認知症とミトコンドリア | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 皆さんがよくご覧になるHP「頭痛大学」では、以下のような記載があります。


■頭痛もちはアルツハイマー病と関係ない


 ノールウェーの5万人を対象とした疫学調査によると、頭痛もちはアルツハイマー病と無関係ということでした!
 しかし血管性痴呆は2.3倍増加したということです。やはり頭痛は治療しておいたほうがよさそうです。


  Hagen K, Stordal E, Linde M, et al.: Headache as a risk factor for dementia: A prospective population-based study. Cephalalgia 34: 327-335, 2014.

  
 こうしたことは、どのように解釈すべきなのでしょうか。


 認知症は現在の医学では残念ながら完治が見込めません。代表的な認知症であるアルツハイマー病は一旦発症してしまうと病状は進行してしまいます。


最も患者さんの多いアルツハイマー型認知症について


 この病気は、患者さんの脳にアミロイドβという異常なタンパクが付着し、徐々に脳神経を壊していく病気です。
 脳のしみ、老人斑などともいわれますが、脳を壊していくので非常にたちが悪いしみだといえます。
 アミロイドβ沈着によって、患者さんは、それまでできていた能力、記憶や見当識、思考力、判断力などを失います。
 そのため徐々に自立した生活が営めなくなり、介護の助けがないと生きていけなくなります。
 なぜ体内でできたタンパクが、自分自身を傷つけるのかについてはまだ詳しいことはわかっていません。
 ただアミロイドβは、単独ではなく、アルコール脱水素酵素というタンパクとミトコンドリア内部で結合することで毒性が発現し、神経細胞を壊すことがわかってきました。
 この時ミトコンドリアでは、エネルギー生産の低下や二重になっている膜の透過性が下がるなど著しい機能の低下が観察されているため、ミトコンドリアに原因があると考えられるようになりました。
 認知症発症と進行の原因となる異常なタンパク、アミロイドβは、ミトコンドリアの機能低下が背景にあり、その内部で他のタンパクと結合し、細胞を壊す毒性を持つようになったのではないかと考えられています。
 こうして脳の神経細胞がアミロイドβによって壊され、アルツハイマー病が進行していくのですが、現在のところ進行を緩やかにする、あるいは周辺症状を多少改善する薬があるくらいです。
 現代の医学では、原因となるアミロイドβを除去すること自体や毒性を消すこと、さらに作らないようにすることも出来ません。


 しかし、ミトコンドリアの機能が低下することによってアミロイドβが毒性を持ってしまうのなら、ミトコンドリアの機能を改善することでアミロイドβの毒性を抑えることができる可能性があります。


 日本医科大学大学院医学研究科教授の太田成男先生は以下のように指摘されます。


 最近の研究によると、ミトコンドリアの生み出すエネルギーの低下が、認知症の原因のひとつとなっていることも分かってきています。
 脳のミトコンドリアが増えると、脳が使えるエネルギー量がふえ、認知症を予防・集中力アップ、発想が豊か、脳の機能全体がアップすることも期待できる。


 こうしたことから、認知症を予防するためには、ミトコンドリアの機能を改善しようというのが現在の考え方です。そこで改善の力となるのが「抗酸化物質」です。
 ミトコンドリアの機能低下はそもそも活性酸素の増加とされ、それを除去する効果があるためです。
 さらに「抗酸化物質」は、壊れた脳神経細胞を修復し、再生する力があるとされているため、ミトコンドリアの活性化がはかれるはずなのです。


 そして、最も大切なことはミトコンドリアそのものを元気にすることです。


 そこでミトコンドリアそのものを元気にすることで、認知症を予防してしまうことではないかという考え方が主流になって来ました。
 認知症の予防は成人病の予防であり、生活習慣の見直しでもあり対策方法はそのままアンチエイジング対策ということになります。


 このように、アルツハイマー型認知症は、原因不明とされながら、ミトコンドリアの機能を改善することによって、予防の可能性が示唆され、具体的にどのようなことをすべきかが考案され、病態解明が完全に明らかにされない段階から現実に試みられています。


脂肪からエネルギーが産生される仕組み


 体についた脂肪は、そのままでは燃えません。まず、燃えやすい遊離脂肪酸に変化し、血液の中に流れ出します。そして、各細胞内のミトコンドリアへと流れていきます。ミトコンドリアは、エネルギーを生み出す場所です。遊離脂肪酸を燃料としてエネルギーを生み出すのです。こうして、脂肪は燃焼します。ところが、遊離脂肪酸は”L-カルニチン”がないと、ミトコンドリアの中に入ることができません。つまり、L-カルニチンがミトコンドリアの鍵を開けることで、はじめて遊離脂肪酸はミトコンドリアに入ることができるというわけです。
 L-カルニチンは遊離脂肪酸をミトコンドリアに運ぶ役割を果たしています。つまり、L-カルニチンが不足していては、体についた脂肪を燃やしてなくすことはできないのです。


  L-カルニチンには、もう一つ重要な働きがあります。それは、健康な脳機能を維持することです。L-カルニチンが不足すると、脳のアセチル-カルニチンが不足します。アセチル-カルニチンが不足すると、脳の細胞が壊れやすくなり、認知症になりやすくなります。 このことは、数多くの臨床研究から明らかにされています。L-カルニチンは、認知症防止にも役立つというわけです。
 L-カルニチンは、ミトコンドリアの中で脂肪を燃焼して肥満を防止し、脳の中でアセチル化して認知症を防止してくれる、私達には欠かせない物質なのです。


L-カルニチンのパワーはCoQ10なしでは発揮されない!


 肥満を解消したいからと、いくらL-カルニチンを摂っても、それだけでは効果はあまり期待できません。その優れた体脂肪の燃焼効果を発揮させるためには、CoQ10が欠かせないのです。
 L-カルニチンだけがたくさんあっても、CoQ10が不足していては、脂肪はうまく燃焼されません。逆に、CoQ10だけがたくさんあっても、L-カルニチンが不足していては、脂肪はうまく燃焼されません。つまり、この二つの相乗効果で、片頭痛改善・肥満が解消できるというわけなのです。
 L-カルニチンはCoQ10と一緒にしっかり摂ってこそ意味があるのです。


アルツハイマー型認知症の改善に期待

 
ミトコンドリアを元気にする3つの方法


ミトコンドリアを元気にして、増やす方法は大きく分けると、3つあります。


    1.食事
   2.運動
   3.ストレスマネージメント


1.食事


• ビタミンとミネラルを野菜・果物・ナッツ・藻類からとる


緑の濃い野菜 - ほうれん草、ブロッコリー、小松菜、など
明るい色の野菜 - にんじん、赤ピーマン、など
硫黄(シスチン・メチオニン)を含む野菜 ー キャベツ、カリフラワー、たまねぎ・ガーリック、等


 ミトコンドリアの酸化ストレスに対処するために、抗酸化食品を食べる。

 ミトコンドリアの機能が弱ると、身体に毒素がたまりやすくなります。野菜・果物に含まれる食物繊維をとって、排泄できるようにするのも大切です。

わかりやすいのは、いろいろな「色」の野菜や果物を食べて、様々なビタミン・ミネラルをとることができます。


•タウリンを含む食品をとる
•ビタミンB12を肉や魚介類からとる
•ミトコンドリア膜を作るため、オメガ3脂肪酸を質のいい油(亜麻仁油、エゴマ油、オリーブ油など)や、油の多い魚、またはアボカドなどからる。
•ミトコンドリアの毒になる砂糖、人口甘味料、グルテン、加工食品、ジャンクフード、トランス脂肪酸をさける
•お腹をすかせたり、食べ過ぎない方がミトコンドリアが増える。


*ミトコンドリアを元気にするサプリCoQ10などもありますが、サプリは取りすぎると副作用や、他の薬への妨げになることもあるので、しっかり理解している医者や栄養士などの助言のもとで、取るようにする。


ですから、食事から栄養素を取り入れるのが一番安全です。


2.運動


 運動不足になる座りっぱなしのライフスタイルも、ミトコンドリアを弱らせる原因です。誰でもカンタンにできるウォーキングを使って、ミトコンドリアを増やすことができます。
 ミトコンドリアは運動をして、1分しんどい状態を保つことで増えるので、「ためしてガッテン」では、普通歩きと1分ほどの早歩きを交互に繰り返すことで、ミトコンドリアが増えるという実験結果を報告していました。


スクワット10回もミトコンドリアを増やすスイッチがONになるようです。


3.ストレスマネージメント


ミトコンドリアはストレスでも、弱ってしまいます。充分な睡眠をとり、楽しいことをして、ストレス解消する。


 アルツハイマー型認知症の症状を持つ患者に食生活の改善や計画的な運動などを組み合わせた療法を行った結果、10人のうち9人の症状が改善したという研究結果を米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者が専門誌に発表しました。


アルツハイマー治療に希望? 9割の症状改善 米研究


 米国のアルツハイマー病患者は約500万人に上り、死因としては6番目に多い。治療法は存在しなません。しかし今回の研究は、そうした状況の中でかすかな希望につながる可能性もあります。
 研究チームは55~75歳の認知症患者10人を対象に、血中のビタミンD濃度の調整、DHAサプリメントの使用、消化器官の健康調整、インスリン値を正常に戻すための計画的な絶食などを組み合わせた療法を実施した。併せて血液検査や脳スキャン、神経心理学検査なども行った。
 数カ月後、10人中9人に認知症状が改善したり正常に戻る効果が認められたという。療法を開始した時点で既に重い症状が出ていた60歳の女性だけは、進行を止めることはできなかった。
 研究をまとめたUCLAのデール・ブレデセン氏はこの結果について、アルツハイマー病を引き起こすさまざまな要因に同時に対応すれば、初期の進行を食い止められる可能性があるという説が裏付けられたと解説する。
 アルツハイマー病には36の要因がかかわっていると同氏は言い、「例えて言えば屋根に36個の穴が空いているようなもの。人によって、例えば運動面に大きな穴が空いていて、ほかの面の穴は小さかったりする」と話す。
 現在主流の療法は、多くの要因が重なって引き起こされる症状に対して1カ所にしか焦点を当てていないという点で欠陥があるとも同氏は指摘、「製薬会社は1つの穴に対して非常に優れた対処法を開発する。だが効き目がなかったとしても不思議はない」と語った。

 ブレデセン氏の研究に協力した1人、ピーターさん(仮名)は、69歳でこの療法を開始した当時、進行性の記憶障害に悩まされていた。58歳の時に人の顔を認識できなくなったり、本を読んでいる途中でそれまで読んだ内容が思い出せなくなったりする症状に見舞われたという。
 翌年の脳スキャンでアルツハイマー病に特徴的な症状があると診断され、昨年ブレデセン氏に紹介された時には仕事をやめることも考えていた。
 ピーターさんは療法に従って単純炭水化物や加工食品を食生活から排し、腸内環境を整える生菌やココナッツオイルの摂取、徹底した運動、8時間近い睡眠時間の確保、ハーブ類やサプリメントの摂取などを行った。
 その結果、4~6カ月で数字や人の顔を再び認識できるようになり、「数年前よりも体調が良くなった」。仕事は71歳になった今も続けられている。

 ただし今回の調査はごく少数を対象に行われたもので、この結果を単純に一般に当てはめることはできないと専門家は釘を刺す。ブレデセン氏は今後も研究を続ける予定。「症状が出ていなくても、昔から母親に言われてきた通りにするのが望ましい。運動して睡眠を取り、ストレスを抑えてジャンクフードを食べないこと」と同氏は話している。



 認知症の対策として、ミトコンドリアを元気にして増やす為、栄養のある食べ物を食べて、運動して、ストレスマネージメントをする。

 よく耳にする健康法ですが、こうした生活スタイルがなかなか送れない忙しい人も多いのでは・・・。

 ミトコンドリアと認知症治療法の関係はこれから、まだまだ研究が必要ですが、食事・運動・ストレスマネージメントをすることで認知症の予防策にもなります。


 問題は、このようなことを何時から始めるかということだけのことです。
 結局、若い世代から、こうした健康教育が必要とされるということに過ぎません。


 次回は、さらにこの具体的なことを述べていきます。