たとえば、40年以上前に日本では製造や使用が禁止された有機塩素系殺虫剤のDDTは、今でも中国やインドで製造されています。自然界では分解されず、気化はしないものの粉末となって大気中に気散、それが落下して海洋を汚染、分解されることなく蓄積し、食物連鎖を通じて私たちのロヘと運ばれてくるのです。他の有害物質に関しても同じような経路をたどり、ずっと前に使われたものが自然界に蓄積され、今も循環しているのです。地域や時間を超えた世界規模の問題だといえます。


魚介類を食べるなら「小さな青魚」がお勧め


 このように、残留性の高い有害物質は、食物連鎖の結果として魚介類に多く含まれることになります。そのほとんどが脂溶性なので脂分とともに存在し、解毒代謝にかかわる肝臓などの内臓に蓄積されやすいことから、魚介類の脂身や内臓は極力食べないことが大切です。
 魚介類の中でもキンメダイやアナゴなどの水底棲息魚、マクロやブリなどの大型魚類、イルカ、鯨などの大型海棲哺乳類、あん肝、ホタテうろ、イカのワタ、カニミソなどの内臓類は嗜好品程度にとどめておいたほうがよいでしょう。
 一方、魚介類は不足しがちなEPAやDHAなどのオメガー3系脂肪酸の摂取源でもあります。そこで、食物連鎖の影響の小さい、イワシ、サンマ、サバなどの「小さな青魚」、いわゆる「手先から肘までより小さな魚」を目安にすると、安全・健康の両面から最適ではないかと思います。
 ここで紹介した有害物質は、ほとんど解毒代謝されないにもかかわらず、解毒にかかわる酵素、補酵素、ビタミン、ミネラルを大量に消費します。したがって健康であり続けるためには、これらの有害物質を極力とらないようにすること、腸内環境を整えて腸内細菌を健全化することによって、体内で発生する有毒物の解毒負荷を軽減することが大事になるわけです。


 以上のように思わぬことが、ミトコンドリアの機能を悪くさせてきます。